私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
――結局、今回の交差点での事件については奇跡的に死者が出なかったので、捜査零科の人達によるカバーストーリー「映画の撮影」とか色んな形でギリギリ何とか隠し通す事が出来た。
夢を食べると言われているバクの妖怪の記憶処理作業も終わり、お地蔵さんも新しい物へと交換する事で後始末は済んだのだが・・・最後に半妖の刑事である三間坂さんに軽く注意された。
――そして今は、帰ってすぐに椿と一緒に彼女の祖父の部屋へ連れていかれて、お説教を受けている真っ最中だ。
「椿に綾よ。流石に今回は、お前達に非がある」
「はい、すみません」
「返す言葉もございません」
ちなみに彼は現在、天狗モードな姿なのでかなり威圧感がヤバい。教師の注意とかを普通に聞き流す私でも、しっかり正座をして聞こうと本能が訴えるくらいに。
「良いか。妖怪や"力"を使う人間というのはな、おいそれと人に姿を見られてはいかんのだ。偶にその姿を見せて畏怖させなければいかんが・・・何回も姿を見せていては、人が儂らに慣れてしまい畏怖させられんだろうが!」
「はい、その通りです」
「全くもって仰る通りでございます」
椿が素直に従っているからというのもあるかもしれないが、何となく椿の祖父のお説教は口答えしたらマズい事になるだろうなと私もきっちり聞く。
「そもそも、多めに人を連れて行ってしまったという所から、お前達のミスであり尚且つ――」
それに、今回の件については本当に私達が調子に乗ってしまったが故の結果なので、反省して二度とやらかさないようにと話を聞き続ける事にしたのだ。
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――1時間後
私と椿の話を聞く態度が良かったからか、割とあっさりとお説教は終わり、今は椿と座敷わらしの居る部屋で彼女と3人で遊んでいた。
「あの、椿ちゃん。綾ちゃんと一緒に私と遊んでくれるのは嬉しいけれど、そろそろ白狐さんと黒狐さんが怒っちゃいそうだよ?」
「あんまり構ってやらないと、何かワンコみたく騒ぎそうだからな〜あの2人は・・・」
「良いの、まだ頭を冷やしたいから」
座敷わらしが椿を心配するような眼差しを向ける。そんな彼女へ椿はおはじきを人差し指で弾きながら答えた。座敷わらしの部屋にある玩具は、私が幼い時にオジサンの家で遊んだような結構昭和寄りな感じがして、長らく親しみのあるものばかりだ。
「でも・・・あれから1週間は経つよ?」
「僕の沸騰した頭は、忘れっぽい綾ちゃんと違って中々冷めないのです」
「はぁ、1週間――っ!・・・ねぇ、んんっ」
椿の言葉で、あの時に彼女の頬へキスしてしまった事を思い出した私はつい咳き込みそうになる。
そういえば、椿は狐2人の事ばかり頭から離れていないようだけども・・・私のキスについては、心を許し合える親友同士だからという理由で、あまり気にはしていないのだろうか。
モヤモヤとした想いだけが私の中で綿菓子のように渦巻いていく。ちょろっとしたものがフワフワと最後まで取りきれないような・・・そんな感じだ。
そんな中で私達は、玄関が開く音と共に真っ直ぐやって来る狐2人の妖気を感じ取る。
「噂をすれば何とやら・・・"わら子ちゃん"と綾ちゃん、後はお願い」
「「わ、わら子ちゃん!?」」
一瞬だけ椿の座敷わらしへのあだ名が出てきた事にびっくりしたが、そう呼ばれた当の本人は満更でもなさそうな様子だ。
そして椿が離れの2階へと避難すると、何故かすぐに白狐さんがわら子ちゃんへ問い詰めてきた。黒狐さんの妖気は・・・しまった、何処に居るのかよく分からなくなった。
ワイワイと彼女に一直線へ問い詰める様を見て、椿と親しい私も居るのに・・・と思っていると、なんとそこへ椿の祖父まで現れてしまったのだ。
こっちは私も含めて怒鳴ってくる。
「こりゃ、綾にわらし!!あまり椿に肩入れするでない!!」
「うぅっ・・・だ、だけど、椿ちゃん怖がって・・・」
『というよりも、綾。お主もおったのか?』
「おい駄狐・・・完っ全に1週間前の事で私だけ頭から抜けてるみたいだな」
私が目の節穴がすぎる白狐さんに呆れていると、突如彼の力を使った椿が2階から飛び降りて脱兎の如く家の中を逃げ始める。
あぁ、なるほど・・・家の一周する廊下を利用して、何とか撒こうとしているのね。私だったら真っ先かつ絶対にやる奴だわ、これ。
とりあえず、椿を追わないと彼女の祖父や狐2人に何か言われてしまいそうなので一緒に追いかける。
すると廊下の先で、ぬりかべによって足止めされ黒狐さんに詰め寄られている椿を発見した。既に先へ行った白狐さんに襟首を掴まれて、逃げられないようにされてしまっている。
そしてそのまま、彼女は宙ぶらりんにされた状態で自室へと連れて行かれてしまった。もちろん私も一緒に着いていきましたとも。
連れて行かれている途中で椿が狐2人へ尋ねた。
「あ、あの・・・白狐さんに黒狐さん、怒ってます?」
『ん?怒ってはおらんぞ。椿が我らと顔を合わせる度に赤面して逃げていくから、最初こそ可愛くて仕方がなかったが、このままでは埒が明かないのでな』
『そこでだ、椿。俺達に惚れかけているのなら、この際徹底的に惚れて貰おうと――ぬぐぅ!』
「やっぱりそういう事だったのかい!」
黒狐さんのふくらはぎにローキックをかましながら、私は白狐さんに捕まっている椿へ振り返る。
「まぁ・・・いい機会だし、とりあえず2人ともちゃんと話そうよ、椿。」
「う〜!綾ちゃんの裏切り者〜!そして離してください、白狐さん!」
椿の恋心から起こした行動とはいえ、確かに白狐さんの言う通り何時までもこんな調子では埒が明かないね。