哀牙の龍   作:黒死牟

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はい、第4話です。
マジレスすると今回新しい呼吸が登場します。
なんじゃそれは、と思うかもしれませんが暖かく見守って頂けると幸いです。

それでは、よろしくお願いします。


第4話 火神

少「父ちゃんの…父ちゃんの仇をとるんだ!」

 

懐に刀を抱き、少年は異形の方を指さした

少「あいつが、俺の父ちゃんをさらって行ったんだ!」

 

士「あいつが?」

少年は大きく頷く

少「父ちゃんをどこへやった!父ちゃんを返せ!」

 

鬼はけたけたと笑いながら首を捻る

鬼「さらった奴の事なんぞ、いちいち覚えてない」

 

少「ふざけるなー!」

少年はおもむろに立ち上がり、

刀を引き抜くと鬼に向かって走り始めた

 

士「待て!危ない!」

 

刀を振り上げ、鬼に斬ってかかる

腕力がないのか太刀筋がブレる

 

鬼はけたけたと笑ったまま、

刀を掴んで少年ごと放り投げた

 

高く舞い上がり、月明かりで影が出来る

このまま落ちれば、命の保証は無いだろう

 

士「させるかぁ!」

 

怒りを胸に、

音速の如く駆け抜け、鳥のように高く翔ぶ

 

空中で少年を抱き留め、受身をとりながら地面へと着地した

 

士「大丈夫か?」

 

少「う、うん、ありがとう…」

 

 

鬼「お前…ただの人間じゃぁないな?」

 

士「雑魚鬼に名乗るような名前等、持ち合わせていない」

 

士竜の言葉を聞くなり、

鬼は耳障りな甲高い声で笑い始めた

 

鬼「若造の分際で生意気な口を聞くじゃないかい…いいねえ、遊び甲斐ありそうだなあ」

 

士竜は少年の方に向き直ると、その小さな手を優しく握る

士「あいつは俺が倒す、君は今すぐ逃げるんだ」

 

少「お兄ちゃん…何者なの?」

 

少年の問いかけに、士竜はふっと笑みを浮かべる

 

士「ただの人間だよ、君と同じの」

士竜は少年を路地裏に誘導し、ここから動かない様言いつける

 

 

日輪刀を引き抜き、刃を鬼へと向ける

凄まじい眼孔…周りの空気が揺れた

 

士「人を攫う悪鬼…今から俺が、お前を斬る…!」

 

青白い月明かりに日輪刀が照らされ、

刃が紅に輝く

 

鬼「面白い、斬れるものなら、斬ってもらおうじゃないか…!」

話を終えるのと、鬼が士竜に迫ったのはほぼ同時だった

 

うねる腕を振りかぶり、士竜の腹を狙う

身体を仰け反らせながら攻撃を避け、同時に頸を狙った

 

しかし、刃は空振り

鬼は背後に回ると再び「腹」を狙う

 

こいつ、何故腹ばかり狙うのだ?

 

攻撃を避け、大きく飛んで距離をとる

動きも素早く、血の匂いも濃い…

 

こいつ…

 

鬼「俺はいつも腹が減っている、食っても食っても満たされない…餓鬼だ!」

前屈みになり、片手を地面に付けて細い目で士竜を捉える

 

血鬼術 手炎獄

 

手から燃え盛る火球を生み出し、弾くようにして飛ばす

音速を超えるような速さで火球は士竜に迫る

 

龍の呼吸 壱ノ型 轟龍斬

 

飛んできた火球を真一文字に切り裂き、真っ二つにしてしまった

士「濃い血の匂いに煩わしい血鬼術…間違いない…こいつは、上弦だ…!」

 

再び構え直し、頸を斬らんと鬼に迫る

 

鬼「…馬鹿め」

 

士「人間を貪る悪鬼め!覚悟しろ!」

その時、だ

 

刀を振り上げた士竜に、

先程斬ったはずの火球がまるで生き物のように炸裂した

 

ただ、焼け付くのではなく

それぞれの火球が拳のように腹にめり込んでくる

 

士「…ぐあっ…」

受身をとり、素早く距離をとる

間髪入れずに火球が此方へと飛んできた

 

多分、この火球は粘土みたいな物

斬れば斬る程分裂してしまう…

 

鬼「考えている暇などあるのか?」

 

血鬼術 祀火槍

 

空を撫でるように手を動かす

すると、頭上から火を纏った槍が雨のように落ちてきた

 

士竜は短く舌打ちをする

士「なんとも、煩わしい血鬼術だ」

 

息を深く長く吸い込む

身体中の血の巡りを感じ、体温を上げる

 

 

柱を…なめるな!

