英雄絶唱 ~戦姫(男)のヒーローアカデミア~ verコメディ   作:最短で、真っ直ぐに

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感想や評価次第では連載するかもしれません。

まず、そこまで評価されないでしょうが。


英雄絶唱 ~戦姫(男)のヒーローアカデミア~ verコメディ

 この世界には『個性』と呼ばれる異能がある。ある者は空を飛び、ある者は炎を操り、ある者は拳で天気を変える(物理)。

 そして己の個性を悪用し、他者に危害を与える(ヴィラン)。それに対し己の個性を含む全てを持って弱き者たちを守るために立ち上がるヒーローが存在する。

 これはそんなアメコミじみた世界において、1人の少年が強大な敵と己の羞恥心と戦いながら、ヒーローとして成長していく姿を綴った記録である。

 

 

 

冬のとある日の朝、通学路を歩く少年は前に見知った後ろ姿を見つけた、どうやら何か思案しているようである。その姿を見た少年はこっそりと近寄り少年の耳元で、

「わっ!!」

 

大きめの声で驚かしたのである。

 

「ふぉあ!!!!なになに!!」

 

元々小心者であったうえに、考え事をしていたことも重なり少年はひどく動転した反応を見せた。

 

「ぷっ!あっはっは!!くぁー!!あっはっは!!」

 

予想以上のリアクションに脅かした側の少年は大爆笑である。

そんな少年の姿を見た少年はさすがにムカッときたのか、怒り始めた。

 

「ひどいじゃないか、あっちゃん!僕心臓が飛び出るかと思ったんだよ!」

 

そんな少年の抗議もどこ吹く風。少年の大爆笑はなかなかおさまらない。

 

 

少しして、やっと呼吸が整い始めた少年が口を開く。

 

「いやぁ~、すまんすまん。まさか出久がそこまで面白い反応を見せてくれるとは思わなくてな。」

 

あっちゃんと呼ばれた少年の悪びれた様子もない謝罪に出久と呼ばれた少年は諦めたように呆れる。

 

笑いもおさまったところであっちゃん改め、糸臣(しきおみ)(あきら)は真面目な声色で、

「それで、今回は何に悩んでるんだ?去年からちょくちょくあったが、幼なじみの俺にすら話せないような話なんだろうが、悩みなら聞いてやるぞ?」

 

先程、少年の心臓を飛び出させるようなドッキリを仕掛けた本人とは思えないような言葉を発する。

 

糸臣からそんな言葉を聞くと思っていなかった出久改め、緑谷 出久は驚いていた。そして恐る恐る、口を開く。

 

「おまえ、誰だ!あっちゃんはそんな真面目なことは言わないぞ!あっちゃんを返せ!!」

 

 

 

プッツン!!

 

 

何かが切れる音がした。

 

 

 

 

「この野郎!優しくて格好いい幼なじみが心配してやってるのに、よりにもよって「おまえ、誰だ!」だと?」

 

ガシッ

 

素晴らしくキレのある動きで糸臣は完璧なヘッドロックを緑谷に決めて締め上げていく。

 

「イダダダダ!!痛い!!痛いよ!!あっちゃん!!」

 

緑谷の悲鳴に満足し、ロックを解除して再び糸臣が口を開く。

 

「出久の不敬な発言は今回だけ見逃してやる。」

「見逃すって、もうロックかけたじゃん。」

「…男なら小さいことは気にするな!」

「全然小さくないよ!」

 

そんな小気味の良い漫才のような掛け合いのお陰か、緑谷が先程まで纏っていた沈んだ雰囲気は吹き飛んでいた。

 

幼なじみの様子が普段通りに戻ったことを感じ取った糸臣は改めて先程の質問を掛ける。

 

「真面目な話だけどよ。本当に困ったことがあるなら、遠慮せずに言えよ。できることがあるなら手伝ってやる。」

 

「ありがとう。そのときはよろしくね。」

 

「おうよ。」

 

その後は最近のヒーローの活躍や受験に向けての話などをしながら学校に歩いていった。

 

 

 

 

放課後、用事があると先に緑谷が帰ったことで糸臣は1人で帰っていた。

 

幼なじみの緑谷にあのようなことを言っていたが、糸臣にも幼なじみにすら話していない大きな隠し事がある。

 

それは、この世界においてある種もっとも重要視される個性についてである。幼なじみを含めて対外的には糸臣は無個性であると偽っていた。

 

 

なぜなら…

 

 

 

 

「ただいま~!!あ~、お腹空いた~!!お母さん、晩ごはん何~?」

 

 

 

個性が発動すると性別が変わるうえに、性格まで変わってしまうのである。

 

