私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陸話 突入部隊と防衛部隊

 

『なる程……我等の妖気が回復しにくかったのは、仮の体だったわけか』

 

『しかし何故、俺達はその時の記憶が無いんだ?』

 

「多分。僕の力が、強すぎたんだと思います。それで、一時的に記憶が……」

 

それから私と椿は皆に、思い出した記憶の殆どの事を話した。

もちろん、それは私と椿だけで全部の事を終わらせようとした理由の説明の為でもあったんだけど、流石に妲己さんの身体の事とか皆の危険に繋がるような、あまりに重要そうな事は伏せておいたよ。

 

だけど、それを聞いても狐2人は心配そうな眼差しを椿に向けている。

 

『ふむ……全てを滅ぼす程の力、か。しかし、天照大神の力や伝説の妖狐の力なら、そんな事には……』

 

「白狐さん、僕には相反する天津甕星の力も混ざっているんですよ?今はもう力が変異しちゃっていて、もうオリジナルの神の力になっちゃっているんです。そして、それは綾ちゃんも同じ……ですよね?」

 

「うん、まぁ……そうだね。だけど、あの時の戦いで魂が傷ついたせいか、白狐さんの記憶も黒狐さんの記憶は無くなっちゃってたみたいだ。てっきり記憶が封印されているものかと、そう思っていたけどさ……」

 

「僕は2人に、とんでもなく酷い事をしているんです。それなのに、妻にとか結婚するとか、そんなの……そんなの駄目なんです!僕なんかじゃ……!」

 

だからこそ、椿も私も狐2人には顔向けできないと思っていたんだ。でも、まさか向こうから心配して出向いてきちゃうのは予想外だったな。

 

すると、そんな椿の手を白狐さんと黒狐さんは、彼女の手を引いて自分達の間に挟むようにして抱きかかえてきた。

 

「ちょっと、いったい何を……」

 

『椿よ……そんな理由で我等がお主を怒ったり、お主を嫌ったりすると思うか?』

 

『あぁ、その通りだ。むしろ、また会えた奇跡に感謝するしかない。もしかしたら、そのまま二度と会えなくなっていたのだろう?』

 

「そんな事言っても、僕が危険なのには変わりないんですよ!だから、僕はもう……」

 

涙目になりながらも突き放そうとする椿だったけれど、それでも2人は彼女を抱きしめる力を強くする。

 

『大丈夫じゃ、椿。今度は、その力をしっかりと扱える。自信を持て、我は信じているぞ』

 

「ふぐっ……なんで。なんでそんなに、ハッキリと言えるんですか? 僕なんか、僕なんかじゃ……」

 

『椿……お前は今まで、何を得てきた? もう過去のお前とは違うだろう?自分なんかが、とは言うな。お前なら、大丈夫だ』

 

「うっ……ぐす……っ!」

 

そして、その狐2人の言葉で椿は1人で戦う意志を投げ捨てたみたいだ。

 

とはいえ、皆も「たとえ何を言われても戻らない」といった表情をしているから、私がフォローに入っても結局は変わらなかった感じはするかな。

 

「本当……厄介な妖怪さん達に、椿は好かれちゃったね」

 

「厄介とはなによ。凄く厄介と言いなさいよ、綾らしくもないわね〜」

 

「はは……それ言われたら立つ瀬も無いよ、美亜。私の方が、先に椿を好きになったと思ってたんだけどな〜……」

 

だから、きっと椿は狐2人が傍にいてくれれば、これからも戦っていけるハズだ……そう、私が居なくなったとしても。

 

……だけど、やっぱり狐2人とイチャイチャしてるのを目の当たりにすると、胸の中に色々と込み上げてくるものがあってキツいや。

 

そんな重い気持ちを切り替えるべく、私は大きく咳払いをする。

 

「ゴホン!……で、これからどうする?このまま皆で先に進んだら、後ろから来る地獄の鬼達を確実に抑えられる人材は少なくなっちゃいそうだけど……」

 

「ふむ、確かに綾様の言う通りですね……翁が指示をとっているとはいえ、向こうの復活速度は外の妖怪達が状況を立て直すより早いですし」

 

「だから、龍花さん達は椿に力を貸してあげて下さい。今は、何としてでも茨木童子を止めないといけない。なので、私は外で妖怪の人達を助けながら、地獄の鬼達が湧いてくる所を叩きに行きます。だけど……ついでに、華陽と八坂さんを此処におびき寄せます」

 

その私の言葉に、皆は真剣な表情をしながら頷く。そして、そんな中で真っ先に手を挙げてきたのは――

 

「それなら、私も綾さんと共に行きます。街を半分も占拠する程の鬼を相手するなら、戦える人は多い方が良いでしょう?」

 

「美弥子……ありがとう」

 

すると美弥子に続いて、数人が手を挙げながら私の前に歩いて出てくる。

 

「ふむ……華陽と八坂を相手取る事になる事を考えれば、僕もそっちに同行するとしようか。それに、好き勝手やっている地獄の鬼共には痛い目を見せてやらないといけないからね」

 

「伊吹さん!アンタも来てくれるのか!」

 

「美味しいところは親友に任せるなんて、全く人間っていうのはつくづく不思議な所があるわね。良いわ、楓ちゃんの世話を見てくれている礼も兼ねて、私も一緒に行ってあげる」

 

「マジか!助かるよ、海音!」

 

そうして2人の手をそれぞれギュッと握って微笑んでいると、何か見覚えのあるツインテの猫少女が気まずそうにしながらも声をかけてきた。

 

「えっと、その……美亜お姉様や美弥子達の事では、すごく助かったわ!だから、うぅ……私にも手伝わせてちょうだい!」

 

「……ちょっとタンマ、誰お前?」

 

「美海よ!あの時、胸を短刀で刺された私を助けてくれたでしょう!?」

 

「あ〜……居たなぁ、そういえば」

 

ようやく思い出した、確か美亜の妹さんだったっけか。半年以上も前の事でドタバタしてた状況だったから、流石に記憶が微妙だったぞ。

 

そんな事を懐かしんでいる中、空中からアイツもアクロバティックな動きで私の前に降りたってきた。

 

「自分もお供しまっせ、綾ちゃん!地獄の鬼を退治するなら、空から見張る頼りになる目は必要不可欠やろ!」

 

「それはそうだけど……大丈夫か、浮遊丸?お前、何か悪い物でも食べたのか?普段のスケベさは何処いったんだよ?」

 

「えらい扱いひどいなぁ!?自分、これでも真面目にやらなアカン時はやるんでっせ!?」

 

「あ、あぁ……じゃあ、頼りにしてるよ」

 

こうして大体の面子が決まり、私は自分の元に集まってきた人達の顔ぶれを見返す。

 

――美亜の妹である美弥子と美海。

――酒呑童子に負けず劣らずに強い伊吹。

――そして楓の実家に居る妖怪の皆に加えて、偵察係を担当する浮遊丸だ。

 

「それじゃあ……椿、改めて行ってきます」

 

「了解です!だけど……くれぐれも無茶はしないでくださいね、綾ちゃん!」

 

「おうともさ!」

 

それから私は椿の方に振り返り、笑顔で手を振ってから防衛部隊の皆と地上へと戻った。

 

さて、と……さぁ、妖界を守る為の戦いの第2フェーズの幕開けだ!!

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