新学期からスタートする、中学生みらのを主人公とした話です。最近でいうと悪役令嬢もののヒロインサイドみたいな話です。

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他人目線 -脇役の2人-

 倉内(くらうち)みらのは、この春から中学の2年生。茶色のふんわりしたおかっぱヘアーの女の子だった。

 朝起きるともうすっかり寝坊!みらのは大あわてでしたくをして、1階へ降りていった。

「あらあら、なんです?そうぞうしい……」と母、「まったく、もう少しおしとやかにしなさい」と父、「まったくいつもこうなんだから……」と姉。

 みらのは「今忙しいのよ!早くいかなきゃ!遅刻しちゃう!」とトーストをくわえながら、ドタバタと家を出ていった。家族3人はそれを見て、ヤレヤレ、と見送っていた。

 

 そして、みらのはなんとかギリギリ学校に間に合った。

 友だちのあいかと、ゆうりが、「みらのったらまた寝坊したんでしょ」「もう、本当にいつもよくやるわね」

 みらのは、机にカバンを置きながら、「なによー、悪かったわねっ!」とほおをふくらませた。この2人は前からの親友で、この春からもまた同じクラスなのだった。みらのは、春の新生活に心がワクワクしているのだった。

 

 そして、休み時間……みらのは先にいってしまった友だちを追って、急いでノートと教科書を戻しにいくところだった。

「もうっ!2人ったらちょっとぐらい待っててくれてもいいのに薄情なんだからっ!」

 みらのは廊下を走っていたが……

「キャッ!」みらのはついうっかり転んでしまった。みんながおどろいてふりむいた。みらのはあわてて起き上がり、ハズかしくて赤くなった。そのとき……

「ハイ、これ」といって男の子が遠くに飛んでしまった自分のノートを持ってきてくれた。

「あ……ありがとう……」みらのはそのとき、その男の子を見て、なぜか心がドキンとして顔が熱くなった。みらのはそのノートをうけとってからも心のドキドキが止まらなかった。

(じゅん)ー!早くしろよ!」と、他の少年たちに呼ばれて、「おうっ!」と答えてその男の子はいってしまった。

「純くん……」みらのは、純がいってからも床に座り込んでドキドキしていた。さっきの純という少年はたしかどこかで見たような気がする……みらのはその男の子のことばかり気になっていた。

「みらの!なにやってるのよ、遅いじゃない!」とあいかとゆうりの2人がやってきた。みらのはハッとわれに返った。

「さっ、早くバレーボール始めるわよ!」と、みらのは2人に連れられて校庭へいったが、さっきの純という少年が気になって、バレーを失敗してばかりだった。

 

 そして休み時間は終わり、みらのは教室へ戻ると……するとそこにはさっき見た純がいたのだ!やはりどこかで見たことがあると思っていたら同じクラスの生徒だったのだ。みらのはまだクラスのメンバーをよく知らなかった。みらのはおどろき、そしてさらにドキドキした。

 少年の名前は赤里純一(あかざとじゅんいち)というそうで、みらのは純一のほうをしょっちゅう気にして見ていた。そしてそんな時、みらのの顔は真っ赤なのだった。

 そんなみらのに、親友の2人はすぐ気づいた。

「みらのったらどうしたの?さっきから様子が変よ」

「赤い顔して……」

「えっ!?べっ、別に……」みらのはあわてた。

 そして2人は、みらのがさっきから誰を見ていたか気づいた。

「ああっ!わかった!みらのったらあの赤里くんのこと見てたんでしょ!」

 みらのはドキーンとして心臓が飛び出しそうになった。

「まさか、好きなの?」

 みらのはさらに赤い顔になった。

 しかし、2人は黙り、悲しそうな顔をした。

「それはやめといたほうがいいわよ、みらの……」

「どうしてよ!?」

 みらのは思わずおこってきき返した。

「だってあの男の子を好きな子がもう、ホラ」とゆうりは指で示した。

 すると、そこには……長い黒髪の性格のきつそうな女の子がいた。顔がすごくキレイなだけでなく、スタイルもバツグンだ。その女の子は純一のところへいき、いろいろと話しかけていた。純一はその子に圧倒されているようだ。

女能未波(めのうみなみ)っていう子なのよ、あの子ったら赤里くんのことが好きでずっと追っかけまわしてるのよ」

「それで、どうしてわたしが赤里くんをあきらめなきゃいけないの!?」

「だってあの子、赤里くんにちょっかいでもだそうものならすごくおこるのよ?赤里くんの彼女ってわけでもないのにネ。とにかく怖いから近寄らないほうがいいってことよ」

 みらのは友だちにそういわれても納得できなかった。そんなことでは1度好きになってしまった純一への気持ちはおさまらなかったのだ。

 

 みらのはそれからも、純一への片思いを続けていた。なんだか、恋をしてからのみらのは、前よりもっと毎日がイキイキとして、学校へゆくのが楽しみになった。

 そんなある日……みらのはクラスのいろんな係を決めるくじ引きで、なんと純一と同じ係になってしまった!!

