切ちゃんとフシちゃん   作:クロトダン

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お久しぶりです。
マイページのメッセージに更新止まってるのに【応援してます】、【時間がかかってもずっと待ってます】などの嬉しい言葉を受け取り、その思いに応えてようやく続きを更新しました。
久しぶりなので気合いを入れて書きましたので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ではどうぞ!


フシちゃんと不思議なガス状の『ナニカ』

――三人称視点――

 

 

「お、オバケ…デスか?」

 

「そうなの!この前オカ研の先輩が帰り道で廃寺の近くを通った時に見たんだって!それに他の部員の人も見たんだって!」

 

 昼休みのリディアン音楽院、一年生の教室で一人のクラスメイトから出されたある話題を聞いた切歌は冷や汗をかくのを感じながらクラスメイトに聞き返すとオカルト研究会に所属しているクラスメイトの女生徒は興奮気味で話し続ける。因みにクラスでのあだ名はオカ子(本人も気に入っている)

 

「それだけじゃなく、霧の中で不気味な笑い声が聞こえたり、赤い火の玉も飛んでたんだって!くぅぅぅ~~!羨ましいぃぃー!」

 

「そ、そうなんデスか……」

 

 オカ子の勢いに気圧された切歌はなんとか相づちを打つしかできなかった。

 

「それでね!わたしもオバケを見ようと昨日の帰りに廃寺に行ったら、オバケには会えなかったけど、面白い物を拾ったんだ!」

 

「面白い物?」

 

「うん!これだよ!」

 

 切歌と一緒に話を聞いていた調に聞かれ、リディアン指定の鞄から取り出した物を二人に見せる。オカ子が出したソレを見た二人は思わず首を傾げた。二人が首を傾げてしまうのは無理もない、何故ならオカ子が取り出した物は……。

 

「石……デスね?」

 

「うん、普通の石だよね?」

 

 そう、オカ子の手に乗っていたのはそこら辺の道に落ちているただの石だった。

 

「フフフ……ただの石かどうか持ってみたらわかるよ?はい、握ってみて」

 

「わかるよって、わたしには普通の石にしか見えない……あれ?」

 

 切歌と調の言葉にオカ子は不敵な笑みを浮かべるとそれを調の手に握らせる。石を渡された調は困った表情を浮かべ言われた通りに握ってみると、自分の体にある変化が起きたことに気付き、石を握ったまま軽く小刻みに跳ねてから、目の前の席に座っているオカ子の顔を見るとオカ子は嬉しそうにクスクスと笑っていた。

 

「どうデスか調?何か変わったデスか?」

 

「……うん、言葉で言うより持ってみたらわかると思う」

 

「デス?……オヨヨーーっ!」

 

 調に言われた通りに渡された石を握るとその変化に驚いてぴょんぴょんと跳ねながら声をあげた。

 

「か、体がすごく軽いデース!」

 

「そう!そうなのよ!この石を持ってみたら体が軽くなってたの!不思議でしょ!」

 

 切歌のリアクションを見てオカ子は嬉しくなって声をあげる。

 

 オカ子の言う通りこの石はただの石ではなかった。それは本来ならこの世界に存在しない石、【かるいし】だった。それはある世界で使われる不思議な石――いや、道具であると言ったほうが正しい。その道具、【かるいし】は本来ポケモンの世界にある道具であり、持たせると体の重さが軽くなるという効果がある。

 

 しかし、ポケモンの世界にある道具が何故この(シンフォギア)世界にあるのか……。

 

「うん、確かに不思議な石……。でも、どこでこれを?」

 

「フフフ……それはね……」

 

 調の問いにオカ子は不敵な笑みを浮かべ、二人に拾った場所を教えると、それを聞いた二人は驚きの声をあげた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

――廃寺――

 

 

「よーし、アタシ達も不思議な道具を手に入れるデース!」

 

「ダーネダネ!」

 

 放課後。場所は学院から変わって調と共に件の廃寺に向かった切歌は右手を上に突き出すとモンスターボールから出したフシちゃんも切歌の真似をするように短い右の前足を前に上げていた。

 

「でも、切ちゃん。オカ子の話が本当なら本部に連絡したほうがいいと思うよ?」

 

「うぐっ……た、確かにそうデス。……デスが!本部に報告する前にアタシ達が事前に調査してからでも遅くないデス!」

 

「ダーネ、ダネ!」

 

 その一歩後ろで冷静に正論を告げる調の言葉に切歌は一度顔を下に向けるが右拳を上に掲げて気合いのこもった声を上げて廃寺の境内に向かう。それに釣られてフシちゃんも切歌の真似なのか背中のタネの付け根からツルを伸ばして声を上げて切歌の跡を追う。

 

(そして、あの軽くなる石を手に入れて来月の体重測定に備える為に!)

