私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐話 消えちまえこんな生徒会

 

――放課後

 

「生徒会が、僕達に何の用なんだろう?」

 

「なんかめんどくさい話とかされたりして・・・」

 

昼休みの放送で呼び出された私達は、カナと共に生徒会室へと向かっていた。

 

「良い?お昼休みにも言ったけれど、用事だけ聞いたらすぐ帰るわよ」

 

何故か彼女の様子が昼休みからずっとこんな調子なのが気になる。生徒会というだけの理由にしては、何処か警戒しているような風にすら見えた。

 

美亜が不審そうに尋ねた。

 

「カナ、あんた何だってそんなに嫌がってるのよ?」

 

「いや、その・・・出来たらね、生徒会"なんか"と関わって欲しくないのよ」

 

「えぇ・・・?そんなにヤバいのか?」

 

怪しさMAXな話で怪訝な顔をする私と不安そうにしている椿に白狐さんが心配するなと言った感じで声をかける。

 

『安心せぇ。椿に何かしようものなら、我らが止めてやるわ』

 

「本当に相変わらずだな〜白狐さんも黒狐さんも」

 

「着いた・・・生徒会室」

 

椿の言葉に前へ向き直る。どうやら3階の生徒会室に到着したようだ。

 

「良い?開けるよ」

 

椿の言葉に一同で頷く。椿が恐る恐るゆっくりと生徒会室の扉を開いた。

 

「し、失礼します・・・」

 

「えっと、呼ばれたんで来たんですけど」

 

その生徒会室には学校机で作られた会議室的なテーブルがあり、正面に座っていた人物が私達を見て一言言った。

 

「やぁ。良く来たね、椿君、綾君。早速なんだが、君達の身体の垢をナメナメさせ――」

 

「「失礼しました」」

 

ピシャリと扉を閉める。

 

うん、ここにはどうやら浮遊丸に相当しそうな変態妖怪が居座っているようだ。一見すると、メガネをかけたいかにも生徒会長といった人だったのだが、長い舌をニョロンと出したのが見えたのできっと妖怪だ。うん、間違いない。

 

「椿ちゃんに綾さん、大丈夫。間違ってないから。ちゃんと私が止めるし、用事だけ聞いた方が良いわ。一応この生徒会、校長先生から色々と権限渡されているから断ったら断ったで面倒くさい事になるよ」

 

「う、嘘だそんな事〜!!」

 

「えぇぇ!それじゃあ、さっきのは!?」

 

カナの言葉に私達が扉を背にしてドン引きしていると、突然背後の扉が開かれて焦った。

 

「止めろ!女性として死にたくな〜い!!」

 

「うひゃ・・・っぁああ!止めて止めて!」

 

「あぁ、もう・・・ほら会長。あなたのせいで怖がっていますよ」

 

「「えっ?」」

 

慌てる私達がさっきとは違う声にキョトンとして振り返ると、そこには細目の長い髪をしたとても中学生とは思えない程に大きな胸の女子が扉の前にいた。

 

「お待ちしていました。さぁ、どうぞ。身の危険はありませんので、御安心を」

 

とりあえず、その女子の言う通りに生徒会室の中へ入る。それにしても、雰囲気や対応までしっかりとしているので本当に同じ中学生かと疑ってしまう。

 

「いや〜さっきはすまない。怯えさせるつもりはなかったんだけど、素晴らしい妖気を感じるとね、つ――っ!?」

 

「だからって、初対面で"ナメナメさせて"はないだろうがァ!」

 

「"つい"じゃ済まされないわよ。次に椿を怖がらせたら――その舌引っこ抜くわよ」

 

私が机に拳をめり込ませ、カナは火車輪を突きつけて"会長"と呼ばれていた男子を睨みつける。

 

「わ、わかった!わかったから。その拳と物騒な物を引っ込めてくれ、辻中さんに綾君」

 

「えっ?カナちゃん知り合いなの?」

 

「私も1度ね、呼び出されたのよ。生徒会に入らないかって。椿達への用事もそうでしょ?」

 

「・・・なんだって?」

 

椿の言葉にカナが火車輪を引っ込めたので、私も机から拳を抜いて彼女の所まで戻る。その途中で、机の上に猫のように寝っ転がる人も見かけて目を丸くした。

 

「ふっ、その通りだ。椿君と綾君の活躍を見てね、是非ともこの生徒会に入って欲しいと思ったのさ。生徒を・・・半妖を守る為に活動している、我ら生徒会にね」

 

「は、半妖ってまさか!」

 

「そうか、カナの火車輪が見えるって事は!」

 

私と椿が驚いた顔をする中で、彼らはさっきまでとは違う真面目な雰囲気で自己紹介をする。

 

「そう、僕は生徒会長の赤木宗二。そして、同じく3年の副会長である――」

 

「牛元清美と言います」

 

