私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

350 / 390
第拾肆話 椿の素直な気持ち

 

その後、美亜が自室に篭もって解呪に取り組んでいる間、宴会場に残された私と椿はというと・・・。

 

「や〜め〜て〜よ〜ほっぺムニムニしないで〜」

 

「椿ちゃんも綾ちゃんも可愛い〜!雪も小さい時は、こんな感じだったのよね〜」

 

「ひ、ひさめさ・・・さむいです〜」

 

「ほら、氷雨さん。椿ちゃんが凍えているでしょう?それなら、次は私が交代して・・・」

 

「ろくろくびさん、くびでもちあげないで〜ば、ばらんすが〜」

 

「あぅぅ・・・こ、こんどは・・・さむいぃ・・・」

 

「じゃあ、次は私〜」

 

「ぎょぇぇぇえ!ほ、ほねが〜!!」

「はっこつくちさけさん!びっくりしちゃいますって、もう〜!」

 

はい、今現在は妖怪の女の人達に引っ張りだこで可愛がられている状態です。なんというか皆、普段より私達を愛でてくるような感じがするから、まだゴスロリな服を着てる私は恥ずかしくなってくるんだけど〜!

 

「ん〜何だ〜?なんか騒がし――」

 

「あっ・・・しゅてんどうじさん」

 

「ど、どうも〜・・・」

 

すると、そこへ酒を飲んで千鳥足な酒呑童子と山姥さんが一緒に部屋の前を通りがかってきたよ。結構仲良さげな雰囲気からして、どうやら2人で一緒に飲みに行ってたっぽいのかな?

 

「お前ら・・・椿と綾の子供か?なんだ、いつの間に作りやがったのかよ?」

 

「「ちが〜う!!」」

 

「おぅ!?」

 

この人はま〜た変な事を言い出して〜!!私も思わず、椿の尻尾ハンマー脳天アタックと同時に稲妻雷霆蹴で金的しちゃったじゃんか!!

 

・・・とりあえず、その後に狐2人が慌てて酒呑童子に今の私達の状態を説明はしてくれているけど、あんなベロンベロンな様子じゃ話なんて――

 

「まぁ、そう恥ずかしがるなよ。んで、2人共どっちの子供よ?」

 

ほら、やっぱりね!!ひょっとしたら事態を解決してくれるかもって思ったけど、案の定な弄り鬼っぷりだったわ!!

 

◇◇◇

 

それからしばらくして、ようやく宴会も終わって色々と一段落した私と椿は、今は小さくなった「身体に合うように」と里子の用意してくれた可愛らしい刺繍が施された寝間着へ着替えて寝る準備中だ。

 

・・・それにしても椿はクマさんで、私はリスさんですか。どっちも可愛いけど、両方刺繍の動物が茶色だから何となくペアルックに感じちゃうな〜。

 

「そんなことより、あのきつねふたり・・・さっきのことで、ま〜だおちこんでるのかな?いつもだったら、つばきといっしょにねようってしてくるハズなのに・・・」

 

「こういうときこそ、そばにいてくれてもいいのに・・・それなら、もういいです。ぼくとあやちゃんだけでねますもん」

 

「えっ?ひとりでだいじょうぶ?」

 

「だいじょうぶだよ、あやちゃん。からだがちいさくなっても、せいしんはぼくのままです。ひとりでねるくらい、へいきへいき・・・」

 

そうして私達は別々に布団へ寝っ転がったけど、ふと天井にある木目が人の顔に見えてしまって、ついゾクッと背筋が震えちゃったよ。

 

「き、きのせい、きのせい・・・こんなの、こわくないこわくない・・・」

 

「うっ、くぅ・・・そ、そうだね。べつに、おもっちゃっているだけで、いつもここにねているけれどなにもおきていません。だから、てんじょうがかおにみえるなんて――」

 

すると、その瞬間に木目の顔に見えていた部分がギョロギョロした目玉になっていたのが見え、無言で私と椿は布団から抜け出して狐2人の居る所へと向かったのであった。

 

その瞬間に聞き覚えのあるような声もした気がするけど、それもきっと気のせいだ!