(なんてラッキー!!)とみらのはうれしくてたまらなかった。一方、そのそばでは未波がくやしそうにくじをにぎりしめていた。

 

 そして……その係の集会があり……みらのと純一の2人は、先生にプリントなど渡され放課後の教室でいろいろ決めることとなった。

「それで、オレはここはこうしたほうがいいと思うんだ」

「えっ!?ええ!そうね!」

 みらのは動揺して、ろくろく返事もできなかった。そしてみらのは、「あっ」とそばにあったペン入れを倒してしまった。ペンはハデな音を立ててあちこち転がっていった。

「ごっ、ごめんなさい!!」「あ~あ、なにやってんだよ、ドジだな」と純一もペンを拾った。そして、集めたペンをみらのに、渡してくれた。

「ホラ、まったく、あの時も転んで本を落としてたろ」と笑っていった。みらのはそれを見てまたドキッとして顔が赤くなった。

 なんて優しい笑顔……それに、(あのときのこと、覚えててくれたんだ……)と心の中が幸せな気持ちでいっぱいになった。

 しかし、そのとき!!ドアがガラッとあいてすごい勢いで誰かが入ってきた。

「純!今日だったのね!?係の仕事!!どうしていってくれなかったの!?」

 未波が純一に詰め寄った。「なんでオレが未波に自分の予定をいわなきゃいけないんだよ……」

「いいじゃない!わたしたちの仲だもの!」

 未波は純一の腕にしがみつき、純一は困ってハズかしそうだった。

 そのとき、ふと未波は横にいたみらのに気がついた。未波はみらのをにらむように見ながら、「だぁれ?この子」ときいた。「オレと同じ係だから残って仕事をしてたんだよ」「ふぅん、そう」未波はなおも気にいらなそうにみらのを見ていた。

「仕事だったらわたしも手伝ってあげるわよ!」と未波も割り込むと、係の仕事をいっしょにやりだした。

 それからも未波は、係の仕事のたびに割り込んできて、いっしょに仕事を手伝った。みらのは、せっかく2人きりになれると思ったのに、とトホホという顔だった。しかし、ごくたまにみらのは純一と2人で話すこともでき、そのうち2人は親しくなり、友だちになり、みらのは名前で呼んでもらえるようになった。みらのはうれしくてたまらなかった。純一が気さくな性格だったからなのだが、未波はそれを見てくやしそうだった。未波はみらののことをいつも敵視しており、みらのはピリピリした視線を感じた。

 

 みらのはそんな未波の行動にとまどいながらも純一への恋心からなんとか気づいてもらいたいと思っていた。そして、みらのはいろいろとアプローチしてみた。純一の通るところを待ってみたり、純一のいるところへいってみたり……しかし、そのせいでよく未波とはちあわせした。みらのはそんな時おどろいて、あわてて逃げ出した。未波はみらのが最近、純一のことを気にしていることに気づいていたが、自分が純一のところにいるとよくみらのと会うことで、未波の疑いは確信になった。未波はそれを知ってカッと熱くなりおこった。

 そして、未波はまたみらのにはちあわせたとき問い詰めた。

「待って!」

 よく通る高い声で、未波は逃げ出そうとしたみらのを呼び止めた。そしてつかつか歩み寄ると、「みらのさん、あなた最近純のいるところへよくくるけど、純のこと好きなの!?」

 未波は鋭い目で問い詰めた。みらのは、未波のその迫力におじけずきそうになったが、(負けるもんですか!!)と勇気をふりしぼり、思い切っていった。

「そうよ!わたし赤里くんのことが好きなの!」

 みらのはハッキリそういい切った。怖い未波に初めて逃げずに立ち向かえて、みらのは少しスッとしたようだった。しかし、未波のほうはといえば、それを聞き、ものすごい怒りがわきあがっていた。みらのはそれに気づき、ハッとしてたじろいだ。

 未波は、「純のことが好きですって!?純は将来わたしと結婚するんだから!あなたなんかが好きになってもムダなのよ!純に近づかないで!!」ときつくいった。

「将来結婚って……だってあなたたち付き合ってもいないんでしょ?」

「うるさいわねっ!いずれそうなるのよ!!とにかく近づかないで!!」

「イヤよ、どうしてあなたにそんなこといわれないといけないのよ?」

「だって純はわたしのものだもの!大体あなたなんかが純につりあうはずがないのよ!あなたなんて、成績は別によくないし、運動も大してできないし、顔も大したことないし、その上幼児体型の平凡な子じゃない!そんなんでよく純を好きになるわね!」

 さすがに温厚なみらのも、それを聞きムカ~ッとした。どうしてここまでいわれなくちゃいけないのよっ!!当たってることは当たってるだけによけい腹が立った。

「あのねぇ……どうしてあなたにそこまでいわれなきゃ……」

「とにかく!!純はわたしのものなの!わたしがそう決めたんだから!これ以上純に近づいたらゆるさないんだから!!」

 そのとき、校庭に純一が通りかかった。未波はそれに気づき、あわてて純一のほうへかけだし、うれしそうに純一に話しかけた。

 みらのは1人、ポツンと残されボーゼンとしていた。

(なんなのよ、あの人……)みらのは未波のムチャクチャな行動にあきれていた。

 みらのは未波に散々なことをいわれ、しばらく怒りがおさまらなかった。未波は本当に噂通りに純一のこととなると、すごくおこってすごいいいようだった。みらのは、なんでわたしがあんな目に!!あの人ちょっと頭がおかしいんじゃないの!?と思った。そして、もっと強くいえればいいのに……と気の弱い自分をなげいた。

 

 未波はみらのと違い、背が高めで体型も女らしく、顔も美人タイプで人目を引いていた。勉強もまぁできるほうで、家は有産階級の流れをくんでいるせいでお金持ちだった。家では父親が仕事で長らくいないので、母親と2人で暮らしていた。そして、妙な趣味があった。

