私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

360 / 390
第弐拾肆話 いつの間にテレビ局とかに売り込みかけてたの!?

 

その翌朝。椿の二日酔いも収まったので、私達は任務の確認の為、狐2人とセンターの地下へと向かう。

 

『よし、椿よ。今度、一緒に月見酒するぞ』

 

「おいこら、白狐さん?何また椿を酔わせようとしてんですか?それなら私が夕飯の時に甘酒を・・・」

 

「嫌です!綾ちゃんも僕を酔わせようとする気満々じゃないですか!」

 

『だが、椿・・・高龗神様が"また一緒に飲むぞ"と、そう言っていたからな。だから、とりあえずでも飲めるようにはなった方が良いんじゃないのか?』

 

「黒狐さん、嘘でしょう・・・?」

 

そんな他愛ないかもしれない会話をしながら、地下のセンターに到着し、そこの扉を開いた瞬間――

 

「何じゃと!?それは真(まこと)か!!」

 

それと同時に、椿の爺さんの尋常ではなさそうな叫び声が聞こえてきたので、私と椿はビックリしつつも大声のした方へ駆け寄る。

 

「おじいちゃん、どうしたの!?」

 

「一体、何がどうしたんですか!?」

 

「おぉ・・・椿と綾か。良い所に来た!実はな、ここ京都に住む半妖の奴らも、お前さん達が通っていた学校の旧校舎へ誘われるように向かっていき、そのまま出て来なくなってしまったんじゃ!」

 

「「何(だって・ですって)!?」」

 

そんな・・・じゃあ、まさか雪達も何者かに操られて旧校舎の中に――

 

「てぃ」

 

「うわ首すじ冷たぁ!?・・・って、あれ?雪、大丈夫なの!?」

 

「うん、この家に居る半妖達は何とか。家に張られている結界のお陰で、とりあえず無事」

 

「良かった・・・雪ちゃん達、無事だったんですね」

 

あ〜・・・そういや、椿の爺さん家って何も知らない他者や悪い連中が寄り付かないよう、妖術とかの干渉も防ぐ程の結界が張ってあったんだっけな。

 

「とにかくじゃ、2人共。あの様子では旧校舎を調べていた捜査零課の者達も、全員が捕まったと見た方が良いじゃろう」

 

「そんな、三間坂さん達も捕まっちゃったなんて・・・杉野さんや犬吠埼さんは夏美さんが看護しているとはいえ、これじゃもう打つ手は私達しか無いって事か」

 

「左様じゃ。こうなってはもう、調査もクソも無い。そこで椿に綾、お前さん達は霊狐を使って旧校舎へ侵入し、捕らえられた者達を救出して欲しいのじゃ。本当は危険に晒したくは無いのじゃが・・・これはもう、手段を選んでいられる状況ではないからの」

 

そう言って、爺さんは私と椿に難しい顔を向けてくる。向こうからしたら心配する気持ちも分かるけれど、もう今の私達は特級ライセンスを持っている、この家では1番と言っても良い戦力だ。

だから、ここは打って出るべき状況だと判断した爺さんは間違いじゃないと思う。

 

「そんなに心配しないでください、おじいちゃん。それに、何も僕と綾ちゃんだけで行く訳じゃないでしょ?」

 

「むっ?・・・あぁ、そうじゃな。いつものメンバー、お前さん達のチームで向かえ。それと、今回は龍花達4つ子も同行させる。白狐と黒狐、そっちは後方でサポートに回るんじゃ」

 

『あぁ、分かった』

 

『流石に今回は、気を引き締めないといけないようだな』

 

その爺さんの言葉に私達は勿論、美亜や雪も真剣な表情を浮かべる。

間違いなく待ち伏せはされているだろうし、そこに華陽が潜んでいる可能性だってある。それに、もしかしたら八坂さんも・・・。

 

「さて、これで作戦は決まったね!」

 

「雪ちゃん、他の皆を集めてください!しっかりと体勢を整えて、準備万端で行きますよ!」

 

「うん、分かった・・・でも、あともう少しだけ――」

 

