私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾肆話 貧乳同盟結成

 

裸に剥いた椿をシャワーの所へ連れてくる私達。

 

里子が彼女の身体を洗う担当をしているが、あまりの興奮からか鼻血を出していて若干不安だ。・・・ウッカリこのまま逆上せて倒れなければいいんだが。

 

私と美亜の視線を恥ずかしがった椿が狼狽えている。

 

「さ、里子ちゃん!綾ちゃんと美亜ちゃんが見てるから、これ以上は・・・」

 

「あ、続けて続けて」

 

「もうちょっとだけ〜!綾ちゃんもああ言ってるし、後は椿ちゃんの大事な所を――」

 

「そこは自分でやるぅ!!」

 

椿はそう言って里子の手から離れる。しかし、やはり元々男の子として育ってきたからか、洗おうとした途端に彼女の身体が止まってしまった。

 

何処か、椿が女としての身体以外にも何かを悩んでいるように見える。

 

そんな彼女に美亜がその胸を揉みながら声をかけた。

 

「な〜に考え事しているのよ」

 

「うわぁ!?」

 

「き、きましたわー!!」

 

「全く・・・女の子は「きゃあ」って言うのよ。さっきその子達から聞いたけれど、あなた強力な妖術でつい最近まで人間の男子にされていたのよね?何で言わないのかしらね」

 

椿が私を見る。その視線に「私がやりました」といった感じでテヘペロとウィンクして返した。

 

「えっ、いや。だって、その・・・」

 

「こ〜んな面白い奴、他に居ないじゃない。虐めがいがあるわ〜」

 

「こうなるから嫌だったの〜!綾ちゃんの裏切り者〜!!」

 

「許せ、椿」

 

私は椿に合掌してお辞儀する。もちろん意味は「ごっつぁんです」だ。

 

そして美亜は自身の胸と椿の胸を見比べる。

 

「それに、私より胸が大きいのも許せないわ」

 

「大きいって、これ標準だよね!?」

 

・・・ん?今なんとおっしゃいましたか?

私の頭に急激に血液が登っていくのを感じる。

 

「ほーん。椿、それは私に対する挑発と見ていいかな?ちょっと今のは聞き捨てならないな〜」

 

「ほほぅ、私がぺったんこ過ぎるって言いたいのね・・・」

 

「あっ、しまった・・・」

 

私はバッと自身の幼少から育たなかった胸を大きく露わにした。恥ずかしさ?微塵もないね!

 

「私は毎日毎日、自分で胸をマッサージしたり、大豆系食品とかバストアップに効果のある物を食べるようにしてるんだよ?それなのに・・・見てよこの残念っぷり!何の呪いをかけられたら、こんなに頑張っても大きくならないんだよぉ!!」

 

「え、ちょっ・・・あ、綾ちゃん?」

 

すると美亜も私の言葉に同調してくれた。

 

「判るわ〜その気持ち!私も全然大きくならないから、自分だけだと思ってたのよ。そしたら綾、あなたという仲間と出会えた訳ね!」

 

「同志よ〜!これにて貧乳同盟結成じゃあ!これより椿の胸を蹂躙する〜!!」

 

「ちょっと・・・綾ちゃんも美亜ちゃんも待って、ごめん、許してぇ!!」

 

「「許るさーん!!」」(←誤字ではないです)

 

今より風呂場は命を洗う場から、胸を洗う場に変更だァ!二度とそんな口が叩けないよう、徹底的に揉みしだいてやる〜!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「あぁ〜つっかれたぁ〜・・・」

 

「ふぅ・・・良い湯加減ね。で、あんたはいつまで泣いてるのよ?」

 

「うぅ、だって、だって・・・」

 

あの後、私と美亜で椿を気が済むまで弄んでから湯船に浸かった。悪いが「口は災いの元」というし、彼女にはその身をもってしてたっぷり反省してもらったよ。

 

「う〜ん・・・ちょっとは緊張ほぐそうと思ったのに、何で私はいっつもやり過ぎるのかしら・・・」

 

「へっ?」

 

「いきなりどうしたん、美亜?」

 

湯船の縁に身体を寄りかからせながら椿と美亜を見ると、彼女が顔を逸らして俯く。

 

「わ、悪かったわよ・・・引っぱたいたりして。た、助けてくれたのに、あんな事してごめん。そ、それと・・・あ、ああありがとう!」

 

「・・・」

 

「・・・ぷッ」

 

美亜からの唐突な感謝の言葉に、椿は面食らって黙ってしまい、私も少し呆然としてから吹き出した。それに美亜が恥ずかしさと私の行動に必死そうな顔を見せる。

 

「な、何よ!なんで笑うのよ綾!そんなに意外?私だってお礼くらい言えるわよ!でも、普段の私じゃ難しいから、だ、だからお風呂で、リラックスした状態ならって・・・」

 

「だっははは!何でそんな事悩むかな、美亜はさ!別にあれくらい、怒りん坊な美亜だからしょうがないっかって気にもしてないって!」

 

「僕も、やっと美亜ちゃんと仲直り出来たから、嬉しいよ。ちょっとさっきはビックリしちゃったけれど」

 

「ちょっ!な、何よそれ!?あ〜もう、椿はまた泣いてる〜!」

 

椿が嬉し泣きした事に慌てる美亜をケラケラと笑いながら、私も美亜に一応は受け入れられた事に心から安心する。

 

すると、椿がふと思い出したように私達へ質問をしてきた。

 

「ねぇ、綾ちゃんに美亜ちゃん、里子ちゃん。僕、やっぱり女の子になった方が良いのかな?」

 