 未波はその日、家に帰ると、ママに「ねぇ、ママ、人よけのおまじないをしたいのだけど、道具はどこにあったかしら?」

 なにかよくわからない実験をしていたママは、「たしかその戸棚にあるはずよ、どうしたの?今日はそんなもの出して……」

「うん、ちょっといるの」未波は戸棚からろうそくを出して、紙など並べると、マントをはおり、純一の写真を見つめた。そして純一の写真をろうそくの輪の真ん中の、魔法陣が描いてある紙の上に置くと、杖をふりふりしながら、「純にわたし以外の女の子が近づきませんよう……イーンバネン……メデュールメデュール……」となにかをとなえていた。

 

 次の日……みらのは、きのうの未波の態度にハラを立てつつも、純一のことを考え、なんとかもっと仲良くなりたいと思っていた。

(せっかく実行委員のおかげで赤里くんと友だちになれたのに女能さんがいたんじゃうまく近づけないじゃない!でもあの人のいうことはおかしいわっ!だって、わたしだって赤里くんのことが好きなんだから、自由に赤里くんに近づいてもいいはずよ!そうよ、女能さんに遠慮することなんてないわ!どれだけ悪口いわれたってこれからも赤里くんにアタックを続けよう!!)みらのはそう決めたのだった。

 

 そして学校では……みらのが教室にいくと、ちょうど純一がいた。「おはよう、赤里くん!」「あぁ、みらの、おはよう」と返してくれた。みらのがよろこんでさらに話していると……そこへ未波がきた。未波は、その2人が話しているのを見て、まあっ!とおどろいて飛んでいった。

「ちょっと!みらのさん!あなたどうして純と話してるのよ!きのう純に女の子が近づかないようにっておまじないもしたのにっ!!」

「お……おまじない?」

「そうよ!純はわたしのものだっていったはずよ!」

「そんなの勝手に決めないでよ」

 2人がいがみあっていると、純一が、「まぁまぁ、2人とも、仲良くしろよ、なっ?」となだめている。

「純っ!純はわたしのほうが好きだってハッキリいってちょうだい!」と未波が純一に詰め寄った。たじろぐ純一。未波が大声でしゃべるのでクラスの人みんな3人を見ていて、みらのの気持ちも知られてしまった。そのときチャイムがなり、みんなは席に着いた。

 

 休み時間になると、友だちのあいかとゆうりが、「みらのったら赤里くんのことあきらめなかったのね」「やっぱり女能さんにきつくいわれてたじゃない、だからいったのに」2人はため息をついた。

 みらのはさっきのことを思い出し、真っ赤になった。そういえばさっきクラスのみんなに純一を好きなことを知られてしまったのだ……みらのはこんなこと初めてではずかしくてたまらなくなった。でも、未波だって毎日あんなに純一にアタックしまくってみんなに気持ちを知られまくっているのだからどうってことないわ!と必死で思い直した。

 そして開き直ったみらのは、「そうよ!わたしはこれからも赤里くんにアタックするつもり!女能さんがなんだっていうのよ!」といった。

 2人はいつものみらのらしからぬ言葉にボーゼンとしていた。

 

 それからもみらのは純一に話しかけたりした。そして、よく未波にも割り込まれ、邪魔されたりした。未波にいろいろ悪くいわれたが、みらのは負けずに純一にアプローチした。2人の女の子に取り合いをされて純一はハズかしそうだった。

 みらのは純一をめぐってしょっちゅう未波と対立するはめになってしまったのだった。

 

 そんなある日……みらのは友だちからあることを聞いた。

「ねぇ、みらの、知ってる?もうすぐ赤里くんって誕生日らしいわよ」みらのはそれを聞き、「えっ!?赤里くんが!?」「うん、あと3日後だって」「そう……赤里くんが……」

 みらのの友だちはあれからみらのに協力してみらののことを応援して、いろいろ純一のことなど知っていたら教えてくれるのだった。みらのは友だちからそれを聞き、なにかできないかと思った。そして、純一にプレゼントをあげようと思ったのだった。

 

 家に帰り、みらのは純一へのプレゼントを考えてみた。

(なにがいいかしら……赤里くんってなにが好きなのかしら、服や時計……手作りのもののほうがいいかしら……)考え出すときりがなかった。(とにかく、もう実行委員も終わってしまったし、プレゼントでも渡してなんとかもっと仲良くならなければ!!)と思った。

 

 次の日も相変わらずみらのは純一へのプレゼントのことを考えていた。しかしその日学校で……「なぁ、純、おまえこのバッグどうしたんだ?ここ破れてるぞ」「あぁ、これか?この前フェンスに引っ掛けちゃったんだ」男の子たちの会話が聞こえた。そして純一は、「あ~ぁ、オレこのバッグしかないのにな、しばらくはこれ使わないと……」といった。みらのはそれを聞き、(それだわ!)と思った。純一に新しいバッグをプレゼントしよう!と思ったのだった。

 

 そしてみらのはバッグを買いにいき、いよいよ純一の誕生日……みらのはめずらしく早起きして下駄箱で純一を待ち伏せした。そして……純一がやってきた。

 みらのは勇気を出し、「赤里くんっ!」といった。純一はふりむいた。みらのは持っていた紙袋を取り出し、「あ……あの……コレ、今日誕生日でしょ?」と渡そうとしたとき……

