私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾話 珍しくツンデレな椿

 

その後、私達は普段と同じくてんやわんやな夕飯を食べ終え、それから風呂に入った後に寝る準備を済ませる。

 

すると、そんな中で狐2人は私達の部屋でノートパソコンを使って、手馴れた様子で何かを調べているのが目に入った。その機械の強さを見ていると、昼間に大苦戦していた椿の爺さんとは真逆で、思わず吹き出してしまいそうになっちゃうな。

 

「白狐さんに黒狐さん、何を調べているんですか?」

 

風呂上がりでパジャマ姿の椿は、タオルで髪を丁寧に乾かしながら、狐2人の後ろからパソコンを覗き込む。

 

「なになに・・・見た感じだと何か、掲示板っぽいみたいだけど?」

 

そして、同じような格好をした私もガシガシと髪を拭きながら、その椿の後ろからパソコンを覗き込んだ。そのパソコン、よくよく見てみると内部カメラの部分がギョロギョロした目玉になってるな・・・そうなると、ひょっとしたらコレも?

 

『うむ・・・妖怪用のパソコンで、ちと掲示板の書き込みを調べているんじゃ』

 

「へぇ〜、妖怪の世界にもネット掲示板があるんだ。ところで、それって人間が見れたりするの?」

 

『もちろん妖怪達が使っている掲示板だから、その存在すら人間達は知らん。だから、そういった人間と妖怪との間で喧嘩の元になりそうな心配は無いぞ』

 

「なるほど・・・そういえば、よく2人が素早く情報を持ってきたりしましたけれど、それも掲示板から調べていたからだったんですね」

 

『まぁ、そういう事じゃな』

 

そんな話をしながら私達も狐2人と掲示板を見るけど、だいたい書き込まれていたのは"何人の人間を驚かせた"とか、"川に人間の道具をゴミとして捨ててやった"といった事ばかりだ。

前者みたいなのは妖怪の本分だし別に良いんだけど、後者みたいなのは人間どころか環境にまで迷惑をかけるからアウトじゃね〜か。とりあえず書き込みをスマホで撮影して、後で爺さんに提出しとかないとね。

 

『むっ・・・これは』

 

すると、ある文章の所で白狐さんが画面のスクロールを止め、それを何処か怪しむように凝視しだした。

 

その書き込みを私達も見てみると、書いてあったのは――

 

408:名無し妖怪

やるならやっぱ、派手にいかねぇとな〜。

そういう意味では伏見の学校で起こった、全校生徒を旧校舎に操って誘い込んで、そこを閉じ込めるなんて派手な事をやってみてぇよ。

 

409:名無し妖怪

馬鹿のイッチには無理定期

 

410:名無し妖怪

だけど、ありゃ妖怪というより神様関連だろ?

あんな大それた事を出来る奴、妖怪にはいねぇよ。

 

411:名無し妖怪

あ〜そりゃそっか。神様だって穢れが溜まったら邪神になって、人々に悪さするもんな〜

 

その書き込みを見た私と椿は思わず、そこに書かれている学校の件が自分達の学校の事だと直感する。

だけど・・・。

 

「まさか、神様の仕業って事なのか・・・?」

 

「白狐さん・・・」

 

『うむ・・・だが、ここでこれ以上の詳しい事は分からないだろうな』

 

「それなら、賀茂様に聞けば――って、そういや先週の橋姫事件の時、チビ賀茂様の様子が変だったっけな。あの時、何があったんだろ?」

 

「そういえば、確かに・・・しかも、その後に連絡の1つもありませんでしたよね?」

 

『むっ・・・綾と椿の言う通りじゃな。よし、明日にでも様子を見に行ってみるか』

 

いかんいかん、私とした事が椿や狐2人と仲良く賀茂様の事をスッカリ忘れちゃってたよ。レイちゃんが復活して旧校舎に入れるようになった事で、ついつい頭がいっぱいになっちゃってたわ。

 

「そうと決まれば、明日は朝イチで賀茂様の所へ行く為にも調べ物は一旦止めて、今日はグッスリ寝ないとね」

 

「うん、綾ちゃんの言う通りですね・・・ふぁ〜あ」

 

そうして私達が伸びをしながら布団に向かうと、狐2人も大きく一息をついてパソコンを閉じた。

 

『そうじゃな、綾。よし、こっちで調べるのはここまでにしておくか』

 

『おい、白狐。今日は俺が椿の尻尾側だからな』

 

『何じゃ、そっちで良いのか?椿の寝顔の方が――』

 

「2人共、今日は外で寝て下さい」

 

『ぬぉっ!?』

『何でだ!?』

 

って、白狐さんと黒狐さんは毎晩毎晩そんな事を寝る前に話し合ってたんかい。まぁ、それならそれで私も今日は静かに寝れそうかな?

 

『全く、黒狐め・・・椿と綾の前で言うでない』

 

『いや・・・すまん、今日は出直すか』

 

「何か素直だね、2人共。だけど、今日は雪もパンフレット作りで忙しいみたいだし、里子も夕飯にイタズラした時の椿の命令を守って大人しくしてるみたいだから、今回こそは布団に誰かが潜り込んでくるって事は無さそうだな」

 

「・・・えっ?」

 

うん?どうしたの椿?

