私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陀話 莫大な妖気は何処から?

 

それから私を筆頭にした防衛部隊は、旧妖怪センターの入り口を守るチームと、街に展開している地獄の鬼達を叩くチームに分かれて、時間的には昼から夕方になるまで激しい戦いを繰り広げていく。

 

だけど、どれだけ倒しても地獄の鬼は復活し続けていて、いまだに街の奪還は半々から中々進まないのが現状だ。

 

――そんなもどかしい状況でも沈まない夕焼けを眺めながら、私は旧妖怪センター近くに建てた臨時の拠点で美弥子の淹れてくれた妖気補充用の紅茶を啜った。

 

「とうとう日が暮れちゃいましたね……綾さん」

 

「それでも、鬼の連中はひっきりなしに襲ってくるから面倒だな〜。全く……こんな時間でも街を襲うのを止めないなんて、実は地獄って労働環境ブラック過ぎなんじゃないか?」

 

「あはは……でも、今の私達も似たような状況ですもんね。こっちは殆ど、ボランティアみたいな感じではありますけれど」

 

「こりゃ、後で報酬要求する奴とか出そうだよな……」

 

まぁ、そこは椿の爺さんとか達磨百足さんが上手くやってくれるだろう。そもそも私も椿も、こういう事務方仕事の担当じゃない訳だし。

とにかく、今は自分達の仕事を全力で果たして、椿達が茨木童子を倒して十極地獄を止めてくれるのを祈るしかない。

 

そんな事を考えていると、浮遊丸の目玉の1つが上空から私の元にやって来た。

 

「綾ちゃん、見つけましたっせ!地獄の鬼達が多く集まっている所が!」

 

「うん、ありがとう。にしても、やっぱり存在してたか……こりゃ、面倒臭い事になりそうだぞ」

 

そう私が呟くと、美弥子は呆気にとられた様子で首を傾げてくる。

 

「どういう事なんです、綾さん?」

 

「あぁ、まだ推測の段階だったから皆には話していなかったんだけど……あれだけ地獄の鬼を復活させられる妖気を、もしかしたら茨木童子は別な所から引っ張っているんじゃないかと思ってね。だから浮遊丸に戦場の偵察をしてもらいつつ、連中が一番多く集まっている所を調べてもらっていたんだ」

 

「じゃあ、その場所には何が……?」

 

「最悪やで。そこは雷獣はんが十極地獄にブチ込もうとした超巨大妖具……あの天雷が墜落した所や」

 

「うっわ、マージですか……」

 

莫大な妖気を蓄えられる物という時点で嫌な予感はしていたけれども、ここまでドンピシャに当たるなんてな。

 

さっき会った時に細氷拳の1つや2つはブチ込んでおくべきだったか?本当、しゃしゃり出てきてから余計な事ばかりしてくれやがって〜……。

 

「なら、早めに天雷を奪還する方向で動いた方が良さそうだな。浮遊丸、奪還出来た街の方でまだ戦える人員は残ってたりするか?」

 

「皆、妖気の消耗とか怪我とかでキツい奴が多いなぁ……せやけど、滅幻宗の元アジトから助け出した連中が、ここぞとばかりに頑張ってくれてるで。そっちに自分経由で繋ぎまっせか?」

 

「あぁ!頼むよ!」

 

すると、浮遊丸の目玉の瞳がテレビのチャンネルを切り替えるように動いたかと思うと、久しぶりに見る"あの妖怪"の顔写真が表示された。

 

「お前は……!」

 

『なんや綾、ごっつ久しぶりやの〜!ちぃとばかしミスって捕まってもうたが、助けてもらって感謝しとるで!浮遊丸から聞いたで、天雷だか堕ちたとこでエラいオモロい事なってるらしいやないか!わしも着いてくで〜!』

 

「間違っても、戦ってる最中に喧嘩ふっかける真似だけは止めてくれよ……?」

 

『んなけったいな事せぇへん!次やる時は誰にも邪魔が入らん、わしとサシの勝負や!』

 

そう言ってから、蟷螂坂は浮遊丸の通信を一方的に切った。

あの減らず口な関西弁や戦い好きな所は相変わらずというか、突っ込み過ぎないか不安というか……だけど、ここまで頼りがいのある妖怪は助かるよ。

 

「よし!私達も向かうぞ!美弥子、現状で行ける人を集めてきてくれ!」

 

「はい!」

 

◇◇◇

 

そうして時計が7時を回る頃に私と美弥子、そして伊吹を中核とした天雷奪還チームは旧妖怪センターから出発し、激戦区となっている京都の街並みを進んでいく。

 

「しっかし、参ったのぉ……自分らだけ無限コンテニューで万全な状態で復活するって、ほぼほぼズルやんか。はぁ〜いくらわしでも萎えるわぁ〜」

 

「蟷螂坂、あんまり無駄口叩くなよ。私だって、倒して終われるんならとっとと終わらせたい気分なんだからさ……」

 

「ま、綾ちゃんの気持ちも分からんくはないわ。ここの街の連中なら、自分の身は自分で守るくらいは出来るハズやろしな」

 

道中、苦戦している妖怪達に協力して地獄の鬼達を蹴散らしたりはしているけれど、倒して数分程度で復活してくるペースは依然変わらないままだ。

 

だから、ある程度こっちの妖怪達が回復したら先に進む……といった事をせざるを得ない。

 

「でも、何とか墜落した天雷が見える所までやって来れましたね。だけど、地獄の鬼も沢山あそこに集まっているみたいですよ……」

 

ようやく街の途中でも巨大な避雷針みたいな天雷の砲塔が見えてきた辺りで、美弥子はフゥと小さく一息をついて汗を拭った。

そんな幼く小さな彼女の頭に、蟷螂坂は自身のカマキリみたいな腕に巻いていた手ぬぐいを「ほい、使えや」と乗せる。

 

「もう一息、あとちょいやな。それにしても……おおかた、十極地獄を支えている妖気は茨木童子が保証しちょるけど、鬼達を復活させる為の妖気は自分らで確保せいって話にしたんやろなぁ。ホンマ、雷獣はけったいなモンで大失敗してくれよって」

 

「そう悪く言わないであげてください、蟷螂坂さん。きっと、あんな常に帯電しているせいで自分の頭も感電させてしまったような人でも、妖怪の人達を守る為に動いた結果なんでしょうから……」

 

それにしても美弥子ちゃん、意外とナチュラルに罵倒する言葉が出る子なのね……。

プンプン怒ってる蟷螂坂を笑顔で宥めてるハズなのに、逆に怖く見えてくるんですが?

 

「猫の嬢ちゃん……きみ、他人に嫌われやすかったりせぇへん?」

 

「えっ?いえ、そういった事はありませんでしたが……というより、家に居る方が多かったですね」

 

「えぇ……う、うせやん?」

 

もちろん、そんな美弥子の様子には流石の蟷螂坂もドン引きしていたよ。

 

これもやっぱり、美亜の家の血筋だから……とは考えたくねぇわ、うん。

あんな両親の壮絶な最期を見届けた身としちゃ、何があっても同じような事になって欲しくありませんし。

 

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