「純ー!!」未波が大声で呼びながら下駄箱まで走ってきた。みらのは、(うっ、でた!!)と身構えた。

「ねぇ、今日誕生日よねっ!これ純への誕生日プレゼントなの!」と未波は大きな包みを手に持っていった。「あ……ありがと……」と純一は圧倒されていた。みらのは、「赤里くん、わたしもプレゼントがあるのよ、これ……」と差し出そうとすると未波が、「あら!いたの!みらのさん!なぁに!?それ」とプレゼントを見た。

「バッグじゃない!ずい分センスの悪いバッグですこと!それが純へのプレゼントなの!?」未波はいつもの調子でみらのをけなした。みらのは最近では未波の態度になれてしまってけなされてもほとんど聞き流していた。

「こんな地味な子ほっといてこれを見てちょうだい!わたしのプレゼントはもっとずっといいんだから!」と持っていた包みから取り出しながら、「魔よけのペンダントに、交通安全の帽子に、願い事のかなう枕に、それから試合に勝つハンカチ!あと……」未波はいろいろ出していた。みらのはそれを見ながら、(悪趣味……)と思った。

 みらのと未波の2人は純一にプレゼントを渡そうとして、「さぁ!純!」「赤里くん!」と詰め寄った。純一は2人に追い詰められ、困り、「ごめん!オレ今日荷物が多くてそのプレゼント持てそうにないや!」とササッと逃げてしまった。

「あぁっ純ー!」「赤里く~ん」と2人だけが残されてしまった。

「もうっ!せっかくいっぱい作ったのに!」と未波は機嫌が悪くなり、みらのもトホホ……と落ち込んだ。

 

 その日、みらのは放課後にレポートの残りを書くため居残りさせられたのをようやくやり終え、帰るときに校庭を通りかかった。すると……純一はこれからラグビー部の練習を始めるため、体操服に着替えているのを見つけた。みらのはそれを見て、思わず足を止めた。純一がラグビー部だというのは知らなかった……いつもは自分が帰ってしまったあとに練習をしているのだ。純一がラグビーをするところが見れる!見たい……!!みらのはそう思って思わず足がグラウンドのほうへ近づいていった。

 そして純一は、練習を始めるため、みんなのところへ集まった。そして、純一たちが練習を始めようとすると……「純ー!!」またも、未波が手を振ってグラウンドに駆け寄った。しかし、練習中の純一は未波を見ても、反応しなかった。

 未波は観客席からキャーキャー騒ぎながら見ている。他のラグビー部の見学や応援をしている子たちよりひときわ張り切っている。しかし、ふと未波はみらのがすぐそばにいるのに気づいた。

「みらのさん、あなたったらこんなとこまできだしたのね!」といった。

 みらのは、(やっぱりきていたのね……できれば1人で見たかった……)とガックリした。

 未波は、「でも純がラグビー部だって今日知ったんでしょ!わたしなんてもうとっくの前から知ってたんだから!!」と得意になった。

 そしてまわりからキャアッと歓声があがり、未波はハッとしてグラウンドを見た。純一のチームが点を取ったのだ。未波はうれしそうにキャアッと飛び跳ね、騒いだ。

 みらのも試合を見ながら、純一が活躍するのを見て、ドキドキした。みらのは、純一がファインプレーをすれば見とれて、点を取れば喜び、ケガをしそうになればハラハラした。純一のことを見ていると本当に心がひきつけられた……。未波のほうはといえば、もっとすごく、純一が活躍したり、点を取ったりするたびに、キャーキャーと騒ぎまわって、純一がケガしそうになるとすごい悲鳴をあげていた。純一も他の選手もそのたびにギョッとしていた。みらのは、純一の様子にずっとドキドキした。みらののゆれる乙女心は静かに純一を追っていたのだ。

 そして、その日からはラグビー部の部活があるたび、みらのは練習を見にいったのだった。

 

 ある日みらのは純一に思い切って話しかけ、2人は久しぶりにしゃべった。友だちの多い純一には、偶然でもないとなかなかしゃべれないので、こうして自分から話しかけるのが1番だった。

「ねぇ、赤里くん、ラグビー部のことだけど……」「あぁ、そうそう、最近みらのも応援にくるようになったんだよな、おかげで、他の部員たちにいろいろいわれて、ちょっとはずかしかったぜ」「ごめんなさい……やっぱりはずかしいわよネ」とみらのは赤くなった。(ホントは、もっとはずかしくしてるのはハデに応援してる女能さんのせいだけど……)とも思った。

 みらのは、「でも、がんばってるわよね、すごくうまいわ」といった。純一は得意になり、「まぁな!今度の日曜の試合では、オレたち他の学校のやつらと対戦するんだ」みらのはそれを聞き、「ええっ!?日曜日に試合!?」とおどろいた。そしてドキドキしながら、「わたし、応援にいくわ!」といった。純一は「えっ?」といったがそのとき……「わたしも応援にいくわ!!」といつもの聞きなれた声がした。見るまでもなく未波だった。「純!がんばってね!わたし差し入れを持っていくから!!」と純一に迫った。「いっいいよ……そんな」と困る純一に「遠慮しないで!」と未波。みらのはそれを聞き、(差し入れか……そういうのを持っていけば喜んでくれるかも……)と思った。

 