さっきの温和な女子が会長の傍へ歩いていき、そこで私達に向かってお辞儀をした。それから牛元先輩は机の上で寝ている子を起こしに行くが、随分よく眠っているようで起きる気配がない。

 

「それと、その寝てる子も半妖さ。見れば何の半妖かは判るかもしれないね。・・・ちなみに僕は"垢舐め"の半妖さ」

 

なるほど。それならさっきの発言の意味も――全く理解出来ないです、すいませんが。見た目や立ち振る舞いがしっかりしているだけに、その残念すぎる中身に私にとっては敬意と失望が半分ずつになってしまっている。いや、失望が若干多いかもしれない。

 

「あら・・・でも、おかしいわね。垢舐めって言ったら、風呂桶やお風呂場の垢を舐めるんでしょ?人の垢を舐めるとか、そんなの聞いた事ないわよ」

 

「おおっ!なんと綺麗な毛並みの金華猫だ。妖気がそんなになくても、是非ともナメナメさせ――ふがっ!?」

 

「フーッ!フーッ!!」

 

「消えちまえこんな生徒会」

 

美亜の引っ掻きが会長の顔面に炸裂するのを眺めながら、私はこの学校の人々について思い出して苦笑いする。ここは校長先生も含めて変な人ばかりだ。

 

「はは・・・いや実は、僕は気づいてしまったのさ。お風呂の垢よりも妖気を持っている妖怪の身体の方が、妖気を補充出来て尚且つ美味であると。そしてその中でも、特に美味なのが――」

 

そう言いながら赤木会長がテンションを上げていく。あ、これ絶対嫌な予感しかしない奴だ。

 

「女性の恥――ゴフッ!?」

 

『『言わせるかぁ!!』』

 

すると珍しい事に、今度は狐の姿のままで白狐さんと黒狐さんが机を蹴り飛ばして赤木会長を沈黙させたのであった。

 

まぁ・・・今のは助かったよ、色々と。

 

「会長、今のは会長が悪いです。それと・・・私がいつも舐めさせてあげてるじゃないですか」

 

「・・・えっ」

 

牛元先輩が顔を赤くしたのを見て、衝撃的な発言を聞いた私は固まってしまう。いや、腕や足とかそういう所ですよね?あまりちょっと考えるとヤバいかもしれない・・・。

 

「それよりも、こいつが黙っている間に聞いときましょう」

 

カナが後ろで赤木会長を火車輪で縛り上げるのを見ながら、やれやれと言った風に美亜が牛元先輩に向き直る。

 

「そうでしたわね。私は"件(くだん)"の半妖です」

 

「件?何じゃそりゃ?」

 

「えっと・・・件って言ったら、未来を語る妖怪だっけ」

 

私が分からない顔をしていると、椿が簡単な説明をしてくれた。うーむ、それでもやはりよく分からない。

 

「ふ、ふ〜ん・・・だからね。牛の妖怪だから、それだけ大きな胸だって言いたいのね」

 

嫉妬が混じったような美亜の視線が牛元先輩の胸に集中している。私も確かにその大きい胸には羨ましいと感じているが、今は状況が状況なのであまり気にしないようにしているのだが――

 

「あら、あなた。猫の姿だから分からないけれど、まさかぺったんこ?」

 

「う、うるさ〜い!!」

 

「って、誰がぺったんこだゴラァ!?」

 

失礼、やっぱり我慢できませんでした。

 

「ん〜・・・うるさいのは美亜ちゃん達の方だニャ」

 

その私と美亜の大声に目が覚めたのか、机の上で眠っていた子が大きなアクビをしながら起き上がる。雰囲気だけでいえば、なんというか美亜以上に猫のような半妖の子だ。短い黒髪で八重歯で目が猫の目をしているのも、私のよく知る"猫娘"のイメージに合致していて更にそれらしく感じる。

 

「あ、あんた。何でこんな所に?」

 

「何でって、ここの生徒だからニャ」

 

「あれ?2人は面識あるの?」

 

「この子の事、知ってるのか美亜?」

 

私と椿の意外だと言わんばかりの顔に、取り乱しかけた美亜がすぐに調子を戻した。

 

「ごめんなさい、こっちも驚いたわ。この子は私の従姉妹なの、名前は――」

 

「倉本凛だニャ」

 

「あー・・・その、私達から1ついい?」

 

「その、語尾は何で"ニャ"なの?」

 

「猫だから」

 

身も蓋もない答えを返される。

 

「・・・凛はね、カナ以上に妖怪の血が濃く出ちゃってるのよ。そして見て分かる通り、片方の親が私と同じ"金華猫"なのよ」

 

「そうなのか。結構大変そうだな、その手足から見ると」

 

手足のあちこちにある凛の生傷を見て納得する。半妖だからというのもあるかもしれないが、きっと高い所に登るせいで傷もつきやすいのだろうか。

 

さて適当な話はここまでに、生徒会が私と椿に一体何を頼むつもりなのか、その本題を確かめないといけない。

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