私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾肆話 動の舞と静の歌

 

椿の竜巻と私の突撃で100体のAランク妖魔は全滅させる事が出来たけど、Sランク妖魔は50体全てがほぼ無傷だ。ちょっと爺さん、コレやり過ぎじゃないかな・・・?

 

「ま、これくらいを神妖の妖気無しで倒せるようにならないと、妖魔人も十極地獄の鬼も倒せないって事だよな」

 

「う〜ん、確かに綾ちゃんの言う通りだよ。それなら、何とかやってみるしかないね」

 

そう椿と言葉を交わした矢先、ワニとイノシシを足して2で割ったような姿の妖魔が突進してきて、私達の前の地面を長く鋭い牙の生えた大きな顎で捲り上がらせてきた。

 

「このっ!」

 

「くっ!でやっ!」

 

すぐさま、新たに妖術で出現させた玉を巨大化させたけん玉を持った椿と共に、"有頂天・白虎"でスピードアップした拳のラッシュで倒れてくる地面の塊を粉砕するけど、その先に攻撃をしてきた妖魔の姿は無い。

 

「「妖気は・・・上(か)!」」

 

相手の妖気を感知した私達は上を確認する前に大きく飛び退いて、その場から一旦距離を取る。

すると、やはりというか上から突っ込んできた妖魔の一撃は地面を大きく揺らし、陥没させてクレーターまで作ってしまった。

 

「あの野郎、なんつー破壊力してんだ!」

 

「だったら先に、あの妖魔から――って、あれ!?」

 

あの妖魔を何とかして捕まえようと思った途端、背中合わせで立っている椿の様子がおかしい。どうやら、まるで両腕が重くて上げられないような感じだ・・・と思ったら、私の方も何か腕に10キロくらいの重りが付けられたような感覚があるな。

 

「一体どいつが・・・なるほど、アイツか」

 

周辺に何か原因が無いかと見渡すと、ちょうど椿の真横にデカい目玉をした妖魔がジッと私達を睨んでるのが見えた。

 

あの目を使った催眠系か?でも、目も合わせてないのに・・・いや、微かに音が聞こえるぞ。そうなると、音波で催眠をかけるタイプって事だろうな。

 

「それより綾ちゃん、この数を相手にするのは流石にキツいですよ」

 

「へっ?・・・うっわ、マジか。いつの間にか、周りを囲まれてるわ」

 

とにかく、そこへ更に攻撃を仕掛けてきたプテラノドンみたいな妖魔を避けたけど、お陰で今度は椿と分断されて孤立無援になっちゃったぞ。

 

「さぁさぁ!!椿ちゃんも綾ちゃんも早速、複数の妖魔にロックされたで!しか〜も!2人共、何かされたのか腕が上げられないようやでぇ!おおっと!?椿ちゃんの方は、更に地面の下から何かが迫っている!!」

 

それにしても浮遊丸は実況を楽しそうにやってやがるな。

 

「よっと!まぁ、そう私も呑気にしてられないか!」

 

危ない危ない・・・椿の心配してたら、私の方にもクワガタみたいな妖魔の大アゴ攻撃が迫ってきてたわ。もう少し避けるのが遅かったら、危うく上半身と下半身が泣き別れになる所だったぞ。

 

何にせよ、沢山の妖魔の能力を瞬時に分析して対処しながら封印って事を手早くやっていかないと、とてもじゃないけど時間内に全部のSランク妖魔を捕まえるのはキツそうだな。Sランクを捕獲可能になれる所まで昇級する為には、これくらいは必須っぽいみたいだし。

 

それに私だって椿を守る為には、彼女と同じかそれ以上のライセンスが必要なんだ!こんな所で後ろ向きな考えなんてしてる場合じゃない!

 

「行くぞ・・・だぁっ!!」

 

「な、なんやなんやぁ!?椿ちゃんに続けて、綾ちゃんも高く飛び上がったでぇ!!」

 

とりあえず、妖気から作ったホッピングでジャンプした椿の真似をして両脚に溜めた妖気をバネみたく爆発させる感じで飛んでみたけど、流石は四神の白虎の力を模しただけあって一瞬で天井ギリギリまで跳べるな。

 

しかも、それによって両腕を封じていた妖魔も私達を見失ったから、催眠が解除されて重くなっていた腕も元通りだ。

 

とはいえ、空を飛んでる妖魔から一斉に狙われる訳なんだけどさ。ま、向こうから来てくれるなら戦いやすいや!

