私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾玖話 助ける絵面か?これが・・・?

 

自身の父親を守ろうと立ちはだかる赤木会長へ私達は目で「退いてくれ」と訴えるも、それでも向こうは1歩も譲ってくれない。

 

「良いぞ〜宗二。そりゃ、お前は私を守らないとなぁ・・・」

 

そう言いながら起き上がったクソ親父は、ポンと自分の息子である赤木会長の肩へと両手を置く。さっきコイツが言ってた事といい、どうやら彼がこんな事をした理由は1つしかなさそうだ。

 

「赤木会長、アンタ母親を人質に取られてるだろ?」

 

その私の言葉に赤木会長は目を一瞬見開いて驚いた顔を浮かべたものの、すぐに元の表情に戻って再び私達を拒絶するように首を横に振ってくる。

 

「違うよ、綾君。私は・・・私は、自分の意思で父に協力しているんです。だから、助けよう等と考え――」

 

「うわっ!!何だ、コレは!?」

 

「なっ!?父上!!」

 

とはいえ、影の妖術を使える椿がいるから立ちはだかっても簡単に拘束出来ちゃうんだけどな。

それに、そう言っても赤木会長の今までの様子からして、無理やり協力させられてるのは誰から見てもバレバレだ。

 

何にせよ、あとは椿お得意の尋問タイムだね。

 

「さ〜て・・・妖怪から妖気を抽出している、その場所を教えてくれます?」

 

「ぬっ・・・ぐぅ!これくら・・・いひゃひゃひゃひゃ!!」

 

とりあえず、影に全身をくすぐらせる所からって感じか・・・コレ、流石に私でも一瞬で弱点をくすぐられちゃうから地味にキツい拷問なんだよな。

 

『椿、お主・・・本当にそれが好きじゃな』

 

「えっ、なんでです?白狐さん、面白くないですか?そ〜れ、コチョコチョ〜」

 

「いひゃひゃひゃひゃ・・・!や、やめ・・・やめてくれぇ!」

 

・・・しかも椿自身、ど〜うもドSな所があるみたいだから容赦もクソも無いみたいだしね。

 

「それじゃあ、早く話してください」

 

「ひぃ、ひぃ・・・だ、誰が話すか!」

 

「ほーん、強情な奴だなぁ〜・・・仕方ない、やっちまえ〜レイちゃん!」

 

「ムキュゥ!!」

 

「こ、今度は何だ!?」

 

そう私が椿の鞄に付いていたレイちゃんによびかけると、レイちゃんは私達の心を理解したように細長く1つ目のフェレットみたいな姿へと変化して、そのフサフサな毛で駆け巡ってクソ親父の全身をくすぐる。

 

「ひぃぃ!!ひゃはははは!!や、やめ・・・本当に止めてくれぇ!い、息が・・・いひゃひゃひゃひゃ!!」

 

お〜お〜、なんつ〜凄い笑い方・・・とはいえ、流石に赤木会長もバタバタ両手を振って私達の前に立って止めてきたよ。

 

「止めろ!椿君!綾君!君達は、どんな奴らを相手にするのか分かって――」

 

「亰嗟だろ?このまま逃げてたって何の解決にもならないし、どうせ私も椿も狙われてるんだ。だったら、何もしなかった事を後悔しないよう、やれるだけとことんやる方が良いだろ?」

 

「それに、僕達も無策で戦いを挑む訳じゃないですよ。だから・・・信じてください、赤木会長」

 

すると、その私達の言葉に赤木会長は再び目を見開いて、ポカンとした様子でこっちを見てきた。いやいや、今そんな驚くような事を言ったかな?

 

「椿君、綾君・・・君達は・・・」

 

「僕と綾ちゃんは半年間、強い人達の下で修行してきたんです。だから、もう今までの僕達とは違いますよ」

 

アングリと口を開けて呆けてしまった赤木会長を他所に、私達は再びレイちゃんや自分の影にくすぐられているクソ親父の方へと向き直る。

 

「ほぉ〜ら・・・赤木会長のお父さん、僕の尻尾を見てください」

 

「ひぃ、ひぃ・・・えっ?――はっ!な、なんと・・・美し、い・・・」

 

そして、椿が前に出ながら元の姿に戻って影の妖術を解除し、自らの尻尾をユラリユラリと誘惑するように振り始めた。

 

「あぁ・・・是非とも触らせ――」

 

「嫌で〜す。どうしても触りたいのなら妖怪から妖気を抽出する場所、それを教えてください」

 

「わ、分かった・・・言う、言います!場所は堀川御池の交差点にある、私の会社のビル地下です!社名は△△ホールディングス!」

 

なるほど、魅了の力がある尻尾で誘惑して・・・というより、何かコイツも雪の親父みたく人外萌えだったみたいだな。あまり抵抗の雰囲気も無く、自分から全部ベラベラ喋ってくれたし。

 

「ま、まぁ何にせよ例の装置がある場所は分かったね・・・まさか、あそこまで椿の尻尾が効果バツグンだなんて思わなかったけど」

 

「うぅ、やった僕でも予想外だったよ・・・でも、京都の主要道路の交差点ですか。あれだけ大手企業のビルが立ち並んでいて地下駐車場もあるくらいなら、地下にそれだけの施設が作られていても不思議じゃなさそうだね」