 

「おかえり~。あら、今日は響ちゃんなのね。晩ごはんはカレーよ。」

 

「やったー」

 

 

糸臣の個性とは半日の間女性となるものである。

それだけであれば、他にも似たような個性の持ち主はいたかもしれない。しかし、普通でない部分が2つあるのである。

1つは変化する姿が3つあるということ。1つは先程響と呼ばれた元気いっぱいな少女の姿、他にも2つ姿があるがここでは割愛しよう。

 

そして、もう1つが…

 

 

 

 

 

Balwisyall Nescell gungnir tron

 

 

 

 

「おら!有り金全部寄越せや!!そしたら命だけわ助けてやる!」

 

 

暗い路地裏で塾帰りの少年が、いかにも薬物中毒な男に脅されていた。

その手にはナイフを持っており、首元に突きつけられているせいで少しでも動くと刺されてしまうのではという恐怖で鞄から財布も取り出すこともできず、動けなくなってしまっていた。

動かない少年に男はさらにイライラを募らせ、ついには意味不明な言葉で喚き始めてしまい、少年の恐怖をさらに煽るという悪循環が起きてしまっていた。いつ男が少年を殺害してもおかしくないほどである。

 

 

 

「い℃%○か£¥#殺⊥、¢#◆↑∈☆!!」(いい加減にしないと殺すぞ、いや殺すね!!)

 

ついにキレた男が少年に突きつけていたナイフを振り上げた。

 

「させるかぁぁぁぁ!!」

 

そんな裂帛が2人の上から響くとともに白い1つの影が落下の加速を乗せた拳を男に振るった。。

 

その拳は声につられて上を向いた男の顔面を捉え、そのまま後頭部をコンクリートの地面に叩きつけた。その衝撃で男の後頭部の下には蜘蛛の巣状に罅が入っている。

 

 

上から降ってきた影の正体は糸臣の変身した姿の1つである響であった。しかし、その姿は一般的な服装ではなく、身体のラインが強調されるレオタードタイプのインナーと四肢や腰周りなどに機械的な装甲のついたヒーロースーツのような姿であった。

 

これがもう1つの普通ではない点。魔法少女のごとく変身することがてきるのである。

 

 

響は殴った男が死んでないことを確認したあと、脅されていた少年のほうを向き、声を掛ける。

 

「ごめんね、助けに来るのが遅くなっちゃって。怪我はない」

 

目の前で起こったことへの理解がようやく追い付いてきた少年は助かったことへの安堵感から、足腰の力が抜けてへたりこんでしまった。

それでも助けてもらったことへの感謝を告げなければと思い、必死に言葉を紡ごうとするが先程までの恐怖のせいでうまく声が出なかった。

 

そんな少年の様子を見た響は、必死に言葉を紡ごうとする少年の頭を優しく自分の胸元に抱き寄せて、頭を撫でながらあやし始めた。

 

「大丈夫。へいき、へっちゃらだよ。」

 

優しい感触と、暖かい声色の言葉に少年を縛っていた死の恐怖はほどけていく。

 

「あ、ありがとうございました。え、えと君は…。」

 

恐怖は薄れてきていても、生死に関わる事件のあとのためか少年の思考は纏まらなかったが、なんとかお礼だけは伝えることができた。

 

「あ、私?私は立花 響。人助けが趣味の普通の女の子です!」

 

先程の出来事が嘘に思えてしまうほどのまぶしい笑顔が帰ってきた。夜の10時を過ぎているはずなのに少女の周りだけは心地よい日向にいるような明るさと暖かさを少年は感じた。

 

少年が少女の笑顔に見とれて、ボーッと夢見心地なところを響の言葉が現実に引き戻した。

 

「あっと!忘れるところだった、この人を警察に引き渡さないと!それじゃあ、私は行くけど気を付けてね!」

 

そう言うやいなや、気絶している男性を肩に担ぎ上げ大きく跳び上がり夜の闇に消えていった。

 

 

その姿を見送った少年の胸のうちには1つの炎が燃えていた。先程自分がもらったこの暖かさを皆に届けたい!!

そう思った少年の行動は早かった。

 

 

 

 

数日後、緑谷といつも通りに登校している途中に緑谷から数日前に気になる動画が動画投稿サイトに投稿されてネットの中で話題になっているとのことだった。

題名は

 

 

【おっぱいって】とってもかわいいヴィジランテに助けられた件【柔らかい】

 

 

 

響の助けた少年の個性は見たものを記録媒体に転写するというものであったのだ。

 

 

 

「ふ、ふざけんな~!!」

 

糸臣の咆哮が朝の住宅に木霊した。



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