狐2人が大人しく引き下がってくれた事とか雪達も来ないって聞いた瞬間、どういう訳か寂しそうな顔をし始めたんだけど・・・。

 

『さて・・・すまんかったな、椿よ。今日は綾と2人、のんびり寝ると良い』

 

『そうだな、白狐。とりあえず、今日は月見酒でもやるか?』

 

『うむ、たまには良いな』

 

すると、そう言って部屋を後にしようとした狐2人を、椿は布団に座ったまま裾を引っ張ってきた。

 

『ん?』

 

『どうした、椿?』

 

「う〜・・・やっぱり、2人も一緒に寝てください」

 

でも、そう椿が言った瞬間に、私の予想通りと言うべきか、狐2人はニマ〜ッと凄い笑顔で振り返っていたよ・・・うん、コレ完全に謀られてるじゃん。

 

『ふふ、可愛い奴じゃな〜』

 

『そういう事なら、仕方がないな〜』

 

「全くもう、椿ったら・・・とことん白狐さんと黒狐さんに甘いんだから」

 

「うぅ・・・どうしても僕は、この2人に良いようにされちゃうなぁ」

 

それでも、椿は左右から狐2人に挟まれてパァとした笑顔を浮かべながら、布団の中で徐々に深い眠りへと落ちていった。

 

まぁ、椿が良いんなら私も狐2人の事は気にしないけれど・・・とりあえず明日も早いし、私も寝る事にしますか。それに、珍しくツンデレな椿も見れた事だしね〜。

 

◇◇◇

 

その翌朝。目が覚めてから椿の方へ視線を向けると、いつものようにニッコリした寝顔で彼女を挟んでいる狐2人に加えて、そこには新たに布団の上から椿を覗いている姿があった。

 

「ふむ・・・こんな可愛らしい寝顔を拝めるとは、羨ましい。しかし、椿の幸せそうな顔を見ていると邪魔も出来んな」

 

なんと、まさかのチビ賀茂様でした。

それに気付いた瞬間、私は椿とビックリした声を上げながら同時のタイミングで飛び起きちゃったよ。

 

「うぇぇぇえ!?チ、チビ賀茂様!チビ賀茂様ナンデ!?」

 

「いつの間に――というか、どうして僕達の所に!?」

 

「どうしてって?そりゃあ、見ていたから分かるんじゃよ。今日、朝イチで本体の方へ行くつもりなのじゃろう?そうなると、隠していても仕方がないのでな・・・とりあえず、正直に話す事としたようだ」

 

そんなチビ賀茂様の言葉に、私も椿も「隠している事って、何なんだろう?」と不思議な顔持ちになっていると、向こうは顎で狐2人を指しながら話を続けてくる。

 

「まぁ、本人達に直接聞いた方が早いわ。ほれ、綾もそこで幸せそうに寝ている2人も起こして、早く支度をせい」

 

「あっ・・・は〜い、分かりました」

 

「綾ちゃんも起きてたんだね。それなら、白狐さんも黒狐さん、早く起きて――」

 

『ん〜?何じゃ、椿よ・・・まだ足りんのか?あれだけしたというのに、好き者じゃな・・・』

 

『ふふ・・・白狐より俺のテクが気に入ったか。よしよし・・・それなら、これから毎日・・・』

 

「黒槌土塊!!」

「稲妻雷霆蹴!!」

 

『『ぐほぁ!!』』

 

おぅ、2人して何スケベな夢を見てやがったんです?私と椿がチビ賀茂様の来訪で慌ててるのにも関わらず、そんな鼻の下を伸ばした笑顔で寝やがって〜!

 

『つ、椿・・・ぬぉっ!?も、もう朝なのか。という事は、今のは・・・』

 

『白狐、それ以上は言うな。またハンマーとキックの餌食になるぞ・・・というか、なに同じような夢を見ているんだ。いくら椿を愛でる夢とはいえ、気持ち悪いぞ』

 

「いや、それ黒狐さんが言えた事じゃないから。はぁ〜・・・2人って、やっぱり喧嘩するくらいには仲が良いんだね」

 

『『そんな訳があるか!』』

 

「ほら、白狐さんも黒狐さんも。チビ賀茂様が迎えに来ているから、早く出かける準備をしますよ」

 

そう言った椿は、なんと狐2人どころか賀茂様が居る前でパジャマを脱いで着替え始めた。

 

「ちょ、ちょちょちょい!椿ストップ!そこで着替えるのは不味いって!」

 

「うぉ・・・椿、お前。男の前でも平気で着替えるとは、はしたなく思わないのか?まぁ・・・麗しい柔肌を拝めて、こちらは眼服じゃがな」

 

「あっ、チビ賀茂様が居たんでしたっけ・・・うぅ、偶に白狐さんと黒狐さんが着替えを手伝ってくれたりするのに慣れたから・・・その、あ〜もう!2人のせいです!!」

 

『ま、待て椿!ほら、我らは性別が無くて女にも男にもなれるから、そこは例外であろう!?』

 

『そ、そうだ!何なら、お前が着替える時は常に女の姿に・・・』

 

「そう言う問題じゃあ・・・」

「な〜い!!」

 

『ぐはぁ!!』

『またかぁ!!』

 

本っ当いつもいつも、この2人は椿が怒ってる理由を明後日の方向に考えるんだから!あ〜全く、もう・・・女にも変化出来るクセして、乙女心の分からん人達だな〜!

 

「こりゃ、2人の事は怒らせられんな・・・」

 

ちなみに賀茂様はと言うと、そんな私達による怒涛のツッコミを見て口をアングリさせながら震えていたよ。すいませんね、ホント失礼な事を目の前でやっちゃって・・・。

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