私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾弐話 私と椿、子供に戻っちゃいました!?

 

峰空と栄空との激しい戦いが終わった夜、私達は椿の爺さん家で大宴会を繰り広げている。

そして、学校にいた半妖の人達は爺さん家に住む事となったそうで、人間界での半妖の誤解が治まるまで匿う形でひとまずは落ち着いたらしい。

 

――そんな事もあって、今回の宴会は今までと比べて格段に賑やかとなっていた。

 

「「「「「「お疲れ〜!!」」」」」」

 

「椿ちゃんに綾ちゃん、良くやったわね〜!」

 

「人間達の考えも、あの戦いで少しは良い方向に変わったようだしな!」

 

「はっはっは!めでたしめでたしって奴だ!」

 

そんな風に褒め称えてくれる妖怪の人達に、いまだ私や椿は浮かない状態でいる。

というのも、あの戦いによって政府が妖怪と人間との付き合いに関して決めた方針というのが――「妖怪の事は全て、妖怪側に任せる」という物になったからだ。

 

・・・ええ、ぶっちゃけると体良く丸投げされたようなモンなんで、色んな意味で私達にはキツい状況のままなんですわ。

 

人間界の方も、総理大臣とか国の人達とかで上手く丸く収めないといけないというのは分かっているとはいえ、それでも両側にとって厄介な存在――"亰嗟"の問題が片付いていないのは特に辛い。

 

何故なら、丘さん曰く"亰嗟のメンバーにはバイト感覚で人間も多数が関わっているのよね〜・・・"ならしく、例え政府が頑張ってくれたとしても易々とは組織の根絶までは進んでいない状態なのだとか。

 

しかも、そんな中で分かった妖魔人連中の行動理念。未だに騙されている形とはいえ、それでも私達は単純に怒りや恨みをぶつけ合うだけでは、元は普通の人間だった"想い"を持っている相手には勝てない事も感じ始めてきたんだ。

・・・だからこそ、そんな彼らを利用して悪事を働き続ける華陽だけは、何としてでも止めてやるという決意が強まってもきているんだけど。

 

『椿に綾よ、何を難しい顔をしておる。2人共、折角の可愛い顔が台無しじゃぞ』

 

『ほれ、お前はこの魚が好きだったろ?椿、食わせてやるぞ?』

 

「むぅ・・・」

「ん〜・・・」

 

そんな真面目な事を考えている所へ白狐さんや黒狐さんが声を掛けてくれたものの、私達は気が気では無い状態なので話をする余裕も無い。

――とは言っても、狐2人は今回やらかしたのが相当に堪えているみたいで、守護神の面目を全て捨てるように機嫌を伺ってきているから気まずいというのもあるんだけどね。

 

まぁ、そんな訳もあって今回は皆も私と椿に無視されている狐2人には助け舟を出していない感じだ。

ついでに、里子も椿の爺さんから小言を言われたのかションボリと萎れていたよ。

 

『ほれ、椿よ。これなんか――』

 

『いやいや、こっちの方が美味そ――』

 

「白狐さんも黒狐さんも、ちゃんと反省してください」

 

『『はい・・・』』

 

そして、狐2人が椿にビシッと注意されて再び落ち込んでいる隣で座っている私はというと・・・。

 

「ん、綾。今回は椿と一緒に1番頑張ったんだから、もっと沢山食べるべき。この餃子とかシューマイもあげる」

 

「むぐ、んぐぐ・・・さ、流石にこれ以上は腹いっぱい、なんだけど・・・」

 

はい、ご覧の通り。雪から皆から貰った料理をドンドン食べさせられて、危うくお腹が破裂しそうなくらいになっていました・・・。

 

◇◇◇

 

それから夕飯を食べ終えた私と椿は宴会の熱に浮かされてクラクラする頭を冷やす為、ゆったりと中庭を見渡せる縁側で2人きりになって座っていた。

 

「はぁ・・・全くもう。白狐さんも黒狐さんも、あんなに情けなかったっけ?半年前は、もうちょっと頼り甲斐があったハズなんだけど・・・」

 

「まぁ、それだけ今回の事は反省してるみたいだし・・・というか、半年前より私達が強くなってるのもあるんじゃないかな?」

 

「う〜ん・・・僕は別に、そんな白狐さんや黒狐さんも嫌いでは――って、何を言わせようとしてるの!綾ちゃんは!」

 

椿はべシッと私の頭を叩きつつも、まだ狐2人への浮ついた気持ちを口にしてくる。

 

「でも僕にとって旦那さんと言ったら、強くても弱くても頼りになる人が良いんです。そうじゃない人もいるけれど、僕はやっぱり・・・」

 

そう椿が言いかけた途端、私はこっちに迫ってくる木製の汽車の玩具が見えて、飛び退きながら慌てて椿に知らせた。

 

「椿!あの玩具はヤバい!」

 

「くっ!分かってるよ!」

 

その玩具から妖気は感じられないものの、淀んだ気が出ている様子から嫌な予感がする。例えるなら、まるで呪いのような――

 

「って、まさか!」

 

「この気の感じ、また美亜ちゃんですか?もう!美亜ちゃ〜ん、何処に居るんですか!隠れていても無駄です!」

 

しかし、そんな椿の声に対して美亜が出てくる様子は無く、玩具の汽車は私や椿を狙うように突進し始めてくる。とはいえ、その攻撃の単調さから当たらないように避けるのは簡単だ。

 

「う〜ん・・・浄化したら良いんだろうけど、コレ明らかに汽車の気が弱いよな」

 