 

「悪い悪い、椿ちゃんに綾ちゃん。別に覗こうとは思ってへんで〜。ただ、ちゃんと寝られているか心配で――って、あれ?何処行ったんや?」

 

◇◇◇

 

「きっと、またつきみざけでもしているハズ。んっ、しょっと・・・うわっ!?」

 

「おっとと!きんきゅうさいくろん!つばき、おちついてのぼって!」

 

「あ、ありがとう〜あやちゃん・・・」

 

あんな木目が顔にみえるのも誰かの仕業だとは思いつつも、私は落ちそうになっていた椿を小さな竜巻で吹き上げさせて、狐2人が不貞腐れているであろう屋根の上へと登らせていく。

 

そして、それに続いて私も思いっきり飛び上がったけれど・・・。

 

「よし、つぎはわたしも・・・やばっ、てがすべった!?」

 

「あやちゃん!あぶない!」

 

やっぱりというか、1人で大きくジャンプするのは無茶だったみたい。このままじゃ、屋根から滑り落ち――

 

『綾!!』

 

すると、危うく屋根から滑り落ちかけた瞬間、狐の姿となった白狐さんが私を背中で受け止め、そのままフワリと静かに地面へ降り立った。

 

「あ、ありがとう・・・びゃっこさん」

 

『全く、椿も綾も・・・2人共、あんな所で何をしとった?まさか、その身体で我らの所に来ようとしていたのか?なんと危ない事を・・・』

 

「うっ・・・だって、ねられないんだもん。びゃっこさんとこくこさん、そばにいてくれないし・・・」

 

今のはギリギリ本当に助かったけど、屋根の上から少し椿が不満そうに見つめてきてるから、とりあえず早く下ろして欲しいんですが・・・。

 

『いや、それは・・・椿、お主が怒って――』

 

「だからって、こんなときまで!えんりょしないでほしいです!」

 

おぅ、そういう椿の素直な気持ちは良〜く分かったんで、いい加減に白狐さんは私を下ろしてもらえません?なんというか私、すご〜く気まずいんですけど?

 

すると、私を乗せたまま白狐さんはヒョイと屋根へ飛び上がり、椿の襟元を咥えて黒狐さんの所に向かっていく。

 

『その様子だと、2人とも無事だったか』

 

『うむ・・・だが、椿の方が情緒不安定でな。やはり、綾1人で共に寝させるのは危険なようじゃ』

 

『それなら、里子か座敷わらしかのどちらかに――』

 

「そこでどうしてそうなるんですか!?こくこさんのばかぁぁぁ!!」

 

『うっ、しかし・・・』

 

それにしても椿ったら、いつにも増して狐2人へ真正面から不満をぶつけまくってるな〜。いやまぁ、あんな反応されたら怒るのは当然っちゃ当然なんだろうけどね。

 

すると、そんな事を考えながら私が背中から降りた時、そこで椿はプンスコ怒りながら白狐さんの目の前に立ってくる。

 

「びゃっこさん。ひとのすがたになって、そのままあぐらかいて」

 

『ぬっ?』

 

「よいしょ」

 

椿の言葉に従って白狐さんが人型となって、その言う通りにあぐらをかくと、チョコンと白狐さんの組まれた足の上に椿が座った。

 

『つ、椿?』

 

「あのね・・・びゃっこさん、こくこさん。なんでぼくがおこっているのか、わかります?」

 

『それは・・・当然、俺達がお前達の為に用意されたいなり寿司を、食べてしまったからで・・・』

 

「それもですけど、もういっこあるの」

 

そのまま椿が首を傾げている狐2人を見上げた時、そこで私はハッと気付いて思わずそれを口に出す。

 

「びゃっこさんもこくこさんも、かっこわるいから?」

 

その私の言葉に椿は大きく頷き、それでようやく気付いた狐2人も一気に真剣な表情になった。

 

「そうです、あやちゃん。ぼくにとってふたりは、かっこいいようこたちなんです。おんなのひとのすがたでも、おとこのひとのすがたでも、です。でも、さいきんのふたりはそうじゃないじゃないですか。それなら、ぼくはなんのためにがんばっていたの?そうかんがえると、すごくイライラしちゃったんです」

 

『ぬっ・・・すまぬ』

 

『そうだな・・・悪かった』

 

そして、狐2人は申し訳なさそうに狐の耳と尻尾を垂れ下げさせる。すると、そこへ椿は2人が勘違いしないようにと更に言葉を付け加えた。

 

