私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弍拾壱話 神様同士のイザコザ

 

それから私達は出発の準備を済ませ、チビ賀茂様の転送術でポンッ!と上賀茂神社にワープしてきた。

 

「おぉ、椿に綾!来てくれたか!」

 

すると、賀茂様が真っ先に境内から飛び出してきたかと思った瞬間、グイッと誰かに襟首を掴まれてイタズラをして怒られた子供のように持ち上げられる。

 

「これ、賀茂。何処へ行くつもりだ?」

 

「あっ・・・いや、その・・・」

 

その和服みたいな姿に羽衣を纏った黒髪の綺麗な女の人に、賀茂様は彼女に持ち上げられたままシドロモドロになって目をキョロキョロさせていた。

 

「た、頼む・・・許してくれ、高龗神(たかおのかみ)!」

 

あ、やっぱり何処か神々しい感じがしていた、あの女の人も神様だったんだ。だけど、何処の神社の神様なんだろう・・・?

 

『おいおい・・・どうして、この方まで此処に居る?高龗神と言えば、貴船神社の主祭神ではないか』

 

「へっ!?マジですか!」

 

「えぇっ!?という事は、橋姫の・・・」

 

『いや・・・それは違うかもしれんぞ、椿よ。あれは貴船大神となっているから、高龗神かどうかは分からん』

 

そんな風に驚きながらもコソコソ狐2人と話していると、高龗神様は賀茂様をブラブラ片手で釣り上げたままニッコリと私達に笑顔を向けてくる。

 

「お主らか、橋姫を浄化してくれたのは。関わった者として、この度は礼を言わせてもらう。ありがとう」

 

「あ、いえいえ・・・私達、やる事をやっただけなんで、そこまで頭を下げられる事までは・・・」

 

「それよりも、高龗神様って一体どんな神様なんですか?」

 

Oh・・・椿ってば、なんて大胆な子。

よく初対面の神様に、それも賀茂様を片手でブラ下げてる、笑顔で少し怖い神様に物怖じせず質問出来るな〜・・・あ、でも怒ってる感じは無いっぽいかな。

 

「ふむ・・・まぁ、最近の者共が神様の事を詳しく知っていないのは分かっていたが、妖狐にまで知られていないとは」

 

『いや、申し訳ありません・・・この者は色々あって記憶を封じられていたり、人間の男子にされていたりしたので、そういった知識や記憶が定まっていないのです』

 

とりあえず白狐さんのフォローのお陰で、高龗神様は私達に対して気にする様子は無くなったみたいだけど、今度は白狐さんの方をジッと見だしたぞ。

 

「ほぅ・・・ならば、そなたらは私の事を分かっとるのか?」

 

『勿論です。えっと、貴方様は・・・え〜、水を司る神でもあり、龍神でもあり・・・』

 

おい白狐さんシッカリしてくださいよ。額から滝のようにダラダラ汗を流して、視線も泳ぎまくってるんですけど?これ下手したら高龗神様が怒っちゃうんじゃ・・・。

 

「まぁ、そこまでが限界じゃろうな。と言うのも、こればかりは神話の域に踏み込むと言うか、神の血統に関わる事。そういうものは選ばれた者以外には口伝すらせんから、かなり曖昧に伝わっているのじゃろう。私の事は、ある神と同一として見られる事、他には伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の御子神でもあるという事だけ分かっていれば良い」

 

「そ、そうだったんですね。あ、そうなると高龗神様は、神様としては高い位の存在になる訳ですね」

 

「ちょっと待って、綾ちゃん。それだと、もしかして賀茂様の方が高龗神様より立場は下なんですか?」

 

「むっ・・・いや、まぁ神に"そういうもの"は無いんだが、持っている力がケタ違いなのじゃ。それで言い返せんというか、暴れられたら私では止められん」

 

あ〜、だから賀茂様は高龗神様に頭が上がらないと・・・いやはや、神様同士のイザコザも基本的には人間や妖怪と変わらない感じなんだな。

力ある者が上に立つというか、なんというか・・・。

 

「それで椿に綾よ。私が此処に居る理由なのだが・・・お前達2人は、神休めの舞と歌が出来るのだろう?ちょっと、ここでやってはもらえんか?」

 

「へ?まぁ、良いですけれど・・・」

 

「でも、そこまで僕達に頼む理由って?」

 

「みなまで言わせるでない。単に、妾が見たいんじゃ」

 

そんな堂々と返されたから、つい私も椿も思わずポカーンとしちゃったよ。だけど、助けを求めるような賀茂様の目を見た私達は、他に何か理由があるかもしれない気がしてきた。

 

「高龗神様・・・やってあげても良いんですけど、あの舞と歌を行うには特別な理由が要るんです」

 

「ええ、綾ちゃんの言う通りです。実は、神様が疲れているという理由を詳しく知らないと、舞と歌の効果が表れないんですよ」

 

そう私と椿が高龗神様に説明する後ろで、白狐さんは不思議な顔をして首を傾げてきた。

 

『ん?椿に綾よ、そんな――むぐっ!?』

 

『白狐、お前は少し素直過ぎるぞ。これは高龗神様 の隠している事を暴く為の、2人の策だ』

 