 

 

龍の呼吸 弐ノ型 龍牙 逆鱗の舞

 

上半身の凄まじい捻りを利用して斜めに刀を振るう

雨のように落ちてくる火槍を全てなぎ払った

 

逆鱗に触れられた龍の如く、

鋭い牙のような斬撃が飛んだ

 

今度は素早く向きを変え、鬼の頸を狙う

 

鬼「よく鍛錬してるんだ、分かるよ」

不気味な笑みを浮かべ、後退りしながら斬撃を避ける

 

くそっ!

うねるような動きのせいで刃が当たらない

特別動きが素早い訳でもなく、頸も硬そうには見えない

 

この戦いで、俺の刃は1度もやつに届いてはいない

俺は焦る

 

ここまで苦戦した相手に遭遇した事がなかったからだ

 

これが、上弦か

 

鬼「そろそろ鬼ごっこもあきたね」

不敵な笑みを浮かべながら空へと高く飛ぶ

 

血鬼術 火車林風

 

はらりと風が吹く

それと同時に、燃える輪が風で揺れる林のように次々と襲ってくる

 

龍の呼吸 壱ノ型 轟龍斬

 

次々と飛んでくる火輪を息付く間もなく捌く

しかし、捌けど捌けど火輪は止まらない

 

くそっ…

このままでは埒が明かない、

体力だけ奪われて追い詰められていくのは目に見えている

 

なんとか、やつの攻撃を抜けられる所は無いものか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼「よそ見しちゃ、ダメだよ」

 

鬼の言葉が耳に届いた瞬間

 

俺の腹に先程の火球がめり込んできた

火輪を捌くことに集中しすぎてしまい、横の防衛が疎かになっている時だ

 

士「ぐっ…がはっ……」

ふきつな音が耳に届き、俺は吐血する

肋が折れたようだ

鈍い痛みが身体中を走る

 

息を着く暇がない

次々と間髪入れずに火輪が飛ぶ

 

捌かなければ、やられる

深く息を吸い込め、全身に血を巡らせるんだ…

 

龍の呼吸 壱ノ型 轟龍斬

 

滑空してくる攻撃を気力で捌く

敵の攻撃が病む気配がない…このままでは

 

その瞬間、突然空気が肺に入ってこなくなった

呼吸量が限界値を超えたのだろう、息が吸えない

 

その場にどさりとうつ伏せに倒れ込む

必死に呼吸をしようとするが、全く呼吸ができない

 

 

このままでは…どうなるかは目に見えている

頑張れ俺、頑…張るんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士竜…

 

誰かが呼んでいる

 

士竜…!

 

 

カッと目を見開く

目の前には、頬に傷のある老人

 

俺の、育手だ

 

お前はここで終わるような男じゃない

立ち上がれ、刀を握れ、心を…燃やせ!

 

 

下半身に力を入れろ

残った体力で繰り出せる最後の型をぶつけるんだ

 

俺はできる、できる奴だ!

鬼殺隊に入り、血反吐を吐くような努力で柱にまで登り詰めた

 

何度も何度も死にかけた

その度に俺の魂は燃え盛り、狭間を経験することによって自分を強く研ぎ澄ましてきた

 

 

立て、立つんだ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼「生意気な鬼狩り、あの世にいけ」

 

火球が士竜に迫る

彼はピクリとも動かない

 

鬼はその様子を黙視し、勝利を確信いている

 

情けないやつ、口ほどにもない…

 

次の瞬間

士竜の身体が消えた

いや、消えたように見えた

 

彼に向かっていた火球はそのまま誰もいない空間を通り過ぎ

困惑したかのように右往左往している

 

鬼「どこだ?何処に消えた?」

周りを見渡したその時

真正面に気配を感じた

 

 

士「隠れてなど居ない、俺はここにいるぞ!」

なんと鬼の目をも欺く速さで真正面から近づいたのだ

 

鬼「そんな…馬鹿…なっ…」

恐怖で顔が歪む

あれだけ痛めつけ、戦闘の途中で倒れ込んだというのに…

こいつは、本当に人間なのか?

 

士「人間を貪る悪鬼め、あの世にいけ!」

 

 

全集中…

龍の呼吸 参ノ型 號火剣乱 -カグヅチの舞

 

一瞬にして姿を消し、相手と一気に間合いを詰め

体の捻りと横の回転で勢いを増し、合計4回相手を斬る

 

派手に刀を操り、鮮やかに斬りつける様は

正に剣の乱舞

 

火神 カグヅチそのものだった

 

 

凄まじい速さの剣撃に鬼は怯み、

気づいた頃には胴と頸は泣き別れていた




読んでいただき、ありがとうございます、

新しい呼吸はどうでしたか?
回らない頭をひねくりながら編み出しました。

大正コソコソ噂話
士「長丁場の戦いは好きじゃないが、嫌いでもない
ここで、大正コソコソ噂話、餓鬼は人間の頃羽根つきが好きで、血鬼術にもそれが現れているそうな」

誤字、脱字等ありましたらご指摘お願いします。
次回もよろしくお願いします。

つづく
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