私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾弐話 まさかの椿、泥酔!?

 

それから私と椿が舞と歌を終えた後、高龗神様が始めた宴会は賀茂様や狐2人も巻き込んで、いつの間にやら酒を飲んでは騒いでの状態になってしまっていたよ。

 

しかも、チビ賀茂様が沢山の料理を持ってきていると思ってたら、ちゃっかり私や椿の分の皿まで用意されてるし。

 

「いや〜しかし・・・あれは良いものじゃったぞ、椿に綾よ。お陰で、妾も心が洗われた。確かに皆の言う通り、いつまでも小言から逃げてはいかんな・・・うむ」

 

そう言って高龗神様がほろ酔い状態で頷いてくる中、私と椿は高龗神様と同じく酔っていた賀茂様も交えて、聞きたかった事について2人へ質問をしてみる。

 

「あっ、そういえば。高龗神様と賀茂様に、ちょっと尋ねたい事があるんですけど・・・」

 

「ん?なんじゃ?」

 

「おぉ、何でも申してみい。2人の頼みなら、答えてやるぞ」

 

「え、えっと・・・あ、ありがとうございます」

 

酒に酔ってる神様2人の気前の良い返事に、椿は少し苦笑いしながら私に軽く頷いて、それから真剣な表情で口を開いた。

 

「それじゃあ、遠慮なく・・・高龗神様と賀茂様の知っている神様と邪神の中で、人を操って集める神様っていますか?」

 

「まぁ、沢山おるな」

 

「うむ。賀茂の言う通り、この国には神なんて"八百万の神"と言われるくらい、妾達が知っている者だけでも無数にいるからな」

 

「えっ?あっ・・・」

 

「そ、そうでしたね〜・・・あはは、はぁ」

 

やべぇ、こりゃ私も椿も肝心な所をウッカリしてましたわ。確かに日本にはそれこそ無数の神様が居て、それぞれがそれぞれで良い神様も悪い神様も揃って多い有様なんだっけね。

 

『ふ〜む・・・そうなるとやはり、直接調べに行くしかないという事か』

 

『しかし白狐、それは危険だぞ』

 

そして、そんな神様2人のド正論な話を聞いたもんだから、狐2人も酔っ払いながら腕を前に組んで唸っちゃっているよ。

 

すると、それを見た賀茂様は思い出したといった様子で私達の方へ頷いてくる。

 

「あぁ、伏見区にある学校の旧校舎の事か。確か、そこに全校生徒が集められ、閉じ込められてしまったという事件じゃな」

 

「うん?賀茂よ、そんな事があったのか?」

 

「つい最近じゃ。とはいえ、それがどうも妖怪の仕業ではない感じじゃってな」

 

「むぅ・・・あそこは多くの神々が住む地であり、伏見稲荷では天狐による"あの儀式"が・・・いや待てよ、よもや脱神(だしん)ではなかろうな?」

 

「なっ・・・!?」

 

その高龗神様の言葉を聞いた瞬間、賀茂様は驚いた声を上げて眉間を強くしかめた。

そして、狐2人も同じく目を見開いて驚いた表情のまま、酒の入った器を持って硬直しちゃったよ。

 

「お、お〜い?白狐さ〜ん・・・?」

 

「わ〜お・・・白狐さんも黒狐さんもビックリし過ぎて、椿が目の前で手を振ってるのに反応しないや」

 

そんな狐2人と私達を他所に、高龗神様と賀茂様は真剣な様子で話を続ける。

 

「高龗神、その・・・それは流石に・・・」

 

「有り得ないと言いたいか?しかし、コソコソ動く者がおるんじゃろ?」

 

『ええ、高龗神様。どうも、八坂という者が・・・』

 

すると、そう白狐さんが答えた途端に高龗神様は一瞬だけ目を見開いて、それからキッと鋭い目付きに変わった。

 

「何じゃと?八坂神社の守り人、"八坂 次郎"の事か!?」

 

「あっ、そうです・・・って、守り人?」

 

「あれ?あの人、確か鎌鼬(かまいたち)の半妖じゃなかったっけ?」

 

八坂校長先生のフルネームが出た事にビックリして、つい私も椿も高龗神様の言葉に答えちゃったよ。

 

元々は深く考えてすらいなかったけど、よくよく考えてみたら"八坂"って苗字の時点で神様に関連していると思っても不思議じゃない話だ。だけど、高龗神様に言われるまで思い至らなかったという事は、また例の扇子で思考を誘導されてたのかもしれないな。

 

「むぅ、そう偽っておるのか・・・全く」

 

「偽っていた?それなら、八坂校長先生は鎌鼬の半妖じゃないんですか?」

 

「高龗神様!あの人は一体何者なんですか!?」

 

「すまんが、あやつの事は妾にも分からん。昔に数回会った事はあったが、可愛らしい子供じゃったぞ」

 

「えっ・・・高龗神様、それって何十年前なんですか?」

 

「いや、数年前じゃぞ?八坂神社の催事の時、少し様子を見に行っての」

 