「いやいやいや!さっきから散々、私のポニテと椿の尻尾は触りまくってたでしょ〜が!」

 

「魅了されているから、仕方な――」

 

「雪ちゃん、そのくだりはもう良いですから!それどころじゃないでしょう!」

 

そう椿にツッコミを受けて、ようやく雪はションボリしながらも手を離してくれたよ。この子は全く・・・こっちが少し油断してたら、す〜ぐ触ってくるんだよな〜。

 

それから私達はセンターを後にしようとすると、今度は酒呑童子が龍花さん達4つ子と共にホールへと入ってきた。

でも、4つ子の人達と酒呑童子って水と油よろしく、ウマが合わないから一緒に行動してるのはハッキリ言って変なんだけど・・・ハッ、まさか!

 

「よぉ、椿に綾。翁から話は聞いたかよ――って、何だ2人共その顔は?」

 

「・・・酒呑童子さん、とうとう龍花さん達を脅したんですか?」

 

「いくら酒と同じくらい女が好きだからって、流石に節操が無さすぎじゃないの?」

 

「んな事してねぇよ!たまたま――」

 

「椿様、綾様。私達が脅しているんです」

 

「あ〜、そういう事ね・・・」

 

「あぁ、なるほど・・・納得しました」

 

「椿も綾も納得してんじゃねぇ!!」

 

まぁまぁ、冗談ですよ冗談。どうせ、此処に来る途中で偶然ハチ合わせただけっぽいみたいだしね。何せホールに入ってきた瞬間に、龍花さん達は酒呑童子から距離を取ってたもん。

 

「そんな事よりも、椿様に綾様。そちらの準備が出来たら、いつでも私達にお声掛けください」

 

「あっはい、分かりました虎羽さん」

 

「じゃあ、皆と話し合いが終わったら戻ってきますね!」

 

いつにも増して真剣な雰囲気を纏った龍花さん達と一旦別れ、私達は作戦会議をするべく自分の部屋へと向かう。

 

「雪、これから作戦を練るから、皆を私達の部屋に集めてくれない?」

 

「綾、もうメッセージ送ったから大丈夫」

 

「早っ!?」

 

「相変わらず、雪ちゃんは仕事が早いですね。僕と綾ちゃんのファンクラブの人数が、もの凄い勢いで増えていく理由も分かる気がします」

 

あー・・・そういや私達のファンクラブって、一大勢力になりかかっているくらいには沢山居たんだけっけ・・・これカナが生きてたら多分、更に人数多くなってヤバかったかも。

 

「そうだ、綾に椿。この任務が終わったら、海外のロケに――」

 

「アカン!それ死亡フラグだよ雪!!」

 

「っていうか、僕も綾ちゃんも芸能人じゃないですよ!!」

 

おぅおぅ重大な仕事を前に何て事を言い出すの、この子は。もうカナに続いて親友を喪う事になるのは・・・って、待て待て。

今ちゃっかりロケとか言ってませんでした!?雪ったら、いつの間にテレビ局とかに売り込みかけてたの!?

 

「今度プロデューサーが、綾と椿をメインで企画をやって――ふぐっ!?ひ、ひきなり頬ひっぱらはひへ!」

 

「ゆ〜き〜?まさかとは思うけど、人間界と妖界の芸能界・・・その両方に売り込みかけてたりしないよな〜?」

 

「うん、ひょうほう」

 

「ぎゃあ!嘘だぁ〜!!」

 

私達のマネージャーかよ!?私達に何の話も無くメディア関連を色々進めてたなんて、こりゃもう作戦会議の前に雪の説教コースだよ!!

