私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾話 雪と楓の成長

 

雲操童を呼んで赤木会長の家から移動した私達は、空から堀川通りと御池通りの大きな交差点へと降り立つ。

だけど、美亜が呪術で作り上げた樹海で覆われている、その交差点の有様に私も椿もビックリしてしまったよ。

 

「うっわぁ、相変わらず美亜は派手にやるな〜・・・」

 

「逃がさないように全力でやってくれるのは嬉しいけれど、これだと後で情報操作するのが難しいよね・・・」

 

あ〜もう・・・捜査零課の人達が必死に人払いしてくれてるのに、既に取材のヘリまで飛んじゃって大騒ぎじゃん。

 

「ふっふ〜ん、どうよ2人共?この私の能力に驚いて・・・」

 

「いや、なんというか・・・美亜、コレはやり過ぎだぞ」

 

「うん、もうちょっと調整出来るようにして欲しいです」

 

近くのビルから飛び降りてきた美亜に、私達は見たままの感想を含めた正論をズバッとかます。

 

「なっ!?お、驚いてな・・・いや、そりゃ2人ならそうだろうけどね。だけど私は妖気が少ないし、妖気なんて・・・」

 

「美亜の気持ちも分かるけどさ、妖怪って人に目立たないよう陰で頑張ってるだろ?」

 

「はぁ・・・しょうがないです。今度、僕達と一緒に妖気を調整する修行をしましょうか」

 

「つ、椿に綾も・・・アンタ達、私は2人のライバルよ!だ、誰が助けなんか・・・う、うぐっ」

 

それに対して美亜は何か反論しようとしたけど、ジッと真っ直ぐ見てくる椿の目に途中で言い淀んだ。

 

「ごめんなさい・・・」

 

「うん、それで良いんです」

 

椿が地味に怖いのはさておき、こんな状況だから早いところ赤木会長の母親も見つけないとだな。

・・・とはいえ、それを知ってる赤木会長のクソ親父に聞くのは少し嫌だなぁ。だって、自分から首輪着けてるような奴なんだもん。

 

「さて、赤木会長のお父さん。貴方が捕まえている垢舐めの妖怪さんは、地下の何処にいるんですか?」

 

「あ、案内します!さっ、こちらへ!」

 

「ありがとうございます〜」

 

「・・・マジか」

 

あらヤダ椿ったら、美亜の作った樹海にも首輪着けたままなクソ親父にも動じなくなってるよ。いつの間に、心臓に毛が生えてるくらいメンタルも強くなっちゃって・・・。

 

まぁ何にせよ、美亜がビルの中にいた人達を全員くまなく樹海の蔦で捕まえておいてくれたから、余計な戦いはしなくても済みそうだね。

それに、零課の人達も蔦に捕まっている一人一人に話を聞いて、亰嗟の者じゃないと分かったら凄く謝りながら解放してる状況だし。

 

「ふぅ〜、やれやれ・・・全く、こんな大捕物は久々だな。で、その捕らえられている妖怪の場所へは社長自らが案内か・・・君達は相変わらずだな、椿君に綾君」

 

「あ、あはは・・・」

 

「う・・・ごめんなさい、三間坂さん」

 

「はっは、気にするな。バレないようにとコソコソ水面下で動く奴らは、こうやって手早く捕まえるべきなんだ。だからこそ、こんな大胆な攻めも時には必要なのさ。まぁ・・・外堀りを埋めたり仕事の後始末なら、俺達零課に任せろ。君達は、自分の為すべき事をやりたい様にすれば良いさ」

 

そう言って少し苦笑い気味な表情をした煙羅煙羅の半妖の三間坂さんに、つい私も椿も同じように苦笑いを返してしまう。

 

この人だけじゃなく杉野さんや犬吠埼さん、それに他の零課の人達が寛容なお陰で私達の仕事がやりやすいし、陰の立役者といっても過言じゃないね。

 

「今回は俺が出張ってきた訳だが、杉野も犬吠埼も無理に行こうとしていたからな。流石に2人共に復帰出来るような状態じゃないから、無茶しないよう椿のお姉さんが止めてくれたけれどね」

 

「そうだったんですか・・・杉野さんも犬吠埼さんも、相変わらずでしたね」

 

「というか、よく夏美さんも半妖の2人を止められたな〜・・・」

 

そんな事を言いながらも、私達は三間坂さんと共に件のビルへと入っていく。それにしても、捜査課の部下に指示を飛ばしながらだからか、三間坂さん忙しなくて大変そうだな。

 

『しかし、椿に綾よ。ここのビルに居る人間は殆ど、もう捕まえているんだろう?』

 

『そうだな、こんなゾロゾロと大人数で行く必要があるのか?』

 

「それでも、全員を捕まえた訳じゃないよ。僅かに感じる妖気が正しければ、まだ数人くらいが地下に篭ってるみたいなんだ」

 

「うん、僕の方も綾ちゃんと同じように妖気を感じます。それなら複数人で行った方が、突然の不意打ちでも何とかなるでしょう?」

 

すると、私達が地下に向かおうとした瞬間に三間坂さんが口に咥えたタバコから大量の煙を出し、それをあちらこちらへと流し込んで充満させだした。

 

「ふむ・・・ここより上には誰も居ないな。地下、その階段の途中に5人。下の踊り場に10人、奥に1人・・・と、妖怪が1人?しかし奥に居る奴だけ、やけに堂々としていやがるな」

 

なるほど、どうやら三間坂さんはタバコの煙を使って、相手が何処に居るのかを探知したり出来るみたいだね。タバコが妖具って感じもするけれど、これは確かに捜査するならうってつけの能力だ。

 