「「へっ!?」」

 

――その高龗神様の言葉に、私も椿も再びどころか先程以上にビックリしてしまったよ。

 

あんな初老の爺さんみたいな姿をしていて、他の姿に変化出来るような妖気も感じられないのに・・・ちょっと、これは訳が分からなくなってきたぞ。

 

『これは・・・どういう事じゃ?奴は半妖では無かったのか?それに・・・数年前は子供の姿だと?』

 

『そうなると、その後に・・・いや、その前から校長をやっていたようだ。つまり、子供の状態で数年間も校長を・・・?』

 

そんな衝撃的な事実には、私達と同じくらい狐2人もビックリして混乱してしまっているみたいだ。

 

というか、学校に通っていた私も椿も八坂校長先生のイメージがぼやけてきて、もう今は正体も本当の人物像も全く見当が付かないぞ。

もし私達を騙して、華陽や茨木童子を超える程に何か悪い事をしようとしているなら・・・あの時に見せてくれた私達や半妖への対応は、まるっきり全てが嘘だったのか?

 

とりあえず、今は気になる事――さっき言っていた、謎の神様の事についても聞いてみないとね。

 

「そういえば、高龗神様。先程言っていた"脱神"って、一体何なんですか?神様の名前にしては、聞きなれない呼び名ですよね?」

 

「む?綾、それはじゃな・・・ん〜、これは言って良いものなのか・・・?アレについては、妖怪センターから最重要機密事項として硬く口止めされている。本来なら、その名を呼ぶ事も良しとはされていない程なのだが・・・」

 

「そこを何とか!」

 

「僕からもお願いします、高龗神様。僕達はもう、これ以上誰かが犠牲になるのを止めたいんです」

 

そう私達が強く訴えると、高龗神様は酒をグイと大きく一口飲んでから、真剣な眼差しを向けてきた。

 

「まぁ、もう隠している場合では無さそうじゃからの。お主ら、妖怪への信頼が強そうだ。だから、これは2人が聞くべきではないと思うぞ」

 

「信頼・・・ですか。だけど、全ての妖怪が良い妖怪とは限らないですし、それについては今更です。たとえ何を聞こうとも、私は妖怪への想いを変える気はありません」

 

「僕も、綾ちゃんと同じです。どんな妖怪さん達であっても、人々から忘れられないようにと色々やっちゃっています。それでも・・・だからこそ、僕達の想いは変わらないよ」

 

すると、その私達の言葉を聞いた高龗神様は静かな笑みを浮かべ、フゥと大きく一息吐いてくる。

 

「ふふ、億さず返すか。良かろう、椿に綾よ」

 

「しかし、高龗神・・・」

 

「構わん、賀茂。妾は小言が1つ増えるぐらい、もう気にせんわ。あの素晴らしい舞と歌を見せてもらった礼もあるしの」

 

おぉ〜、流石は高龗神様・・・これは私と椿も、舞と歌をやった甲斐があったね。それにしても高龗神様、ここに来て開き直りっぷりが盛大過ぎるな。

 

そんなに大盤振る舞いし過ぎたら、その後の反動で「小言がうるさいから助けてくれ〜」って言われないか心配だよ。

 

・・・あら?何か椿がチラチラ、甘酒の入った枡(ます)を見てるね。ひょっとしたら、緊張して喉が渇いてきたのかな?

 

「はい椿、どうぞ。神様の前だからって、そう遠慮しなくても良いと思うよ」

 

「あっ・・・うん、そうだね綾ちゃん。んっ・・・あれ?何これ、結構甘いよ?」

 

そうして高龗神様の話を聞こうとしたら、何故か甘酒を飲んだ椿の顔が急に真っ赤になって、蕩けたような表情になってきたぞ。

 

『ん?どうした椿よ。顔が赤――』

 

「うゃは〜!白狐さ〜ん!」

 

『ぬぉっ!?お、落ち着け椿!突然どうした!?』

 

えっ!?何じゃこりゃ〜!!白狐さんが心配した瞬間、ケラケラ笑いながら椿が白狐さんに正面から抱きついているんですけれど!?

 

・・・まさかの椿、泥酔!?

 

と、とにかく早く止めないと・・・神様の前で、これは流石にヤバいって!

 

「椿!今イチャイチャするのは――んんぅ!?」

 

「おい待て!何故、綾にキス――んむっ!?」

 

ひゃぁぁ・・・半年以上前ぶりに椿からキスされ――じゃなくて!くっ、落ち着け私!椿の様子、どう見ても酔っ払ってるようにしか見えないでしょうが!

 

「どうした?まるで酔っ払っているような――はっ!?その手に持っているのは、まさか甘酒か!?」

 

「いやいや賀茂様!流石に甘酒で酔うほど、椿が酒に弱い訳――」

 

「そうは言うがな、綾よ。これは妾が賀茂に作らせて、特別にアルコール度数を倍に上げとるぞ」

 

『『「えぇぇぇぇぇえ!!??」』』

 

「だが、しかし・・・ふむ、これは話をするどころではないの。よし、辛気臭いのは止めじゃ!今は宴会中、楽しむぞ!」

 

そんな私や狐2人の様子を他所に、なんと高龗神様もノリノリなご様子になっちゃったよ!とほほ・・・こっちは真面目に話をしに来たハズだったのに〜!

