セミの鳴く声、自動車の走行音、人々の話し声。
まさに都会の喧騒が響く中、彼は、照り付ける真夏の日差しがアスファルトに照り返し、更に不快指数と体感温度を向上させる中。
郊外にある住宅地目指して、頬に大粒の汗を伝わせ、身に着けたシャツの各所に汗染みを作りながら、自宅を目指して歩いていた。
「あぢぃ……」
全身を包み込む蒸し暑さに、彼はやる気を奪われながら、この状況に不満を漏らした。
それでも、自宅で待つお楽しみを思い、何とか気持ちを奮い立たせながら、自宅へと続く歩道を歩んでいく。
それから十数分後、彼は汗だくになりながらも、何とか愛しの我が家に辿り着いた。
「ただいまぁ……」
玄関を開けて、帰宅を家族に知らせるも、返事は返ってこない。
そこで彼は思い出した、そういえば、家族は出かけていて帰りが遅くなることを。
そして同時に、これから足を運ぶリビングが、エアコンの効いていない、蒸し風呂の様な地獄である事を意味していると悟り、彼は憂鬱な気持ちを表すかのようにため息を零した。
それから十数分後。
エアコンからの冷風が漸く自室を快適な温度に変えてくれた事に、彼は安どの表情を浮かべる。
帰宅から現在までの十数分間、汗でべったりなシャツ等を着替え、冷蔵庫に残っていたアイスや氷を入れた麦茶などで涼を取って耐え凌ぎ、漸く手に入れた快適空間。
彼は文明の利器様様と、この快適さを噛みしめつつ、机の上に設置しているパソコンとモニターの電源を入れると、いそいそと準備を始めた。
ヘッドフォンを付けると、早速パソコンを操作して、とあるゲームソフトを起動させると、動作確認を終えたゲームパッドを握る。
そして、モニターにゲームのタイトル画面が表示されると、彼はゲームパッドを使ってゲームを楽しみ始めた。
タイトル画面に表示されたゲームソフトの名は、
現実世界とは異なる歴史を歩み、異なるテクノロジーの発展を遂げた世界が、やがて核戦争により世界は核の炎と灰に包まれ。
そして、核戦争により荒廃した世界の一角、かつてアメリカと呼ばれていた大地、戦後はウェイストランドと呼ばれるようになった大地の各所を舞台とした、ブラックユーモアとレトロフューチャーな設定が魅力的な、世紀末ロールプレイングゲームである。
ナンバリングタイトルやスピンオフ等、様々なシリーズ作品が世に送り出された中にあって、Fallout4は文字通りのナンバリングタイトルである。
当時の最新ハードに対応したグラフィックで描かれたウェイストランドの風景に、当時学生であった彼を始め、多くのファンが魅了され。
更には、フォールアウトシリーズではお馴染みの、MODと呼ばれる、有志が作成した改造データを導入する事により、プレイヤー個々人ごとに環境を変化できる事を容認している自由度の高さも健在で。
発売以降、様々なMODが作成され、ネット上に公開されている。
更に、Fallout4から追加されたシステムとして、クラフトと呼ばれる、所謂モノづくり要素がある。
これは拠点と呼ばれる、マップ上の一点の範囲内の各種インフラ整備が出来る他、武器や防具の強化、更には農業や、商業施設を利用して資金を稼ぐことが出来る等。
それまでのシリーズ作品にはなかった楽しさが追加されている。
そんなFallout4だが、発売から年月の経過した今となっては、後発のシリーズ作品の登場により、その人気は当然ながら下火となっている。
しかし、彼はそんなFallout4をプレイして遊んでいた。
その理由は、最新のゲームを買えるお金が無い等の理由ではなく、単に、ふと学生時代に遊びこんだこのゲームを、もう一度遊びたくなったという単純なものであった。
学生時代は、MODを導入していないバニラの状態から、様々なMODを導入した状態など、文字通り寝る間も惜しんでプレイに没頭していた時期もあった。
だがそれから時が経ち、他にも興味をそそられるゲームに目移りしたり、ゲームで遊んでいる時間が少なくなったりと、気付けばFallout4をぱたりとプレイしなくなっていた。
