私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

57 / 390
第拾捌話 謎の使い魔の襲撃

 

「小次郎!まだ来るよ!」

 

小次郎の影から出て足を引っ掛けようとする手を見て叫ぶ。

 

「焦るな、主殿よ。私にはこの程度の動き、全て見切れている!」

 

それを彼はなんと足元も見ずにつま先を上げて避け、その手を踏み潰しながら屋根へと飛び上がって走り続けた。

 

「それにしても、とことん主達を捕まえる気でいるようだな。あの手は・・・」

 

「無駄にお喋りしない!それと、美亜も出来れば無事を確かめたいんだけど」

 

「分かっているさ。あの黒猫の娘も、主殿の大切な友人なのであろう?」

 

小次郎のその言葉に、私は何ともいえない照れ臭さを感じて顔が熱くなる。あまり意識しないようにしていたというのに、コイツはまるであの狐2人みたいな事を言う奴だ。

 

「どっちだって良いでしょ?」

 

「素直ではないな〜主殿も、あの黒猫の娘もよ。互いにもっと自分をさらけ出して話す事が出来れば――」

 

「あっ、美亜だ!早く彼女の所へ行って!」

 

すると同じく屋根を走る美亜を見つけたので、私は彼女の援護をする為に小次郎へそこに行くよう指示を出した。――彼女の姿が簡単に分かる、後10メートルくらいといった所まで近づいた時、突然小次郎が足を止めて急ブレーキをかける。

 

「ちょっと!?どうして止まるのさ小次郎!」

 

「主殿、感じないか?あの影の奴以外にも主殿を狙っているものがいるのを・・・」

 

「なんだって?」

 

私は妖気を感知する為に周囲へ意識を集中させる。すると確かに今追ってきている、影による特性で私自身と同じ妖気を有した影法師の他にも遠くに1人屋上から何者かが私達を見ているような妖気を感じ取った。

 

「ぬっ!?主危ない!」

 

「うわっ!!」

 

私がそれに気づいた瞬間にそいつが矢のような強力な光線を放ち、小次郎が攻撃を刀でいなして私から攻撃を逸らして守った。後ろを見ると、なんとそれは電柱に直撃してあっさりとへし折っている。

 

「えっ?今のは一体――」

 

「敵は此方を狙撃してきているぞ、主殿!何とかしてあの攻撃から身を隠すんだ!」

 

「マジか――って、あわわわ!!」

 

続けて、私と小次郎の居る屋根の足元に光弾が数発撃ち込まれる。その瞬間に穴だらけとなってしまった屋根が崩壊し、私と小次郎は巻き込まれるように建物の中へと落下してしまった。

 

そこへ追撃をする為か、何者かが屋根に降り立つ音が聞こえる。遠くで美亜が私の事を大声で呼んでいるので、彼女ではないのだろう。

 

「いってて・・・小次郎、大丈夫?」

 

「問題ない、主殿。それよりも、上から来る敵を迎え撃つぞ!」

 

小次郎が刀を構え、屋根の穴から飛び降りてきた敵に向かって突きを二段放つ。一発は回避され、2発目も敵の手に持つ弓で防御されてしまった。

 

――私の前に現れたのは、あの旧校舎で見た緑と水色のロボット型の使い魔だったのだ。

 

「なっ!?アイツは!」

 

「旧校舎で見たという"弓兵の使い魔"か。――影も来るぞ!」

 

弓兵の使い魔が降り立った時に、まだ影法師は獲物を狙う事を止めてなかったのか、今度は私だけでなくそいつへも襲いかかる。攻撃したという事はどうやら、少なくとも奴は影法師の味方ではないようだ。

 

それを弓兵は宝石の弓で舞を踊るようにして払い、小次郎は周囲を斬りつける一撃でそれぞれ影の手を追い払った。影法師はただならぬ雰囲気に当てられたのか、それ以降は影の手が出てくる事がない。

 

「下がっていろ、主よ。ここは私が相手をする」

 

「小次郎・・・」

 

「そこまで心配そうな顔をするな、"綾"。お前を守るのが、私に課せられた使命なのだからな」

 

小次郎が私の名前を呼んだ時、不思議と懐かしさと「昔から知っていた」ような感覚にドキッとさせられる。何故だろう、彼とはこの間学校で呼び出した時が初めて会ったはずなのに・・・。

 

小次郎が刀を正面に構えて敵を見据えた。弓兵も弓を扇子のようにして持ち直し、突っ込む構えを見せている。

 

――弓兵が踏み込んだ瞬間、小次郎が居合のように刀を振るう。

 

「甘いな――飛剣、燕払いッ!!」

 

「――っ!?」

 

小次郎が素早く振るった刀は、振り下ろす一撃目で弓兵の弓を切断して体勢を崩させ、そこから振り上げられた二撃目で敵の胸元を深く抉り取った。

 

弓兵はその場に膝をつき、傷口からは人間や妖怪とかとは違う、光の泡が大量に空中へと放出されていく。

 

「切り捨て、御免」

 

そして、小次郎の一太刀が弓兵の首を斬り飛ばした事で完全にそいつは光の泡の塊となって消滅していった。

 

「よし主殿、友人を救いに行くぞ!」

 

「え、ちょ!」

 

一瞬の内に目の前で繰り広げられた攻防戦に呆けていた私を小次郎が抱きかかえて再び屋根の上に上がる。

 

そして美亜の妖気を辿って彼女の居る場所へ追いつくと、そこには椿が上手くやってくれたのか、数体の黒くて細い影法師の本体が漆黒の矢のようなもので路地の壁や地面に縫い付けられており美亜がそれを封印していた所だった。そこに影から仕事を終えた椿と、捕まっていた人達も一緒に出てくる。とはいえ捕まっていた1人の女性の方は既に精神をやられてしまっていたようだった。

 

「悪い!椿、美亜!そっちは無事だった!?」

 

「もう、やっと戻ったわね〜!椿も綾も一体どういう事よ!こっちは綾が変な奴に襲われたりするわ、かと思えば大量に影法師が出てくるわで焦ったわよ!――っていうか、椿はどうやって妖界から出て来たのよ!」

 

2人の元へ駆け寄った途端に、1人で事態の収拾に取り掛かる羽目になった美亜から詰め寄られる。

 

「ご、ごめん!連絡の手段がなかったし、美亜ちゃんと綾ちゃんなら何とかすると思ったから・・・あっ、綾ちゃんの方は大丈夫なの?」

 

「平気だよ、椿。小次郎が襲ってきた奴を倒してくれた。でも倒した途端に消えちゃったから、誰かが差し向けた使い魔で間違いないと思う」

 

「ふ〜ん・・・まぁ、私は椿の矢で固定されている奴を捕まえるだけだったから、心配されなくても簡単だったわよ」

 

それでも美亜の顔はどこか不満げな様子だ。

 

「それにしても、あんた達は相変わらず人の神経を逆撫でするのが上手いわね。こんなの、殆ど椿が捕まえたようなものじゃない!」

 

「・・・考えてみれば、ホンマやん。特に私なんか、1人で別な敵と戦ってただけだわ」

 

「あっ・・・いや、その・・・」

 

「気にすんなって、椿。とりあえずは悪い事をしていた奴は捕まえたんだしさ」

 

私は複雑そうな表情を浮かべる美亜に軽くお辞儀しながら、椿の肩を優しくポンと叩いた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。