私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第参拾話 激化していく戦い

 

あれからすぐ船岡山から家に戻ってきた私達は、急いで椿の爺さんに先程見た物の事を伝えると、それを聞いた爺さんは眉間にシワを寄せながら、両腕を組んで唸るような声を上げてくる。

 

「うむ・・・こっちでも確認した。全く、雷獣め・・・亰嗟にしてやられたからといって、出してはならぬ物を出しよって」

 

勿論というか、そんな緊急事態が発生したので家の地下の妖怪センター2号では皆が慌ただしく、『天雷』という雷獣のバカデカい妖具の様子を調べては達磨百足さんに報告してを繰り返している状況だ。

 

「むぅ・・・あの『天雷』に抵抗出来る程の妖具など、こちらには無い。もう、指を咥えて見ているしか無いのか・・・?」

 

「そんな!あの雷獣の持ってる城みたいな妖具は、それだけヤバい代物なのかよ!?」

 

「早く止めないと、このままじゃ本当に妖界が・・・何も出来ないんですか、僕達は!?」

 

そう私と椿が焦っていると、そのセンター長の所へ福笑いの目と口だけみたいな形をした妖具が飛んできて、慌てた様子で報告してくる。

 

「センター長!翁!報告です!『天雷』が・・・落ちました!!」

 

「何だと!?」

 

「「えっ!?」」

 

その報告に翁は勿論、私達も一斉に妖具の目と口の方へ振り向いた。だけど「戦闘が始まった」とか、そういった報告すら来てないので誰しもが耳を疑ってもいる状態だ。

 

「あっ、いえ・・・『天雷』は攻撃を開始しようとしたのですが、雷雲を覆う程の厚い雲に覆われた事で雷を落とせず、逆に地上に居る敵からの巨大な光線に貫かれて呆気なく撃沈しました!」

 

「えっと、それってつまり・・・『天雷』本体が落とされたって事か!」

 

「それにしても、雷雲より厚い雲で攻撃を止められてしまったという事は・・・きっと、あの厚雲って鬼の能力でしょうね。あんな硬くて厚い雲の防御力なら、どれだけ強い雷を撃てても意味が無くなっちゃうでしょうし・・・」

 

そんな報告の正しい情報を聞いて私と椿が安堵の息を吐いていると、すぐ椿の爺さんは現状の確認をする為に目と口の妖具へ尋ねた。

 

「とはいえ、妖界に被害が出ずに何よりじゃが・・・」

 

「はい、翁。あれからも、妖界に対する地獄の侵食は止まりません。徐々に様変わりしていく妖界から緊急事態として離れる形で、住んでいた妖怪達も人間界へ避難しています」

 

「とにかく、最早この儂らの妖怪センターだけが妖怪達にとって最後の砦じゃ。良いか!逃げて来たからといっても、人間界で悪さをする妖怪は厳しく取り締まれ!」

 

『はい!!』

 

なんというか、やっぱり椿の爺さんは頼りになる人だよ。緊急事態でも慌てずに皆を上手くまとめて、そんな姿を見せられたら私達だって勇気も湧いてくるってモンだ。

 

「椿!綾!」

 

「あっ、はい!」

 

「早速の出番ですか!」

 

「いや、お前さん達は少し休め」

 

「って、あれっ!?」

 

「えっ、でも・・・!」

 

だけど意気込んでいた私と椿は、爺さんから意外過ぎる一言を言われて目を丸くしちゃったよ。

 

「いやいや爺さん!どうしてなんですか!?まだ私は・・・」

 

「おじいちゃん、僕だって戦え――」

 

「2人共、そんな状態でか?」

 

「「・・・」」

 

『椿に綾よ、無茶はするなと言っただろう?』

 

あ〜・・・これはウッカリしてましたわ。

私も椿も、今は白狐さんの両脇に抱えられちゃってる状態だったっけ。船岡山から戻る時、元の姿へ戻った途端に2人一緒に倒れちゃったんだよな。

だから今後は、私の"鈍色の狐"も椿の"白金の力"も使い所を考えていかないと。

 

ひとまず、このままだと爺さんの説教が面倒臭そうなので、私も椿も申し訳なさそうにして反省の意思表示をする。

 

「全く・・・2人共、皆が心配しておったぞ。良いか、椿に綾。身体を休めて英気を養う事もまた、重要な任務じゃ」

 

「はい・・・」

「分かりました・・・」

 

確かに、そればかりは爺さんの言う通りだな。

無茶して任務を連続でやって、そんな中で妖魔人から逃げたり戦ったりする上に、亰嗟の鬼からは全力で逃げなきゃいけない状況だ。

そんな事を繰り返していたら、こっちの戦闘態勢が整って反撃って時にクタクタで動けなくなっちゃうもんな・・・しかも、それが戦闘中に起こったりでもしたら大変なんて話じゃないし。

