私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第肆話 これは不幸の宝石箱や〜・・・じゃねえ!!

 

白い手だけの妖怪"手魔根木"は掌を目玉を私と椿へと向けてくる。一瞬だけ物凄い妖気を感じたが、特に攻撃されたという感覚はなく何となく嫌な雰囲気をぶつけられたように感じた。

 

「ちょっと!2人とも危ない!」

 

「へっ?うわぁ!?」

 

「ぬぉぁあい!?」

 

すると、なんと突然交差点の横から私達目掛けて車が突っ込んで来たのだ!椿は前に跳んで、私は小次郎に抱えられてジャンプしてくれたから何とか避けられたものの・・・普通事故現場に車が突っ込んでくるなんて有り得ないと思うのだが。しかも、なんか何時まで経っても救急車も消防車も来ないし。

 

「ちょっ!今度は上!!」

 

「えっ?嘘っ!」

 

「あだぁ!?」

 

なんて油断をしていたら、今度は何処から現れたのか上からジェラルミンケースが落ちてきて、椿を庇った私の後頭部に直撃したよ!

 

「まさか・・・あの手魔根木が、僕と綾ちゃんに不幸な事故を起こさせようとしているの?」

 

「いってて・・・なんだって?」

 

「2人とも。とりあえず、そいつから一旦距離を取って!」

 

「分かった!って・・・うわ」

 

カナの言う通りにその場から離れて作戦を立てようとすると、いつの間にやら私と椿は足の下に吐き捨てられたガムを踏んでしまっていた。

 

「うわっ、何でこんな所に・・・噛み終えたばかりのガムが捨ててあるの・・・」

 

「あぁもう、最っ悪・・・!」

 

「2人とも?何してるの!?車!!」

 

「はっ?にょわぁあああ!?」

 

「わぁぁあん!まさかのコンボ!?」

 

更なる不幸の連鎖による手魔根木の攻撃を避けるべく、再び私と椿は高くジャンプした。

 

――が、

 

「へぶっ!?」

 

「つるんっ!?」

 

着地した場所にバナナの皮という、漫才染みた何かに私達は見事引っかかってしまいスッテーン!と盛大に転んでしまった。特に私は小次郎に抱えられていたというのに、着地して降ろされた直後である。なんだ、この酷いピタゴラスイッチは!?

 

「だぁああ!ふっざけんなよコイツ!!」

 

「もういい加減にして!幾ら何でもこれは古すぎるってば!」

 

椿も我慢の限界だったらしく、私に続いて妖怪のみみっちい不幸にツッコミを入れる。

 

「2人とも、誰にキレてるの!?また来てるって!」

 

「「うわぁぁあ!!」」

 

カナの言葉ですっかりバナナの皮に気をとられていた私達は危うい所でまたまた突っ込んできた車を横に転がって回避した――のは良かったのだが、よりにもよって犬の糞が間近にあった為に椿は全身で"やらかして"しまい、私も・・・うん、右手で思いっきりグシャア、といきました。本当に最悪だ。

 

これには私達も、もう堪忍袋の緒が切れるを通り越して燃え尽きそうなくらいにキレそうだ。

 

「つ、椿ちゃん・・・綾さん・・・早く何とかした方が・・・」

 

「あは、は・・・はははは。大丈夫だよ、カナ。ちょ〜っとだけ、ちょっとだけ頭にキてるだけだから・・・あいつ絶対許さねぇわ」

 

「ふ、ふふふ・・・流石にちょっと、イライラしてきましたよ。こ、こんな目に合わせてくれて、絶対許さない」

 

――なんて事を言っている内にも、私と椿の頭に鳥の糞がベチャッと落とされギャグ漫画よろしく「アホ〜アホ〜」というカラスの鳴き声が響いた。

 

「あのクソ野郎をぶった斬れ、小次郎!!」

 

「承知!」

 

「妖異顕現!"黒焔狐火"!!」

 

私と椿は何処と無く嬉しそうにしている手魔根木へ、それぞれ攻撃を仕掛けてダウンさせようとするが――

 

「ぬぉぁあ!?足元に空き缶だとっ!!」

 

「ぎゃあ!あっぶねぇ!!」

 

「あっつぅい!!」

 

「嘘でしょ・・・!椿ちゃん、何で逆噴射してるの!?綾さんも危うく小次郎さんに斬られそうになってたし!」

 

「訳わかんね〜よ!おい小次郎!危ないじゃんか!」

 

「す、すまぬ主殿・・・」

 

「僕にも知りません!熱い熱い!この炎消えないんだよ、どうしよう!」

 

まさか起こす行動全てが不幸に繋がるとは、これではこっちから攻撃を仕掛ける事すらままならないばかりか、逆に私達が危険な目に合ってしまう。それよりも椿に燃え移った炎を何とかしなければ・・・!

