私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾伍話 親の温もり

 

それから一通り赤木会長親子を追い回して疲れ果てた私は妖気切れで変身が解けてしまい、今は椿におんぶされてビルの外へと出てきていた。

ちなみに、三間坂さんは捕まえた亰嗟の連中を連行したりで一旦離れていった。

 

それと美亜にも、呪術を解除してもらって樹海を綺麗サッパリ消してもらったよ。

それにしても、1度張ったら妖気がある限り張り続けられる呪術を使えるから、ホント美亜の力は便利な特性をしてるな〜。

 

「ふぅ・・・今回は終始、椿と綾がやったわね。まぁ、あれ以上戦ったら私は少しヤバかったし・・・別に良いわ」

 

「美亜、もしかして・・・呪術を使い過ぎて、精神が負の感情に蝕まれていたのか?ごめん、私が小次郎との戦いで――ぐぇっ!?」

 

「ちょっ、綾ちゃ――ふやっ!?」

 

「はぁ〜・・・気持ちを落ち着かせるには、やっぱり綾のポニテと椿の尻尾を触るのが1番ね〜」

 

うぐぐ、そんな事を言われたら抵抗も反論も出来ないんですけど・・・というか、皆も触ろうと寄ってきてない?

 

「椿姉さ〜ん、綾姉さ〜ん!自分も今回、ちょ〜う疲れたっす〜緊張もしたし、気持ちを落ち着かせる為にも触らせてください!!」

 

「ちょっと楓ちゃん!椿ちゃんの尻尾は、まず私が触るんだから!」

 

「あの〜、皆?とりあえず、2人は皆の物でしょ?だから、順番に交代しながら触っていこうよ」

 

「うん、わら子の言う通り。賛成賛成〜じゃあ、私は綾の方から・・・はぅぅ、気持ち良い」

 

「おわっ、とと・・・全く。雪は最近、私の髪ばかり触ってくるよな〜」

 

「あ、あわわわ!綾ちゃんは良くても、僕は癒し道具じゃな〜い!!」

 

うん、予想はしてたけど・・・雪以外の皆、椿の尻尾に殺到してますわ。こりゃあ、この後に私の方へ一斉に来ると思うと少し怖いぞ。

 

ふとそんな事を考えていた時、パンッ!と大きく平手打ちされた音が聞こえてきた。その音がした方を見ると、そこには頬を押さえる赤木会長を彼の母親が真剣な様子で怒っている姿があった。

 

これは赤木会長が私達に変態な事をやらかした・・・って理由じゃなさそうだな。

 

「宗二、貴方は親不孝者です」

 

「母上・・・」

 

「親の言う事を聞かず、その心配を他所にしてこんな危険な事をするなんて、何を考えているんですか?」

 

「しかし、母上――」

 

「言い訳は許しません。貴方はまだ中学生、未成年よね?保護者の同意も無しに、あんな行動をしてはなりません」

 

「だけど、私は半妖で・・・」

 

「宗二、半妖だろうと人間だろうと関係ありません。大人しく親の言う事を聞く、それが子供の1番守らなくてはいけない事ですよ」

 

うわ・・・赤木会長、だいぶキツく説教されているな。

 

確かに会長の母さんの言っている事も正しい所はある。だけど、それでも今回は会長が自分の親を助けたいと思ったから起こした事だし、それが親子としては普通のハズなんだよ。

 

でも・・・私は?親の温もり、っていう物を感じた事はあったのか?

 

私には、オジサンという"育ての親"はいるけれど、こうして本気で心配して怒ってくれる両親は会った事どころか見た事すら無い。だから、あの会長親子の様子を見ていると少し羨ましくも感じてくる。

 

オジサンは何処かはぐらかして私の過去について隠しているのは、本当は私は親に望まれていなかったから・・・なの?

 

「母上・・・言いたい事は分かりました。しかし、それでも私は・・・!」

 

そう私が考え込んでいた時、向こうの方では会長の母さんが優しく会長を抱きしめていた。

 

「それでも、貴方は私を助ける為にと心強い仲間を作ったのですね。危険な事に変わりはないけれど・・・宗二、その貴方の勇気ある行動は私にとっては嬉しいですよ」

 

「母、上・・・!すみません・・・ごめんなさい・・・!」

 

その優しい言葉に、赤木会長は普段のあっけらかんとした様子が嘘みたいにボロボロと号泣し出しちゃったよ。

 

「ごめんなさい、宗二。あんな人を父にしてしまって・・・そのせいで、貴方の中学入学と同時に私達は引き離されてしまいましたからね」

 

「良いんです、母上・・・貴方が無事なら、私はそれだけで・・・うぅ」

 

そう言って、赤木会長と会長の母さんは互いの無事を再確認するように抱きしめ合う。

 

