人里の住人に転生した男が、靴屋を開いたよ。

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東方あんま知らないのよ。


東方キャラの靴をくんかくんか

 

幻想郷―人里。

それは幻想郷に生きる人間たちにとって安住の地。もっとも、例外も居る。そういう者達は、自衛の手段を持った、いわゆる自機に抜擢されるような者達だ。

そしてそんな人達の靴を仕立てているのが俺ってことよ。幻想郷来れてほんと良かった。

 

 

俺は、好きな女の子の靴の薫りを嗅ぐことも出来ずにこの世を去った。

はずだったが、気がついたら幻想郷に居た。女になって。

 

「なんで?」

 

声までしっかり女になってた。

とりあえず俺に出来るのは、人里に行くことだけだった。割と近くにあったので助かった。

だが当然手に職を持たなければ生きていけない。決して妖怪だけが敵ではないのだ。

慧音先生からの質問に、俺はこう答えた。

 

「靴、作れます」

 

よって、俺は人里の中で靴屋を営むことになったのだ。

外の世界で靴屋やってて、ほんと良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近ずっと寒かったが、どうやら春が来ないのが原因らしい。ていうか知ってた。今頃は桜点とか稼いでんのかなー。

とか思ってたら、もう片付けたらしい。店に来た霊夢さん(実際に会ってみると意外と呼び捨てに出来ない)本人から聞いた。

 

 

「妖々夢が終わったか...しかし、まだまだ序章に過ぎないのだ...」

 

「何言ってんの?」

 

「ひぃ!!」

 

気づいたら隣に霊夢さんが立ってた。なんで勝手に作業場に入って来てるのこの人。

ていうか今の聞かれたけど、大丈夫かな?大丈夫だよね?妖々夢って原作中では表記されてなかったよね?

 

「それより、ブーツの新調出来た?」

 

良かった、とくに問題は無いようだ。それより商談だ。

 

「いえいえ、そんなに早く作れませんよ。今注文受けたばっかじゃないですか」

 

「ん...そうなんだけど。コレ、小さくて」

 

タップダンスよろしくコツコツと踏み鳴らす霊夢さん。思ったより器用。

あ、でも鈴奈庵とかで飯作ったりしてたなこの人。関係ないか。

 

「出来るだけ急いで作りますのでね。とりあえずはソレを貸すので、気長にお持ちください」

 

「はいはい」

 

飾ってある靴を見ながら返事する霊夢さん。どうやら気に入る物は無かったらしく、何も買わずに帰っていった。

 

「...さて」

 

一応外まで出て確認するが、確かに帰ったようだ。うまい具合に人通りも少ない。あんまり関係ないが、見られる危険性は少しでも低い方がいい。

霊夢さんのブーツを両手で持つ。で、

 

「クンカクンカ スーッハーッ」

 

鼻を内側に入れて、肺一杯に霊夢さんの残り香を吸い込んだ。

 

異変だから汗いっぱいかいたんだろうなぁ。

蒸れ蒸れの空気が肺を満たしていってるのがわかる。なんなら濃い汗の臭いもめちゃくちゃクリアに感じ取れる。

 

「あーッ臭い!あーッ最高!」

 

そう叫びたかったが、もし周りに聞こえてたら次の日から凄まじい目で見られること請け合い。小声で我慢しておいた。

外で靴屋やってた時はコレ出来なかったからなぁ...残念だったなぁ...でも自営業ならこういうのも出来ちゃう!

 

ほんとならこれでマスかきたいところだが、生憎今は女の体なのである。まったくもってうまくいかないものだ。

 

「おーい!!居るかー!?」

 

心臓が止まったかと思った。否、一瞬止まった。今、多分に死にかけてた。

この声は魔理沙だな。二人とも行ってたのかしらん。

 

「お、居たか。ちょっとコレ見てくれよ」

 

「どれどれ...あぁ、こりゃ非道いですね」

 

クナイ弾でも掠ったのか、足の甲が丸見えになる程度の大きな切り傷が出来ていた。

ここまででかい傷となると...直せなくはないが...

 

「新しいの買ったほうがいいですね」

 

「だろうな。私もそのつもりで来たんだ」

 

お?つまりこれは?

 

「じゃあ、コレは私が引き取っておきますね」

 

「おう」

 

よっしゃ!魔理沙の使い古された靴ゲットした!

 

「変な使い方すんなよ~?」

 

によによと笑みを浮かべながら冗談を言う魔理沙。

再度心臓が止まるかと思った。今度は一秒ほど止まったかもしれない。

 

「...信用無いですねぇ。なんですか、靴の変な使い方って」

 

「知らん。言ってみただけだ」

 

なんにせよバレてはなかった。心の底から、なんなら魂の底から安堵した。

 

「それで、どんなのをご所望で?」

 

「動き易いヤツがいいな。なんかないか?」

 

「ないことは無いですよ。コレとか」

 

これは実験作みたいなもので、上がガバーッて開くようになってるヤツ。履きやすさと柔軟性を高めるために作ってみたが、汗の臭いが籠りにくいので好きじゃない。

試し履きした魔理沙。初めての構造に戸惑ってるのか、わたわたしてる。可愛すぎ。

 

「おお、いいなコレ!歩きやすい」

 

「でしょ?少々高いですがいい品ですよ」

 

「なに、高い?いくらだ?」

 

「このくらい」

 

「...そんくらいなら、まぁ買ってやらんでもない」

 

「不満そうな言い方ですね」

 

「解ってるならまけてくれよ」

 

「無理です。こっちにも生活があります」

 

互いに退かない、一進一退の攻防戦。ていうか食って掛かった俺が悪かった。

折れたのは魔理沙の方だった。

 

「仕方ねぇな。ほらよ」

 

「毎度あり」

 

早速新品の靴を履く魔理沙。新しくなったのが嬉しいのか、高揚しているようだ。可愛すぎ。

そして魔理沙が帰っていった後で。

 

「クンカクンカ スーッハ―ッ」

 

霊夢さんのより臭いが濃いめ。キノコ狩りとかでアクティブなイメージあるから、それらの度に染み出たうまみを蓄えたのだろう。

控え目に言って最高。

 

ゆかりんとか来ないかな。ハイヒールとか(作り方解んないけど)用意するのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、幻想郷で夢のような人生を送ることになったわけだ。

今がまだ妖々夢だから、これからどんどん異変が起こる。異変が起これば靴屋が儲かる。二つの意味で。

この魔理沙の靴はコレクションしとこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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