所が、ふとした切っ掛けで、再びFallout4に対する情熱が再燃し、再びプレイする運びとなったのだ。
「あそこの居住地はミニッツメンへの協力を約束してくれたぞ」
「そいつはいい! あんたに任せて正解だったな!」
Falloutシリーズの特徴である高い自由度。
メインシナリオは用意されているが、他のロールプレイングゲームの様にメインシナリオに沿ってゲームを進めていく必要性は必ずしもなく。
開始直後からオープンワールドであるマップ内を自由に冒険したり、アイテム集めや拠点づくりに熱を注いだりと、まさに遊び方はプレイヤーの数だけあると言ってもよい程だ。
半面、何をすればいいのか分からなくなる事もあるが、そんな高い自由度こそ、Falloutシリーズたる所以と言っても過言ではない。
そして現在、彼はMODを導入していないバニラの状態で、メインシナリオに関するクエスト、所謂メインクエストとは異なるサイドクエストと呼ばれるものをこなして、経験値稼ぎに勤しんでいた。
「……ところで"提督"、新しい居住地が救助を求めているんだが」
「ん?」
そんな最中、彼は作中に登場する登場人物の一人にして、仲間の一人でもあるプレストン・ガービーの台詞に、違和感を感じた。
プレストンは関係するクエストを進めていくと、プレイヤーの分身である主人公の事を"将軍"と呼ぶようになる。
所が、モニターに表示された字幕には、将軍ではなく"提督"という表記がなされている。
「何だこれ?」
一瞬、彼は目を疑い、そしてこの不可解な現象の原因がMODではないかと疑い始める。
MODは様々な有志の方々によって作成されたもの故、組み合わせによっては負荷がかかり、CTDと呼ばれるゲームのクラッシュが発生してゲームを強制終了せざるを得ない現象が起こる事がある。
勿論、CTDが起こらなくとも、MODの組み合わせによって不具合が生じる場合などもある。
その為、MODの導入は自己責任と言うのは、常識であった。
とはいえ、今回彼がプレイしている環境は、MODを導入していないバニラの状態。
勿論、バニラの状態でも不具合が起こらないという訳ではないのだが、この様な不具合は、バニラの状態で遭遇した事は、彼には一度もなかった。
「どうなって……、あ」
しかも、字幕のみならず、聞き間違いでなければ、音声の方も、主人公の事を"提督"と呼んでいた。
この摩訶不思議な現象に困惑していた彼は、一旦プレイを停止して、ゲームを再起動してもう一度同じ現象が起こるかどうかを検証しようと思ったのだが。
ふと、誤ってクエストを進める選択肢を押してしまう。
「そいつはよかった。なら、急いで救助に向かってくれ、"仁"提督」
「……え?」
そして、次の瞬間、彼は耳を疑った。
プレストンが口にした名前は、主人公の名ではなく、プレイヤーである彼自身の名前だったからだ。
しかも、プレストンはモニター越しに、仁の事を見つめるかのように、仁に視線を向けている。
刹那、仁の背筋に冷たいものが走る。
そして、仁は咄嗟にゲームを強制的に終了しようとした、だが、その時。
不意に、潮風の様なものが通り過ぎるのを感じた。
エアコンをつけている為、窓や扉は完全に閉じている、それに自宅があるのは海からも離れた内陸、潮風など届くはずもない。
この不可解な現象の連続に、仁は堪らず自室から脱出するべく、慌ててヘッドフォンを外すと、椅子から立ち上がり、駆け足で扉に向かおうとした。
だが、次の瞬間。
「なんだぁ!?」
突如モニターから、目を開けていられない程の光が放たれると、その光は、瞬く間に部屋を、そして仁を包み込んだ。
程なく、光が治まると、そこには仁の姿は何処にもなかった。
謎の光に包まれ意識を失った仁が、意識を取り戻しまず最初に感じたのは、心地の良い波の音。
そして、閉じた瞼を通じて微かに感じる太陽の光であった。
「……ん?」
