私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
その後、私達は報奨金を受け取って帰ってきたものの、同じく報奨金を貰った美亜が何処へ行ってしまったのかがずっと気がかりでならなかった。
そして、それは椿も同じく思ったようで――
「美亜ちゃん、大丈夫かな・・・」
「ん〜?今日一緒に仕事した人?」
「まぁね。なんか色々あっちゃってさ、そいつ家を飛び出していっちゃったんだよ。帰る家も無いのに、何処で泊まるのかって椿と心配しててさ」
夕食の最中に2人で里子へ今日の美亜の出来事を説明した。何故か里子は妙に納得したような表情で私達に柔らかい笑みを向ける。
・・・なんか、嫌な予感がする。
「やっぱり2人とも優しいね〜。でも、気をつけないと・・・」
そう言われた途端にサラダから飛んできた豆を椿とほぼ同時にキャッチして、私はイタズラな笑みを返してやる。
「えっ?何か言った、里子?」
「里子ちゃん、その顔何か知ってるの?」
「つ、椿ちゃんも綾ちゃんも・・・やるようになったね。よ〜し、それならもっと食べるのが難しい妖――」
「食べ物を粗末にする真似は止めろよな」
「里子ちゃん、不吉な事を言わないで質問に答えてよ」
私達の素っ気ない反応にショボンとする里子を後目に、さっきの意味深な顔についての話を続けようとする。
しかし、それはそれとして次からは更に厳しくなるのか・・・ご飯は静かに食べるものだろうに。
「あ〜、えっと・・・ね。翁が何か電話で話をしていてね、新入りがどうの〜って言葉が聞こえたのよ。もしかしたらだけど、翁が言っていた"新入り"って・・・」
「えっ・・・」
「まっさか〜?そんなすぐに美亜が――」
あのプライドの塊みたいな人が、早々翁の管理している妖怪賃貸住宅的な場所に来るとは思えない。
「ごめんくださ〜い!!」
「ブッフォオ!?」
前言撤回、玄関から聞こえてきた今の声は完全に美亜だった。椿も気まずそうに顔色が悪くなっている。
『どうした椿に綾よ、顔色が悪いぞ?あの娘を心配しておったのではないのか?』
「そうなんですけどね、それとこれとは話が違う訳でして・・・」
「いやさ、家との絶縁見た身からしたらさ、こんなトンデモな偶然があるのかってなるよ!」
それでもまぁ、気にしていた問題は解決するので良いのだが。私としては、こんな形でまた再会するとは少ーし気まずいのである。
椿の祖父が意外と早かった等ブツブツ呟きながら玄関に向かっていった。私も人の事はあまり言えないが、美亜の行動力の高さに「普段の私もあんな感じに見えるんだろうか」と複雑な気分になる。
「あら、ご飯時でしたか。申し訳ありません。ですがお話しした通り、私はたった今家を出たのです。寝床は早くに決めたかったですし、不安を無くしたかったので、早速やって来てしまいました」
遠くから聞こえてくる美亜の声に笑いで引き攣りそうになる顔を必死で抑える。なんというか、美亜に「猫を被る」という言葉があれ程似合う人物だとは思ってもいなかった。
隣では何故か椿が緊張でビクビクしている。彼女には彼女の事情があると知った後では、そこまで怖がる必要はないと思うけれども。
私は何も言わないのも失礼だと感じ、廊下から美亜が見えたので椿と共にとりあえず挨拶の言葉をかける。
「おっす、美亜〜!」
「こ、こんばんは」
「あら・・・あなた達、こんな所に住んでいたのね」
シーン、とこれまた何故か沈黙が入ってしまう。
「・・・えっ、何この空気」
「なんじゃ、3人は知り合いなのか。それならちょうど良いわい。椿に綾、飯が終わったらここを案内してやれ」
「ん、了解ですよ〜」
「えっ!?あっ・・・は、はい」
椿の祖父のフォローもあってか、何とか上手いこと話をまとめられた。私としては美亜の事については未だ気がかりではあるので、この頼みを機に何かしら友人関係を築きたい所だ。
・・・今は全く私達に目を合わせてくれないが。
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――夕食後
ひとまず美亜に家の案内を簡単に済ませ、彼女が使う部屋に到着する。
「えっと・・・美亜ちゃんの部屋はここだね。僕達の部屋の隣で悪いけれど」
「たまにバカな狐2人が騒ぐかもだけど、そこは大目に見てくださいな」
「別にいいわよ。案内ありがとう」
案内中、ずっと変な空気のまま進めてしまったものの・・・最後にはちゃんと礼が出来る辺り、やはり根は悪い奴じゃないと改めて判る。