「だけど、むちゃするのとはちがうからね。ふたりはいま、ようきがなかなかふえないんでしょ?それでむちゃして、ぼくのためにかっこつけようとかはしないでね」

 

『そうだな・・・』

 

『この状態でも出来る事をし、椿のサポートをせねばな。そして、一刻も早く元の力を取り戻さなければ』

 

「おぉ〜!ようやく、ふたりもげんきがもどってきたね!」

 

確かに今の狐2人の力じゃ、これから激しくなっていく戦いも私達が守りながらじゃないと厳しくなっていくかもしれない。そうなると、守る椿も守られる狐2人も辛いだろうし、それを避ける為にも2人の妖気が回復しにくくなっている原因を何とか突き止めないといけないね。

 

「はやくちからももどるといいですね、びゃっこさんもこくこさんも」

 

『ふっ、そうだな・・・じゃがな』

 

『あぁ、そうだな。その前に椿を戻さないと、このままでは3人揃って守られる側になってしまうな』

 

「ちょっと、わすれないでってば〜!わたしも、こどもになったままなんだけど!」

 

そんな私のツッコミに椿も狐2人も微笑ましく笑っていた時、ふと私と椿の身体がムズムズと震えだしてきたぞ。

 

『ん?椿に綾よ・・・お主ら、身体が!』

 

「えっ?あっ――わわっ!!ふ、ふくが!?」

 

「うそ、これって・・・元に戻っていってる!?」

 

気が付いた時には何と、私と椿の身体はドンドン元の姿に成長していっていて、とうとう子供サイズの寝間着がキツくなって色んな意味で危ない状態になってきちゃったのだ!

 

『おぉ、これはこれで何とも・・・刺激的な』

 

『綾よ、そこを退け!そして白狐、代われ!その状態の椿を抱っこするのは俺だ!子供から成長していく愛しい者の身体など、2度と触れんぞ!』

 

『黙れ黒狐!これは、いつも我が優しく接しているからこその、天からの恵みなのだ!』

 

すると、そう叫びながら狐2人は思いっきり裸になりかかっている椿に抱きついてくる。

・・・勿論、その最中に私はドンケツで押し退けられたから、それで寝間着が破けて椿よりもエラい状態になっちゃったよ!!

 

「ぎゃぁあ!!そこは普段通りにならないでください!というか2人とも苦しいですし、服で身体が締め付けられて痛いし、早く離してくださ〜い!!」

 

「つか普通に犯罪だわ!頭冷やせポンコツ狐共!!」

 

『『ぎゃふん!!』』

 

そうして椿を抱えながら狐2人を稲妻雷霆蹴で屋根にめり込ませていると、庭の方から美亜の声が聞こえてきた。

 

「椿〜!綾〜!2人とも何処よ!?解呪方法が分かったわ!というか、この呪術道具は子供霊が取り憑いていたから、そんなに効果が持続しないものだったのよ!多分、時間が来たら自動で解け――」

 

「あっ、美亜ちゃん!ちょっと助けて〜!!綾ちゃんが、とんでもない格好に〜!!」

 

「へ?私の格好――って、うぎゃぁぁああ!!ウッカリしてたぁ〜!!」

 

はい、その椿の言葉で気付いた時には既に手遅れでしたよ!私の着ていた寝間着は、前を留めていたボタンは全部弾け飛んで胸元から腹まで全開になってて、しかもズボンも裾から太腿までバリバリに破けて殆ど布きれ同然な有様になってたわ!!

 

「あら、お約束。な〜んだ、大丈夫そうね。心配した私が馬鹿だったわ!それじゃ、椿とごゆっくり〜」

 

「わぁぁあ!待ってくれ!待ってくれ美亜〜!!」

 

「もう僕は大丈夫だよ!だから綾ちゃんは前を隠してくださ〜い!!」

 

そして、呆れて庭から家の中に戻っていく美亜へと叫ぶ私の声が、狐2人の突き刺さっている屋根を照らす満月の夜に虚しくこだまするのであった。

 

・・・というかこの後、思いっきり叫んじゃったせいで皆にも私が再び全裸な状態になってる事がバレて、また大目玉を食らったのは内緒の話だったり。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。