程なく、閉じていた瞼を開き、仁が目にしたのは、青い空に青い海、そしてそびえ立つ山々に、山の麓にぽつぽつと住宅が立ち並ぶ。
海岸沿いの田舎の集落の風景であった。
「ってて……、え? 何処だよ、ここ?」
自身がいつの間にか浜辺に倒れていた事や、初めて目にする風景、見覚えのない場所。
そもそもいつの間に自宅の中から屋外に出ていたのかなど。
頭の上に疑問符を幾つも浮かべる仁。
「って、何だよこの格好!?」
そして、とりあえず起き上がって衣服に付着した砂浜の砂を払おうとして、彼は自身の身に着けている衣服も、いつの間にか変わっている事に気が付く。
白を基調としたその衣服は、桜に錨の紋章が施された金色の輝くボタンに大佐の位階を示す肩章等のデザインが目を引く特徴的なもの。
それはまさに、大日本帝国海軍の士官用第二種軍装と呼ばれる制服であった。
「何でこんな……、え? これって、ピップボーイ?」
何故第二種軍装を身に着けているのか、困惑する仁は、ふと自身の左腕に装着していた物を目にして、更に困惑の表情を浮かべた。
プラスチックの様な質感のフレームに、モニターや各種調整ダイヤル、更には各種メーターにホロテープ挿入口等々。
そんな外見を有した機械の名は"ピップボーイ"、Falloutシリーズではお馴染みのウェアラブルデバイスである。
ウェアラブルデバイスと言っても、その見た目は仁がよく知るスマートなものではなく、パソコンが普及し始めた当時の人々が思い描いたようなレトロな見た目ではあるが。
その見た目通りの頑丈さは元より、装着者の健康情報や位置情報にラジオの受信等。
更には、上限はあるものの四次元空間に持ち物を収納可能にする機能や、戦闘の際に役に立つ
様々な悩みをこれ一台で解決してくれる、万能ウェアラブルデバイスなのである。
因みに、ピップボーイはFalloutシリーズの作品ごとに様々な見た目の物が登場しているが。
今回仁の左腕に装着されていたのは、Fallout4にて登場する"Pip-Boy 3000 Mark IV"と呼ばれる物である。
「よし、落ち着け、俺」
気が付けば何処か見知らぬ浜辺にいて、第二種軍装を身に着け、ピップボーイを装着している。
こんな状況に直面した仁は、先ずはこれ以上取り乱す事のないように、とりあえず第二種軍装や頬についた砂を払い落としながら、心を落ち着かせる。
幸い、心地の良い波の音や都会では味わえない空気のおいしさもあって、心を落ち着かせるのに時間はかからなかった。
「これは夢……。な訳ないよな」
そして、砂を払い落とし心を落ち着かせた仁は、自身が置かれている状況を分析し始める。
先ずはベタに、これは夢ではないかと考えるも、試しにつねった頬からはちゃんと痛みを感じたので、これは夢ではなく現実であると確信した。
「って事はあれか? よく漫画とかアニメとかである、ゲームの世界に転生しましたって奴か? おいおい、冗談だろ……」
そして次に思い浮かんだのは、ゲームとして認識していた世界が現実となり、自身がその世界の一員となってしまうという現象を、実体験する事になったというものであった。
まさか自身がそんな現象を実際に体験する羽目になろうとは、仁はため息を零す。
この様な体験は傍から見ているからこそ面白いものであり、実際に体験するとなると、憂鬱以外の何物でもなかった。
「ま、嘆いた所で、しょうがないか」
とはいえ、もはやこの事実から目を背けた所で状況が改善する筈もなく。
仁は、気持ちを切り替えると、この世界で生きていく事を決意するのであった。
「とりあえず、俺の今のステータスを確認してみるか。……は! 待てよ。もしかしたら、知らぬ間に転生の特典として、S.P.E.C.I.A.L.が凄い事になってたり、このピップボーイの中にとんでもない量のアイテムが山のように入っていたりして!」
こうしてこの世界で生きていく事を決意した仁は、左腕に装着しているピップボーイを操作して、モニターに現在の自身の各種状態を数値化し視覚化した、所謂基本パラメータを確認する。
