おぜう様が1940年に参戦したようです。
思い付きです。
魔法少女ゆかりん(17歳)の思い付きによってルーマニアに送られたお嬢様は、プリンのために史実を捻じ曲げる。
ちなみに史実もねじ曲がってます

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 細かい説明はしません。


レミリアのサバイバルinWW2

 目が覚めるとそこは異世界でした。誰がこんな陳腐なセリフを使うのか。今の今までそう思っていた。今も変わりはない。但し、少し理解できる気がする。

 

 目が覚めたら、そこは知らない天井でした。

 

 紅魔館とは、壁の色で違いが判る。白い壁。同時に、激しい頭痛が襲う。あまりの苦痛に叫んでしまう。それを聞きつけたのか、見知らぬ女が入ってきた。

「いかがなさいました?陛下。」

 嗚呼、畜生。頭痛が全て収まる。そして同時に理解する。

「いや、少し足をつってしまってな」

 今の私は、国王なのだと。

 

 

 時は1940年。わが父、カロル二世は、首相イオン・アントネスクによって退位を余儀なくされた。記憶によると悪政を敷いたから自業自得だが。

 そんなこんなで、神から授かるという形でこの私、レミリアが、ルーマニア王国の女王として即位したわけだ。

 …うん、ここまでが入ってきた記憶なのは分かった。

 めちゃくちゃだなぁおい。まったく、昨日までフランたちとお茶会をして楽しんでいたというのに。幸いなことに私たちの蔵書の中に歴史本がいくつかあったから、ルーマニアに関しては少し知っているはずだ。とりあえずカロル二世の次も国王は男だったはずだし、吸血鬼の私が神から王位をもらうなんて何事だ。とりあえず帰れたら、まずはアフタヌーンティーを楽しんで、スキマ妖怪をぶっ飛ばしに行かなければ。

 しかし、今の私は吸血鬼ではない。正確には、老いることはないが日光に当たっても死なないし、力も人間並み。これでどうしろと?

 確かこの後アントネスクは第二次大戦に参戦したはずだ。枢軸側で。こいつらからも、赤軍からも、紅魔館を隠し通すのは至難の技だった。私たちは良く隠し通せたなと思う。

 また、史実のルーマニア王室はこの後連合国側について降伏したが、国を追い出されたはず。そこからは知らないが。

 やだもぉかえりたい。

 泣き言を言っても始まらない。パチェは確かイギリス出身で、美鈴と咲夜は良く知らない。フランもいない今、頼れるのは私のみ。

 布団をかぶるともとに戻るかもと思ったが、相変わらず天井は白い。だめだこりゃ。

 仕方がないので国王として生きてみる。そう思ってベッドから降りる。そのまま着替えてまずは朝食をとろうとすると、机の上の封筒に気付いた。日本語だ。

『どう?朝起きたら異世界でしたっていうのは。一応敗戦と同時に帰るようにはしてあるけど、自殺は戻れないわ。安心して頂戴、外では一日も進んでないわ。頑張って祖国を守ってみてねbyゆかりん』

 まさかあいつにここまでの才能があるとは。今にでもその面をひっぱたきたいところだが、今は我慢する。どうしようもないから。

 あと5年足らずで帰れるんだと思うと不思議な感覚になる。たった5年。生まれて500年以上だが、こんなにも長い5年は久しぶりだ。しかし、決して奴の思い通りになってたまるか。もっと良い国にしなければ。

 そんな思いで食事に向かうが、すぐに思考が停止した。

 おやつはプリンだと?

 たまにはスキマ妖怪も粋なことをするじゃないか。

 

 さて、満腹になって、一仕事を終えた。仕事?サインだけの簡単なものだった。そもそも権力がないから責任がないのだ。

 とっとと帰るために運命を見ることにする。さすがのスキマ妖怪も能力は変えれなかったという事か。

 この運命を見るに、史実順守で間違いない。気になる運命の連中もいるにはいるが、早く帰りたいので早期終戦のすべを探す。とは言ってもこの場合、すでに開戦まで一年を切ろうとしている。ドイツが動き出す1936年だったら何とかなったが、もはや開戦と独ソ戦は回避できそうもない。かくなる上はとっとと独ソ戦を切り上げて日本降伏までもっていかなければ。というか先にこの国が負けそうなんですが。

 力があれば指導者を全員地獄へ送ってやれるのだが、そう簡単な話があるわけではなかった。

 ええいまどろっこしい!