 

 ………どうやら、彼女の本当の目的はオカ子が手に入れた【かるいし】が目当てらしい。

 

「もう、切ちゃんたら……よし、待ってよ切…ーガササッーえ?」

 

 仕方ないとため息をした調は念の為本部に廃寺の調査をするというメールを送った後、先に行った切歌の跡を追いかけようとしたが、廃寺の入り口の脇にある草むらから音がした。

 

「ヒ……ヒバァ………」

 

「兎さん……あっ、怪我してる!」

 

 廃寺の入り口にある草むらから出てきたのは頭部から伸びる白く長い耳の先端が赤い兎のような生物が耳や脚に血を流した状態で地面を這いながら調の前に現れた。

 

「待ってて、今手当てするから…」

 

「ヒバ…ッ!?」

 

 見知らぬ人間に警戒した白い兎は大きな耳を両手で抱えて身を縮こませると調は優しい笑みを白い兎に向けて優しい言葉を送りながら手元にある簡易救急セットからガーゼと包帯を取り出して、手当てをし始めた。

 

「大丈夫だよ。君の怪我を手当てするだけだから……」

 

「ヒバァ…?」

 

 白い兎は自分が今まで会ってきた人間達と違う行動に戸惑いの反応をしつつも、彼女から感じる優しい笑みを見て大人しく治療を受ける。

 

「これでよし。簡単な手当てだから後で病院に連れて行ってあげるからここで待っててね?」

 

「ヒバァ……?」

 

 治療を終えた調は白い兎に入り口で待つように伝えると先に向かった切歌とフシちゃんよ跡を追いかけようと小走りで境内に入っていった。

 

「……ヒバッ!」

 

 調を見送った白い兎はピョンっと跳び跳ねて地面に()()()で着地すると何度か地面を跳ね、脚の具合を確かめた後、手当てをしてくれた調の跡を追いかけようと小さな二本の足でぴょんぴょんと飛び跳ねるように走り出した。

 

 

 

 

 2人と一匹が廃寺を歩いていると境内にある誰も訪ねる事が来なくなった墓石がある場所に移り始め、先を歩いていた切歌は暗く鬱蒼とした雰囲気に身を縮こませ自分より平然と歩いてる調の背後にピッタリとくっついて歩いていた。

 

「うぅ〜、く、暗くなってきたデスね?な、何か出てきてもおかしくないデスヨ?」

 

「切ちゃんそんな事言ったら本当に出てくるよ?」

 

「こ、怖い事言わないデスよ調!?そんな事言ったら本当に出たらどうす−カランッ− デェーースッ!?

 

 怖がっている切歌にクスリと微笑を浮かべながら少し怖がらせる調の言葉に涙目になりながら喋っていた切歌の背後にある墓石から物音がするとそれを聴いて悲鳴を上げると調の体に抱きしめた。

 

「ななな、ナンデスか!?何の音デスか!?幽霊デス!?オバケデスか!?」

 

「落ち着いて切ちゃん。フシちゃんが塔婆供養(とうばくよう)を倒しただけだよ?」

 

「ダ〜ネ?」

 

 調が指差す先に目を向けると風雨で風化した塔婆供養を弄っていたフシちゃんが《呼んだぁ〜?》と振り向いて首を傾げていた。

 

「ホッ…オバケとかじゃなくて良かったデデデッ!?し、調!?何をするのデス!?」(涙目)

 

「え?何もしてないよ?」

 

「ダネダネ」

 

「…… じゃあ、アタシの首筋を触ったのはまさか……?」

 

 安心して息を吐いていた切歌が背後から首筋を【ナニカ】に触れられた感触に驚いて、涙目で調の名前を呼ぶが調本人は切歌の側から離れてフシちゃんが弄っていた塔婆供養を墓石の脇にまとめて置いていた。

 まさかと思い切歌が触れてきた【ナニカ】を確認しようと恐る恐る背後を振り向くと……

 

ギョロリ】と二つの大きな眼玉が切歌の顔を覗いていた。

 

「で、で……出たデェェェェェーースッッッ!?!?!?