 

すると、そこで賀茂様が慌てて高龗神様に一言もの申してくる。

 

「ま、待ってくれ!高龗神、今話そうとしていた事は結構重要な話では・・・?」

 

「賀茂よ、そんなのお前も知っとるだろ?白狐も黒狐も知っている様だし、何ならセンターから許可をもらって話をせい!」

 

「え、ちょっ!?高龗神様、それじゃ約束が――んむぅぅ!」

 

すぐさま私も賀茂様に便乗して反論しようとしたけど、またしても椿のキスで口を封じられてしまった。

 

「んぅ、ちゅっ・・・♡そうですよ、賀茂様〜♡そんなに細かい事を気にしてばっかりいるから、それでこんなに小さくなっちゃったんでしょう〜?」

 

あかん、この子完全にキス魔となっとる!というか、賀茂様にめちゃくちゃ無礼な発言までしてるよ!・・・あ〜、今度はペシペシ頭を叩きにいっちゃったよ。

 

「ふ、ふふ・・・相当酔っているな、椿。だが、ここは酒の席だ。そういうミスもあろうが、そこはしっかりせんといかんぞ。だから椿よ、罰として私とキ――んっ!?」

 

なんて思ってたら賀茂様まで椿のキス魔の犠牲に!

・・・というか、ちゃっかり賀茂様も椿と合法的にキスしようとしてましたよね。いや、まぁ私も他人の事を言えた義理じゃないんですけれど。

 

『んんぅっ!!』

 

「ん〜、ぷはっ・・・!次、黒狐さ〜ん!」

 

『なっ――んぅっ!!』

 

そんな椿の暴走は留まる所を知らず、ちょっと不機嫌そうな白狐さんや黒狐さんの所へ行ってキスし始めちゃったぞ。そして無論、私の所にも同じように恋人繋ぎをしてきて――

 

「ん、んぅぅ〜っ!!」

 

「はむ、ちゅ・・・よ〜し!それじゃあ、また舞っちゃうよ〜!」

 

「おぉ!良いぞ良いぞ!」

 

「あははは〜!ほら、綾ちゃんも早く起きてくださ〜い!」

 

もうヤダこの子!まさか、酔っ払うとこんなに見境無いキス魔で笑い上戸になるなんて・・・しかも高龗神様の口車に乗って、私を引っ張ってまた舞と歌を始めようとしているし〜!

 

「ついでに脱いでしまえ〜椿〜」

 

「分かりました〜!」

 

「ストップ!ストップだ椿!それアカァーン!!!」

 

『なぬっ!?』

 

『それだけは駄目だ!!』

 

「高龗神!それは流石に止めてください!」

 

でも、その高龗神様と椿のトンデモ発言で鼻血出して気絶してた狐2人も、呆然としていた賀茂様も我に返ってくれたよ。・・・と思ってたら、椿はキョトンとしながらも普通に巫女服を脱ごうとしてるんだけど!!

 

「よ〜し、ひっく・・・!それじゃあ上から!」

 

『止めんか、椿!!』

 

『もう完全に酔っているだろう!!』

 

「というか、仮にも女の子なんだから恥じらい持って〜!!」

 

「失礼ですね、皆!僕は酔ってな〜い!」

 

『『「どう見ても酔ってる!!」』』

 

とにかく、狐2人と一緒に服を押さえて、何とか椿が脱ぎ散らかす大惨事は避けられたけど、今度は半泣きになってへたりこんできちゃったよ。

 

「ふっ、うぐ・・・僕の裸なんて、誰も見たくないんですね・・・ぐす」

 

「あー、いや・・・そういう訳じゃ、ないけどさ・・・」

 

『惑わされるでない、綾!というか、何でそうなるんじゃあ!』

 

『誰か、椿を止めてくれ!』

 

そうして椿を宥めようと慌てていると、彼女はウトウトしながら囲んで押さえていた私達の腕にもたれかかってきた。

 

「う〜・・・白狐さんに黒狐さん、それに綾ちゃんの・・・馬、鹿・・・」

 

『ん?椿?』

 

『おぉ、寝たのか・・・た、助かった〜』

 

「はぁ〜、どうなる事かと思ったよ・・・」

 

「ふむ、残念じゃの。綾まで脱がされるのを期待しとったが、まぁ良い。妾は十分に楽しめたし、もうここいらで帰るとするか。お主ら、椿によろしくの〜また呑もうと言っといてくれ!」

 

『『「もう勘弁してください!!」』』

 

そして、高龗神様は二度と椿に酒を飲ませようとしないで欲しいかな!度数が倍になった甘酒でコレなんだから、下手に酔っ払わせたら絶対に酒呑童子より面倒な事になるよ!

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