勢いだけで書いた。
あとスペル間違えてたので書き直しました。
何やかやで敷地は東京都か神奈川県どっちだっけまぁいいや後奈良県に風評被害が……の孤島にある、ひとときの平和を享受するというか早々事件起きてたまるかなIS学園では、1年1組と2組合同の体育をグラウンドで実施していた。
そんな騒がしくもかしましい授業風景の傍を、黒いジャケットを着た一人の中年男性が平然と通りすがる。見ない顔の上カメラまで抱えていてザ・不審者という出で立ちのため女生徒らがざわつく。あまりに堂々とした態度を取っている上一応許可証をぶら下げているので関係者かと訝しんだ者もそれなりにいた。
「あ、門矢先生! 門矢先生じゃないですか!」
そんな人物にフレンドリィに呼び止めたのは、学園唯一の男子生徒、織斑一夏(ヒバニー)である。
「久しぶりだな織斑一夏。悪くない」
飄々とした態度の不審……通りすがりの男、門矢士が右の指先をクルッと回しつつ敬礼ぽく立てる。ゼスチャは特に意味などない。
「あ、門矢士」
「呼び捨てか!?」
凰鈴音(ルカリオ)が露骨に指差す隣で篠ノ之箒(オドシシ)が突っ込み担当に廻る。結局一夏と鈴ちゃんさんは目前の男と知己のようである。
「何だお前らどうした」
担任の織斑千冬(ピカチュウ)が傍に立ったので、箒が例の男について情報を求めた。一方、一夏はその門矢士と世間話をしている。
「先生この人誰なんです?」
「奴は一夏の中学校にいた先生でな、今は写真屋になってて学内を撮影してもらってる」
「そうなんですか……女子高の中で成人男性一人は随分とハードル高いですね」
「うちのナイスミドルな用務員さんも同じこと言ってたから安心しろ」
「そーうなんですか……」
訊いた側の箒が無駄に混乱している中、千冬がふとした疑問を一夏に訊いてみる。
「男がピンクのワイシャツ着るって、林家ペーの系統か?」
「いや確かにカメラ持ってるけど芸人じゃないよ限りなく近いけど。後あれマゼンタだから」
ピンクとマゼンタを初見で見分けられる人はそういない。筈。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
昼休みに鈴音・一夏・箒の面白トリオは屋外を散策していた。人物名の並びは特に意味なぞない。
3人は高校生特有の馬鹿話に興じている。なめ猫リバイバルブームや外人しかいない焼肉屋、門矢士が元バス運転手だったこと、何か色々と。
唐突に何者か、謎の集団に何の脈略もなく囲まれてしまった。見た目明らかに人ではない、称するなら怪人と呼ぶべき連中、その数10体が蠢いている。どう見ても学園ひいては人間に害をなす存在だ。
気が付けば周囲が学園内でも見た事のない建物に囲まれた区画にいて、箒がぎょっとする。具体的には映画製作会社の敷地内みたいな風景である。採掘場でないだけマシと思ってください。
「何で怪物が学園に出てくんのさ!?」
「仕方ない、私たちでヤっちゃうしかないわね」
「応」
こういう存在に慣れているのか一夏と鈴音が即ISを展開して迎撃体制を取る。生憎と箒はISを持っていないため、手持ちの木刀を振り回すこととした。
人より倍近くの体格を誇るISといえど、尋常でない膂力を持つ怪人の前には刀剣が弾き返され、単純な殴る蹴るで吹き飛ばされる。それでも数体倒せたものの、なかなかに分が悪い。
「ちくしょう数が多い!」
ISなので一夏が空を飛んでみたが、生憎と向こう側も妙にトランプのスペードぽい意匠を持った怪人が同じく宙を舞い迎撃される。思っている以上に相手も強かである。
などというピンチオブピンチの状況の中、一人の男が乱入した。顔は固定したままリズミカルに歩いてくる通りすがりのおじさん、というか門矢士はマイペースにチャンバラな空間へ向かって来る。
本命なのか一斉に門矢士に向く怪人の集団。箒も驚いたが、唐突にBGMが鳴り響いたからである。
「門矢士!」
「門矢士!」
「カドヤツカサ!」
怪人どもも門矢士を既に知っている。同時に強敵であることも知っているため揃って後ずさる。
何故かジャケットの上から直接巻いている謎のベルト、その妙にメカメカしいマゼンタ色のバックルを左右に開く。中心部分が90度回転した。
「なるほど、こういう修羅場、俺は嫌いじゃないぜ」
門矢士がドヤりつつ腰からカードを引く抜くと、バイクのエキゾースト音もしくは換気扇に名刺を当てて作ったような音が鳴り響く。何だそれはと箒が突っ込む間もない。
「変身!」
カードの表面に描かれた人の形を周囲にアピールした直後、慣れた手付きでバックルへ叩きつけるように挿入した。
『KAMEN RIDE』
