七深ちゃんが○○さん(好きな名前を入れてください)に手作りクッキーを渡すだけの話。

※ タグのオリ主、R_15は一応です。

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七深は可愛いって思いながら書きました。カップラーメンの時間潰しにでもしてくだされば嬉しいです。


プレゼント

「あ。○○さんだー」

 

「…………広町か」

 

「あはは、何でいつもそんなに反応が薄いんですか?」

 

「薄くて悪かったな。これがデフォなんだよ」

 

 CiRCLEの外にあるベンチで横になりながら携帯を触っていた人物に私は声をかける。

 

 その人の名前は○○さん。

 CiRCLEでバイトしている大学生の先輩で、私の数少ない男の知り合い。何かと面倒そうにしながらもいつも相手をしてくれる優しい人。

 

「今日は○○さんが入ってるんですね」

 

「だなー。今は休憩中だけどな」

 

 こっちには顔すら向けないで返事をする。……少しくらい見てくれてもいいのでは? と思うがこれがこの人の普通、なのだ。

 

「つーかなんだ。今日はお前ら(Morfonica)の練習は入ってなかっただろ。何しに来たんだよ」

 

「んー?」

 

 そう、○○さんの言う通り今日は別に練習がある日ではない。私がここに来た理由はとても小さな事だ。

 家を出る前にバックに入れていた小さな紙袋を取り出す。

 

「○○さ〜んっ」

 

「……なんだよ」

 

「これ、日頃のお礼を兼ねてのプレゼントです!」

 

 ようやくこっちを見てくれた○○さんの目の前に紙袋を突き出す。袋が気になったのか、体を起こしてから私の手から紙袋を取った。

 意外にも丁寧に袋を開けながら中身を確認する○○さん。

 

「なんだこれ……クッキー……?」

 

 袋の中身は……そう、私の手作りクッキー。

 クラスの子達が「彼にクッキー渡したらとても喜んでくれたー!」や「プレゼントしたら嬉しいって言ってくれて良かったー!」と、色々言っていたのを聞いて、日頃お世話になってる○○さんにそれを真似して何かを作って渡そうと思った訳だ。

 

 しかし○○さんの反応は私の思い描いていたものとは全く違い、何かを疑うかのように、警戒しているかのようにクッキーを眺めていた。

 

「え、あ……い、一応手作り……だったんだけど……買った方がよかった、かな……」

 

「…………」

 

 不安になりクラスの子達のように上手くいかないなぁ、と思ってしまう。

 

「あー、えっとぉ……嫌だったら別に貰わなくても──」

 

 持って帰ろうと手を伸ばし袋を取ろうとする。だが○○さんはそのまま袋を掴んだままだった。

「らしくない」なんて言うのかな、なんて思っていると○○さんから返ってきた言葉は私の予想していたものとは違った。

 

「──いや、嬉しいよ。ありがと広町」

 

「へ?」

 

 逸らしていた視線を○○さんへ移動し、様子を伺う。

 

 ○○さんが私のプレゼントを手にしている。

 

「(な、なにその表情……!)」

 

 “嬉しい”という言葉の通り、○○さんの口元に幸せそうな笑みが溢れていた。

 

 な、な、なんで? 何でそんなに嬉しそうにしてるの……?

 

 私は思わぬ事の連続で内心パニックになる。

 

「(う、うわわわっ。ど、どうすれば……こんな時、普通の女の子ならどうするの……?)」

 

 グルグルと目が回る、とはよく言ったものだ。まさに今のような事を言うのだろう。予想外が重なりすぎて戸惑いが生まれる。

 今すぐこの場から去りたい。○○さんの目の前から離れたい。そういう考えがいくつも出てくる。だけどそれ以上に、○○さんの普段見ないその嬉しそうな表情を見ていたいという気持ちが勝ってしまいその場から動くことが出来なかった。

 

「う、ぁ……」

 

 このまま気を失えればきっと平和に事は済むのだろう。なんて妙な考えが頭の中を巡る。

 

「? おいどうしたんだ広町──」

 

 私の変化に心配そうに顔を覗き込む○○さんだが、それは逆効果で、今の私を更に悪化させてしまう。

 

「わ……」

 

「わ?」

 

「渡すものは渡したのでこれで失礼します! お仕事頑張ってくださいっ、それじゃ失礼します!」

 

 振り絞った言葉は変な文章になり、それを言い終えると同時に私はぺこりと頭を下げ○○さんに背を向ける形でCiRCLEから離れた。

 

「(ううっ……。普通って何……こんな時どうすればいいの……?)」

 




仕事の息抜きに書きました。
前後を何も考えずに書くのは楽しいですね(って話)

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