Falloutシリーズには、S.P.E.C.I.A.L.と呼ばれる、
それぞれの数値を作中に設定・上昇させる事により、様々なプレイ環境を楽しむことが出来る。
そんなS.P.E.C.I.A.L.を表示した画面に切り替え、そこに表示された数値を目にして、仁は困惑する。
「あれ? 数値が表示されてない?」
そこに表示されていたのは、本来右端に表示されている筈の数値が表示されていない画面であった。
「どうなってんだ? まさか壊れてるのか? ……いや、そういえばレベルやヒットポイントなんかの基本ステータスも数値が表示されてないって事は、もしかして、レベルやパラメータって概念がいないのか、ゲームではなく現実世界だから。 ……これが本当の難易度リアルサバイバルってか」
当初の思惑が外れ、辛く苦しい未来の到来を予感しつつ。
仁は、気を取り直して、収納しているアイテムの表示画面を確認する。
「……」
そして、仁は絶句した。
第二種軍装の白を基調とした軍帽と謎のキーカード以外、武器も防具も、薬品や食料品、更にはその他のアイテムの類も一切入っていなかったからだ。
「……幾ら何でも、鬼畜すぎだろ」
現実は厳しいと言っても、これは幾ら何でも厳し過ぎる。
軍帽と謎のキーカードだけで、どうやって生きていけるというのか。
そう思わずにはいられない仁は、肩を落とすと、暫し途方に暮れるのであった。
程なく、何とか現実を受け入れた仁は、とりあえず入っていた軍帽を取り出すと、頭に被るのであった。
謎のキーカードの方は、使い道も分からぬ為、現時点ではそのまま放置する事となった。
「とりあえず、今後どうするにしても、先ずはここが何処なのかを確かめないとな。……にしても、現実になったゲームの世界だとして、こんな場所、連邦にあったっけか? いや、もしかしてここはファー・ハーバーか? いや、にしては霧も出てないし、そもそもあんなに緑が残っていたっけか?」
そして仁は、今後の行動を立てるべく、現在地位の確認を始める。
因みに連邦とは、Fallout4の舞台である、マサチューセッツ州のボストン周辺のウェイストランドでの呼び名である。
一方ファー・ハーバーとは、Fallout4のダウンロードコンテンツの一つであるFar Harborの舞台となる島の名前で、メイン州の大西洋沖にあるマウントデザート島をモデルにした島となっている。
「ん? 何処だここ?」
ピップボーイを操作し、位置情報画面こと地図機能の画面を表示すると、見た事もない海岸沿いの地図が表示される。
そこで、徐々に地図を縮小していくと、徐々に全体像が見えてくる。
「……え」
そして、縮小し表示された全体地図を目にして、仁は唖然とする。
そこに表示されたのは、日常生活の中で何度も目にした事のある島の形。
"九州"と言う名の島の全体地図であった。
「って事は、ここ、日本なのか……」
かき消されるかのような声で、仁は呟いた。
Falloutシリーズはウェイストランドこと、パラレルワールドのアメリカを舞台としている為、それ以外の国に関しては殆ど言及されていない。
ただ、シリーズ作品によってはヤクザや侍等、日本に関するものが登場してはいるが、やはり日本本土の状況に関する言及は殆どない。
それは即ち、仁がゲームをプレイして得た情報の多くが、役に立たない、まさに手探りで事を進めなければならない事を意味していた。
加えて、パラレルワールドとはいえ、つい先ほどまで見慣れた故郷の変わり果てた姿を目にして生きていかなければならない事を思い、胸が締め付けられた。
こうして、先ほどの決意が折れそうな程意気消沈してしまった仁ではあったが。
何とか気持ちを立て直すと、先ずは安全が確保されて友好的な人のいる場所を探すべく、浜辺から移動を始める。
Falloutシリーズ基準の日本だとすれば、安全が確保されている場所以外は、核戦争で変異し凶暴化した野生動物等が闊歩している可能性が高いからだ。