 

「黒焔狐炎尾(こくえんきつねえんび)!!」

 

「さてはて、あっちも派手にやってるな〜・・・それなら私も!稲妻雷霆蹴!!」

 

ハンマー状にした尻尾を黒炎に変えて飛行する妖魔を捕まえようと頑張っている椿を横目に、私も1番最初に突っ込んできたコウモリみたいな妖魔を雷を纏わせたキックで踏み付けながら、天井に張り付いて一気に地面へ向かって飛び込む。

 

それを追って踏み付けた妖魔も急降下してくるけど、あまりに私だけしか見えてないから迎え撃つには絶好のチャンス過ぎるぞ。

 

「稲妻雷霆拳!!」

 

「ギッ!!」

 

「よし、これで1体目――おっとぉ!?あっぶない!」

 

雷を纏ったパンチで撃ち落としたコウモリの妖魔を巻物に封じた瞬間、地面からクジラみたいに出てきた巨大な妖魔に思わずビックリしちゃったよ。

 

しかも私の足元から出現してくれやがったから、せっかく着地したのに再び空中へポーンと逆戻りだし!

 

そんな中で観客席の方を見ると、どうやら椿も地上に降りて奮戦してたみたいだね。それなら、さっきの妖魔も私じゃなくて降り立った椿に反応したのか。

 

「あわわわ!!皆、僕の尻尾を見ないでぇ!!」

 

――な〜んて思ってたら、近くに座ってた妖怪達に尻尾触られてアタフタしてたわ。あっ、そういや椿の尻尾には魅了の力があるんだっけ。

 

「ほっ!」

 

すると、椿は何かを思い付いたような表情をしながら観客席を飛び立って、どういう訳かSランク妖魔が1番ひしめくドームの中央へと降り立つ。

 

魅了の力を持つ尻尾を揺らして・・・って、まさか。

 

「つ・・・椿ちゃん?何か踊って、何しとるんや?」

 

「こ、これは・・・心が、落ち着いていく?」

 

そう私が思った時、椿がパッと手品のように両手から祭器を取り出して踊り出し、それと同時に心が落ち着いていきながらも私の耳には何処からともなく太鼓や笛の音色が聞こえてきた。

 

この音楽、そして椿の舞っている踊り・・・何故だか分からないけど、頭の中で封じられていた物が解けていくみたいに、この音楽の歌い方が流れるように溢れてくる。

 

「♩〜♪〜」

 

気が付くと、私も椿の隣に降り立って日本舞踊の歌とも似るような細くも力強い声で、奏でられる音楽と椿の舞に合わせるように・・・いや、それらを纏めるように歌を紡いでいた。

 

「♫〜♪〜」

 

何で歌おうと思ったのかは謎だけど、それでも私は早まる鼓動を旋律に混ぜるように、集中して滑らかな歌声を喉の奥から奏で続ける。

 

そして、ふと周囲を見ると大人しくなっている妖魔の隙間を縫うようにして、狐の面を被った白い着物姿の子供達が私達の周りに座っているのが見えた。

 

『やっと・・・だね』

 

『うん、2人共やっとやっと』

 

そうだ・・・この人達も、夢の中か何処かで私は会った事があるんだ。

 

『神休めの舞い、神鳴りの歌』

 

『椿ちゃん、綾ちゃん、君達は選ばれたんだよ。だから、あの力が宿ったんだ。そして、この舞いと歌を紡ぐ事が出来るんだ』

 

頭に響いてくる子供達の言葉の意味は分からないけれど・・・誰が私達を選んだんだろう?それに、この子達は一体何を知っているの?

 

『今は、まだ・・・ね』

 

『でもね・・・君達は、どの妖怪よりも強くなれるよ。そして、その可愛くも妖艶な姿で誰の癒しにもなれるんだよ。それが幻影だろうとね。ほら、見てごらん』

 

その子供達の声に私と椿は舞いと歌を続けながら見渡すと、ドーム内の妖魔は全て暴れるのを止めて私達の方を、ただジッと大人しく見つめていた。

更に観客席の方も見ると、浮遊丸も座っている皆も何も言う事もなく、妖魔達と同じように静かに私達の舞いと歌に集中しているようだった。

 

これが椿や私の持つ力によるものかは分からないけれど、きっと今の私達は全ての存在を魅了する事が出来ているんだろうね。

 

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