あ〜っぶね〜・・・白狐さん、ウッカリ本当の事を言おうとしてたぞ。今のはナイスプレーだよ、黒狐さん。

 

「むっ・・・そうなのか?う〜む、参ったのぉ・・・」

 

すると、そんな狐2人の声には気付かない高龗神様は、それでも気まずそうに悩ましげな唸り声をあげている。

 

「そんなに言いたくない理由なんですか、高龗神様?ひょっとして、何かとても不味い事をやってしまったりしたんです?」

 

「いや、妾は悪い事などしとらん!ただ、哀れな者の願いを聞いてやっているだけだ!」

 

「あの、高龗神様。それって、この前の橋姫の事なんじゃ・・・」

 

「ふぉっ!?いや、その・・・あれは、だな・・・あ〜」

 

あ、高龗神様の目が凄く泳いでる。そうなると椿が言った通り、今回の事件の発端には高龗神様も関わってたと見て間違い無さそうだね。

 

すると、そんな事を思っている所で賀茂様も私達側について、高龗神様を説得する言葉をかけてくる。

 

「高龗神、正直に言った方がよろしいかと。そうでなければ、この事態は改善されませんよ」

 

「くっ・・・分かっとる、妾が悪いのは分かっとるわ。あの妖怪の霊が同じ事を繰り返しとったから、少し気の毒になったんだ。あやつに以前かけられていた言葉と同じ事を、代わりに妾が言ってやったんじゃ。するとまぁ、鬼の形相となって走っていってしもうてな・・・」

 

あ〜、うん・・・ここモノローグなんで一言よろしいでしょうか?

 

コレ高龗神様が橋姫の起源を綺麗になぞっちゃったから、思いっきり大惨事になりかけたようなモンじゃないですか!!

 

「それはもう、やってしもうたと思ったのじゃ。あの妖怪霊は放っておけば、自分の居るべき場所に帰るハズじゃった。だというのに、それを忘れて妾が助言などしたから・・・」

 

そんな高龗神様の言い訳がましい言葉には、私や狐2人どころか椿までもが呆然としちゃったよ。

 

というか、そもそも高龗神様が橋姫に余計な事を言わなきゃ私達も必死にならなくて済んだ――とは思ったけど、そのお陰でレイちゃんが復活出来たんだよな。それなら結果オーライになってる訳だし・・・う〜ん、これは少し怒りずらいかも。

 

「じゃから、その程度のミスなんじゃ。それなのに、何で他の神々はあそこまで怒るのかのう?毎日毎日、小言を言いに来おってからに・・・そりゃ妾とて、逃げたくもなるわ」

 

あー、うん・・・とりあえず、高龗神様が上賀茂神社に居る理由は分かったわ。

 

でも、あの賀茂様の様子だと結構な無理を言って居候――じゃなくて匿ってもらっているみたいだし、高龗神様にも高龗神様の仕事があるんだろうから早い所、元の場所に戻ってもらった方が良いと思うんだ。

・・・決して、それで高龗神様を連れ戻しに他の神様まで乱入してきたら後が面倒だからとか、そんな理由じゃないよ?

 

「まぁ・・・理由は分かりました、高龗神様。でも、だからって賀茂様に迷惑をかけたら駄目だと思いますよ?お勤めもあるんでしょうから、私は帰った方が良いと思いますよ?

 

「ぬっ・・・そうなんじゃがな、綾よ。その・・・仕事なんか、この数日間で溜まりに溜まっとるじゃろうし、なおさら戻りたくないと言うか・・・」

 

「それなら僕も綾ちゃんも、舞と歌をやってあげませんよ?」

 

「そうそう、だから大人しく戻りましょう?」

 

「な、なんと!?そんな殺生な!!今や"神休めの舞い"も"神鳴りの歌"も、そう出来る者はおらんというのに。そんな舞と歌を唯一やれるお主達2人に、そんな事を言われては・・・およよ」

 

おぅ神様なのにワザとらしくメソメソしないでもらえます?しかも狐2人も賀茂様も嘘泣きだって分かってるから、何とも言えないような眼差しを向けてますよ?

 

「そんなに落ち込まないでください、高龗神様。ちゃんと帰るって約束出来るなら、僕達は舞と歌をやってあげますよ」

 

「あっ、それと・・・舞と歌が終わったら、私達が知りたい事を教えてください」

 

「むっ、要求が増えたの・・・まぁ良い。妾だって、戻らねばならんと思っておったんじゃ。丁度良い、その条件を飲んでやろう・・・じゃから、舞と歌を頼めるか?」

 

そう高龗神様が言った瞬間、賀茂様は後ろでガッツポーズを取るくらいに異常な喜び方をしていたけど・・・この数日間、そんなに高龗神様からヤバい事をされてたのかな?

 

まぁそれはとにかく、ここで神様の事とか色々聞いたりした事が、あの旧校舎の事件を解決するヒントになれば良いんだけどね。

 

・・・でも、それから私と椿は再びお面を付けた子供達と一緒に"神休めの舞い"と"神鳴りの歌"を披露したけれど、それでテンションの上がった高龗神様が酒を出して宴会みたいなノリになっちゃったよ。

 

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