私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾陸話 賀茂様、それストーカー行為になりません?

 

家へと戻ってきた私達は早速、今回の仕事の結果を椿の爺さんや達磨百足さんに報告した。

 

私達が現場から得られた物はあまり無かったけれども、亰嗟から寝返る事にした和月を連れて来たので爺さん達の方で聞き取りをするんで大丈夫なんだとか。

 

収穫が少なかったから怒られるかと思ったのに、逆に「皆、無事に良く頑張った」と椿の爺さんから褒められたのが、ちょっと思い出すと恥ずかしくなるよ。

 

ひとまずの事後処理も終わって、軽く妖怪食で妖気を回復した私と椿は自室で一休みしようと廊下を歩いていると、そこに"ある人物"の式神が現れた。

 

「椿に綾よ、任務は終わったか?」

 

「うわっ!――って、デフォルメ賀茂様ですかい」

 

「ビックリした・・・えっ?僕達が任務に行っていた事、どうして知っているんですか?」

 

そう椿が聞くと、デフォルメ賀茂様は人形みたいに小さな身体でフフンと胸を張ってくる。

 

「ふっ・・・我々は気に入った者に対しては、いつでも何処でも目を光らせて見ているのだぞ。気を付けよな、2人共」

 

「つまり、私も椿も常に監視されてたって事かよ・・・いやいや、それ聞いたら落ち着けないんですが?」

 

「あぁ、安心しろ。何処に何をしに行っているか、それを確認していただけだ。だから、2人の着替えやプライベートを覗いたりはしておらん」

 

賀茂様、それストーカー行為になりません?

 

そんな事を言われても何を安心しろと言うんだか・・・な〜んて思っていると、ため息を吐きながら椿がデフォルメ賀茂様に質問し始める。

 

「それでチビ賀茂様、何の用なんですか?」

 

「うむ、私の本体が2人を呼んでおってな・・・一緒に来てくれんか?」

 

「「賀茂様が?」」

 

あまりにいきなりな話で、つい私も椿も同時にキョトンとした顔をデフォルメ賀茂様に向けてしまったよ。でも、そんな顔をしてもデフォルメ賀茂様は怒ったりせずに私達の返事を待っている。

 

「まぁ・・・分かりました。私、行きます」

 

「ええ、僕も綾ちゃんと同じです・・・でも――」

 

「分かっている、椿。白狐も黒狐も一緒に、という事だろう?」

 

すると、椿とデフォルメ賀茂様は廊下の曲がり角の方を見てチョイチョイと手招きした。

 

「白狐さん、黒狐さん・・・そういう訳なんで、隠れていないで出てきてください」

 

『ぬぅ・・・バレておったか』

 

『いや、しかし・・・白狐、最初からバレている感じだったぞ』

 

「えっ、私は全然気付かなかったんですけど!?というか、2人共いつの間に!」

 

そんな私の驚く様子に、椿やデフォルメ賀茂様は狐2人と一緒に苦笑いをする。まさか私だけ気付いてなかったなんて・・・うっわ〜、何か地味に恥ずかしいんだけど。

 

「まぁ、2人は椿の夫だ。彼らも一緒に来るのは当然だろう?」

 

「お、夫・・・」

 

『顔が真っ赤じゃぞ、椿よ』

 

『ふっ、恥ずかしいのを我慢しているのがバレバレだな』

 

な〜んてヘコんでたら、今度は椿が後ろから狐2人に笑顔で頭を撫でられまくってて恥ずかしそうにしちゃっていたよ。

 

更に、あまりに恥ずかしかったからか椿は早足で玄関へ向かおうとするけど、デフォルメ賀茂様に尻尾を掴まれて止められちゃってるし・・・。

 

「くっ・・・!チ、チビ賀茂様・・・い、いきなり尻尾は・・・」

 

「いや、まさか先に行こうとするとは思わなかったのでな。それに、わざわざチンたら移動しなくても式神の能力で上賀茂神社まで飛べるわ」

 

「へぇ〜、そんな凄い力が・・・それで、デフォルメ賀茂様?いつまで椿の尻尾を掴んでいるつもりで?」

 

「いやぁ・・・思った以上の触り心地で、手が離れんのだ」

 

「むぅ〜!は、な、して、くださ〜い!!」

 

それにしてもデフォルメ賀茂様、あれだけ椿にブンブン尻尾共々に振り回されてても離さないなんて、どれだけ尻尾に魅了されちゃったんだか。

 

『おほん・・・賀茂様。申し訳ないですが、それ以上は遠慮してもらいたい』

 

『ああ、俺達が嫉妬して椿に迷惑をかけてしまう』

 

「白狐さん、黒狐さん・・・」

 

あっ、今ので椿が狐2人にキュンと――

 

「あのスキンシップ、ちゃんと迷惑な事だと分かっていたんですね・・・分かっていてやっていたんですね」

 

『ぬっ?か、顔が怖いぞ・・・椿よ?』

 

『ま、待て待て・・・お、落ち着け?』

 