「そうだよね・・・あっという間に浄化出来ちゃうし、何で美亜ちゃんはこんな物を僕と綾ちゃんに?ねぇ、美亜ちゃん!これじゃ修行にならないよ!」

 

そう椿が叫ぶと、私達の背後の襖から美亜が鬱陶しそうな顔をしながら姿を現した。

 

「何よ〜修行だなんて?今こっちは宴会中なんだから、そんなヒマな事する訳無いでしょう?」

 

「へっ?じゃあコレって!?」

「どういう事なんですか美亜ちゃん!?」

 

すると、美亜は私達に突進している汽車の玩具を見るなり「ヤバい」と言いたげな表情へと変わった。

 

「あら?あっ、嘘!それ逃げちゃってたの!?悪霊憑きの呪術道具!」

 

「はぁ!?コレ脱走なのかよ!キチンと管理しとけって!」

 

「そもそも、こんな物騒な物を所持しないでください!」

 

「そうは言っても、こうやって勝手に対象へ向かっていって呪いをかける代物だから、物凄く便利なのよ。それよりも、避けなさいよ2人共!」

 

「はい?のわぁぁあ!!」

「へっ?うわぁぁあ!!」

 

な〜んて美亜から話を聞いてたら完全に油断して椿と一緒に体当たりされて汽車が爆発しちゃってたよ!

 

というか、爆発で出てきた煙が物凄くて周りも良く見えない上に、何か身体の方も違和感があるような・・・こんなにブカブカする程、着てた服はデカかったっけ?

 

「ケホケホ・・・椿に綾、だいじょう・・・ぶ?」

 

それから少しして、ようやく煙も晴れて美亜の姿が見えてはきたけど・・・何で、心配してた顔から急にビックリした顔になってるんだ?

 

「アンタ達、その姿・・・あちゃぁ、そういう類いの悪霊か〜」

 

「へっ?何がですか――あ、あれ?僕の声、いつの間にか高くなってる・・・?」

 

「つ、椿・・・その姿――って、何か私も変だぞ!?」

 

そう言った途端、私の方も椿同様に声が高くなっている事に気が付き、子供のように小さくなっていた椿の姿に嫌な予感がしてペタペタと自分の身体を触る。

 

「2人共、驚かないでね。どうやら、その玩具に憑いていたのは同年代の子と遊びたかった、ある寂しがり屋の男の子の霊だったみたい。それで、願いが叶わない事から欲望に変わっていって、それが狙った相手を児童化させる呪いとなったようね」

 

「じゃあ、まさか・・・私と椿、子供に戻っちゃいました!?」

 

「ええ、そのまさかよ。アンタ達2人は今、10歳・・・いや6、7歳くらいのお子様になっちゃったのよ」

 

「「えぇぇぇえ!?」」

 

そして美亜が手鏡で姿を見せてきた事で、私達は自分が幼い子供になっているのを否応なしに認識して絶叫してしまったよ。

というか、私も椿も普段着てる半ズボンや巫女服から下着までズリ落ちそうになってて絵面がヤバいんですが・・・。

 

「あ〜もう!みあ!これもとにもどすほうほうはないの!?」

 

すぐさま私はズリ落ちそうな服を押さえながら詰め寄ると、美亜は冷や汗をダラダラさせながら困った顔を浮かべてくる。

 

「う〜ん、その悪霊を満足させるしか無いわね。だけど・・・」

 

「だけど?みあちゃん、なにかもんだいがあるんですか?」

 

「椿、この家には霊狐ってのがいるでしょう?」

 

「「あっ・・・まさか!!」」

 

とてつもなく嫌な予感がしたと思った瞬間、今度は上空からレイちゃんの声が聞こえてきて、霊を成仏させている時に見る仄かな光も見えてきた。

 

「ムキュウ!!」

 

「ぎゃぁぁあ!!う、うそだろ〜!?」

 

「レイちゃん!!そのこ、まだじょうぶつさせたらダメぇ!!」

 

そう私と椿は叫んだものの時すでに遅く、汽車の玩具に取り憑いていた男の子は満足そうに笑いながら、光の泡となって成仏していってしまった。

 

「な、なんてこったい・・・」

 

「えっと・・・その、2人共ごめんなさい」

 

「あ・・・あぁぁ、あぁぁぁ・・・」

 

あ、うん・・・いや、本当その通りだわ。美亜がもっとちゃんとアレを管理してれば、こんな事には――って、何か椿がプルプル震えて涙目になってんだけど?

 

『どうした、椿!?』

 

『何かあったのか!?』

 

「ふぇ・・・白狐さん、黒狐さん・・・僕、ぼくぅ・・・うっ、うぅぅ」

 

すると、そこへ狐2人も今の叫び声を聞いて飛んできたので、泣きそうな椿の対処法が分からない私は美亜の陰に隠れて様子を伺う。

 

『なっ!?その姿・・・椿か?』

 

『これまた何とも、可愛らしい姿に・・・』

 

「それどころじゃな〜い!ぼく、もうもどれないんです〜!!うわ〜ん!!」

 

『うぉ!?どうした椿!落ち着け!』

 

そして、泣き喚きだしちゃった椿に狐2人が困る横で、私は美亜の裾を掴みながらポカーンと目を丸くしてしまうのであった。

 

「みあ・・・ほんとう、よくやってくれたね?」

 

「うぐ、何だってアンタは落ち着いていられるのよ〜?」

 

いやまぁ、私だって分からないですよ?確かに元の姿に戻れないのはショックなんだけど、それ以上に椿が泣いちゃってる方が心配で心配でならないんだから・・・。

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