私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陸話 進化する妖魔人

 

狐2人より一足早く増援に来てくれたオジサンと龍花さん達の頼もしい姿に、私と椿は思わず笑みを浮かべる。

 

ふと警察署の屋上を見ると、わら子が扇子を広げて幸運の舞いを踊っており、ホタルのような優しい光をした幸運の力で皆の運気を上げてくれていたよ。

そして、いつの間にか狐2人も彼女を守るように現れ、椿を見るなり飛びつきそうになるのを我慢している姿が見えた。

 

「ちぃっ!あっついわねぇ!」

 

「この炎の感じは・・・やはり!」

「むぅ、神術の類か!破魔の矢に纏わせて放つとは、合理的な大地らしい手を!」

 

そんな中、峰空は自身や栄空2人に取りついていた朱雀さんの炎を腹の口で吸い込み、そのままオジサンの矢を抜き取って苛立たしげに私達の方へと近づこうとする。

 

「う〜・・・胃が焼ける。何よコレ、全然消化出来ない・・・吐き出さないと――おぇっ」

 

「うわ、きったない奴だなぁ〜」

 

「だけど、今ので確信しました。峰空、やはり貴方は妖気しか食べられないのですね。私や綾の使っている力は妖術ではなく神術なので、薄々感づいてはいましたけれど」

 

「全く、最悪ね。でもねぇ〜、こんな炎なんて私の鞭さえあれば!」

 

すると、峰空は腹の口から取り込もうとした朱雀さんの炎を吐き出し、先がキング○ドラの如く分かれた鞭に纏わせてきた。

 

しかし――

 

「なっ!?鞭が、焼けていく・・・!!」

 

「馬鹿ですか、貴方。守護神である朱雀の炎、そう簡単に扱えると思わないでください。半年前は苦汁を舐めさせられましたが、私達とて椿様や綾様と同じく、この半年に何もしていなかった訳ではありません!」

 

そう叫びながら朱雀さんは背中の炎の翼を広げて、そこから抜いた羽根を炎のような弓へと変化させ、自分の鞭が燃えていく様に慌てている峰空へ向かって構える。

 

「朱雀弓(すざくきゅう)、追炎矢(ついえんし)!」

 

そして、もう1本の羽根を矢に変化させて、朱雀さんは峰空の肩を素早く射抜いた。

 

「あがっ!!ちょっ・・・!?」

 

「まだです!!食らいなさい!!」

 

朱雀さんは更に翼から羽根を抜いては矢に変えて、10本20本とドンドン峰空に向けて発射する。

 

「くっ・・・流石の私も、これは避けるしかないわね!」

 

「避けられるのでしたらね――ふっ!!」

 

「甘いわよ!」

 

だけど、峰空は朱雀さんの矢を見切ったのか最初の一撃からは、なんとギリギリの所で回避していく。

しかし、それすら予測していたかのように外れた矢は空中で急停止しながら方向転換し、矢尻からロケットのような炎を噴き出して再び峰空へと襲いかかったのだ。

 

「へっ?きゃぁぁあ!!??」

 

「全く、ちゃんとヒントを与えているというのに・・・妖魔人となったら、頭が弱くなるんですか?それとも、力と知能が反比例でもするんです?」

 

いやいや朱雀さん、あんまり挑発は――と思ったけど、よくよく考えたらコレも龍花さん達から教わった作戦だったね。相手のペースを崩すには、まず相手の冷静さを失わせる事。そして、圧倒的な力の差を見せつけて相手のプライドを折る事だって。

 

「まだまだ!次がありますよ!」

 

「くっ、ぅ・・・ぁぁぁあ!!」

 

そうして空中で朱雀さんに矢の雨あられを浴びせられている峰空の下では、2人の栄空も龍花さんや虎羽さんの素早い動きに翻弄されていた。しかも、栄空からの攻撃は玄葉さんが展開してくれた見えない盾が防いでいて、向こうも峰空と同じく手が出せなくなっているようだ。

 

すると、そんな中で朱雀さんが私と椿に向かって叫んでくる。

 

「椿様、綾様!今です!浄化の力で!」

 

「あ、そっか!浄化は私と椿にしか出来ないんだっけ!」

 

「分かりました。それでしたら朱雀、あの"負なる者"の腹の口をもう少しだけ開けさせてもらえませんか?」

 

その椿の言葉に、朱雀さんは少し苦笑いをしながら振り返ってくる。

 

「無茶を言いますね、椿様。そこに浄化の槍でも突っ込むんですか?」

 

「ご名答。曲がりなりにも、アレは妖魔人です。他の妖魔とは違いますし、見てください。貴方の矢は確かに刺さっていて貫通している物も何本かありますが、それでも峰空の口を正確には射抜けていないですよ」

 

「くっ・・・分かっています」

 

椿に言われて、私は朱雀さんと同時に空中の峰空を見る。なるほど、確かに峰空は腹の口を守るように両腕を前に交差させて防御しているね。あれだけ大量の矢を食らっていた中で、そこを攻撃を受けないようにしているって事は、腹の口は峰空にとって最大の武器でありながらも恐らく弱点なんだろう。