 そして日曜……

 みらのはその日朝からうるさくなにかを作っていた。ママが、「みらのったら朝からうるさいわよ!今日は日曜だってのに……」パパが、「なに作ってるんだ?」といった。「お弁当を作ってるの!差し入れに持っていくのよ!」と答えた。パパはそれを聞き、「なにぃ!?」とおどろき、「みらの!!差し入れってまさか男の子に!?」とあわてていた。みらのはそんなパパには目もくれず、純一のことを思い、甘い気持ちで料理を作っていた。

 そして……「できたー!!」みらのはさんざん苦労をして、やっとのことで差し入れを作り終えた。みらのはそれを包み、「いってきまーす!」と家を出ていった。パパが玄関で「みらのぉ……」と悲しそうに呼んでいた。「およしなさいよ、まったく」とママ。

 

 学校のグラウンド……グラウンドにはすでに選手や応援の人たちがちらほらきていた。そして、そのなかには純一もいた。

 みらのは、「赤里くーん!」と駆け寄った。純一はふりむき、「みらの!」といった。「がんばってね、応援してるわ」「あぁ、ベストをつくすよ」2人はそういいほほえみあったが、またも、「純!!」と未波が現れた。「みっ、未波!」と純一はふりむいた。「もうすぐ試合でしょ?見て!コレ!」未波はでっかいバッグから取り出しながら、「早く走ることのできる靴下に、試合に勝てるペンダント、それからケガよけのマスコットよ!」純一は困って「未波、そんなもん作っても効果ないって」未波はムキになり、「そんなことないわよ!わたしどこかでこうゆう力を使ってた気がするわ!さあ!つけて!」純一はたじろぎ、「こんなんもって試合に出れるわけないだろっ!!」といった。「ペンダントじゃなくてブレスレットのほうがよかったかしら?」と未波。「そーいうことじゃなくてっ」「じゃ、せめてコレだけでもつけてーっ」と未波は純一を追い回し、純一は必死に逃げ回っていた。

 

 そして、試合……純一は、みらのと未波の2人に見られながら少し冷や汗を流し、試合コートに集まった。そして、試合が始まった。

 みらのは、(赤里くん!がんばって!!)とドキドキして見ていた。未波はメガホンを持ち、体中におまじないのグッズをつけながら、「がんばってー!純ー!」といっていた。その様子にまわりの選手も観客もおどろいていた。

 みらのと未波はいつもの調子で応援した。みらのはいつものように、試合でがんばる純一の様子にドキドキしっぱなしだった。しかし、そのとき、純一にボールがわたって得点のチャンスがきた。これを入れれば、大きい……!

 みらのは思わず大声で、「がんばって!!赤里くん!!」と叫んだ。

 その声に、一瞬まわりが振り返った。純一もおどろき、未波も思わず黙り、みらのを見た。みらのはそれらに気づいて、一気にはずかしくなった。

 しかし、次の瞬間……純一は見事点を決めていた!!とたんまわりから、ワッと大歓声がわきあがった。未波も他の観客たちも大喜びしている。そして、試合は、純一のその活躍のせいでどんどんいいほうへとすすみ、見事勝利して1回戦を終えた。

 

 1回戦が終わり、純一は汗をかきながらベンチへもどってきた。これから昼ごはんの時間なのだった。みらのは、純一の活躍や勝利したことなどがうれしくて仕方なかった。そして、純一に差し入れを渡そうと純一のところへかけていった。すると、すでに未波がいて、純一に強引にお弁当をすすめていた。

 それから未波は、「それにしても、さっきの試合、純ったらすごい活躍だったじゃない!きっとこの力を引き出すタオルがよかったのね♡」とよろこんでいた。

 純一は、みらのが近くにきたのに気づき、「みらの」といった。

「赤里くん、すごかったわね、さっきのゴール」

「あれか、あの時みらのが、大声で応援したのが聞こえたぜ、一体どうしたんだ?みらのにしてはめずらしく……」

 みらのは赤くなり、「つい、声がでちゃったの……」といった。

 2人が話していると、未波が割り込み、「純!それで差し入れなんだけど……」と大きな弁当箱を開けた。「どう!?試合に勝つようにとたっぷり願いを込めたのよ!秘伝の塩コショウに、魔法陣のトマトに……」純一は、「いっ、いいよ!自分の弁当もあるし」と断った。「遠慮しないで!」と追いかける未波に、逃げる純一。

 みらのもあわてて、差し入れを出した。「あっ、赤里くん、わたしも差し入れがあるの」みらのは純一のところへいった。そして純一は、結局断りきれなくてみらのと未波にはさまれ、お弁当を食べることとなった。

 それを見ていた他のラグビー部の仲間が「くそーっ!いいよな!どうしてあいつばっかり!!」「やさしくてかわいいみらのちゃんに、勝気でキレイな未波ちゃんかー……オレもあんな子達から相手にされたいぜ!」とうらやましそうだった。仲間たちは、いつも、もてもての純一を見てうらやましく思っていたのだ。

 純一は未波の作ったオムレツを、「ハイ、アーンして♡」と近づけられた。純一は仕方なくそれを食べた。(また、へんなもの入ってんじゃないだろうなー)と心配そうな純一。みらのも負けずに、「赤里くん、これ、食べてくれる?」と、おむすびを手渡した。「ありがと……」とそれも食べる純一。(ほとんどお人形状態……)と純一は思った。