「ふっ・・・2人共、愛されているな。まぁ良い、とりあえず4人共こっちに来てくれ。飛ぶのには広い方が良いのでな」

 

椿に笑顔で怖いオーラをぶつけられている狐2人を他所に、デフォルメ賀茂様は広々とした中庭の方へと歩いていっちゃったよ。

 

ついでに、家の皆にも一言くらいは出かける事を伝えておきたかったんだけど、朝から椿の爺さんを筆頭に何やら忙しそうにしていたんだよな。

何を忙しくしてるのかは謎だけど、それならそれで仕方ない。皆で上賀茂神社に行くのは、正月とか別な機会へ持ち越しだね。

 

◇◇◇

 

それから私達は中庭から皆に見送られつつ、デフォルメ賀茂様による転送の陣で上賀茂神社に飛ぶ・・・というよりワープしてきた。

 

「凄〜い、チビ賀茂様!こんな一瞬で、あっという間に――紙になってる!?」

 

「な、何でなんだ?まさか、想定外の事が起こったんじゃ・・・」

 

人型の紙に戻ってしまいヒラヒラと舞い落ちていくデフォルメ賀茂様だった物に私と椿が驚いていると、神社の方から出てきた賀茂様が待ちわびたといった様子で私達を出迎えてくる。

 

「おぉ、来たようだな」

 

「あっ、賀茂様!あの・・・賀茂様の式神の、チビ賀茂様が転移した後に・・・!」

 

「ん?あぁ、そりゃ転送なんて仰々しい事をしたから、中に入れられていた私の力を使い切ったのじゃろう。それなら・・・ほれ」

 

そして賀茂様が地面に落ちた紙へ向かって静かに手をかざすと、その一瞬で元のデフォルメ賀茂様へと姿が戻ったのだ。

 

「「あっ・・・」」

 

これには思わず、私も椿も恥ずかしくなって顔を俯かせてしまったよ。というか、賀茂様も狐2人もニヤニヤしながら見てこないで欲しいんだけど?

 

「いや〜まさか私の式神に対して、2人共そんなに心配してくれるとはな〜可愛い奴らじゃな」

 

『賀茂様、椿は私の嫁ですからね?綾なら良いですが、手出し無用です』

 

『白狐、椿は俺のだ。良いですか、賀茂様。まだ椿は、俺か白狐のどちらと結婚するかは決められていない。そこに賀茂様まで入ってこられると、椿が混乱してしまう』

 

「ふむ、残念だな・・・まぁ、良い」

 

いや、勝手に椿が結婚する前提で話を進めるなっての・・・というか。

 

「狐2人はシレッと私を賀茂様に差し出そうとしてんじゃね〜!」

 

「とりあえず2人共、そこに正座してくれますか?」

 

『あっ、しまった!!』

 

『一旦逃げるぞ、白――こぉっ!?』

 

ま、まさか私が動くより早く椿が狐2人の尻尾を引っ掴んで止めるとは!しかも笑顔が、笑顔が怖いです!!

 

「す・わ・っ・て?」

 

『『はい・・・』』

 

そうして大人しく正座させられた狐2人を他所に、椿は首を傾げながら賀茂様へと本題の質問を投げかける。

 

「それで賀茂様、今日は何で僕達を?」

 

「おぉ・・・2人は、そのまま正座かの?はは、椿は良き妻になるな」

 

「い、いや今それは良いですって・・・こうして直々に呼んだって事は、何か大きな問題があったんですか?」

 

「ふむ、綾もシッカリしていて・・・おっと、すまんすまん。実はの、つい先程に北区の船岡山で邪気を感知したのだ。しかも、それは相当な負のエネルギーでな、もしかすると人々に悪影響が出るかもしれん」

 

「なるほど、それで私達が呼ばれたって事ね」

 

「邪気って、そんな・・・賀茂様、一体何が?」

 

「すまんが、私にも分からん。だからこそ、それを調べて欲しいのだが・・・」

 

『敵が椿を誘き寄せる為に、何か仕掛けたかもしれない・・・と』

 

「・・・うむ、白狐の言う通りだ」

 

その賀茂様や狐2人の重苦しい雰囲気に私も椿も一緒に落ち込みそうになったけど、すぐに気を取り直してキッと前を向いた。

 

「白狐さん。念の為、おじいちゃんの家に連絡をしておいてください」

 

『分かった。翁も既に気付いているかもしれないが、それでも報告するのは重要だからな』

 

「毎度ごめん、白狐さんも黒狐さんも・・・もし妖気が厳しくなりそうなら、2人共すぐに爺さんの家に戻ってよね」

 

『大丈夫だ、綾。これでも、俺は椿の未来の旦那だからな。無茶しない程度に2人をサポートしてやる』

 

そう心配した私や椿を励ますように、狐2人はグッと軽いガッツポーズをして見せた。

 

少し前に椿から打ち明けられた夢・・・人間と妖怪が平和に共存出来る、そんな幸せな世界。それを実現させる為にも、これ以上は向こうに好き勝手させてたまるかってんだよ。

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