 

「――しかし、私達は1人で戦っているのではないのです」

 

そう思っていた時、なんと峰空の後ろから虎羽さんが姿を現した。

 

「白虎爪(びゃっこそう)、砕破(さいは)!!」

 

「あっ・・・がぁ!な、何!?」

 

「忘れてもらっては困りますね。私達は4人居るのですよ。いえ、貴方達からすれば敵は更に多いのでしょうけれど」

 

なんと、龍花さん達は栄空と戦いながらも峰空の隙を伺っていたらしく、その一瞬の隙を突いて虎羽さんの鉄爪が背中から峰空を引き裂いた。

 

でも、龍花さん達の攻撃でこれだけ峰空が動揺しているなら、今が攻撃のチャンスだな!

 

「うおりゃあ!卜半細氷拳!!」

 

「なっ――いやぁぁあ!?」

 

そして、私が氷の拳で一撃を入れたのを切っ掛けに、半妖の皆も再び峰空や栄空へと攻撃を再開する。

 

「うぉぉお!!怯むなよぉ!とんでもない奴が相手だからって、一般人を犠牲になんかさせるものか!」

 

「分かっている!それに、こんな奴らのせいで俺達が濡れ衣を着せられて堪るか!」

 

そんな気合いをいれて戦う人達や、件(くだん)の半妖である牛元先輩や猫の半妖の凛が、赤木生徒会長と共に一般人の避難誘導をしている姿を見て、私は此処で戦っているのは私や椿だけじゃないという事を改めて感じたよ。

 

半妖である自分達の居場所を、仲の良い友人や大切な人を守る為に、自分達の存在意義を証明するつもりで皆も戦っているんだ。

 

「いいか!私達の力は、人を傷付ける為にあるのではない!それではコイツらと同じになる!こんな化け物と同じになりたくはないだろう!同じ扱いは受けたくないだろう!?それなら、戦うしかない!皆、戦うんだ!人の為に!そして、その勇姿を人々に見せつけろ!」

 

「「「うぉぉぉお!!」」」

 

おお〜、赤木会長の激励で更に皆がヒートアップしていくぞ。ひょっとしたら、以前の時にも増して会長の男らしさが上がってるんじゃないのか?

 

「さて、これだけの数を相手なんだ。果たして、そっちに勝算はどれだけあるんだろうな?」

 

「くっ・・・うぅ」

 

「むぅ・・・」

「これは・・・」

 

「そんなの、勿論無いですよね?それならもう、大人しく浄化されなさい、"負なる者"。金華浄槍!!」

 

そして、朱雀さんの炎で身動きを封じられ、虎羽さんの攻撃によって腹の口をガラ空きにした峰空へ、椿が槍に変化させた尻尾を突き刺そうとした時――

 

「ふふ・・・うふふふふ、そりゃあ貴方達が増援を呼ぶのは分かっていたわ。いつもの手口だもの。だ・か・ら・当然勝算は――あるわよ!!」

 

なんと、そうニンマリと笑った峰空は突然、自身の妖気と邪気を膨れ上がらせるように増幅し、それが椿を一旦退かせる程に黒い爆発のようになったと同時に姿を変えだした。

 

「な、何だアレ!峰空が、また更に鬼みたいな厳つい姿に変わっていく!?」

 

「くっ・・・!何ですか、この力は!?」

 

「椿様!早く浄化を――」

 

「朱雀さん、無理です!この強い衝撃波じゃ、槍が届きません!」

 

そんな椿と朱雀さんが手出し出来ない状態の中、とうとう峰空は警察署を超えるまでの巨体を持ったラミアらしき姿へと変貌し、私達を見下ろすように睨みつけてきた。

 

「うふふ!!どう?どう!?この私の力!最っ高でしょう!!」

 

「美しくはないですけどね・・・何ですか、それは」

 

「閃空は未熟な子供の身体だったから無理だったけれど、これが妖魔人の覚醒した姿よ!これこそ、寄生妖魔の邪気を増幅させる特性、それによる爆発的な生物的進化を成し遂げた、進化する妖魔人としての私の真の姿!!」

 

いきなり峰空はそのまま巨大な手を振り上げて、わら子や狐2人達が居る警察署の方へ振り返った。

 

「うふふ・・・アンタの守りたかった物、全部壊してあげるわ!!」

 

「この野郎!待ちやが――くっ!?」

 

「貴様の相手は私だ」

「邪魔はさせん」

 

だけど、加勢しようとした私の前に栄空2人が立ちはだかったせいで、峰空より先に警察署の方へ進めなくされてしまう。

 

「くっ、させま――っ!!」

 

そして、椿が叫びかけた瞬間に、峰空は手を振り下ろして警察署を叩き壊してしまった。

 

クソッ・・・こんな時にばかり間に合わないなんて!!

 

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