私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

45 / 390
第陀話 そのタイムリミットの話、もう少し早く話してくれませんでした?

 

「――そうなんだ。椿ちゃんは大変だね、そんなのが中に居るなんて・・・。結局、その「もう1つの人格」というか、閉じ込められてる人は妖怪なの?」

 

「う〜ん、それもよく分からないんだよ」

 

「それさえ分かれば、何かしら椿を守る為に手は打てそうな気がするんだけどね」

 

私と椿は正直に真相を話して、カナにも一応椿の「もう1つの人格」について理解してもらう事ができた。とはいえ、声だけしか分からない現状ではそれの正体については全くの謎のままだ。

 

「あっ、それとさ。その子の魂が何処に入ってるのかを探さないといけないよ!」

 

「えっ!?この子今、魂が抜かれてる状態なの?」

 

「あの妖怪、「体を一方的に交換する」力を使ってたとしたら・・・まさか!」

 

倒れている女子生徒の魂の行方、それが何処にあるのか気がついて声をあげた瞬間。同じくそれを察知したのかレイちゃんが猛スピードで教室から飛び出して行ってしまったのだ。

 

「レイちゃん!どうやら、私のカンはドンピシャだったみたいだね!」

 

「どういう事なの、綾さん?」

 

「レイちゃんが教室から飛び出ちゃった事と、何か関係があるの?」

 

「よくよく考えてみれば「1人かくれんぼ」であの妖怪が何かをしようと身構えるなら、浮かべられてるぬいぐるみが一番隠れるのに都合が良いだけの話だったんだ。そして、終わらせようと近づいてきた人の身体を自身が取り憑いてるぬいぐるみと入れ替えて――とにかく、椿はレイちゃんを追って!」

 

「あ、うん!分かったよ!綾ちゃんが何を言いたいのか、なんとなく予想できたから!」

 

そう言って椿は白狐さんの力を解放して、白い姿で教室からレイちゃんの後を追っていった。私とカナも彼女の後を追う為に走り、道中でその話の続きをする。

 

「えっ?それじゃあ、魂はぬいぐるみに入ってるって事なの?――だったら急がないと!って、でも私そのぬいぐるみを2つ程燃やしちゃったんだけど・・・」

 

「今更言ってもどうしようもないよカナ、あれに入ってないのを祈るばかりだね。それで話を続けるけど、霊狐であるレイちゃんは魂の匂いも嗅ぎ分ける事が出来るんだ。だから今は多分、あの子の魂を追ってるんだと思う」

 

「へぇ〜!凄いじゃんその子!・・・って、さっきの椿ちゃんの姿もどうなってるの!?」

 

「あー、あれは白狐さんの力を解放してる状態。とんでもなく身体能力が高くなって、すっごい速く走れたりするようになるみたい」

 

「そうなんだ、綺麗だね」

 

カナが椿の事を考えて静かに笑う。最初に白い椿の姿を見た時に私も同じような事を思っていたが、今はそれに浸ってるよりも先に優先すべき事がある。

 

「それにしても、霊体を感知するだけじゃなくて結界まで破るなんて・・・あの子、霊狐としてはかなり強力よね?」

 

「白狐さんも似たような事言ってたっけな、上位の霊狐にしても強力過ぎるってさ。それに一目見ただけじゃ懐かない妖怪だから、こうして私と椿にベッタリ懐いてるのが不思議なんだって。私はレイちゃんと運命の出会いを果たした事による一目惚れだと思うけどね、ふふ」

 

「本当にあの子の事が大切なんだね、綾さん・・・って、このままじゃレイちゃんと椿ちゃん外に出ちゃうよ!?」

 

「マジか、おい椿!早くレイちゃんを止めて!」

 

「あ、あれ?ほんとだ。ちょっとレイちゃん、何処行くの!?」

 

やっと椿に追いついた所――なんとレイちゃんは勢いのまま旧校舎から飛び出していってしまい、自信満々でまだ騒動が終わっていない今も使われてる方の校舎へと向かっていったのだ。

 

それを見て、私はさっき言ったぬいぐるみの仮説が間違ってない事を確信した。

やはり「1人かくれんぼ」をした子の魂はぬいぐるみに閉じ込められている。そうなると、その魂が入っているのはレイちゃんが向かう先――学校で暴れているぬいぐるみの中にあるのだろう。

 

「・・・って、そしたら今ほっといたらヤバいじゃん!椿、すぐに白狐さんと黒狐さん呼んで!」

 

「うん、分かったよ綾ちゃん!それとレイちゃんもストップ!この子の魂が何処にあるかは大体分かったから後はぬいぐるみを集めるだけだし、そこから探してくれる?」

 

「ムキュゥ!」

 

走りながら椿が勾玉へ呼びかけると、すぐに白狐さんと黒狐さんが返事を返してきた。

 

「白狐さ〜ん!黒狐さ〜ん!聞こえる!?」

 

『おぉ、椿よどうしたのだ?――』

 

『椿どうした?――』

 

『『何かあったのか!?』』

 

「・・・おい、焦るあまりハモってんぞ駄狐共」

 

『ん?何故お主も呼ばれとる!』

 

『白狐よ!お前まで呼ばれてどうするんだ!助けに行くのは俺だけで十分だ!お前はぬいぐるみとおママゴトでもしていろ!』

 

「やだもうコイツら」

 

椿を心配してくれる点だけは評価するが、こんな感じで喧嘩されてしまうと緊張していたはずなのにどうにも気が抜けてしまう。ある意味では悪いガスが抜けて落ち着けたのかもしれないが。

 

「こんな時にまで喧嘩してんじゃねえ駄目狐2人!まずは椿の話を聞けよ!!」

 

「白狐さんも黒狐さんも待って!行方不明の女の子なら見つけたから!ただ呪術を解くのはこの子じゃないと出来ない上に、この子は今魂が抜かれて体を交換させられてるの!妖怪は捕まえて体は取り戻したんだけど、この子の魂がまだぬいぐるみに入ったままなんだよ!」

 

そう怒鳴った私達に、何故かカナが同情するような眼差しを向けて「大変ね」と苦笑いして呟いた。

確かに、あの2人が普段も非常時もしっかりしていればここまで苦労する事はないと思っている。

 

『むぅ、なるほど。それならちょうど良い。今捕まえた先からポンポン校長室に纏めて縛っておるから、そこで落ち合おう。ぬいぐるみは後もう少しなのでな』

 

「うん、分かったよ。でもカナちゃんが言うには、魂が1日しか持たないから時間がもう無いんだって。だから急いで、白狐さん黒狐さん!」

 

2人はそれを了解した瞬間に、激しい雄叫びをあげながら勾玉の向こうでぬいぐるみと格闘する音が聞こえてきた。私達は残り時間を確認する。

 

「カナちゃん、時間は後どれくらいあるの?」

 

「う〜ん、この子を旧校舎に入れた時間からして・・・後1時間もないよ!大変!」

 

「おい駄狐共!ヤバい事に――」

 

『『よし、全部捕まえたぞ椿よ!』』

 

「って、はえええええ!!??」

 

「う・・・うん、分かった。僕達も校長室に向かうね」

 

あまりの2人の仕事が早い事に驚いた私は怒鳴りかけた声から素っ頓狂な声になってしまった。

何はともあれ、後は急いでレイちゃんに魂の在処のぬいぐるみを探させるだけだ。Hurry up(急げ)!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。