 私を誰だと思っているの!偉大なる吸血鬼ヴラド三世の末裔、スカーレット・レミリアなのだから、私が負けるなんてありえない。いや、そうするのだ。

 

 時は進んで1941年。ドイツはソ連に宣戦布告。しかしソ連兵士が見えないんだけど。かくいう私はドイツの総統である。えらいのだ。エッヘン。しかしあいつら戦わないの?あるぇー?でもまあこのおかげでポーランドは手に入れた。作戦通りだ。このままいけば私の夢も「失礼します、閣下。お耳に入れておきたいことが。」…なんだゲッペルスか。

「邪魔しないでくれ。予は今、喜びに震えておるのだ。」

「あ、はい。そんなことより、ソ連軍と会敵したそうです。なんでも、一部の都市を拠点として防衛線を築いていたようで、中々に厄介ですが、そこまで時間はかからないだろうとのことです。それに、ルーマニアについてですが、我々の側ではついてくれなさそうなので、少しお話しようと思いま「失礼します!緊急事態です!」うっさい私の話の邪魔をするな!」

 私の話をスルーしたゲッペルスは話続けるし、なのに人には注意するし…

 わし、立派な指導者だよね?ね?

「ルーマニアでクーデターが!また、国土のうち我々の同盟国に隣接する地区をソ連に割譲するそうです!」

「馬鹿な…ソ連の要求は北トランシルヴァニアではなかったのか!?」

 ん?なんかまずいことになってない?

「ソ連があの土地を割譲させただけなら、今すぐルーマニアを落とせば…」

「ソ連正規軍がすでに展開済みです!一部ではイギリス軍も確認されたとのこと!」

「よりによって今だと…今国防軍はソ連最前線でそこに行くのに時間がかかるのに!」

「イタリアはどうだ、支援は?」

「イタリア海軍によれば、イギリス艦隊が出張ってきて対処するのに精一杯、陸軍にしても北アフリカの援軍は時間がかかり、本国にはフランスの残党による強襲上陸により少ししか手が回せないとのことです」

 え?え?

「早く何とかしなければ!西部から引き抜いとけ!」

「おい、アメリカが、アメリカ国籍の船を沈めたので参戦するそうだ!」

 \(^o^)/

「いや、沈めてないだろ!事実確認して抗議文だしとけ!」

 なんで、なんでこんな…

 チクショウメェーーーーーー!

 

「いやはや、何とかうまくいったわ。」

 いやホント、連中が動いてくれるかが本当に不明だったから、正直言ってとても嬉しい。思い返せば、事の発端は去年にまでさかのぼる。

 運命を見ていると、その中に、「ソ連が北トランシルヴァニアを要求する」というものがあった。そこは吸血鬼にとって大切な場所。よって、ソ連には別の場所を割譲した。ハンガリーあたりとの国境だ。一応、大戦には勝つ必要があるので、多少の駆け引きはやむなし。そこを割譲する代わり、特殊部隊を観光客の名目で受け入れた。更に、我がルーマニアの王家は元をたどればイギリス王室に結び付く。よって、イギリスからの部隊も入れた。なぜ枢軸はつかめなかったかって?そこはまあ、スターリンの手駒たちの活躍による所が大きい。彼ら、十分な給料と休暇、酒さえあればいたって真面目である。噂レベルでは何の漏洩もないとは言えなかったが、ロイヤルネイビーが彼らの目を引いてくれたおかげで、彼らの目はそちらとソ連へ向いていたし、この国に興味を向けていたのはハンガリーぐらい。ハンガリーは何も言ってこない。まあ、ソ連がうちのもの宣言してるから言えないのが現実だろうが。以下は当時の会話である。

 

----1940年 ルーマニア ブカレスト

 

「首相閣下、書記長閣下、忙しい中、御足労いただき、感謝する。」

「我らが国王陛下のご親戚とあらば、参らないわけにはいきませんからな。」

「してレミリア殿、貴女は、我が国と国境問題を解決すると聞きましたが。」

「もちろん。しかし、いくら血筋に英国王室が入っていようと、我々の先祖は、かのヴラド三世なのです。彼をモデルとした作品に出てくる土地を手放すのはどうにも気分が悪い。」