 

そんな訳で私と椿は爺さんの言う通り、白狐さんに運ばれて自分の部屋へと向かっていく。

 

酷く疲れて歩けない程なのに、それでも私と椿が無茶しようとしてしまうのは・・・やっぱり、まだカナを喪った事がトラウマになっているんだろう。

そして、それが皆を何としてでも死なせないって"想い"を強く感じさせているんだろうね。

 

そう考えつつ自分の部屋で項垂れていると、白狐さんが私と椿の頭を撫でてきた。

 

『椿、そして綾よ。2人の気持ちは分かる。我も椿を亡くしたら恐らく、お主らのようにがむしゃらになってしまう』

 

「「・・・」」

 

『だが、それを皆が心配せずに見ている・・・なんて事になると思うのか?』

 

そんな白狐さんの言葉に私も椿も無言で頷いて、黒狐さんが敷いてくれた布団に寝かされる。ふと寝入ってしまいそうになった時、白狐さんは椿を着替えさせてやろうと巫女服に手をかけていたよ。

 

『全く・・・ほれ、腕を上に伸ばせ』

 

「ん〜」

 

『よし、俺が着させてやる――痛だぁ!?』

 

あ、黒狐さんめ・・・大きめなワイシャツを着せようとして、椿に尻尾で頭を叩かれてら。

 

というか、ただでさえ幼い歳下の椿を下着姿にさせて着替えさせようとしてるんだから狐2人は少し煩悩を抑えてくれませんかね・・・。

 

『す、すまん椿・・・本当はこっちだった』

 

『黒狐よ、甘いな。裸ワイシャツも良いが、素朴な格好の方が椿の美しさがより際立つだろう!』

 

『ぬぉ!そうか!』

 

いや「ぬぉ!そうか!」じゃねぇよ黒狐さんも。

白狐さんも白狐さんで煩悩が漏れ出てきてるじゃん・・・それに椿を下着姿のまま、いつまで放っておく気なんだか。

 

「ん〜むにゃ・・・ちょっと綾ちゃん、抱きつかせてください〜・・・寒いんです〜」

 

「んぅ〜・・・止めてよ椿、くすぐったいな〜・・・」

 

『い、いかん椿・・・そのままで寝るな、風邪を引く!』

 

「僕は風邪なんか引きません〜・・・」

 

『そ、それでも健康には良くないし、綾にも迷惑だろう・・・』

 

おっと、椿に抱きつかれそうになった辺りで黒狐さんが椿にTシャツとハーフズボンを着せてくれたぞ。まぁ、とりあえずはこれで――って、あれ椿さん?何か一気に顔が赤くなっていってません?

 

『どうした椿よ、顔が真っ赤だぞ?』

 

『ふふ、今頃気付いたか?』

 

「あ、あれ?ま、まさか僕・・・こんな、姿で・・・」

 

うん、何げに嫌〜な予感がしてきたんですけど。

狐2人が満足そうな表情してるのとは対称的に、椿は恥ずかしさMAXで今にも噴火しそうだし・・・。

 

『いやぁ、椿のスベスベで綺麗な肌は良かったの〜』

 

『ああ、匂いも良かった。以前にも増して、女らしい匂いになっていたな・・・良い兆候だ』

 

「白狐さんと黒狐さんの馬鹿ぁ!!」

「やっぱ変態さ全開だったんかワレェ!!」

 

『ぎゃん!!ハンマーと蹴りのダブルセットじゃと!?』

『流石にそれは――ぐはぁ!!』

 

私と椿は鼻血を出していた狐2人を同時攻撃で折檻して黙らせ、そのまま2人一緒に布団へ潜り込んだ。

 

でも・・・なんと椿は私の布団に入ってきて抱きついてきてるモンだから、私は私で今の狐2人みたく興奮で頭がどうにかなりそうなんですけど〜!?

 

「んんぅ〜!これまずい!これまずいよ、綾ちゃ〜ん!」

 

「お、おおお落ち着け椿・・・OK、深呼吸して深呼吸・・・」

 

うん!まずいのは私もだし深呼吸して落ち着くべきなのも私の方だけど!!

 

しかも椿が私の背中に顔を埋めてくるから、なんというかもう女子同士で感じて良い感情じゃない何かで心臓がドキドキというかバクバクしてきちゃっよ!

 

それに良く考えたら、さっき椿は私に下着姿で・・・。

 

「だけど・・・てへへ、白狐さん黒狐さん・・・」

 

「あぅぅ・・・」

 

狐2人の事を考えてか照れ笑いをしている椿に対して、私は更に頭が沸騰直前になっていってしまう。

 

でも狐2人も後から同じ布団に入ってきたお陰で、2人のモフモフな尻尾で心地よくなった私達はウトウトとそのまま眠りについたのであった。

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