 

 切歌の叫び声を聴いた調とフシちゃんが表情を引き締めて即座に切歌の側に駆け寄り、こちらを見つめる宙に浮かぶギョロ目を見据えて警戒する。

 

「大丈夫切ちゃん!?」

 

「だ、大丈夫デス!でも、いったいなんなんデスかあれ!」

 

「わからない。でもあれが普通じゃないのは確か……っ!切ちゃん!」

 

「ダネダネェ!!」

 

 二人と一匹がギョロ目に警戒しているとギョロ目に変化が起きた!

 ギョロ目を中心に周囲から紫色の煙が集まり始め、徐々に形を形成していき、その姿を現した!

 

ゴースゴッスゴスゴスゴス

 

 現れたのは黒い球体の顔の回りを薄い紫色のガスを纏う生命体、ゴーストタイプのポケモン《ガスじょうポケモン:ゴース》が装者達の前に不気味な笑い声を上げていた。

 

「なにあれ、生き物なの……?」

 

「な、なんか幽霊みたいデス……!」

 

 2人がギアを纏おうと首に下げたペンダントを握りしめて聖詠を告げようと口を開こうとしたその時ーー

 

ダネダネェ!!

 

「フシちゃん!?」

 

「突っ込んでは駄目!戻って!」

 

「ダ〜ネダネダネダネ、ダネェッ!!」

 

 臨戦態勢を取っていたフシちゃんがゴースに向かって走り出した!

 真っ先に前に飛び出したフシちゃんを見た2人が呼び止めるがフシちゃんは以前見た時とは見た事ない速度で地面を蹴り、ゴースに向けてその小さな体を使った全力の【たいあたり】を繰り出した!だがーー

 

「ダネッ!?」

 

「すり抜けた!?」

 

「やっぱりオバケデス!?」

 

 フシちゃんの全力の【たいあたり】は煙を掴むかのようにゴースの体を通り抜けてしまった。

 

「ダネ!ダ〜ネ、フッシィーーッ!!」

 

 攻撃が通じないと本能的に理解したフシちゃんは今度は自身の得意技である【つるのムチ】を繰り出し、今度は命中したがゴースには効果は今一つのようだ。

 

 毒、ゴーストの二つのタイプをゴースには【たいあたり】のようなノーマルタイプの技はゴーストタイプには効果は無く、更に毒タイプを有しているゴースに草タイプの技である【つるのムチ】は効果は今一つであり、フシちゃんにとって相性が悪いポケモンだ。

 

「今度は当たったのに……」

 

「フシちゃんは下がってるデス!今度はアタシ達がやるデスよ調!」

 

「うん!」

 

「ダ、ダネッ!」

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

 

 フシちゃんを下がらせ、イガリマとシュルシャガナのシンフォギアをそれぞれ纏い、切歌は大鎌のアームドギアを、調は丸鋸でもあるヨーヨーのアームドギアを展開し自身の両手に持ちゴースに向けて構える。

 

ゴー?……ゴース、ゴスゴスゴスッ!

 

 ゴースは自身に()()()()()()()()()()()2人の人間を見て、可笑しく笑っていた。

 それはゴースにとって、いや、ポケモンの世界にとって可笑しな事で当然の事だった。ゴースやフシちゃんが本来住むポケモンの世界ではポケモンを攻撃するのはバトルをする同じポケモンであるのがその世界のポケモンと人間にとって常識であり、人間がポケモンを直接攻撃するのは()()()()()()である。

 

 その常識を知らない切歌と調は自分達を馬鹿にするように笑うゴースに対して表情を更に引き締めると切歌が【唄】を口にしながら前に駆け出し、それを調が両手に持つアームドギアでもあるヨーヨーを繰り、前に向かって走る切歌を追い越してゴースに攻撃を仕掛けた!

 だが、ゴースは余裕を持って調の攻撃を避けると避けた先に回り込んだ切歌の大鎌が振り下ろされるがゴースは簡単に避ける。

 攻撃をかわされた2人はお互いの得意な連携でゴースに攻撃を繰り出すが、ゴースは余裕を持ちながら2人の攻撃を避けつつ、長い舌を出してポケモンのように直接攻撃を仕掛ける2人を馬鹿にながら余裕を見せつけ、それを見た2人は怒りを抱きつつも、目の前の存在が一度も攻撃を仕掛けてこない事に不気味さを感じていた。

 

 2人は今度はユニゾンを仕掛けようと2人の【唄】を唄おうとした瞬間!

 

ゴース!ゴスゴスゴースッ!!