仮面を着けるものが乗る、というある種哲学的なボイスをバックルが発し、カードが認識された。更に慣れた手付きで勢いよくバックルを閉める。中央部は元に戻り、変身のプロセスは発動された。
『DECADE!』
左右に多数の人影が散りばめられ、門矢士と一体になる。彼は歩みを止めない。同時に、焦る怪人の一体がミサイルを乱射し、狙い違わず目標に命中した。
果たして爆炎から悠然と無傷で歩み現れたのは、モノクロームの怪人である。少なくとも箒にはあの連中と同類に錯覚した。特に某本官さんの如き目が。直後にマゼンタの色が乗り、胸に斜め十字の巨大なラインも顕になる。バックルから7枚の分厚いカードが飛び出す。そんな謎の物体は狙い違わず顔面へ順番に刺さっていく。見慣れている一夏・鈴音はともかく初見の箒には訳が判らない現象だった。ついでに何が10年目なのかも不明である。
「IS……じゃないよな!? 後ピンクピンク!」
コミケに出没しそうな格好の男を指して箒が叫ぶ。ちょっと錯乱気味なのは愛敬だ。
「ISじゃないそうだよ、ディケイドだって。後マゼンタ」
日本史上トップクラスに属する3大胡散臭いヒーローの誕生である。残る二人は月○仮面とデン○ンマン。異論は認める。
「DECADE!」
「DECADE!」
「ディケイド!」
怪人どもがディケイドと呼ぶ通りすがりのヒーローは、腰のカードデッキを振り回し、変形して棒……剣になった武器「ライドブッカー」を手に悠然と怪人の群れにマイペースで歩み寄りボコボコに叩きまくった。
「あ、強い」
などと箒が漏らす程には圧倒的である。圧倒的である。
ディケイドと一夏が背中合わせとなり怪人を迎え討っている。が唐突に腰からカードを引き抜き、開けたベルトに向かって投げて挿入した。閉めると技が発動する。
『FINAL FORM RIDE』
最終技を仕掛ける腹づもりのディケイドは、問答無用で一夏の背中に手を突っ込んだ。
「ちょっとくすぐったいぞ」
「お、おぉ!?」
一夏の意向は全く無視され、メカのごとく変型していく。仮にも生身の露出した人間がガチャガチャ組み変わる様はシュールの一言に尽きる。
果たして一夏は4m近くある巨大な刀剣と化した。切っ先は怪人らを向いている。
「あぁっ一夏ー!?」
「一夏のアレでっかいわねぇ」
「えそっち!?」
怪人を木刀で捌きつつも想い人が何か変なものになったことへの驚愕は計り知れない。一方鈴ちゃんの見解は誤解を招く。
カード魔人とも言うべき程に追加でカードをベルトに投げ入れたディケイドは、最終技を発動した。既に鈴音・箒は避難している。
『FINAL ATTACK RIDE』
『ONONON,ONESUMMER!』
一夏を握り、光る一夏で横薙ぎに一閃した。残る怪人はそれはもう派手に爆発を起こし、きっちりと秒殺され燃え尽きた。色んな意味で欠片も残さない。
ディケイドと、変身解除された一夏が並び立つ。一夏はこういう展開に憧れていた面が割とちょっとはある。
「あの人何者なのだ……?」
ひたすら事態について行けないまま流された箒はそう問うしかない。応える鈴音は肩を解しつつ投げやりな態度だ。
「ま、出るとこに出ればヒーローでしょうけど、ここではただの面白おじさんよ」
「いいのかそれで」
良くはないが深く考えるだけ無駄なことはある。とりあえず一夏が変な目に遭う技は流石に辞めて欲しいとは思った。
ふと箒が背後を振り向くと、物陰にノースリーブの紫コートを着た謎の男がやたら堂々とした態度で見物していた。オールバックに鋭い目付き、直角に歪んだ口元など、100人中100人がこいつ堅気じゃないと指摘しそうな全身ヤバい雰囲気が匂い立つ男の存在に、こいつがこの事件の首謀者だと箒は直感した。ついでに門矢士と同類だとも見立てた。
うかつに声を掛けるのも躊躇われたその一瞬。紫コート男の背後から光のカーテンが発せられ、女性の手ががっしりと男の肩を掴んだ、男がぎょっと振り向く。果たして現れた女性は、箒の姉いわゆるシスターだった。
「君はこっちだよー」
驚愕の表情で固まった紫コート野郎を問答無用で光のカーテンの中へ引きずり込んだマイシスターは、最期に箒と目が合うと笑顔でピースサインを決めて引っ込んでいってしまった。後に何も残らない。
お姉さま願わくば一夏が懐いてる門矢士に対抗するため力をください具体的にはISとか。
・IS学園
実在名と被らないネーミングにすべきだったのではと今更ながら思う。後それはそれとして女子大に出張した時に聞いた学内の教授さん曰く、女子だらけの中で男性教職員は浮くので結構気を使うそうである。
・門矢士
歩いてくるだけで笑えるヒーロー。素晴らしい。