「それでは、渡すつもりはない、と?」

「ええ、代わりといっては何ですが、西側の国境部分などいかがでしょう。」

「そこには、何かメリットが?」

 強い口調で臨むスターリンに対し、しかしレミリアは一歩も引かない。

「もうすぐ、あなた方はドイツに宣戦布告するつもりですね?」

「ちなみに、それはどの同志から?」

「我が国の諜報部は優秀なのです。」

「陛下、お取込みのところ申し訳ありませんが、我が大英帝国にも、このメリットをお教えいただけませんか?」

 スターリンと腹の探り合いをしていると、のけ者にされていてつまらなくなったのか、チャーチルが言葉を発した。

「よいでしょう、今回だけお教えします。なんでも、近頃、ドイツがソ連に先手攻撃を仕掛けるという情報が入ったのです。」

「その情報は信用できるのですかな?」

「私の友人によれば、貴国もその情報をつかんでいると聞きましたが?」

 いやまあ、私に友人はいない、というか立場的にできにくいから、基本歴史が元である。

「なぜ、その情報を、私たちに?貴国の政府はだいぶファシスト気味だったと記憶していますが。」

「正確に言えば、その政党が、です。自然に瓦解するでしょう。」

 チャーチルの疑問は正当なものだ。よって、嘘をつかないのが最善だ。

「確かに私はアントネスク首相のおかげで王位に就くことが出来ました。しかし、我々とて一枚岩ではないのです。私は常に国民の平和と安全を望んでいる。」

 別に嘘ではない。平和云々はめんどくさいからだし、そもそも私は即位後しか体験していないだけの話だ。

「それだけ?それなら私も小耳に。では、この話はこれで」

 早々に席を立とうとするスターリン。

「おや?そうですか。では、参戦後のルーマニアは大英帝国に港を貸し出すということで…」

「聞き捨てなりませんな。それなら我々も一枚かませてもらいましょう。」

 これこそが私が用意した両国への切り札、『軍港の利用権』だ。我が国の独立を守るのならば、我が国の港を、第三国として貸し出す。ソ連ならば無理やり陣取って終わりだろうが、イギリスがかむとそうはいかない。いくら戦艦の保有数で決まるとはいえ、このころのイギリス海軍は世界最強。ソ連としても、自国の腹にイギリス人のねぐらを作りたくはない。そしてチャーチルは根っからの共産嫌い。お互いにルーマニアの港が手に入れば、イギリスはソ連を牽制でき、ソ連は黒海の安全を確保できる。これは、ソ連の南下政策とチャーチルの共産主義嫌いが重なって起こった利益であり、お互いに一時期でも黒海に相手の侵入を許せば、情報網を張られてしまう。大西洋憲章から少し逸脱するが、これも戦争に勝つためである。これでどちらとも、ルーマニアを動物ぐらいには思ってほしいものだ。いや、この際石ころでも構わない。石ころでも武器になる。そのことを分かってほしいが。

「書記長閣下、もし提案を飲んでくれれば、我が情報部の最大限の力で集めた、ソ連領内の裏切り者の名前でもお教えしましょうか?」

「それにはどのくらいのルーマニア人が含まれているのでしょうな。」

 いやらしい皮肉だけど笑って返す。こちとら運命で情報を得れるから、正直言って何の損害もない。でも癪だから有能な奴のお父さんぐらいは紛れ込ませてもよいかもしれない。

「ちなみに、例えば?」

「フルシチョフなどは、上っ面は良いかもしれませんが、腹の底では何を考えていることやら」

 こんな感じで早めに潰すのもありか。フルシチョフ君、安らかに。

「そういえば、大英帝国は今、他の国を大戦に引き入れようとしているとか。」

「むろん、アメリカ大統領とは良い関係ですとも」

「我々も、貴国の真似を首相にさせてみようかと思いまして」

「クーデターを援助しろと?」

「そこまでしていただけるのですか?有難い。」

 つまり、どういうことかというと。

 我が国の潜水艦で、アメリカ国籍の船を沈める。つまり、第一次世界大戦や、のちのトンキン湾事件と同じく、自作自演である。このことをドイツに擦り付ける。もちろん、マスコミは政府の統制下にある。それに合わせ、ルーマニアでクーデターを起こし、首相を退任させ、中立を保つ。そうすれば、実際に参戦するよりも、損害を与えられる。

