私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
霊狐の引き取り手続きも終わり私達は狐に変身した2人の上で、帰り道がてら手に入れたスマホの操作を確認してみていた。どうやら使い心地自体は本当に普通のスマホとは変わらないようだ。
「キュゥゥ・・・」
「ん?レイちゃんどうしたの?お腹空いたの?」
「それともトイレなのかな?」
『レイちゃんって・・・椿に綾、その名前はお主らが付けたのか?』
「そうだよ白狐さん。霊狐だからレイちゃん」
「ふふーん、分かりやすくて良い名前でしょ?」
『安直じゃなあ。あぁ・・・それと、霊狐に飯は要らんぞ。霊魂をその身に取り込めば、それがエネルギー源になるからな。だからこそ、ペットとしては売れるのではないかと見込んだらしい』
「へ〜、それって私の「使い魔」を呼び出す能力とは相性悪かったりって大丈夫なの?」
『その心配はなかろう。綾の力は「呼び出した霊魂に妖気を与えて一時的に実体化」させるものじゃから、不用意に呼び出した霊魂を取り込んだりはせんじゃろう』
「じゃあ、この鳴き声って・・・?」
椿が首を傾げていると、2人が何か物々しい雰囲気で此方に呼びかけた。
『しかし白狐、霊狐は確か――』
『うむ、分かっておるわ黒狐よ。椿に綾よ、掴まっておけ。飛ばすぞ!』
「え、ちょぉぉ!?」
「へっ?うひゃぁ!?」
突然走り始めた2人のスピードに私と椿は振り落とされそうになりながらも、私は彼らの言っていた事に嫌な予感を感じて振り返る。
そこには――
『ちっ、やはり追ってきおったか!』
「何だコイツ!巨大な・・・鬼!?」
瞬間、そいつが金棒を振り下ろして走る白狐さんの近くを吹き飛ばし、その際の衝撃で乗っていた椿が空中に放り出されてしまった。
『くっ!しまった!』
『うぉっ!?』
「2人とも何してんの!椿が――っ!!」
そして私達が落ちようとする椿を助けに向かおうとするも、その途端に鬼の能力か何かによって見えない力で地面に押さえつけられ身動きが取れなくされてしまう。鬼に掴まれた椿が叫んだ。
「ひっ!は、離して離してぇ!!」
「クソッ・・・椿を離せ!」
『椿!』
『くっ・・・鬼の魂の集合体「鬼魂」だと!?奴は封印されているハズだぞ!』
何とかして椿を助けないと――そう思って小次郎を呼び出そうとした時、椿の腕に抱かれていたレイちゃんが突然眩く光りだし、それを鬼魂へとぶつけて消滅させていった。鬼魂の手から逃れた椿が地面へまっすぐ落ちそうになる。
「えっ、ちょっ!何これ、何が起きたの!?白狐さん助けてぇ!」
『椿!!』
鬼の重圧が消えた事で、白狐さんがギリギリ椿を背中で受け止めた。そして鬼魂が消えた場所には、二回りほど大きくなり大型犬くらいのサイズとなったレイちゃんの姿があったのだった。
「ムキュゥゥ!!」
「で、でっかくなっちゃった・・・」
「鳴き声もちょっと違〜う!」
『し、信じられん。先程の鬼魂をそいつが取り込んだのか?普通の霊狐では無理じゃ!こやつ、上位の霊狐か?いや、上位でもここまで素早く取り込める奴はいない。となると、かなり特殊な霊狐なのか・・・?』
驚く私達の横で白狐さんがぶつぶつと神妙な顔をして呟いている。すると――霊魂を取り込んだ事で興奮したのかレイちゃんはいきなり私と椿を乗せて大きく空へと飛び上がった。
「どひゃ〜!なんだなんだ、お礼にしちゃ少しハード過ぎるって〜!待ってレイちゃん、ステイ!!」
「わぁ〜!レイちゃん降ろして、降ろしてぇ!!高い所はちょっと苦手なんだってば〜!ねぇ聞いてる!?レイちゃん!!」
そんな私達を他所に下では2人が壊れた石碑を見つけて意味深そうに話し合っていた。
「ちょっと〜!白狐さん黒狐さん、レイちゃんを何とかして〜!!」
「流石にこれ以上はちょっとヤバいって!レイちゃん早く降ろしてよ〜!!」
『しかし真っ二つだな。強力な封印を壊す程の実力者か・・・』
『嫌な予感がするの、黒狐よ。ところで、2人は助けんでいいのか?そろそろ泣くぞ?』
『ほっとけ』
どうやらさっきの発言を根に持っていたらしく、その後椿が「何でもするから助けて」と言ってしまった事で邪な考えをした2人に助けられたのであった。もちろん、椿に変な事をしないようにと私から2人へ釘を刺しておいた。