 

すると、そんな私と椿の会話を邪魔するかのようにクソ親父が、ゾンビみたく椿の尻尾へ向かって這ってきた。

 

「さぁ、言ったぞ・・・さ、触らせてくれ・・・早く・・・」

 

「――で、このクソ親父どうするのさ?」

 

「まぁ、そうですね・・・じゃあ、この首輪を着けて僕の言う事を聞いてくれたら、ちゃんと触らせてあげますね〜」

 

「は、はい!」

 

うわぁ、ま〜た椿ったら隷属の首輪を悪用・・・してないな、うん。というかクソ親父、渡された得体の知れない首輪を自分から着けていくくらいだったわ。

 

「よし。それじゃあ、これからは家で大人しくして、妖気を抽出するなんて危ない事をするのは止めてくださいね!」

 

「はい!分かりました!!」

 

「ち、父上〜!?!?」

 

「何ですか、赤木会長?まだ何か文句でもありますか?」

 

いやいや椿・・・目の前で自分の親父が首輪着けて歳下の知り合いに誓いの言葉を立ててたら流石に誰だってビックリするよ?

私だってオジサンが椿の尻尾に魅了されて変な事させられるのは見たくないもん――というか、助ける絵面か?これが・・・?

 

それは兎も角、そのまま椿は驚き過ぎて口をパクパクさせて立ち尽くしている赤木会長の前に立つ。

 

「赤木会長、本当はお母さんを助けに行きたいんでしょう?でも敵が恐ろしいから、自分1人では勝ち目なんて無かったから・・・だから、こうして自分の身を張ってお母さんを守ろうとしていたんですよね?」

 

「くっ・・・椿君、知っているなら何で――」

 

「少し考えれば分かるだろ、アホ会長。そんな事されて、アンタの母さんは喜ぶと思ってるのか?」

 

「うっ・・・しかし綾君、敵が・・・」

 

その会長の尻込みしたような様子に、私も椿も思わずハァ〜と大きく息を吐き、一緒に雪の方へと目配せをして連絡の合図をした。

 

「雪、ちょっと頼んで大丈夫?」

 

「言われなくても連絡した、綾。場所を聞いた瞬間に美亜へ連絡して、そのビルの周りを樹海で埋め尽くして逃げられないよう頼んだ。それに楓とわら子、里子もビルの方に向かうって」

 

「ありがとう、雪ちゃん。それと亰嗟の下っ端だけじゃなくて幹部の人や地獄の鬼が出てきたら、すぐに逃げてって事も伝えて。すぐ僕達も向かう事も含めて、ね」

 

「うん、分かった」

 

そう雪へとテキパキ報連相をしていく私達に、またしても会長は驚いた声を上げる。

 

「つ、椿君!?綾君!?」

 

「ん?そんなに私達が動けるようになってた事が意外だったか?」

 

「僕だけじゃなく他の皆だって、強くなろうと修行をしているんですよ。それなのに、いつまで赤木会長は僕達の事を半年前だと思って見ているんですか?」

 

「うっ・・・」

 

「それと、少しは男らしい所も見せてください。そうしたら、僕だって尻尾くらいは触らせてあげますよ」

 

「・・・ははっ、それが嘘だと気付いているよ。だけど・・・確かに、君達の言う通りだ。私だって、母を助けたい」

 

すると赤木会長は目を閉じて深呼吸をし、それから決意した様子でキッと私達の方へと向き直ってきた。

 

「分かった、椿君に綾君。力を貸してくれ・・・どんな方法でも良い。私は、母を助けたい!!」

 

「あいよ、会長!そんなの合点承知之助だ!!」

 

「綾ちゃんは相変わらずだなぁ・・・でも、僕も会長の気持ちは分かりました。それじゃあ皆、行きますよ!!」

 

そうして私達が首輪を着けた会長のクソ親父を引っ張っていく後ろで、狐2人は先程の会長みたくポカーンとした表情で顔を見合わせている。

 

『白狐・・・』

 

『あぁ、黒狐よ。我も同じ事を考えていた』

 

『ひょっとすると俺達は、とんでもない妖狐を嫁にしようとしているんじゃ・・・』

 

『うむ・・・我も何故か、椿の尻に敷かれる未来が目に浮かんだのだが・・・』

 

「白狐さん、黒狐さん・・・ぐすっ、僕から逃げるの?僕、2人も一緒じゃなきゃ駄目なのに・・・こんな僕が嫌なんだったら、元の気弱な方が良かったの?」

 

『うわぁぁあ!!な、泣くな椿よ!大丈夫じゃ!逃げんから!』

 

『そ、それに!今の椿の方が可愛らしくて良いぞ!!』

 

「本当!?良かったです・・・!」

 

『い、今のは嘘泣きか・・・椿よ』

 

『くそ・・・それでも、その可愛さは・・・怒るに怒れん』

 

おぅ椿さんや、狐2人をからかうの止めてあげなさいな。

 

この子は全く、隙間から入って白狐さんとも黒狐さんとも腕を組むくらいに積極的になっちゃって・・・私だって、こんな変態親父の首輪のロープを持ってなけりゃ椿と手を繋ぎたいですよ。

 

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