私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾壱話 後悔しかないよ

 

私達を助けてくれている2人について、よくよく考えてみたら普通に逸般人・・・いや一般人を殴ってしまっているので不味いと思い、とりあえず叫ぶ。

 

「い、幾ら何でも殺さないでくださいよ!?――っだァッ!」

 

「待って!あなた達が捕まっちゃうから、それ以上はダメだよ・・・って、イタタタ・・・」

 

結果として椿と一緒になって身体に負担をかけて痛ませる始末である。そんな私達に2人は最初から大丈夫だ、といった感じの表情を私達に向けてから坊主を見る。

 

「おい、これ以上は喧嘩両成敗で両方捕まっちゃうぜ?それが嫌なら、とっとと――」

 

そもそもが何かおかしいような理論で戦っていたらしい、この人達。だが、そんな事は関係ないと言わんばかりに坊主もブチ切れた様子で2人に攻撃を仕掛けようとしてくる。

 

「妖怪は滅する!それに加担する者も滅する!!」

 

「きゃっ!問答無用、といった所かしらね!」

 

「くっそ〜、常識的に考えたら普通は逃げるだろうに・・・ったく!」

 

彼らは坊主の様子に仰天しながらも、その攻撃を躱してそれぞれの戦うスタイルの構えを取った。

 

「しゃ〜ね〜な!警察来るまでの間、相手してやるよ!」

 

「とはいっても、ここに――」

 

女の人が何かを言おうとした瞬間、上空から私達が聞きなれた声が響いてきた。

 

『そこまでじゃ!』

 

「白狐さん・・・!黒狐さん・・・!」

 

「よ、良かったぁ・・・」

 

目の前に降りてきたのはそう、私達の信頼出来る狐2人の姿であった。彼らが来てくれたという安心を感じて、身体から力が抜けて倒れてしまう。

 

すぐに黒狐さんが駆け寄って私達の安否を確かめに来た。

 

『椿、綾!大丈夫か!?』

 

「へ、へーきへーき・・・ゲフッ」

 

「こ、黒狐さん・・・。とりあえずは大丈夫だけど、そんなに大丈夫じゃない・・・かな。イタタタ」

 

『むっ?綾は見て分かるが、椿もまさかケガを?』

 

「あっ、うん。多分肋骨が・・・」

 

椿がそう言った瞬間に、狐2人の何かが切れる音が聞こえたような気がした。正直、私の扱いについては割とどうでもいいのだが椿の事になると途端に豹変するのは色々とヤバくなるのが怖い2人だ。

 

『貴様、よくも!!』

 

『2人にこんな重傷を――もはや生かしてはおけん!』

 

「ふ、2人共落ち着いてよ!一般人も居るんだってば!」

 

「気持ちは文字通り痛い程分かるけども!」

 

2人は坊主と戦っていた所に現れた狐2人がブチ切れたせいで、呆然と完全に置いてけぼりを喰らってる感じになってしまっている。

 

坊主もその2人が出てきた事にビックリしたようだったが、すぐに悔しげに「時間切れか」と呟いて逃げ出そうとする。それを黒狐さんが見逃すはずもなく、妖術で取り抑えようとした。

 

『おっと、逃げようたってそうはいかん!――妖異顕現、過重力!』

 

しかし、その攻撃を読んでいたのか坊主は咄嗟に身を翻して黒狐さんから離れて妖術から逃れた。そして、そこから更に距離を取って壁を蹴って屋根に登る。

 

「今回も邪魔が入ったが、いずれ――」

 

『言ったはずだぞ、逃さんとな!!』

 

そこにいつの間にか白狐さんが先回りして、爪で引き裂こうとしたがそれすら坊主は回避した。

 

「うぬらに勝てると自負するつもりは無いのでな」

 

坊主がそう言った瞬間に空中に矢のようなものが飛来して、それが空中で一瞬昼になったかと思う程の眩い光を放った。

 

『なっ!何だこれは!?』

 

『っ!?馬鹿な、奴らがこんな術を使える訳が・・・』

 

その光のせいで私達も逃げなければならない状況にするなんて、やっぱりあの坊主達は恐ろしい相手だと改めて認識させられた。

 

眩さで一時的に見えなくなっていた視界が戻ってくると、そこに坊主の姿はもう無く白狐さんも私達の所まで来てくれていた。

 

『逃がしてしまったか。あんな術を使える奴が居るとは思わなかったわ。とにかく、2人のケガを治療したら戻るぞ!』

 

椿の胸元に手を当てて、白狐さんが何かを呟くと瞬時に椿の顔から痛みによる険しさが抜けて穏やかになっていく。

 

続けて私の折れた足にも伸ばした爪を刺し、内出血した血を抜いてから、同じようにして手を当てられる。するとあれ程感じていた足の痛みがみるみるうちに無くなっていく。

 

『どうじゃ?2人とも痛むか?』

 

「ありがとう、これなら歩けそうだよ」

 

「えっ?あ・・・ううん、もう大丈夫です。あ、ありがとう白狐さん」

 

初めて白狐さんの治療妖術を受けたが、骨折まで直せるとは驚きだ。2人の負担を減らす為にも、私も治癒妖術の一つや二つは使えるようになりたいが、彼らの話では個人差があるので全く同じなのは難しいのだという。

 

「あっ、そうだ!美亜ちゃん!」

 

「彼女は無事なのか!?」

 

『安心しろ、数珠を引っ剥がした。命に別状はないが、気を失っている』

 

美亜の事を思い出して、彼女の倒れていた方へ振り返る。そこには黒狐さんが既に彼女を解放して、小脇に抱える形で担いでいた。

 

『よし、ならばすぐにセンターに戻るぞ!』

 

すると白狐さん、椿をお姫様抱っこして立ち上がる。もちろん、私の事は完全に自分任せな状態である。おい駄狐。

 

「待って白狐さん!僕は自分で立てるから!」

 

『いいや、疲労困憊していそうだからこうしておれ』

 

「その気遣い私にもしてくれません!?ケガの度合いでいったら、多分足折ってた私の方が重いと思うんですけど!?」

 

『べ、別に立って歩けるだろう?』

 

「なんで目線逸らした今」

 

結局、椿はお姫様抱っこから解放されないまま、私は担がれる事すらないまま、その場から撤退しようとする。

 

「あっ・・・そうだ、目撃者!あの人達どうするの!?」

 

「ガッツリ見られてたからヤバいと思うんだけど!」

 

ふと忘れかけていた事を思い出して指摘すると、狐2人は呆然としている様子の2人を見てからすぐに視線を外した。

 

『放っておけ。どうせ事実を言った所で、こんな事を信じる者はいないだろう。笑い話にされるだけじゃ』

 

「そうだろうけど!その・・・アフターケアとかは?」

 

『ない』

 

「うっわ、雑だな」

 

助けてもらった恩こそ大きいが関係している事が関係している事な以上、何らかの形でお礼をしたくても出来ない事がもどかしく感じる。

 

『おい、早く行くぞ白狐。人が集まりだした!』

 

『うむ!』

 

「えっ、あっ!?ちょっ――!」

 

「待って待って!小次郎、私を担いで後を追って〜!!」

 

椿を担いだ狐2人に置いていかれかけ、慌てて小次郎に指示を出して屋根の上に登った彼らの後を追わせた。

 

私は自分が守ると言っておきながら、誰一人として守れなかったばかりか逆に助けられた事がとても辛かった。

 

「こんなの、後悔しかないよ・・・」

 

自分を自嘲するように、ポツリと呟いた。

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