 未波は、「ちょっとみらのさん!純にはわたしのお弁当があるんだからそんなのいらないわっ!わたしのお弁当はあなたのと違ってただのお弁当じゃないんだからっ!」

 みらのはムッとして、「どうせなにかのおまじないがしてあるだけじゃない、でも効果はないと思うけど……」

 未波は得意げに「それだけじゃないわ!純の食べる差し入れにはいつも純がわたしを好きになるようにとマンドラゴラ〔にせもの〕の粉末が入ってるんだからっ!」

 未波の差し入れを食べていた純一は思わず驚いてふきだしそうになった。

(今度はホレ薬……)とみらのはアゼンとしていた。

 結局純一はみらのと未波の分の差し入れを全部食べるはめになってしまい、2回戦目の始まるころは、体が重たくなってしまった。おかげで純一は2回戦目、大した活躍ができなかったが、1回戦目と同じく純一のチームが勝ち、みらのも未波もよろこんだ。

 

 みらのは、純一を見るたびに好きな気持ちがどんどんふくらんでいた。みらのは、純一と友だちになれたのだが、やっぱりそれだけでは物足りなくなった。

 純一の友だちというのは、純一にとってはただの多くの友だちのうちの1人に過ぎないのだ。みらのは特別な人、つまり恋人になりたかった。でも、恋人になるためには面と向かって好きだと告白して返事を聞かなければいけない……純一にアプローチするのはできても、そういうことをするのは考えただけでハズかしかった。みらのの場合、未波のようにいつも好きだといっているわけではないし、追い掛け回すようなこともしないので、みらのが告白すれば純一はまじめに答えてくれるだろう……。でも、もしフラれたり、告白を嫌がられたりしてしまったとしたら……今のように友だちに戻ることはできるだろうか……。

 みらのは恋の悩みを思い描いていた。

 

 それからもみらのは、純一の顔を見るたびに、告白のことを思い出し、いろいろ考え込んだ。純一は、前にはもっと自分に話しかけてきたみらのが最近あまり自分に話しかけず、逃げ出したり、じっとこちらを見てなにかを考え込んでいることをふしぎに思った。

 みらののハートは純一のことを思うとキュッとしめつけられた。

 みらのの友だちも、そんなみらのの様子に気づいてきいてきた。

「みらの、最近赤里くんにアタックするのやめたの?なんだか最近あんまり話してないじゃない」

「もう好きじゃなくなったの?」

 みらのは、「そうじゃないわ、でも最近赤里くんのことで迷ってることが……」とうつむいてボーッとしながらついしゃべってしまった。

 あいかとゆうりはそれを聞き、「迷ってること?なぁに?それ」ときいてきた。

 みらのはあわてて「なっなんでもないっ」といったが2人はしつこくきいてくる。

「教えなさいよ!友だちじゃない!」「さあっ!いうのよ!みらの!」みらのは根負けして、「わ……わかったわよー……」と仕方なくいうことにした。「じ……実は……」とこっそり耳打ちした。

 2人はそれを聞き、「ええっ!?赤里くんに告白!?」とおどろいた。

「こっ声が大きいよー」とみらのはあわててまわりを見渡した。そしてうつむき、「やっぱりダメかな……わたしなんて……赤里くんに好きになってもらえるほど魅力ないよね……」

 あいかとゆうりはそんなみらのを見て、「なによ!みらの!そんなことで悩んでたの!?迷うことないじゃない!告白しちゃえばいいでしょ?」「そうよ!だってこのままなにもしなきゃただの友だちのままよ?」

 みらのは赤くなり、「でも、もしフラれたりイヤがられたりしたら?」

 2人は、「大丈夫よ!多分みらのの好きな気持ちは伝わってるんだから今さらなにゆってるの!!」「とりあえず、あたってくだけろよ!せっかくここまでアプローチしてきたんでしょ?もう一押ししなきゃ今までの頑張りがムダになっちゃうわよ!」

 みらのはそう2人に励まされて、「そうね……たしかに、このままじゃ前にはすすまない、よーし!わたし赤里くんに告白して恋人同士になるわ!!」と決意した。あいかとゆうりは、ワー!!と手をたたいたりして盛り上がった。

 

 そして……みらのは家で手紙を書いた。

“赤里くんへ 放課後話したいことがあるので、体育館の裏にある東口まで来てください。 倉内みらの”

 みらのはその手紙を純一の下駄箱に入れようとして、朝、下駄箱の前に立った。しかし、もしこれを入れたら放課後には純一に向かって告白をしなければいけない……!!みらのはいざ、それを想像してみるとハズかしくてたまらなくなった。そして、せっかくの決心もゆるんでしまった。ちょうどそのとき、下駄箱に他の人がきて、みらのはあわてて逃げた。そしてその日は結局手紙を入れられなかった。みらのはそれから次の日も、また次の日も手紙を入れようとがんばってみたが、結局寸前のところで、できなかった。

 しかし、その日とうとう!みらのは勇気を出し、手紙を純一の下駄箱に放り込んだ。そして、みらのは赤くなり、ダッシュで下駄箱から離れた。これで今日の放課後告白しなければならない……。みらのは胸が高鳴った。

 そして……純一は朝下駄箱を開くと、なかに手紙が入っていた。純一はおどろき、「なんだ?」と物陰でその手紙を広げてみた。するとそこにはみらのから呼び出しの言葉が書いてあった。純一はそれを読み「……」と考え込んだ。

