私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第参拾壱話 すみません!それ私の許容荷重を超えてるのですが!

 

それから私達はダルマみたいにコロコロした体型のオッサンに案内され、あの屋敷の屋根へと戻ってきた。

 

オッサンによれば私と椿が落ちてきた屋敷は本来、悪霊達だけが出入りできるように色々細工をしていたらしいけど……そんな中を美味そうな匂いに釣られて一発で厨房まで辿り着いちゃった、な〜んて椿ともども口が裂けても言えないわ。

 

――それはさておき、私達が屋根に登ってきたのを見るなり、黒い大蛇は赤い口をカッと開いて威嚇してきた。

 

「さてと……何があるか分からないし、ここは金狐の姿にならず倒したいですね」

 

「だけど椿、あんな相手に良い方法とかあるの?」

 

「まぁね、綾ちゃん……玩具生成!」

 

すると、けん玉の柄を左手から出した椿は右手から黒い炎の塊を玉の代わりにして、ポンポーンと軽く動かし心地を確かめる。

 

「よし、そしてコレを――っと、たぁっ!!」

 

それから彼女は素早く紐の着いた玉をクルクル縦に回し、勢いの付いたそれを黒い大蛇に向けて飛ばす。

なるほど……これは椿の妖気で作り出された玩具だから、どこまでも紐が伸びていく便利な飛び道具って訳だね。

 

「シャァァア!!」

 

「――って、ちょちょちょ!椿、全然効いてないんだけど〜!?」

 

「大丈夫です!よっ、ほっ……はっ!」

 

しかし、そんな攻撃が通用しない状況でも椿は全く慌てる事なく、けん玉の柄や手元を器用に動かして今度は黒い大蛇の口元に紐をグルリと一回転させた。

 

まさか……これって!

 

「シィィ……キッ!?」

 

「よし!けん玉の紐で口を縛り付けました!でも、向こうはまだ向かってくるみたいですね……綾ちゃん!」

 

「OK!後は任しとけ!」

 

そして、私は椿へ飛びかかってくる黒い大蛇の前に飛び上がり、氷霰剱からジェットのように冷気を噴出させる。

 

「吹っ飛べ――細氷拳!!」

 

「シ――ギィィィィ……!」

 

殴り飛ばした黒い大蛇は深い霧の立ち込める下へと落ちていった。

だけど……ドシン!とか屋敷にぶつかったような音も無く、徐々に私達は「これ本当に倒せたのかな?」と不安な気持ちになっていく。

 

「……で、これ後を追うべきかな?落ちた音がしないって事は、ひょっとしたらまた別な空間に繋がってるのかもしれないし……」

 

「も、もちろん高い所が大好きな美亜ちゃんから――」

 

「ふん、嫌よ」

 

でしょうねチックショウ!そりゃあ、こんな見えない穴の先に旧校舎への道があるかも分かんないけどさ……。

 

「それじゃあ、とりあえず下は危険そうなので他の屋根に――って、他の屋根が無いんですけれど……」

 

「うわ、本当だ……どうしよ」

 

狐2人も妖怪スマホで調べてくれてはいるけど成果は無いっぽいし、これは飛び降りるしか無いのかな?

 

「う〜む……この霧は、もしや……」

 

すると、そんな中で屋敷から私達に着いてきているダルマみたいな妖怪のオッサンが、何かに気付いた様子で唸っていた。

 

「オッサン、何か分かったの!?」

 

「ああ、やはり間違いない。だが……この空間異常の事は翁に連絡して対処してもらうから、お前達は先に飛び降りろ。なぁに、"旧校舎に向かいたい"と強く念じれば、きっと大丈夫なハズだ」

 

「「えっ……?」」

 

――しかし、そう私と椿でキョトンとした声を上げたと同時に、いきなりオッサンは私達を突き飛ばしたのだ!

 

「きゃぁぁぁあ!!」

「ぎぃやぁぁあ!!」

 

いやまさか突然ドーンって突き落とされるとは思わなかったわ!しかも、後から皆の悲鳴も聞こえてくるし……あのオッサン、最初から落とすなら一言は寄越せ〜!

 

「ってか、今度は地面が目の前に――ぶべ!!」

 

そして、突如現れた地面に私が顔面着地をしたと同時に、その上から椿のお尻が――

 

「ごぉえっへ!!」

 

「ぎゃんっ!……あっ、綾ちゃん!大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫大丈夫……というか落ちて分かったけど、ここは大して高くなかったみたいだね。それにこのボロボロの廊下とか、旧校舎の中に戻っ――」

 

そう言いかけた瞬間、私の上から次は美亜が……。

 

「ごっすん!?」

 

「あら綾、ごめんなさいね〜」

 

「いでで……そう思うなら、早く私の上から退いてくれよ……」

 

椿と違って身体の肉付きが少ないからか、さっきより地味に痛かったような――と、いかんいかん……美亜が何かジトーって目で見てきてるわ。椿に続いて私の心中を読める人が増えるのは、ちょ〜っと勘弁願いたいぞ。

 

「それより、綾ちゃん。このパターンだと他の皆も落ちてきそうだから、とりあえず早く離れないと……」

 

「ああ、そうだね……って、あれ?何か、今度は椿の上の方から声が聞こえてない?」

 

「えっ?僕の上から?」

 

「きゃぁぁあ!!」

 

「――って、ギャフン!?」

 

とか言ってたら椿の上に落下してきたわ!椿の頭を隠すくらいにフサフサな尻尾、落ちてきたのは里子だな。

 

「わぅ……び、びっくりした……って、椿ちゃん!?」

 

「うぅ、里子ちゃん……早く退いてください……」

 

だが、そう言う椿に対して里子は何故か恍惚とした表情で彼女の上から離れようとしない。

 

「あぁ……椿ちゃんが、私のお尻を――きゃぅん!」

 

「おぅ快感に打ち震えてんじゃねーですよ」

 

「もう、本当に里子ちゃんは相変わらずです……」

 

そうして椿は起き上がりながら里子を後頭部から振り落とし、今度こそ巻き添えを食らわないように移動する。

 

しかし……。

 

「ぁぁぁあ!!」

 

「って、またかよ――ぎゃん!!」

 

「ぎゃぅ!何で場所を変えたのに、キッチリ僕達の上に落ちてくるんですか〜!?」

 

いやホント椿の言う通りですわ……ちなみに今回は私の上には雪が、椿の方にはわら子と楓が落ちてきました。

 

「ヤ、ヤバいヤバい……皆の落下が直撃しまくって、流石にフラフラしてきた……」

 

「はぁ、はぁ……もう、これ以上はキツいですよ……」

 

『うぉぉぉ!?』

『ぬぁぁぁ!!』

 

「って、やっぱり僕達に落ちてくるんですか〜!!――ぎゃうう!!」

 

「すみません!それ私の許容荷重を超えてるのですが!――みぎゅっ!!」

 

そうして私は黒狐さんに、椿は白狐さんにそれぞれ押しつぶされてしまったのであった。

……ちなみに守護の4人は朱雀さんの力で、レイちゃんと一緒にフワフワと降りてきました。

 

おのれ〜、行きたいと意識した場所に転移出来ると知ってたら、無駄に悩む必要も無かったのに……トホホ。

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