私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾玖話 滅幻宗への怒り

 

ひとまず、事件を起こしていた妖怪を捕まえた私達は助けた人が何処かへ電話をしているようだったので、目立つ前に退散しようと適当に後片付け

を済ませる。

 

「Bランクが11体、額はそこそこになるわね」

 

「ぶっ壊れた所とかの修理は、きっとセンターが請け負ってくれるから大丈夫かな。儲け儲けっと」

 

「綾ちゃん、美亜ちゃん。それよりも早くここから離れようよ。後は警察や救急隊員の人達に任せよう」

 

椿の言葉に了承し、3人でそそくさと路地の人気のない場所まで退散する。ふと、美亜が先程から椿の事で気になった話を持ち出した。

 

「あっ、そういえば!あんたは何で自由に妖界を出入り出来るのよ?さっき妖界から簡単に出て来たでしょ?普通は――」

 

「ごめん、言い忘れてたよ。実は僕白狐さんと黒狐さんから勾玉を貰ってて、これを使えばセンターの扉みたいに場所移動は出来なくても、直接その場所から妖界に行く事が出来るんだよ」

 

「つまりは、あの有名な青ダヌキの何とかドアみたいなものだね・・・お分かり?」

 

「えっと・・・あ、青、ダヌキ?」

 

私の喩えに美亜は首を傾げる。どうやら、ご令嬢とだけあって庶民的なものは案外知らなかったりするのだろうか。自分で持ち出しておいて、少し恥ずかしくなってくる。

 

「それよりも椿あんた・・・これ、神器レベルの妖具じゃない。なんて物を貰ってるのよ、全く。相変わらずあんたは私の神経を逆撫でするわね」

 

美亜が椿に辛辣な態度を取りながらも、私に対して何か憐れむような眼差しを向けてくる。青ダヌキの件で私の気が触れていると勘違いされてしまったのだろうか?だとしたら、私は大丈夫だと声を大にして言いたい。

 

「とにかく、早い所戻って報告しないとね」

 

「ふん、まぁ良いわ。違法な事をしている訳ではないから、あなたの方法で帰りましょう」

 

「意外に結構マジメかよ、美亜はよ〜」

 

「うるさいわよ綾!あんただけ置いて行ってやろうかしら?」

 

「もう、2人とも落ち着いてよ〜」

 

椿が勾玉を準備して、移動の用意を終えた瞬間――

 

「逃がさん」

 

「ミギャァァアッ!?」

 

「み、美亜!!」

 

突如として美亜の身体に見覚えのある数珠が巻かれ、彼女が悲鳴と共に倒れてしまう。そして、その後ろから姿を現したのは――

 

「め、滅幻宗・・・!」

 

「合縁奇縁。妖気を辿って来てみれば、逃した獲物に出会えるとはな。邪魔者を滅した後、お前達は連れていく」

 

そうやって学校で出会ったあの坊主が鈴を鳴らしだすと、椿と美亜が苦しそうな顔をして呻き始める。小次郎を呼び出して助けようとするが、あの鈴に邪魔されているのか何故か呼び出す事が出来ない。

 

「このクソ坊主!椿と美亜に何をした!?」

 

「この鈴の音を聞き続けると、いかなる妖怪と言えども脳を破壊され、苦痛の内に滅していく。そこの妖狐を死なせたくなければ、一緒に来い」

 

「ふざけんな!おい椿、美亜!しっかりして気を保つんだ!」

 

「うぐ、くっ。み、美亜ちゃん・・・」

 

「フミィィ・・・ふぅ、ふぅ」

 

こんな私しかいない状況でも、諦める事なく抗い続けている2人を見て――私は覚悟する。

 

 

【だいじょうぶだよ!いざとなったら私が〇〇〇の事をまもってあげるもん!】

 

 

かつて誰かと交わして、守れなかった約束。

 

私は今、何を考えていた?逃げる事?

 

違う、私が求めていたのは――

 

私が叶えたい"想い"は――

 

「誰かを、"守りたい"んだぁあ!誰がお前なんかの言うことなんて聞いてやるか!!」

 

「ぼ、僕だって・・・白狐さんと黒狐さん、そして綾ちゃんと一緒になって戦いたいからここに居るんだ!!」

 

椿も立ち上がり、私と一緒に坊主へと立ち向かう!いや、一緒に戦うんだ!!

 

「だぁあああ!」

 

「うわぁぁあ!」

 

私は近くに転がっていた角材で殴り掛かり、椿も白狐さんの力で突進する。

 

「ふん!」

 

「がぁ・・・っ!!」

 

しかし、私達の攻撃はいとも簡単に防がれてしまい、椿は路地の壁に吹き飛ばされ私は思いっきり杖で顔面を殴られる。

 

「いっ・・・!」

 

続けて椿にも坊主の杖が振るわれた。

けれども、私達はそんな事で怯むつもりはなく何とかして鈴の音だけでも止めようと必死に戦う。

 

「来いよ!ぜ、全然痛くなんかねぇぞ!!」

 

「うっ、くぅ。はぁぁあ!!」

 

殴り、殴られ、それでも私は諦める気など起こさずに坊主の腰へ掴みかかる。

 

「しつこい!」

 

「ぐぼぉぁッ!」

 

「ぐっ!」

 

坊主は椿を杖で吹き飛ばしつつ、私の腹に膝を鋭く突き立てた。もう痛くて吐きたくて、頭の中が半分壊れてるんじゃないかって程にガンガンするが、それでも私は立つ。立ち上がり続ける。

 

「妖異顕現、黒焔狐火!」

 

「2度も喰らわん」

 

私を殴ろうとした背後から、椿が黒い炎を放つも坊主はそれを杖で振るって簡単に消し去る。

 

――だが、私はその瞬間を待っていた。

 

白い姿となって一気に距離を詰めた椿と共に、その手に持つ杖を集中して狙い、ついに足でへし折ってやる事が出来たからだ。

 

「なっ!?」

 

「いっ、ぐ、ぁぁああ!!」

 

同時にへし折った方の足に激痛が走る。どうやら硬い杖を力ずくで折った結果、私の足の骨も折れてしまったようだ。

 

しかも坊主の戦意が削がれる事もなく、私達はそれぞれ顔や腹を殴られて突き飛ばされてしまう。

 

「ぎ、あぐっ・・・!」

 

「あっ、かはっ・・・」

 

私と椿、もう立つ事すら厳しい状態に坊主が淡々とした言葉を投げかける。

 

「貴様ら、あくまで抵抗するのか。何も無傷で連れてこいとは言われていないのだ。苦しむ前に大人しくした方が良いぞ」

 

「はっ・・・!死んでも、おこ・・・げふっ!お断りだね・・・!」

 

「美亜ちゃん、動ける?美亜ちゃん!」

 

私は坊主に唾を吐いてやり、椿は美亜の様子を確認していた。美亜も解放こそされたが、まだ相変わらず苦しんでいるようだった。

 

「ふん、あの化け猫には消えてもらう。数珠には俺の「錬気」がたっぷりと込められている。直に消滅する」

 

そんな言葉で、誰が諦めるものか。

私と椿、美亜の3人で絶対に生きて帰る!

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