彼の行動は、栄えあるデストロンの凋落を避けるという健気な思想によるものであった。
「オレの目の前にいる胡散臭いロボット、ああ、なんて言ったかな? 『X-9』だったか」
「…………」
拘置されている彼の前に現れた灰色のボディのトランスフォーマー、チャージャーが独り言ちるようにして目をやった。
「我々の議論は、あんたが数百年先の技術を知っているってんで、あんたが未来人という帰着に至った」
「何がいいたいのだ」
チャージャーが残念げに、しかし諧謔を装って言う。対して彼は、排気の音すら悟られまいという意思を表していた。
「全くおかしい話だ! あんたは過去の産物、だのになぜセイバートロン星の技術を応用した高度なそれを持っている! ああ、ヒューズがトんじまいそうだぜ」
サンダークラッカー──
「レーザーウェーブの奴が製作したクロノ・スフィアとかいう代物じゃ時間旅行に限りがあるってのが定説だ。だからあんたはやっぱり未来人なんだろう。一体過去でどんな悪事を働きやがったんだ?……なあ、」
一拍置いて、わざとらしくボディの光沢を見せつけるようにして踵を返す。
「……ジャガーさんよぉ」
「全ては、デストロンの未来のため」
「何?」
「全ては、デストロンの未来のため」
「ケッ、デストロンはこんなイカレオンボロ野郎ばっかりだぜ」
そのまま一瞥もせずチャージャーは司令室へ戻っていった。オートロックの扉が閉じるのを目敏くセンサーに納め、重い口を開いた。それはまるで、地上で生きる炭素生命体、とりわけ人間がする息継ぎの如く原始的な動きであった。
「アイツはフレンジーと仲が悪かったな……いや、それはスカイワープの奴だったか」
ジャガーは、久しぶりに水面から顔を出せたと言わんばかりの面持ちであるはずだ。断定できないのは、彼に表情というものが存在しないからである。
「しかし確かにおかしな話だ。
彼は脳裏、否、メモリーに焼き付いている銀色の惑星の記憶だけは消さなかった。消せなかった。
彼には拭えぬ一抹の不安があったからだ。
「この謀を完遂したら、」
私はこのタイムラインから姿を消す。
「私はどうなるのだろうか……『未来人』、か」
その未来を虚に帰そうというのが私の計画──
「では記憶はどこへ還る? 教えてくれ、我が
*
「この未来は絶望的だが、我々は成すべき務めを果たす。地球のスキッズに、"遠雷作戦"の発動を命じてくれ! おい! ウルトラマグナス! 私と同行するんだ」
「わかりました、司令!」
"闇"が訪れるのを『占った』彼は、投獄された己の身分にほくそ笑む。
「それでいい」
彼は低い天井を仰ぎ、それから徐々に哄笑した。
「……メガトロン様! 私はあなたのために!」
この時を、何ステラサイクル待ったことか。
「やはりあの
或いは演説みたいに、或いは慟哭みたいにして発声回路を擦り減らす。
「あなたを狂わせはしない! デストロンに栄光あれ!」
ついに流れは分枝し──彼は未来を知らぬ未来人となった。
ジャガーことラヴィッジの心境を描きました。BT中の出来事を参考にしています(コンボイのセリフ、ユニクロンの呼称等は追加部分以外原作準拠です)。
邪智暴虐のほうのメガトロンはメガちゃんのほうで、メガ様ではないです。