それに、野生動物でなくても、社会や法が核の炎と共に灰となり、己の欲望のままに行動する、
「ん?」
と、浜辺から移動を始めた矢先。
不意に、背後から気配を感じ振り返ると、海から一体の野生動物が浜辺に姿を現した。
大きな甲羅に大きなハサミ、複数の足を有するカニの様な外見を有するその野生動物の名は、マイアラーク。
Falloutシリーズにも登場するクリーチャーの一種である。
「ひ!」
浜辺に上陸を果たしたマイアラークは、仁の存在に気が付いたのか、そのハサミを突き立てると、仁目掛けて迫る。
本能的に危険を感じ取った仁は、迫りくるマイアラークの脅威から逃れるべく、浜辺から道路へとつながる階段を目指して駆け出し始める。
だが、初めて対峙するマイアラークの恐怖で竦んでしまったのか、階段に到達する前に転倒してしまう。
「く! くるな!!」
転倒した際の痛みなど感じる間もなく、仁は迫りくるマイアラークの脅威を払いのけたい一心に駆られ、近くに落ちていた大きめの石を掴むと、それをマイアラーク目掛けて思い切り投げつけた。
だが、投げつけた石は、無情にもマイアラークの甲羅に弾かれ、空しく砂浜に落ちるのであった。
しかも悪い事に、石をぶつけられ火に油を注いでしまったのか、マイアラークは一段と激高した様子で、仁へと迫った。
(もう駄目だ、俺の人生もここまでかよ)
仁は死を覚悟し、目をつぶった、その時であった。
不意に、銃声が響いた。
それも一度ではなく複数。
程なく、マイアラークの断末魔の様な声が聞こえ、仁は何が起こったのかを確かめるべく、ゆっくりと閉じていた目を開けて状況を確認し始める。
「……た、助かった? のか?」
そこで仁が目にしたのは、先ほどまで自身を殺そうとしたマイアラークが、文字通り蜂の巣となって、浜辺で死骸と化している光景であった。
とりあえず、危機は脱したようだ。
「大丈夫ですか! お怪我はありませんか!?」
「へ?」
一体目をつぶっていた間に何が起こったのか。
呆然としていた仁に、不意に誰かが声をかけた。
間の抜けた返事と共に、声の方へと顔を向けた仁が目にしたのは、階段を下りてくる一人の女の子の姿。
だが、その子が只者ではない事は、一目瞭然であった。
黒髪のセミショートを靡かせ、襟と袖口に赤いラインの入った黒いセーラー服を着た、可愛らしい顔の女の子。
だがその手には、日本海軍の駆逐艦の主砲を彷彿とさせる物を装備し、また背中には、煙突やマスト、更にはレーダーなどの艦上構造物を彷彿とさせる物を装備し。
太ももには、魚雷発射管を彷彿とさせる物騒な物を装備しているなど。
見るからに、只者ではなかった。
「……あれ? 吹雪?」
だが、そんな女の子の正体を、仁は既に知っていた。
仁が以前プレイした事のあるゲーム、その名を艦隊これくしょん。
軍艦を擬人化した、
そんなゲームに登場する、大日本帝国海軍の駆逐艦"吹雪"をモチーフとし、ゲーム開始時に選択できるキャラクターの一人でもある。
彼女の名は、吹雪。
仁が艦隊これくしょんをプレイしていた頃、最初に選択して仲間にしたキャラクターでもあった。
「え? 私、自己紹介しましたっけ?」
「いや、あの、あ、あはは、はは……」
「あの所で、お怪我はありませんでしたか?」
「うん、全然大丈夫!」
「よかった……」
そんな懐かしのキャラクターと、まさか実際に対面する事になろうとは思わず、彼女の名をうっかり口にした仁ではあったが、何とか笑ってごまかすのであった。
「そうだ、自己紹介がまだでしたね! はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたしますね!」
「俺は、仁。東郷 仁。こちらこそ、よろしく」
互いに自己紹介を終えると、握手を交わす二人。
果たして、この出会いが、今後この世界にどの様な変化をもたらす事になるのか。
そして仁は、この摩訶不思議な世界で、生き延びることが出来るのか。
それは、神のみぞ知るのであった。