 その日みらのは、はずかしくてまともに純一の方を見れなかった。純一が近くにきても、自分から避けてしまっていた。

 お昼休みに、みらのはあいかとゆうりに今日、手紙を純一に渡したことをいった。友だち2人は「すごいじゃない!みらの!」「その意気よ!がんばって告白するのよ!」とほめて、励ましてくれた。「う……うん、ありがと……」みらのは今日の放課後のことを思い、ますます胸の高鳴りが強くなっていった。

 

 そして放課後……みらのは授業が終わるとそそくさと外に出て、なるべく人のいないところを通り、体育館の裏へといった。そして、そこで純一を待った。みらのは緊張して純一を待ちながらなにをいうのか頭の中で思い描いた。

 そして、そうしてドキドキしていると、純一が静かにこちらへ歩いてきた。

(きたっ!!)みらのはすごくドキーンとした。純一はみらのからもらった手紙を手に持っていた。

「みらの、この手紙もらってきたんだけど……話って?」

 みらのはドキドキして、「う、うん……あのねっ、赤里くんわたしがいつもあなたのこと応援したり、プレゼントをしたりしてもう気づいてるかもしれないけど……」みらのは深呼吸し、勇気を振り絞り、一気にいった。

「わたし、赤里くんのことが好きなの!!だからわたしと付き合ってください!!」

 みらのの声は静かな体育館裏に響いた。

 純一は一瞬ポカンとして圧倒されたみたいだった。

 みらのは、気持ちをやっといい終えて、心が少し落ち着いたようだった。

「あ、あのね、わたし赤里くんのこと見てるとすごく胸が高鳴って、好きでたまらなくなるの、友だちのままでもうれしかったけど、どうしても恋人同士になりたくて……」「みらの」純一が話をさえぎった。みらのは黙って純一を見た。

 純一は真剣な顔で、「悪いけど付き合えない、他に好きな子がいるんだ」といった。「す……好きな子……?」みらのは目の前が真っ暗になった。「だから……みらのの気持ちはうれしいけど……」みらのは気が遠くなり、純一の声がそれ以上聞こえなかった。そして、とっさ的にみらのは走って逃げ出していた。

 純一は黙ってうつむき、つらそうだった。

 

 みらのは悲しくて、無意識のうちに家にたどり着き、部屋にいた。そしてベッドに倒れこんだ。

 純一には好きな子がいる……そしてそれは自分ではない……自分は振られたのだ……そう思うとみらのは涙がにじんだ。やっぱりわたしなんて赤里くんには相手にしてもらえなかったのね……

 みらのはベッドに突っ伏して、しばらくボーゼンとしていた。

 

 次の日……みらのは気が乗らない様子で学校へいった。教室には純一がいたが、みらのは目が合わないように、足早に席についた。純一はそれを見て、つらそうだった。みらのと純一はずっとそんな様子だったので、みらのの友だちのあいかとゆうりは「……」と思った。

 そして休み時間……あいかとゆうりはみらのにいった。「もしかして、ダメだったの?告白……」みらのはうつむいて、「うん、赤里くんね、好きな人がいるんだって。だからわたしじゃダメみたい……」と悲しみを必死に隠していった。あいかとゆうりの2人は、そんなみらのの気持ちが伝わり、悲しくなった。そして、「そうなの……でも、勇気を出して告白したのは決して間違いじゃないわ!だって、赤里くんに自分の気持ちを伝えられたんでしょ?」「そうよ!それに赤里くんが今他の子を好きでも、いつかみらのを好きになるかもしれないじゃない!だから元気出して!」と励ました。「うん、ありがとう……」

 そして、3人はいつものように、笑顔でバレーボールを始めた。

 

 それからはみらのはもう純一に話しかけなかったが、純一を好きな気持ちは前と変わらなかった。純一は、みらのが明らかに自分を避けて、もう前のように話しかけてこないのを気にしていた。未波は、前のように純一にいろいろと話しかけたりアタックしたりしていたが、最近みらのが純一にかまわないのをふしぎに思っていた。

 みらのは純一に前のように積極的にアタックするわけではなく、少し距離をおいて冷静に純一を見つめるようになり、前には気づかなかった純一のいろいろな面を見つけた。以前は恋をすることにワクワクして純一への気持ちで心がいっぱいだったが、今はそのときとは違っていたのだ。

 純一のことを目で追って、表情や行動をよく見てみると……純一の心がわかった気がした。純一が好きな人、純一がいつも見ている相手……それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 学園祭で、これからダンスパーティーが始まるところだった。みらのは純一が誰かを探しているのに気づいた。純一は外を見て、あわてて飛び出していった。みらのはつらそうにそれを見た。

 純一は中庭にいた未波に声をかけた。

「なにやってるんだよ?」

 未波は振り向き、「純!今ね、ちょうどおまじないに使うシロツメクサを摘んでいたところなのよ。これで、純にいいことがあるポプリを作ろうと思って」と嬉しそうにほほえんだ。

 純一はガクッとあきれて、「いいよ、そんなもん。それよりこれからだぞ、ダンスパーティー」

「ああっ!忘れてた!」未波はおどろき、純一はまた、あきれてしまった。

「早くこいよ」と手を出す純一、「うん」とにぎる未波。しかし、未波は純一の方を見て、「でも、どうしてここまで迎えにきてくれたの?純」

 純一はそれをきかれ、ドキッと赤くなった。

「どうだっていいだろ?オレはただ、未波をたまたま見つけたから……」

 未波はうれしそうに、「うそ!本当はわたしと踊りたかったんでしょ!いつもわたししか好きっていってないんだもん、純もわたしのことどう思ってるかちゃんといってちょうだい!」といった。