 

「はぁ・・・更に悪いですね。雪ちゃん、作戦を立てる前に先ずは君の説教です」

 

「・・・うぅ、椿と綾は売れたくないの?」

 

「そういう訳じゃないけど、限度ってモンがね!」

 

「僕も、アイドルになりたい訳じゃないのです。だから――ひゃう!?」

 

「こんなに可愛いのに?」

 

そして、ま〜た雪は椿の尻尾をニギニギしてるよ。

そもそも、こんな悪ふざけをしてる場合じゃないと思うんだけど。

 

「はぁ〜・・・雪、とりあえず椿の尻尾から手を離しな。私達をアイドルにしたい気持ちも分かるけど、今はそれどころじゃないんだからさ」

 

「うん・・・でも全部が終わったら、2人共アイドルになってくれる?」

 

「ひっ、あぅ・・・というより、何でそんなに雪ちゃんは僕と綾ちゃんをアイドルにさせたがるんですか?」

 

そう椿が問いかけると、雪は彼女の尻尾から手を離しつつ、肩に掛けていたバッグから私と椿のツーショットがプリントされたポスターを取り出してきた。そして、そこにはカナの文字で――

 

『椿ちゃんと綾ちゃんを世界初の妖怪アイドルコンビにしてみせる!!』

 

「これは香苗が叶えたかった夢・・・だから、約束した。香苗に何かあったら、私が代わりに香苗の夢を叶えるって。それに・・・香苗の夢と同じ夢を、私も持っているから」

 

「・・・カナちゃん」

 

「・・・はは、本当どこまでもカナらしいよ」

 

その雪の覚悟の言葉には、私も椿も流し切った涙が再び込み上げてきそうになってしまったよ。

カナ、お前が生きていたなら今みたいな馬鹿っぷりとかに文句を言ったりしてたのに・・・それなのに、ここまで私達を寂しくさせるなよ。

 

・・・あれ?いやでも待てよ?アイツ、確か椿の子供に生まれ変わろうとしてなかったっけ。

もし記憶とか引き継いでくるんなら、説教はその時にでもすりゃ良いのかな?

 

そんな事を考えながら目元に浮かんだ涙を拭っていると、私達の後ろから狐2人もやって来た。

 

『どうした、椿に綾よ?こんな所で泣きそうな顔をして、何かあったのか?』

 

『その紙の様子からして、また親友絡みか?全く・・・お前の親友は、いつもお前達2人を泣かせているな』

 

椿の持っていたポスターを見た黒狐さんは、そう言って白狐さんと共に難しい顔を浮かべる。すると、そこで椿はとんでもない事を言い出した。

 

「白狐さん、黒狐さん・・・全ての問題が片付いたたら、すぐに子作りしよ?」

 

「ぶふぅっ!!・・・つ、椿!?」

 

これには私どころか、狐2人も飲んでいたペットボトルの緑茶を吹き出してしまっていたよ。

 

『ゲホ、ゲホ・・・!!そ、それは?ど、どういう事じゃ?』

 

『しかも、俺と白狐の両方とか!?』

 

「うん、確実に作りたいから・・・2人共のね。あっ、それと・・・出来やすいよう、ちゃんと僕の安全な日も見ておかないと」

 

そんな椿の素っ頓狂かつ衝撃的な発言を聞いてアングリと口を開きっぱなしにする私の横では、とうとう狐2人は幸せそうな顔をしながら、人類の未来の希望を守り抜いたアンドロイドよろしくサムズアップしながら鼻血を出してバタン!と気絶してしまった。

 

「あー、うん・・・椿、とにかく一旦落ち着こう?」

 

「えっ?――って、白狐さんも黒狐さんも気絶してる!一体どうしたんですか!?」

 

「椿、ナイスどストレート」

 

おぅ、雪はホクホクした笑顔でガッツポーズするの止めてあげなさい。多分、椿はカナに再び会いたい想いが暴走した結果、生まれ変わったら説教出来るって思っちゃったんでしょ〜から。

 

「あ、あっ・・・ち、違う!そうじゃなくて!!あの、僕は・・・カナちゃんに会いたくて!」

 

「えーと、その・・・椿、それ狐2人には聞こえてないと思うぞ?たった今、気絶したぞ?」

 

「あっ、あぁ・・・うわぁぁぁ〜!!」

 

――とか何とか思ってた途端、椿ったら顔を真っ赤にして自分の部屋へ一直線に逃げて行っちゃったよ。

こりゃもう、しばらく狐2人とは恥ずかしくて顔を合わせられそうにないね・・・たはは。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。