「えっと・・・それじゃあ、何かあったら言ってね。僕達、隣に居るから」
「ヒマだったらUNOとかやりに来てもいいよ。私あんまりルール知らないけど」
「じゃあ何で勧めたのよ。変な物出さずにトランプで良いのに」
とりあえず美亜に色々と準備させる時間を作ろうと私達は部屋から出ようとすると、ふと彼女に呼び止められる。
「ねぇ?あなた達、お風呂まだよね?」
「えっ?う、うん」
「あぁ、そういえば・・・椿もだっけ」
「それなら、一緒に入りましょう」
「へっ?一緒にって・・・」
「ほほーん。女同士、裸と裸の付き合いってやつですか!?」
突然の美亜の提案に椿が困惑する横で、私は「お風呂好感度上昇イベントキタ━(゚∀゚)━!」とテンションを上げる。まさか向こうから誘ってくるなんて、これは嬉しすぎる誤算だ。
「いや、でも・・・ぼ、僕は別に、最後で良いからさ。2人で先に入ってきてよ」
「えぇ〜椿、ノリ悪いでござるなぁ〜」
「良いから来なさい」
「ひゃっ!?ま、待って!2人とも尻尾掴まないでぇ!」
椿が1人逃げ出そうとしてのを、美亜と一緒に尻尾を掴んで風呂場に連れていく。これは椿にも友人関係を深めてもらいたい、私のせめてもの気遣いでもある。話す話題が見つからないからとか、そういうのでは決してない、決して。
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さて、こうして椿を引っ張りながら美亜と風呂場に着いた訳なのだが。いつの間にか里子も私達の場に追加されていました。
「へぇ、あなたがこの子達の世話役なのね」
「は〜い!狛犬の里子です。よろしくね〜」
「優しい子だから、仲良くしてあげてね美亜」
2人が握手して自己紹介を終えた後に、私と美亜と里子の3人で視線を互いに交わしてニンマリとする。
椿が嫌な予感を感じたような顔をしているが、もう遅い。
「さて、それじゃあ椿と綾。裸の付き合いといきましょうか。あなた達に言いたい事もあるからね」
「それは私も同じだよ、美亜〜」
「うん。でも、服は自分で脱ぐから。綾ちゃんに里子ちゃん、美亜ちゃん・・・脱がさないでくれる?」
3人で椿の服を脱がそうとするが、椿もただでは脱がされないと上に飛んで抜け出されてしまう。
「ありゃ、逃げられたか」
「やるわね・・・」
「ぬ〜、椿ちゃんいっつも恥ずかしがってさ、最近は私の前でも脱いでくれないじゃん。しかもお風呂ではタオル巻いてるし!」
「そーだそーだ!もっと正々堂々としろー!」
「だ、だって〜!」
まぁ、椿の気持ちも分からない訳では無い。しかし、ここはそういう恥じらいとか何だのは一切通用しない、させない場なのだ!
「どうせ私の魅了術で、あっという間に力抜けると思うけどね。さっ、観念しなさい!」
「おぉ?椿の様子が・・・」
「ふぇ?あ・・・あれ。あ、足が・・・待って待って!ちょっと待ってぇ!!」
椿の身体がふにゃ〜といった具合でへたりこんだ。見覚えのある雰囲気からすると、どうやら試験の時に彼女にかけていたのもこの術のようだ。
「これどうなってんの、美亜?凄いじゃん」
「ふふん、魅了術と言ってもピンキリでね。私のは誘惑するというより、骨抜きにするって感じね。ほら2人とも、今の内に椿の服を脱がせなさい!」
「あらほらさっさ〜!」
「は〜い!」
私と里子は両手をワキワキさせながら椿へと近づく。なんか凄く怯えられている気がするが、私達ほただ椿の服を脱がしたいだけで、他にやましい事なんて考えてない。うん。
「さぁ椿、キャストオフの時間だよ〜」
「ようやく、椿ちゃんの裸を見られるわね・・・はぁ、はぁ」
「発情しないでよ、里子ちゃん〜!それと綾ちゃんもその単語は何!?だから裸を見せたくないんだよぉ〜!」
めっちゃくちゃビビられてるが・・・ここまで来たら年貢の収め時だ、観念してもらおう椿!
ふと途端に妲己の声が聞こえてきた。
【フフ・・・実はね、私も少〜し椿の身体を動かしにくくしてるのよねぇ】
なんという連携プレーでしょう。妲己の粋な計らいに私は心の中でガッツポーズをする。
【こんな楽しい事を、私が無視する訳ないでしょうが。さっ、観念してこの3人にお世話されなさ〜い!】
「妲己さんステキ!私もう抱かれても良い!」
「ひっ、ひぃぃぃ!お世話というか、おもちゃにされる!!」
私達にとってはスキンシップの1つなので、椿が何と言おうと止めるつもりはありません!諦めません、勝つまでは!!