 

「「ッ!?」」

 

 これまで一度も反撃を含めた攻撃を仕掛けてこなかったゴースが不気味な笑みを浮かべながら、自身の得意技の一つである悪タイプの技【あくのはどう】を2人に向けて放つが、2人は地面を跳んでそれを避け、標的を失った【あくのはどう】が墓石の一つに当たり粉々に砕いた!

 

「くっ、さっきまで攻撃しなかった癖にユニゾンをするタイミングでするなんて……「ゴゴゴゴースッ!!」っ!?しま…ーベロォォン!ーデデデデースッ!?」

 

「切ちゃん!?」

 

 地面に着地して姿勢を整えていた切歌の目の前に現れたゴースが出したゴーストタイプの技【したでなめる】で顔面を舐められた感触に身の毛をよだち悲鳴を上げた直後、バターンッ!と仰向けに倒れた切歌を調が心配の声を上げる。

 

「か、体が、痺れて、動かない、デス……!」

 

 ゴースが繰り出した【したでなめる】、その舌で舐められた対象は30%の確率で体が痺れる【まひ】状態にする効果を持つ技である。

 ポケモンの技に対して耐性がないこの世界の人間である切歌は顔面をモロに舐められ【まひ】状態になり、体が痺れてしまい少なくともこの戦闘が終わるまで動けなくなってしまった!

 

「ダネェッ、ダネダネダァッ!!」

 

「フシちゃん駄目!戻って!」

 

ゴォォォ……ゴースッ!

 

「ダネェェェッ!?」

 

「「フシちゃんっ!!」」

 

 『お前ぇ、切歌ママに何をしたぁ!!』と叫びながらゴースに飛び掛かるフシちゃんを見たゴースは自身の顔の前に展開したゴーストタイプの技【シャドーボール】をフシちゃんに向けて撃ち放ち、真正面から突っ込んでいたフシちゃんはかわす暇なく直撃を受けてしまい、その小さな体を大きく吹き飛び地面に2度跳ねた後墓石の一つにぶつかった後、ゴースの追撃の【あくのはどう】が墓石ごとフシちゃんに撃ち放ち、フシちゃんは砕けた墓石の破片の下にドサリと体を地面に身を投げ出した。

 

「お前、切ちゃんとフシちゃんをよくも!ーピキーンッーっ!?か、体が動、かない……!なんで……!?」

 

 大切な家族を傷つけたゴースに怒りを抱いた調がヨーヨーのアームドギアを放とうとゴースの大きく腕を振った瞬間、ゴースと目を合わせた途端、調の体が動かなくなった!

 その原因はゴースが調と目を合わせた瞬間、ノーマルタイプの技【かなしばり】を使用して、調の体の動きを止めたからだ!

 

 顔を舐められ全身痺れて倒れてしまった切歌。金縛りで体を固定された調。そしてゴースの攻撃で体力が【ひんし】に近い状態のフシちゃん。

 たった一匹のゴースになす術もなく2人と一匹は完封されてしまった……。

 

ゴース、ゴスゴスッゴス

 

 ゴースは()()()()()()()()()()()()自分より弱い存在を痛め付ける快感に笑い声を上げた後、虫の息の状態であるフシちゃんにトドメを刺そうと【シャドーボール】を放とうとする。

 

「フ、フシちゃん……!う、ああぁぁぁあぁぁぁっ!!」

 

「動いて!動くデスよ私の体!!フシちゃんを!フシちゃんを助けないといけないのに!なんで動かないのデス!?アタシは、フシちゃんのママだからフシちゃんを守るって決めたんデス!だから…動いてよぉっ!!」

 

「「フシちゃぁぁぁーーーんっ!!」」

 

 それを見た2人はフシちゃんを助けようと唇を噛み締め、血管が破れるくらい必死で力を込めるが、2人の苦痛の表情を見たゴースはニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、その表情から苦悶の叫び声を上げさせて更に絶望する姿を見ようと【シャドーボール】放とうをしたその時!

 

ヒィ……バァァァーーーっ!!!

 

「ゴォ!?ゴォォォーッ!?」

 

「「えっ?」」

 

 技を放とうとしたゴースの背後からと調が治療を施した白い兎が飛び掛かり()()()()()()()()()()()でゴースの体を蹴り飛ばした!!

 

 

ーー続く!ーー




本当にお久しぶりです。
前回の投稿から6年越しの投稿です。
覚えてる人はもういないと思いますが、小説は時間かけてでも続けます。

さて、今回の強すぎるゴースと調が助けた白い兎の続きは次回の【フシちゃんと白い兎さん】に続きます。
出来る限り早く更新しますので、首を長くしてお待ちください!
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