それにしても、妖怪を守るように奥で陣取ってる奴は・・・この妖気の感じは、あの想像した妖怪を本の妖具から呼び出せる半妖、和月慎太で間違いなさそうだな。丘さんと同じく亰嗟のナンバー2を自称してたとはいえ、丘さんが私達の側へ寝返った今となっては本当にナンバー2になっちゃってるんだろうな・・・半妖とバイトの人間達の中で、ではあるけど。

 

「三間坂さん、大丈夫です。奥にいる奴なら、私達の力で何とかなります」

 

「それよりも、その煙って建物の外に漂わせて、此処に近付いてくる人達を察知する事は出来ますか?」

 

「無理だ、風で舞い散ってしまう。亰嗟の連中に狙われている身のお2人には悪いが・・・本当にすまん」

 

う〜ん、それなら仕方ない。外で待機してる美亜に周りを警戒してもらうとしますかね。妖気が少ないから呪術を暴走させるかもしれないけど、背に腹はかえられない状況だし。

 

ひとまず私達はビルの大きなホールを突っ切り、その先にある廊下を進んで地下に続く階段を発見した。だけど、そこで私と椿は階段の方から待ち伏せるような半妖の妖気を感じ取って足を止めた。

 

「参ったな、階段の壁からも妖気を感じる。これは誰か隠れてるか、妖具で罠を仕掛けられてるかも」

 

そう私が頭を悩ませそうになった時、ふと後ろから雪と楓が自信満々な様子で前へと出てくる。

 

「それなら・・・よし、ここは私達がやる。楓、いくよ」

 

「了解っす雪さん!妖異顕現、狸腹反鏡(りふくはんきょう)!」

 

すると、楓は自身の腹を叩く動作をしてドロンと煙に巻かれて変化し、腹に大きな丸い鏡を付けた狸の像へと姿を変えた。

 

「全力でいく!凍れ!!」

 

そして、雪が指輪の妖具から圧縮した吹雪のような冷気を、その楓が変化した狸の腹の鏡へと放つ。

 

「それを倍にして、階段に向かって反射っす!!」

 

その楓が反射して強化された冷気は瞬く間に階段の床や壁を凍らせていき、あっという間に隠れていたであろう相手の妖気も氷のようにピタッと凍ってしまった。

 

「これは・・・まさか、私が前にやった妖術の合体技を?」

 

「うん、私と楓なりに再現してみた」

 

「綾姉さん程にはいかなかったっすけど、それでもこうした階段くらいならチョチョイのちょいっす!」

 

これなら、後は私と椿で凍った相手を溶かして助けつつ、三間坂さんに逮捕って流れで簡単に突破が出来るな。だけど、問題は・・・。

 

「でも・・・これ、どうやって降りるの?」

 

「あ〜、階段の床も凍ってるんだっけ。確かに、このまま進んだら滑って危ないよな」

 

「う・・・椿に綾、ファイト」

 

「姉さん達なら簡単に溶かせるっすよ〜――って、いだだだ!」

 

「いたた・・・2人共、いきなり何するの?」

 

「あのね、雪ちゃんに楓ちゃん。僕がリーダーだったらさ、これからは作戦があって何かやる時は一言だけでも、僕や綾ちゃんへ相談してからにしてください。何の為のチームですか?」

 

「「「は、はい!」」」

 

うっ、いかん・・・つい私まで一緒に2人と返事しちゃったよ。

 

というか、影の妖術でコメカミをグリグリしてくる絵面を見せられて、そこから更に笑顔で言われるとか怖いにも程があるんですが・・・。

 

『う〜む・・・やはり、尻に敷かれる姿が・・・』

 

『白狐、止めろ。そう考えずプラスに考えるんだ・・・き、きっと良き妻だろう』

 

あ、狐2人のバカ!そんな事をコソコソ話しても、椿の耳は聞こえるんだから・・・って、あ〜遅かったわ。狐2人も椿から伸びた影に頬をつねられてるよ。

 

『いたたたた!!悪かった!我が悪かった椿よ!!大丈夫じゃ!逃げはせん!!』

 

『いつつ・・・まさに地獄みた――いだだだ!』

 

しかも黒狐さん、余計な事を言ったばかりに今度は両方の頬をグリグリ回しながらつねられてるし。

 

『いだだだ!!す、すまん!俺も言い過ぎた!!』

 

「うんうん、分かれば宜しいです」

 

だけど、こんな微笑ましい光景を見せられたら皆と一緒に私まで、ついついニヤけてきちゃったよ。

 

・・・まぁ案の定というか、恥ずかしそうに真っ赤になった椿から、妖術の影で頬をつねられちゃったけど。

 

「ちょっと、椿ちゃん!何で!?」

 

「アンタ、照れ隠しも良い所じゃないのコレ!」

 

「椿姉さん・・・自分達は完全にとばっちりじゃないっすか」

 

「いたた・・・でも、椿になら良い」

 

「変な事を言わんでくれ、雪・・・気持ちは分からなくもないけどさ」

 

あ〜ほら、そんな更なるホンワカ空間な事するから三間坂さんも赤木会長もポカーンとしちゃったじゃん。

 

「おいおい、此処は敵地だぞ?」

 

「椿君、更に天真爛漫に・・・というか、あんな性格だったのか?いや、しかし・・・リーダーシップは発揮しているし、仕事ぶりも・・・う〜ん」

 

なんというか、2人共怒るに怒れないような感じみたいだ。

 

でも、変に緊張して上手く動けないよりかは余程マシだと思うし、私も椿も真面目にやるべき場面ではシッカリしているつもりだよ。

 

まぁ、今はどう見てもお仕置きタイムだけど。

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