 

「――神水」

 

そう思った時、ふと静かな声と共に椿へ何処からともなく水がぶっかけられる。どうやら、地主神さんが助けてくれたようだった。

 

「はぁ、はぁ・・・び、びっくりした」

 

「大丈夫、椿?火傷は・・・無さそうだね」

 

「だから言うたじゃろう、侮るなと」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「すいません・・・」

 

「だがまぁ、こんな妖怪が潜んでいたとは思わんかったし、お前さん達の力も相当なのは分かった。さて、どうしたものかの」

 

地主神さんが悩ましげに頭を傾げる。

 

「う〜ん、でも今私達がやらないと被害が大きくなりそうだし・・・とはいえね」

 

「これ以上事故は起こせないし、不幸が起こるんじゃあ僕と綾ちゃんは動けないよ・・・」

 

しかし、地主神さんは何の苦労も無かったと言わんばかりに一言。

 

「あぁ、お前さん達にかけられていた不幸の妖気は、儂の力で何とか消し飛ばしたわ」

 

「マジ!?いつの間に!」

 

「えっ?ほんとですか!?」

 

私と椿はバッと勢いよく立ち上がってみる。確かに何もヤバい事が起こらないので、地主神さんが本当に何とかしてしまったのだろう。やっぱり名前に神様とあるだけに、何気に凄い事するなぁ。

 

「あっ、だけど待って。2人とも、服が!」

 

「は?えっ・・・ひゃぁぁぁあ!?」

 

「えっ?あっ・・・きゃぁぁぁあ!」

 

自身の今の姿を確認し、椿と2人して可愛らしい悲鳴を上げてしまった。なんという事でしょう・・・椿はさっきの炎で、私は小次郎に斬られかけた時にそれぞれ制服の胸の部分が破けて露わになってしまっていたのだ!

 

「あの、椿ちゃんに綾さん。ブラは?」

 

「う、うぅぅぅ・・・ま、まだそれには抵抗があったから着けてないんだけど、こ、こんな事になるなら着ければ良かったよ〜!」

 

「ど、どうせ無いも同然だから大丈夫だろうって下にシャツしか着てなかったのが、まさかこんな事になるなんて〜!」

 

とんだ醜態を見せてしまって胸を隠しながらへたり込む私達に地主神さんがため息をついた。これは不幸の宝石箱や〜・・・じゃねえ!!さっきとは別な意味で動けなくなっちゃったじゃないか!

 

「やれやれ、参ったの・・・せめてもう一人、ライセンス持ちがおったらの」

 

すると、私達の後ろから聞き覚えのある甲高い笑い声が聞こえてきた。

 

「アハハハ!ようやく私の出番ね!その妖怪は、私が貰ったわ!」

 

「み、美亜!お前今まで何処に――って、奴に近づくのはヤバいぞオイ!?」

 

私が心配するヒマも無いまま、美亜は黒猫の姿で手魔根木へ向かって走り、弧を描くような動きで奴の目の前を通り過ぎて戻って来た。

 

しかし、あの動きでは手魔根木の目玉から発せられる妖気をモロに喰らっているとしか思えない。

 

「えっ、待って美亜ちゃん!さっき手魔根木が発した妖気、思いっきり浴びてなかった!?」

 

「おいおい、あいつの妖気は不幸を呼び寄せ――」

 

その途端、手魔根木が出てきている穴が突如として大爆発を起こして上空へと吹っ飛ばされる。どうやらあの穴、最初から何も無かった訳ではなくマンホールに住み着いて隙間から姿を現していただけのようだ。それにしても、マンホールの蓋まで吹っ飛ばす程の爆発とは一体その中で何が起こったのやら・・・。

 

「ふっふ〜ん、あんた達の痴態は見せてもらっていたわよ。不幸にまみれまくって絶望する顔、見てて面白かったわ〜」

 

「絶望っていうより、マジでキレそうだったんだがな!」

 

「美亜ちゃんだって、お化けが怖くて逃げたクセに・・・」

 

「なっ!ち、違っ!あ、あれは"戦略的撤退"よ!」

 

美亜が人の姿になって顔面真っ赤で否定するが、あれは何処からどう見てもビビって逃げたようにしか見えなかったな、私には。

 

「と、とにかくよ!目には目を、不幸には不幸を!黒猫の私が対象の前を横切る事で、不幸の上書きをしてやったのよ!」

 

「あ〜確かにね、"黒猫が前を横切ると不幸が起こる"って言うよね。それで不幸にも、マンホールの中に可燃ガスが溜まっていて何かの拍子で火花が起こって爆発した・・・と」

 

「何やねん、そのミラクル染みたラノベみたいな不幸っぷりは」

 

気のせいかカナが凄く遠い目をしてポカーンとしてしまっているようにも見える。

うん、私だって不幸の一言で片付けられるかって思うよ。つ、つまる所、小学生がよくやる「バリア!」「こっちもバリア!」「こっちのバリアが強いからお前のバリア無効だもん」って感じだな!そう考えよう!

 

「結果オーライ!問題ないわよ!椿は影の妖術で、綾は使い魔の攻撃で身動き取れないようにしておいて!私が巻物で封じるから!」

 

「へ?あ・・・わ、分かった!――妖異顕現、"影の操"!」

 

「それならお安い御用だ!行け、小次郎!」

 

「任せておけ、主殿よ!」

 

ヒュー・・・と落ちてくる手魔根木へ椿が実体化させた影で捕まえて、小次郎は奴が暴れないように腕や手の急所を目掛けて峰打ちを放って怯ませる。そして、美亜が巻物から光の玉を呼び出して手魔根木へ直撃させて、あっという間に封印は成功したのだった。

 

ううむ・・・敵の特徴とかをきちんと把握しないまま、勢いだけで闇雲に戦っても逆に厄介な事になってしまうのか。これは帰ったら、椿共々彼女の祖父に怒られてしまうだろうな。

 

「か、カナちゃん・・・今日、泊めてくれる?」

 

「ひ、一晩だけで良いからさ〜」

 

「だ〜め、2人ともちゃんと怒られなさい」

 

「「そうですよね・・・」」

 

怪我人の手当てをしているカナへ椿と頼み込んでみたが、まぁある意味で姉らしい一面を見せてきたというかなんというか・・・トホホ

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