雪の降る寒い日   作:三毛さん

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凍山舞う、猟犬

「降ってきたな」

 

 青空と雲が交互に入れ替わる上空。そこにいよいよ雪が降り出した。キャノピーに当たる雪が貼りついては消え、を繰り返す。現在高度6000フィート。(約2000メートル。)

 

『こちら基地司令部。全機あがったようだな』

 

 司令部の独特なだみ声が聞こえて来た。

 

『ガルム1、ガルム2、現在の方位を維持せよ』

 

「こちらガルム2、了解した」返答。

 

『方位315、ベルカ軍の爆撃機接近』

 

 現在進路315、イーグルのレーダーにはそろそろ映る頃あいだ。

 

「雪山でベイルアウトは悲惨だ。頼むぜ1番機」

 

 右斜め前方を飛ぶ新入り、サイファーに冗談めかして言う。もちろんスルーされた。

 

『各機、迎撃態勢をとれ』

「報酬はきっちり用意しとけ」

『互いが無事であればだ』

「お財布を握りしめて待ってろよ」

 

 サイファーと共にイーグルを加速させる。敵爆撃機全機撃墜、それ以外に道はない。

 

『ガルム2、お前はガルム1の指示に従え。作戦中の勝手な行動は禁ずる』

 

 信用ないね。と笑いそうになる。

 

「了解。指示は頼んだぜ、サイファー。あんたがガルム1だ」

 

 無言ながらに頷く気配が翼から感じられる。

 

 レーダーに反応。高速の目標2、戦闘機か。続いて低速目標が2。これが爆撃機だ。

 

 武装マスターアームスイッチをオン。全搭載武装の安全装置解除。攻撃開始。

 

 傭兵仲間の迎撃機が戦闘機と入り乱れ始めた。

 

「前方爆撃機2機。攻撃開始」

「ガルム2了解」

 

 ミサイル選択は中距離タイプ。射程に捉えた、ロックオン。

 

「ガルム2、フォックス3」

 

 イーグルの胴体からミサイルが放たれた。ガルム1もミサイルを放つ。

 

 敵戦闘機がこちらに気付いたが遅い、既に爆撃機は火の玉になって落ちて行く。撃墜。

 

「こちらガルム2、爆撃機を撃墜」

「ガルム1、確認した。こちらも撃墜」

 

『敵爆撃機、1機目と2機目撃墜確認。気を抜くな!』

 

 司令部も確認したようだ。

 

「良いぞ、ベルカだからってビビることはないぞ!」

「よしお前ら、さっさと片付けてホット・ラムとしゃれ込もう」

 

 仲間たちが盛り上がる。

 前方レーダー照射。左にブレイク。敵機が脇をすり抜けた。

 

「護衛機には構うな。爆撃機に集中する」

「ガルム2了解」

 

 敵機が旋回しきる前に加速して振り切る。遠くない距離に爆撃機が3機。さっきの戦闘機はこいつらの護衛のようだ。手薄になればこちらのもの。

 

 追いつかれる前に処理したい。距離が近いから短射程のを選択した。ロック。 翼に命中。錐揉みしながら派手に落ちて行く。

 

「爆弾は大事に抱えたまま落ちてくれ」

 

 ガルム1がブレイク。追いすがる敵戦闘機を処理するようだ。次の爆撃機編隊まで距離がある。やってやろう。

 

 ファントムか。3機程が来ている。ヘッドオン。すれ違い様にガルム1が撃墜していく。2機通過した。翼に描かれた特徴的な逆三角形の国籍マーク。

 

「フォックス2!」

 

 短距離ミサイルが蛇のように食らいついて敵機を食う。撃墜の火球で雪山と空の雲を溶かしてくれたら戦いやすい。

 

「またガルム2に全部持ってかれるぞ」

「ピクシー。俺たちの分も残しておいてくれよ」

「俺たちだって落とすぞ。行け!」

 

 傭兵連中はおしゃべりだが中々やる。落ちていくところを見る限りは頼もしい。

 

「あの爆撃機、随分と古典的な機種だ」

 

 ベルカ軍の爆撃機は2機種ある。一つはオーシアとユークトバニアの冷戦期に流行ったB-52。もう一つはベルカ国産の機種、Bm-335。名前はリントヴルム。前から見ると胴体を二つ縦に段違いで重ねたような見た目をしている。エンジンは4発。生意気にも後部に機関砲銃座がある。回り込んだ敵機を落とそうと後方へ向けて曳光弾が煌めいている。

 

 傭兵仲間の乗る細身の戦闘機が敵機を落とした。爆弾の親鳥はあと4機。護衛機の動きに落ち着きがない。

 

「敵爆撃機1機が戦域を離脱中。ビビったか?」

 

「ここまで来て離脱?」

 

 編隊から外れる機体が見えた。離脱するくせに護衛機を付けないのか。撃墜してしまうか見逃すか。どうする。

 

 あいつは見逃した。戦わない奴に関心がないかのように照準を外した。なるほど、こういう奴か。

 

「さあ、残りは1機だ」

 

 ガルム1が撃墜する。

 

 敵戦闘機は奮戦空しく足早に離脱して行くのが見えた。守るべき親鳥が全部落とされたなんて、にわかには信じがたく感じることだろう。

 

「逃げ帰ったベルカの奴らが、上に戦果報告するのを見てみたいもんだ」

 

 生き残った傭兵仲間たちが声に出して笑う。損失はほとんどないに等しい。寄せ集めの部隊にしては、上々過ぎる戦果だろう。生き残れば、それだけでも儲けものだ。

 

 こいつは、同じ匂いがする。

 

「サイファー、お前とならやれそうだ。よろしく頼む。相棒」

 

 サイファーは無言だった。

 

 

 

「筋は?」

 

 意外だったのか、記者はカメラを伏せ、間抜けて聞き返してくる。

 

「おいおい。誰だって初めから出来る奴だなんて思えないだろう。あいつも例外じゃない。けど、あいつは初めからそうであったように、強かったな」

 

 

「次は何を聞かせてくれますか」

 

 この記者、もう次の話を聞きたいようだ。笑ってしまいそうになる。

 

「171号線奪還、B7R….そうだな」

 

 俺は物語の続きを話し始める。

 

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  • マーセナリー (ただひたすらに強く。)
  • ソルジャー (戦場を変える力。)
  • ナイト (強きを挫き、弱きを鼓舞する)
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