私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陸話 これ、多分バレたんじゃないかな

 

なんとなく「電磁鬼」が封印されたのが分かった後、白狐さんはさっきまで妖怪だったスマホを拾い上げそれを眺めていた。

 

『よし、これは一旦我が保管しておこう』

 

『ところで、帰らんで良いのか?椿よ』

 

翼が黒狐さんの言葉を聞いて血相を変えた。そうだ!私は別に大丈夫だけど、翼には閉め出されるまでも門限があるんだったァ!

 

「い、急がないと!」

 

「急ごう、翼!」

 

最悪、閉め出されてしまったのなら私が家に泊めてやる!え、廊下は走っちゃいけない?なぁにぃ、聞こえんなァ〜?

 

「翼!!・・・と綾か!?」

 

急いでる途中だってのに突然呼び止められる。ああクソ、先生か〜なんて振り返ってみるとそこには3年の先輩、湯口靖さんが立っていた。

 

彼は私が翼と知り合うより前に、いじめの現場に出くわして翼を庇ってくれたと聞いた事がある。

 

しかし何度か翼と一緒に会った事があるとはいえ、学級委員か何かかと思うくらいに校則をしっかり守った髪型や制服の着こなしには感服どころか尊敬の念すら抱かせる。ついでに中学から暴力やらで若干荒んでいた私には、全く無縁ともいえる湯口先輩の真っ直ぐ過ぎるような眼差しを直視しずらく感じていた。

 

「翼に綾、朝にお前らが暴力振るったって本当か!?」

 

湯口先輩が心配そうに翼の肩を掴んで問いただした。いやまあ、心配そうにしてくれるのは嬉しいんだけど、これだと私は暴力振るってても普通って感じにとられてない?

 

「いや、それは・・・なんというか、僕のせいじゃなくって・・・」

 

「ちょっと脅すだけのつもりでやったのに向こうがビビって仮病してきたんだよ。私達は何も悪くない」

 

すると、その言葉を聞いて安心した様子で湯口先輩がハァーと大きく息をついてポン、と翼と私の肩を叩いた。

 

「だよな!綾はともかく翼が暴力なんて有り得ないよ!先生達もよく見て欲しいな全く!こんな優しい子がいじめられているのに、それらを見ないで目で見ただけの暴力を咎めるなんてさ!」

 

「ちょっと先輩訂正してもらえません?主に私のところについて」

 

まあ冗談で言ってるってのは分かってるからそこまで気にはしてないけどね。肩にかけられてる手に力が入ってて正義感がどれだけ強いのかもわかりやすいし。

 

『あ、言い忘れておった!』

 

白狐さん?何その「いっけな〜い、つい私とした事が〜」みたいな悪意のある言い方は?湯口先輩の表情がなんかビックリしてきてる感じになってるって事は・・・まさか・・・

 

『いや〜すまんすまん。勾玉の姿を気にしなくなる結界なんじゃがな、アレは触られたら解けてしまうんじゃ』

 

私は心の中で叫んだ

 

は、は、は、嵌めやがったな〜〜っ!!

 

「ちょっとぉおおお!」

 

「つ、つ、翼?いや、え?な、何だその――」

 

「先手必勝ォ!!」

 

「ぐぼぁ!?」

 

こうなりゃ実力行使です。ちょっと後ろに引いてからありったけの力を込めて湯口先輩をラリアットで気絶させました。まあ夜中に警備員の人が見たりするから別に大丈夫だよね!つまり「あれは夢だったんだ」作戦!

 

私はそのまま翼の手を引っ張って全力疾走して学校から逃亡したのであった。湯口先輩ホントごめんなさい。

 

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「あ〜クソ、白狐さんめ・・・よりにもよってあんな場面でなんて事してくれんのさ〜!」

 

翼と分かれた帰り道、私はすっかり夕飯の時間すらすっぽかした事を思い出しながら家への道を歩く。やっぱり山道に家があるのは足腰にきて辛いものだ、将来はアルピニストにでもなれるかもしれない。

 

「それにしても、夕方のアレは一体・・・」

 

「電磁鬼」が目の前へ迫った瞬間の事を思い出す。あの時、確かに耳元でハッキリと誰かが口にした

 

『やれやれ、全く見ていられんな』

 

という言葉が頭から離れない。

 

そしてその直後に放たれた「電磁鬼」を弾いた一撃は、まるで長い棒のようなもので叩いたかのような音の軽さとは対照的に確実に当てる攻撃みたいだった。

 

「変なの・・・きっと慌てすぎて幻聴でも聴こえたんじゃないかな〜なんて。」

 

すると私の後方からいきなり突風が吹き荒れ、私のポニーテールとスカートを大きくはためかせた。

 

『幻聴ではない』

 

そう言われているような、「電磁鬼」とは違う気持ち悪い感じがして私は帰りの脚を早めた。

 

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酷く遅くなった事を怒っていなかったとはいえ心配をかけた事でオジサンに土下座して謝り、何ともなかったようにいつもらしく布団に入って眠った――ハズだった。

 

 

「まーた変な夢だよ・・・でもここに泉なんて、あったっけ?」

 

どうやら私は前の夢の続き、それもあの顔の扉を抜けた先を歩いていたようだった。そしてその先にあったのが、建物自体が途中で崩れてしまったように千切れてゴツゴツした岩ばかりがある中にポツンとある泉だった。

 

あの泉を迂回しないと先には進めなさそうだ、そう直感して私は岩場を慎重に昇り降りしていく。

 

だが、ふと泉の方で水浴びをする1人の女性が目に入ったのだ。彼女の髪はウェーブがかった黒髪で、グラマラスな裸体は同性の私でさえゴクリと唾を飲み込んでしまう程であった。

 

「誰?そこに居るのは・・・」

 

「こ、こんばんは〜」

 

女性は私の姿を確認するやいなや嬉しそうな表情を浮かべる。モデルさんのように整った顔立ちがにこやかな笑みを見せる様は泉に咲く一輪の百合のように感じられる。

 

「あら、貴方は綾ね・・・私の名前は天女 雫(あまめ しずく)。貴方の事をずっと、そうずっとずっと待って居たのよ。永遠のパートナーとしてね・・・」

 

「え、ちょ・・・」

 

雫は濡れた身体のまま私の頬へ手を伸ばして、その感触を楽しむかのようにしばらく撫で続けた。そして気がつくと私は雫に手を引かれて、泉の中心へと引っ張られていた。いつの間にか私も一糸まとわぬ姿にされている。

 

助けて!

 

本能的な危機感から助けを呼ぼうとするも、雫に唇を塞がれてそのまま水に沈むようにして意識が落ちていったのだった。

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