私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第肆話 たった1人の防衛戦

 

突入した椿の後を追わせない為、それからも私は旧妖怪センターの入り口に立って、向かってくる地獄の鬼達を相手に激しい戦闘を続ける。

 

気がつけば、もう椿が突入してから1、2時間は経っていた。そして、今は第3ウェーブとなる地獄の鬼達の先陣が向かってきている。

 

「はぁぁぁ……凍風斬!!」

 

――まずは前哨戦に麒麟甲を呼び出し、氷霰剱と一体化した肘の直刀から巨大な冷気の刃を作り出す。それを大きく振るい、四方八方から迫る地獄の鬼達を薙ぎ払って凍結粉砕する。

 

出発する時に妖怪食のいなり寿司も持ってきていたから、妖気に関しては大分の余裕があるハズだ。

問題は、私が突入するタイミングで椿は何処まで十極地獄の中を進めているかだけど……あの子ならきっと、負ける事は無いと信じている。

 

「ぐぉぉぉ……妖怪は殺せぇ……!」

「我ら、閻魔大王様の為に!」

「地獄の恐ろしさ、見せてやるぅ……」

 

「――にしても、またポコポコ生えてきたな〜。あれだけの数を復活させるだけでも、相当な妖気は消費するだろ、普通」

 

ざっと数えて千以上の敵を一瞬で倒したけれど……流石、十極地獄を呼び出した茨木童子の妖気だ。こっちがいなり寿司を食べて妖気を整えてる間に、もう地面から鬼を復活させてきているよ。

 

だけど……それならそれで、相手の妖気がガス欠になるまで、私も派手に暴れさせてもらうだけだ!

 

「お次はコイツでも食らっとけ!緊急祭繰龍・呼応(エマージェンシーサイクロン・セイレーン)!!」

 

妖術の名を叫びながら私は右手と左手をそれぞれ別方向に突き出し、その手のひらから以前にも増して風圧などが強化された竜巻を発生させる。

 

「ぐぎゃぁ!」

「ひぃぃぃ!」

 

そして、それらに飲み込まれて身動きが取れなくなった鬼達同士を竜巻の中でぶつけ合い、復活した奴ら全員が赤い飛沫になるまですり潰した。

 

「はぁ、はぁ……!クソッ、思ったより復活のペースが早い……!」

 

出来る事ならリスポーンキルの為に緊急祭繰龍を展開し続けたい所だけど、こっちは妖気をドカ食いするほど燃費が悪い。

いなり寿司の数で言うなら、1つ食べて数分間展開し続けるぐらいが限界といった具合だ。

 

しかも、どうやら茨木童子は自分の命が危険なのを覚悟でギリギリまで妖気を使い、数の暴力を早い復活ペースで補って私を倒す事に決めたようだ。

何せ最初に復活した時より、およそ半分くらいの時間に早まってきているからね。

 

「だったら、今度は速さと手数で――妖異部位変化、"有頂天・白虎"展開!!」

 

私は両足の儀礼衣装をスピードに優れた"有頂天・白虎"に変化させ、クラウチングスタートで音速の世界へと駆け出す。

 

「なっ!?姿が消え――ぐげっ!」

「どこだ!一体、どこから攻撃を――ぎぇび!?」

「まさか、俺達の目じゃ追えない速さで――ごぶぅ!!」

 

そして、地獄の鬼達が止まって見えるほどのスピードで戦場を駆け巡って、その1体1体を肘の直刀や雷霆蹴といった致命的な一撃で確実に潰していく。

 

――もちろん、旧地獄センターへ入ろうとする奴は最優先で対処しながらだ。

 

「むっ、そこか!」

 

「うわっ――あっぶな!流石にそろそろ無理かと思ったけど、もう見えてんのかよ!?」

 

だけど、予想外の事態は悪い状況だと良く起こるもので、あと少しで更に復活した連中を殲滅出来そうな時に、白虎のスピードも見切られてしまったよ。

 

そうして攻撃を避けている内に、気付いたら鬼達に取り囲まれてしまったけれど、この程度で狼狽える私じゃない。

 

「もらった!死ねぇ――ぎゃぁ!?あ、熱い〜!!」

 

「――妖異部位変化"怒髪天・朱雀"、展開!からの、火雷神の気砲(ほのいかずちのかみキャノン)!!さぁ〜て、まだまだ私はいけるよ!かかってきやがれ!!」

 

不意打ちで攻撃されそうになった瞬間に、今度は両腕の儀礼衣装を"怒髪天・朱雀"に切り替え、その周囲に激しい炎を燃え広がらせる。

 

私の使える中で最も妖気の消費が大きい火雷神の気砲だけど、今の包囲陣を突破するには使わざるを得ない。

 

「なら、この神社の鳥居を一撃で破壊した呪いの大斧で――なっ!?コイツを防いだだと!」

 

「妖異部位変化"悲愴天・玄武"!そして、か〜ら〜の〜……細氷拳!!」

 

「ぐっ、何て早い連撃――がはっ!!」

 

そして高い威力を持つ攻撃に対しては、頭に圧倒的な防御力を誇る"悲愴天・玄武"の髪飾りを展開して防ぎ、ノーガードで避けきれない距離から細氷拳を叩き込む。

 

――全ての戦闘バランスが高く揃っている"雀躍天・青龍"で対処しきれないなら、他の儀礼衣装も展開して足りない部分を補う。

 

こうすれば、その分だけ妖気の消費も増えはするけど、さっきの2つの妖術を発動するよりは燃費が抑えられるんだ。

私が記憶を取り戻したからこそ使えるようになった、いわば特撮ヒーローの全部乗せフォームみたいな感じだな。

 

だけど……。

 

「くっ、こうなれば……お前ら!先にセンター内へ突入した奴を追うぞ!」

『うぉぉぉお!!』

 

「チッ、やっぱりそうなりますか……させるかっての!そこを退け!!」

 

私1人で防衛戦線を張ってるせいで、敵が何個かの分隊に分かれての突撃に切り替えてきた。

 

しかも、私と戦う為に向かってくるのは多少なりとも倒すのに時間がかかる奴ばかり……不味いな、これじゃあ十極地獄で戦っている椿が後ろから挟み撃ちにされる!

 

そう思った矢先――入り口に向かっていた連中が、いきなり地面から生えてきた巨大なツタに足や腕を絡め取られ、突如として吹き荒れた吹雪に身体を凍らされていく。

 

この呪いの気を感じる植物に、妖気が混ざった吹雪は……まさか!

 

「はぁ〜……全く、アンタら相変わらず無茶ばっかりやるわね。せめて、此処に向かう事ぐらいは書き置きしときなさいよ」

 

「助けにきた……けど、後でタップリ皆で説教させて。もちろん、椿も一緒にね。」

 

「美亜!雪!それに、皆も!?」

 

思いがけなかった仲間の到着に、ついつい私は素っ頓狂な声を上げて驚いちゃったよ。

 

もう誰にも迷惑をかけないようにと出てきちゃった身ではあるけれど、それでも私や椿の為に来てくれた事が嬉しくて少し涙が出そうだ。

まぁ、それはそれとして勝手に出て行った件についてはミッチリ怒られそうな感じだけどね……。

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