私が妖精になるのは絶対間違ってる   作:ZeroRain

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ワクチンの副反応のせいで全身の関節が痛む。
そんな状況で書いたお話です。

短いですがよろしくお願いします。


オリオンの矢(6)

 僕が目を開けると、一番最初に感じたのは痛みだった。

 

「……い゛ッ!?」

「ベル!? おいみんな、ベルが目を覚ましたぞ!」

 

 僕が目を覚めたと知ったヴェルフは、みんなに声を掛けた。

 

「ベル君!!」

「ベル様!!」

 

 そんなヴェルフの声を聞いて、神様とリリがすぐにやってきた。

 二人とも、心配そうに僕を見つめる。

 

「……大丈夫」

 

 と自分で言った物の、嫌でもわかる。僕の右腕から感覚がない。

 ちらっと視線を移すと、そこには血に染まった僕の右肩。そして、その肩より先に腕が存在していない事。けれどその痛みが和らいだせいか、意外と僕の思考は至って冷静だった。

 

「腕に関しては、ヘルメスがなんとしても治すって約束したんだ。だから、大丈夫さ!」

 

 涙目の神様が必死で僕を励まそうとしている。

 そんな神様を見ると、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

 でもごめんなさい、神様……今の僕にはやるべき事がある。

 

 僕にはわかる……身体の中に、溢れそうな力が湧き上がるのを……。

 彼女達が、僕に託した願いを叶える為の力から伝わってくる暖かさが。

 

「……神様」

「なんだい?」

「僕にエリクサーをください」

「な、なにを言ってるんだい!? これ以上戦闘は無理だよ!」

 

 予想通り反対された、その理由もごもっともだ。

 例え僕がエリクサーを飲んで戦おうとしても、精々【英雄願望(アルゴノゥト)】をフルチャージするまでが限界だろう……例え準備が出来ていても、攻撃が出来なければ意味がない……。

 それでも———。

 

「———それでも、僕にはやるべき事があるんです」

「ないよ! キミはもう十分頑張ったんだ! もう無理しなくてもいいんだよ!」

「いいえ、あります。僕は託されたんです……彼女達に……彼女達は言いました……“私達の女神”救って欲しいと……」

「!!」

 

 神様は言葉を続けなかった。そして、しばらく顔を俯き弱々しく「リリ君、エリクサーを……」とリリに指示した。

 

 リリは指示された通りに、僕にエリクサーを渡す。けど、その手が確かに震えていた。

 そんなリリに僕は優しく撫でた。

 

「ベル様……」

「絶対に……みんなで帰ろう……これは約束だ」

 

 それを聞いたリリは強く頷く、彼女の震えも少し弱くなった。

 

「こちらも、ようやく傷が回復しました。これより、ウィリディスさんの援護に回ります」

「貴方の準備が終わるまでしっかりと時間を稼ぎます」

 

 リューさんとアスフィさんが、そう言って飛び出していった。

 でも、それと同時に———

 

《ズドォォンッ!!》

 

『!?』

 

 何かが天井まで吹き飛ばされた音が聞こえて、嫌な予感を感じた。

 

「れ、レフィ君!!」

「レフィ様!!」

 

 その名を聞くだけで、胸が騒ついた。

 僕はエリクサーを即座に飲み干して、そして回復し始める身体を無理矢理起こそうとした。

 

「おい! レフィーヤの奴が怪我を負ったぞ!?」

 

 天井を見上げると、そこには苦しそうな顔を浮かべる姉の姿が居た。

 

 アンタレスの攻撃も直ぐそこまで迫ったが、なんとか間一髪でリューさんの魔法がレフィ姉を守った。

 

 けど、新米冒険者の僕にでもわかる。これ以上の長期戦は、あんまりにも無謀だ。

 

「神様……リリ……僕を支えて欲しい」

「「!?」」

 

 二人は少し驚くが、すぐに頷いた。

 腕を生やすのは不可能だけど、致命的な傷は治った……流石は【ディアンケヒト・ファミリア】のエリクサーだ。

 

「ヴェルフ、あの“槍”を僕に」

「安心しろ、用意してある」

 

 流石はヴェルフ、君はいつも頼りになるね。

 

 神様とリリに手伝い貰えながら、僕は再び起き上がる。その間に、心の中に【英雄願望(アルゴノゥト)】の“引き金”となるイメージを固める。

 

 ———「己の女神の為に自分の命を捧げた誇り高き少女達……」

 

《リィン……リィン……》

 

 ———「絶望に堕ちいた掛け替えのない女神を救う為に魂を捧げる少女達……」

 

《ゴゥン……ゴゥン……》

 

 ———「そして……そんな彼女達が僕に託した思い出の数々……」

 

《ゴゥン……ゴゥンッ!!》

 

「ベル……」

 

 ヴェルフから“槍”を受け取り、その“槍”に【英雄願望(アルゴノゥト)】や【アルテミス・ファミリア】がくれた力を流し込む。

 

 さあ、反撃の時だ。




ここまで読んで頂きありがとうございます!!
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