けれど、私は椿のその言葉がずっと抱えていた悩みをようやく打ち明けてくれたのだと、直感で理解出来た。

 

ここはどう答えたものか・・・。

 

私は椿には彼女自身のありたい姿で居て欲しい、と思っている。そこに私個人の意志を挟むのは野暮というものだ。

 

「何?あんた、心はまだ男だって言いたいの?女の子に戻ってからだいぶ経つのに、その妖術は解けないんだ」

 

「美亜、椿にはちょっと訳が・・・」

 

驚く美亜の言葉に、私は下手に椿を傷つけないよう何とかフォローしようとする。だが、そこへ里子が更に意味深そうな事を言ったのである。

 

「あの・・・ね。正直に言うとね、翁は椿ちゃんに女の子になって欲しくないらしいよ。私も・・・リスクを考えると、完全な女の子になって欲しくないよ」

 

「えっ、リスクだって!?」

 

「ど、どういう事!?」

 

あまりの予想外な言葉に、私も椿も美亜も揃って目を丸くして驚いてしまった。

 

「ん〜これも箝口令がね・・・ごめんね」

 

「肝心な所はいつも分からないな・・・ううむ」

 

「椿・・・あんたの記憶って、どれだけヤバいのよ?」

 

「し、知らないよ・・・妲己さんに関わる事らしいけれど、僕も詳しくは分からないってば」

 

「あっ、椿のバカ!それ普通言うか!?」

 

「妲己ですって!?」

 

「つ、椿ちゃん!記憶が!?」

 

どう考えても、手配書SSランクに指定されている妲己の話題を出すのはヤバいだろうに・・・どうして椿はそういう所が抜けてしまうのだろうか。

 

「あんた、妲己と何か関係があるの?っていうか、綾もそれを知ってた訳?」

 

「は、恥ずかしながら・・・」

 

「あっ、いや、その・・・記憶は戻っていないよ。ただ、妲己さんの精神というか"魂"の方が僕の中にあるみたいで、ピンチになったら僕の身体を守る為に、偶に出てくるのが分かったってだけで・・・その、言っちゃいけない事だった?」

 

「よーし椿、参章の拾話を振り返ってみよっか〜」

 

「なにげに危なそうな事言うのは止めなさい綾!・・・それと椿、そいつはとんでもない犯罪者だからね。まさかあんたがそいつの仲間なのかなって不安になっちゃっただけよ。そう・・・厄介な奴が中に居るってだけなのね」

 

美亜が椿の事を心配したが、彼女のその言葉に安心してホッと胸を撫で下ろす。

 

【ふ〜ん・・・やっぱり他の人達は、椿を完全に女の子にさせる訳にはいかないって、そう思っているのね。それは厄介ね】

 

「なっ!?話をすれば妲己さんが!何をするつもり!?」

 

「あ、綾?」

 

椿と私にしか聞こえない声だった事を忘れてついつい立ち上がってしまい、美亜から怪しそうな眼差しを向けられる。それに気づいた私は気まずくなり風呂から立ち上がっていた状態から、「まぁ、私も聞こえるんだよ」と小さく言って頭のてっぺんまでお湯に浸かった。

 

【こうなったら意地でも、椿を完全な女の子に戻してあげるわ。精神がまだ男の子だから封印の妖術が少し効いているけれど、完全な女の子に精神状態が戻ればその封も解かれるのよ】

 

妲己はそんな捨て台詞を残して、再び眠りにつく。もうヤダこいつ、誰か早く何とかして。

 

「里子ちゃん。記憶と一緒に性を封印した妖術ってさ、僕の心の状態と直結してるの?」

 

妲己の言葉に不安を煽られた椿が里子に質問すると、彼女は何も言わずに頷く。

 

椿の記憶への封印が彼女自身の精神状態に依存しているなんて、狐2人がやらかしていなければどうなっていたのだろうか。かつて椿がいじめられていた頃を思い出して心が痛む。

 

――きっと、これで良かったのかもしれない。

 

私が椿に望むのは彼女の幸せだ。

だからどんな形であれ"今を生きる事"に希望を持ってくれている椿に安心する。

 

「ところでさ?何かシャッター音聞こえない?」

 

「えっ?」

 

「はぁ?」

 

すると突然美亜が奇妙な事を言い出す。

 

つまりそれは覗かれているという事だろうが、ここにそんな真似をするような奴は――まさか。

 

いやいやいや、幾ら何でも・・・そう思いながら窓を見て私達は仰天した。

 

「おぉぉぉおお!胸は歳相応控え目やけど、えぇスタイルしとるやん〜!4人共ええでぇ!!」

 

「はぁぁあああ!?」

 

「「「きゃぁぁああ!!」」」

 

はい。残念ながら私の予想通り、高い風呂場の窓から覗いていたのはあの浮遊丸でした。しかもシャッター音が切られているという事は、既に何枚か撮られていたらしい。

おい、それだから謹慎されるんだぞエロ妖怪。

 

「よし!今からぶちのめす!そこから動くなよ!!」

 

「おじいちゃん〜!浮遊丸が脱走してる!!」

 

「ちょっと、何この変態妖怪!?さっき撮ってたわよね!引き摺り下ろしてよ!その目玉、全部毟りとってやる!!」

 

「浮遊丸さん!私の裸、何回見れば気が済むんですか〜!」

 

「なんだって!?よっしゃ、予定変更だ。――目玉抜いて血抜きして開きにしてやる!!」

 

なんなんだあの妖怪。そこまでして女の裸を見たいなんて、欲望に忠実過ぎるにも程があり過ぎるだろう!!これはもう次に見かけたら本気で干物にする準備をせねば。

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