 純一はそれを聞き、てれて赤くなって困り、しばらく悩んだ。しかし、ついに「わ……わかったよ……」とあきらめた。「オレは、未波のことが……好きなんだ」

 未波は、純一に初めて告白されたので、自分でいわしておきながら、それを聞き赤くなってしまった。未波は力が抜け、「ほ……本当!?」としゃがみこんでしまった。

 そして、未波は、「ねえっ!それじゃあわたしが応援にいってもいやがらない!?」

「う、うん、あんまりハデにやらないほうがうれしいけど……」

「わたしが作ったお弁当もちゃんと食べてくれる!?」

「うん、ヘンな物さえ入ってなければ……」

 未波は涙を浮かべ、純一に抱きついた。「うれしい……」純一は、未波のその様子にドキッとした。純一は未波を両手で抱え込んだ。未波はそんな純一に赤くなり、ドキドキしだした。そして純一はいった。

「はずかしくていえなかったけど……」未波はさらにドキドキしながら……「本当はずっと好きだった……」純一はそういって未波を抱きしめた。未波の美しい顔がハズかしさとうれしさで真っ赤になった。

 2人は幸せそうに抱き合ってから、手をつないでダンスパーティーの始まる体育館へと歩いていった。

 みらのは2階のバルコニーの上からそんな2人が通り過ぎるのを見た。純一と未波はどうやら結ばれたようだ。

 やっぱり赤里くんの好きな人は女能さんだったんだ、とみらのは思った。

 みらのは失恋の痛みを感じていた。好きだった純一……純一のことを思うと胸が熱くなり、ほんのちょっとしたことでドキドキした日々……

 でも純一は未波と結ばれてしまった……未波のおまじないやホレ薬の効果?イヤ、ちがう……きっとあのおまじないやホレ薬には効果なんてないだろう、未波自身の魅力が純一をひきつける力を持っていたのだろう。純一が未波に冷たいように見えたのはてれていたからだったのだ、とそのときわかった。

 みらのはバルコニーの柵に突っ伏し、失恋のつらさと脱力感を感じていた。

 そうよ、これくらいどうってことない……前に赤里くんに振られたときからわかっていたことじゃない……みらのはそう、自分をなぐさめた。でも、今考えてみれば未波は自分よりも純一のことを好きだったかもしれないから、仕方ないのかもしれない……。

 それでも、胸の中には純一に恋していたときの思い出が浮かんだ。純一がみらののノートを拾ってくれたこと……純一の誕生日のためにプレゼントを選んだこと……純一が試合でがんばっているのを見て応援したこと……「うっ……」みらのはそれらを思い出しているうちに涙がこぼれだした。誰もいないバルコニーで、みらのは失恋に泣いた。

 

 いつからか、ダンスの曲が聞こえていた。みらのはしばらく泣き、心が少し落ち着いてきた。夕方の風に吹かれながら、前をまっすぐ見つめた。みらのは、なんだか、気持ちがスッキリとして、強くなれた気がした。

「倉内さん……」誰かがそっと声をかけた。みらのがふりむくと、そこにはいつの間にか、みらのと同じクラスの男の子が立っていた。その男の子はみらのに「あ……あの……ボクといっしょに踊ってくれませんか?」と手を差し出した。男の子は赤くなり、「ボク、倉内さんのことが好きでした……純一より、背は低いし、運動もそれほどじゃないけど……ボクじゃダメですか?」といった。

 みらのはそういわれて、ほほえみ、「ありがとう、踊りましょう」と手をのせ、2人は踊った。みらのはそのとき、純一にノートを拾ってもらったときのような、はじけるような気持ちが起こったのだった。

 

 

 

 

 それから……純一と未波は今では付き合いだしていた。純一と恋人になった未波はみらのに敵対していたことはすっかり忘れていて、毎日幸せそうだった。みらのと純一は、告白のせいで気まずくなっていたが、今では、また以前のようにしゃべるようになり、用事のあるときにはしゃべりかけたりすることもあった。かわいそうなみらのは、結局あの恋からは身を引いたのだ。相手が悪かったのである(^^;)。

 今のみらのはといえば……新たな恋を見つけ、また前のようなときめきにあふれた生活を送っていた。みらのはその男の子と腕をくみ、幸せに満ちた顔で仲よく歩いていた。

 

 END

 




【ここがベタ】
・ライバルはヒロインより美人
・ヒロインは成績悪くライバルはよい
・ヒロインには仲のよい友達がいるがライバルには特にいない
・ライバルはヒロインをけなす
・ライバルは非常識な行動をする、キバツ、個性的
・少女マンガヒロインにありがちな見た目ヒロイン
・ライバルはお金持ち
・ヒロインは平凡
・ヒロインは幼児体型
・ヒロインは貧乳だがライバル(悪役)は巨乳
・少女マンガヒロインは中高生が普通(なので2人もそう)

【ここが斬新】
・ライバルがヒロインの好きな子と結ばれてしまう


未波は小3のとき純一に話しかけられ懐いてしまった。彼女は変わり者で友達もいなかったので彼が唯一友達になれた人だった。という文を入れようと思ったけど、入れる場所がなかった…

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