私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
雪に続いて、美亜の妹の美弥子も加わった事でより私達のテーブルは賑やかとなる。
・・・主に雪の辛い物についての話ばかりだが。
彼女が普通に食べている激辛かき氷の詳細を聞く度に私や椿、そしてカナが"いやいや、それはヤバいだろ"とツッコミを入れては美弥子がニコニコと笑っている。
「・・・あっ、忘れかけてた。約束通り、耳を触らせて」
「そういえば、そんな約束だったね雪」
「そうだったね綾ちゃん・・・ど、どうぞ」
椿が頭を雪の方へと傾ける。すると、待ってましたとばかりに雪は素早く手を伸ばして彼女のモフモフとした耳を触り始めた。
「触り心地、良いね」
学校で素っ気なかった態度は何処へやら、今の雪はとてもフレンドリーにさわさわとめちゃくちゃ椿の耳を堪能する。なんというか、カナも似たような感じではなかったか。
「椿ちゃん、必死にくすぐったいの我慢してる〜可愛いな〜」
「って、カナもいつの間に・・・」
気がつけばカナまで椿の耳をモフモフとしていた。
「な、何でカナちゃんも触ってるの?」
「え〜良いじゃん!友達でしょ?」
なんだなんだ、椿の耳には何か触りたくなる妖術でもかかっているのか?私まで触りたくなってきた感じが・・・
そう思っていると、美弥子もそんなって椿達3人の様子を見てか自身も触りたさそうにウズウズと手をテーブルの下で抑えているのが見えた。
「美弥子ちゃん?もしかして、あの子の耳を触ってみたいの?」
「あ・・・うん。でも、会ったばかりの私までやったら迷惑だから、我慢しないと・・・って思って」
「うーむ・・・」
私は椿の困った顔と美弥子の羨ましそうな顔を交互に見てから、思いきって椿に声をかけた。
「椿、この子も耳触ってみたいそうなんだけど・・・触らせても大丈夫?」
「あ、あぅ・・・だ、大丈夫じゃないかもだけど、それくらい別に良いですよ綾ちゃん」
耳をカナと雪に触られて悶えるのを我慢しつつ椿がそう答えた。それを聞いた私は美弥子の手を優しく引いて、椿の耳元まで連れて行く。
「ほら美弥子ちゃん、椿ちゃんが触っても良いんだって。一緒に触ってみよう!」
「あ、その・・・」
そしてカナが美弥子を抱き上げて、彼女の手を優しく椿の耳へと触れさせた。最初こそ恐る恐るポフッ、ポフッといった触り方をしていた美弥子の手は、次第に緊張が解けていってモニモニと揉む感じへ変わっていく。
「どう、美弥子ちゃん?気持ち良いでしょ〜?」
「わぁ・・・!すごく、モフモフする!」
どうやら美弥子にも気に入ってもらえたようだ。
あまり知らない人で怖がっていた子すらこうして夢中にさせるとは・・・正しく椿の耳、大好評といった所だろう。とにかく美亜の事を心配している美弥子が私達に心を開いてくれたようで助かった。
そんなカナの姉っぷりを見た雪も、うんうんと頷いて口を開く。
「やっぱり、香苗は分かってるね」
「あのね、雪。言っとくけど、最初に私が目を付けたのよ?」
なんか妙な空気になってきたカナと雪。
そういえば・・・クラスに1人は半妖が居る都合上、2人に多少の交流があるのは当然の事か。だからこそ、ある程度は2人とも互いの事を知っているという話になるのである。
「香苗ばっかり・・・ズルい」
「それなら、もっと早くにアプローチしなさいよね」
「でも・・・」
雪が何かを言おうとして、そのまま黙り込んでしまった。カナのように椿へアプローチ出来なかったのには、何か事情があるからなのだろうか?それこそ、彼女の母親――氷雨さんにも話したり出来ないような悩みを。
「あの・・・もう止めても良い、ですよね?椿さんも迷惑そうにしてたんで・・・それに、そろそろ家の門限も近いですから、ここで失礼させてもらいます」
「あ〜そっか・・・忙しいのに時間取らせてゴメン、美弥子ちゃん。今度また何処かで会えると良いね!それと美弥子ちゃんの分まで触らせてくれてありがとう、椿」
「いいのいいの。・・・如月さんも、もういいでしょ?如月さんや美弥子ちゃんだけじゃなくて、カナちゃんまで触ってくるし流石にそれは我慢出来ません」
自身の鞄を持って帰っていった美弥子を見送りながら椿がそう言うと、雪は再び椿と私の顔をジッと見てきた。まだ何か頼むつもりでいるのか。
「それじゃあ、1つお願いを聞いて」
「えぇ!?何だか、お願いがドンドン増えてませんか?」
「おいおい、これ以上は無理だよ如月さん」
「嫌なら、このまま帰りもずっと触り――」
「「聞きます!聞きますよ!!」」
私と椿はヤケクソ気味に雪の頼み事を了承した。
椿は耳を触られたくないという思いから、私は椿の耳を触る所をこれ以上見せられたくないからという思いである。ずっと我慢していたのに更に触る所を見せられたら、きっと私は椿の耳に飛びついてハムハムと咥えてしまうかもしれない。
そうなったら多分私はオシマイだ。だからこそ美弥子も含めて3人が椿の耳を触っている間は、欲望が暴走しないようにと我慢を続けていたのだ。