それにしても・・・あの会長のクソ親父、そんなに早く会長の母さんの正体を垢舐めだと見抜いてたって事か。全く、普通の人なら妖怪を見ただけでもビックリして存在を認める事も出来ないのに、逆に利用しようと考えられる胆力だけは大した人だよ、本当。

 

「おほん・・・親子の感動の再会は、もう宜しいかな?垢舐めさん、申し訳ないですが少しお話の方を・・・」

 

「あっ・・・えぇ、分かりました。私に分かる事は、全てお話し致します」

 

すると、そこへ捕まえた連中を全員パトカーに詰め終わったらしい三間坂さんが現れ、そう言葉を返した会長の母さんと一緒にパトカーの方へと歩いていく。

でも赤木会長、母さんが手を振っているのを見て一緒に手を振るのは、少しも恥ずかしいと思わなかったのかよ?

 

「ん?・・・あぁ、失礼!みっともない所を見せてしまったね」

 

「いやいや、みっともない所というか・・・まぁ、良いや。とりあえず、まだ私達も会長には聞きたい事があったからね」

 

「そうだね、綾ちゃん。赤木会長、前の・・・八坂校長先生が何処に行ったか、分かります?」

 

「やはり、それか・・・」

 

すると、その椿の質問に赤木会長は困ったように表情を曇らせた。むぅ、これは多分・・・。

 

「すまない、椿君に綾君。あの人は、私達生徒会にも全く何も言わずに姿を消してしまったんだ。だから、私にも今は八坂校長が何処に居るのか分からない」

 

「そっか・・・会長、ありがとう」

 

申し訳なさそうに謝る赤木会長へ私がそう言っている時、椿は思い当たる節があるような難しい顔で小さく唸りながら腕を組んでいたよ。

 

確かに悩むのは分かるけど・・・そのクソ校長が隠れ潜んでる場所、もしかしたらだけども例の旧校舎だと私は思っている。

 

前に来た時も強力な結界が張ってあったし、それもレイちゃんの力で穴をブチ開けて通っただけだから、その結界自体は未だに残ったままなんだよな。

しかも、あの禍々しい気も消えていないときたから・・・なんというか、嫌な予感がしてくるぞ。

 

またレイちゃんに頼もうにも、かなり消耗しちゃってて元の姿に戻れていない状況だから無茶はさせられないし・・・。

 

『2人共、そう難しい顔をするな。引き続き、あの4つ子に調査を任せれば良い』

 

「う〜ん、それはそうなんだけど・・・」

 

そう白狐さんが言いながら椿の頭を撫でているけれど、不安な感覚を簡単には拭い去れない。それは椿も同じようで、私と同じく未だ難しい顔のままだ。

 

あれから華陽に協力していた雫の姿を見かけない事もあって、ひょっとしたら華陽や亰嗟よりも八坂校長と雫の方が危険なんじゃないだろうかという気もしてくる。

 

とはいえ、今は皆を信じて相手の出方を伺うしか出来ない。それに、そんな事を考え続けていたからか私も椿もグゥ〜と腹の虫が鳴ってしまう。

 

『馬鹿者、椿も綾も妖気の使い過ぎじゃ。だから、あれほど無理はするなと言っただろうに・・・』

 

「あはは・・・はい、すいません」

 

「ご、ごめんなさい白狐さん・・・」

 

すると、その腹の音を狐2人に聞かれたのが恥ずかしかったのか、椿は少し顔を赤くしてそっぽを向いちゃったよ。

 

『よし、白狐。俺が椿を抱っこして連れていく。お前は、綾の方を任せたぞ』

 

『いいや、我だ。別に良いじゃろう、そんな抱っこ程度』

 

とまぁ、ま〜た普段みたく椿を運ぶ事で狐2人が口喧嘩を始めちゃったわ。

おいおい、目の前で椿が疲れ果ててるってのに何で喧嘩してるんだか・・・。

 

「あの・・・白狐さんでも黒狐さんでも良いから、早く運んで?じゃないと僕、綾ちゃんに・・・すぅ、すぅ」

 

「へっ?いや・・・私も疲れてるから、もたれかかるのは――」

 

『『うぉぉぉお!!あ、綾!抜けがけとは許さ〜ん!!』』

 

「わぁっ!?ちょっと2人共!?」

 

「ほら言わんこっちゃな〜い!!」

 

つい椿をお姫様抱っこしてダッシュしちゃったけど、ふと後ろを見たら狐2人の目が完全に嫉妬の炎で燃えてたよ!!

 

というか椿の爺さん家に逃げ帰ってくるまで追われたから、本当に椿は狐2人に対する最強な魔性の女の子ですよ・・・全く。

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