「しかし、それではメリットが少ない。」

「日本の情報もつけると言ったら?」

 英ソ両国にとって、日本は無視できないキーマンである。一応大国であり、参戦していない国ではアメリカに次ぐ大国である。陸軍こそソ連に劣るものの、海軍は世界三位、経済力も侮れない。

「そして、日本の行動でこの先の大戦が決まると言ったら?」

「…検討してみよう。」

「悪くない提案だ。」

・・・・・・・

・・・・・

・・・

 

 さて、この後もいろいろなことがあった。まず、一番大きかったのは、太平洋戦争の回避だろう。あの後、ABCD包囲網から抜けたイギリス連邦と、ソビエトから、三国間条約を条件に資源を回された日本は、戦争理由が無くなった。それでも過激派はアメリカとの開戦を望んだみたいだが、イギリスが最新鋭戦艦をシンガポールに配備すると発表し、海軍が参戦を拒否、陸軍はインドシナ半島併合で妥協したらしい。フランスに力がないのでしょうがない。まあ、海軍は航空機攻撃に懐疑的だったから当然か。

 また、クーデターを私が起こしたことで、国家は転覆。ファシスト寄りから一転して中立政策をとった。反乱軍にどう見てもイギリス正規軍がいたり、国境をソ連軍が守ったり、国名がワラキアになったのはご愛敬だ。ドイツではルーマニアと呼んでいるようだが。ちなみに、この時、ソ連軍は結構奥地に防衛線を築いていて、このソ連軍は開戦と同時に満州国境から引き抜かれた師団が加わり、連合国の橋頭保になることになっている。ウラルへの産業移転は、一応開戦予定日までには終わり、それまではほぼ見せかけの師団が国境に配備されていた。イギリスも地中海の制海権を、タラント空襲を受けたイタリア海軍に対し、シチリア沖海戦で勝利をおさめ、制海権も確保済みだ。制空権に関しては、ある程度かき集めたものの、決して優勢とは言えないが。アメリカへの工作は、今のところ数隻沈めたので参戦できるだろう。なんとも出来レースであるし、国民の理解も十分に得られていないのが現実だが、終わりよければすべて良し、だ。

 住民たちも、連合国軍とはうまくやっているみたいだ。基本ソ連軍は買い物と映画ぐらいしか見ず、見かけるほとんどの兵士がイギリスやフランスだからだろうか。ドイツ兵には丁重にお帰り願っている。

 何とかここまで来た。あとは、運命を操って、何とか勝って、それで帰って、早くプリンが食べたい!

 

 

 

――1964年発行 「終戦50周年に見る、数奇な大戦」より抜粋

 

 過去に起きた大戦の中で、最も数奇だったのは第二次世界大戦だろう、というのが歴史研究家の共通した意見である。

 電撃戦など、素早い現代的な戦術で勝利を収めたドイツは、一時期世界の覇者になろうとしていた。

 しかし、敵は思いもよらないところから現れた。

 ルーマニア、現在のワラキア共和国である。

 当時の国王、レミリア・スカーレットは、独自の情報網と、その卓越した交渉能力、そして、軍大学を出ていないにも関わらず、もはや未来予測としか言いようのない先見の明で、ワラキアを勝利に導いた。

 彼女は、終戦翌日に、王位を自分の子供に譲ると、姿をくらました。どこに行ったかは定かではないが、まだ現在も、国際社会の裏で覇権を握っていると、まことしやかに噂されている。また、女性であるにも関わらず、ほぼ独力で大戦を終結に導いた女王として、全世界の女性団体のシンボルともいえる存在である。

 このようにほぼ伝説といえる女王レミリアだが、その伝説と同じくらいの謎に満ちている。例えば、、独自の情報網は、現在に至ってもその詳細はおろか一部すらも明らかになっていない。しかし、その信憑性は、その情報網を駆使して作られた、当時のソ連の裏切り者リストが、ソ連のにマークされていた人物と、ほぼ一致した点で、裏付けされている。中には入っていないものもいたり、別の人物も混ざっていたが、入っていなかった人物は、みな大戦で大きな役割を果たした。

 そのため、一部では、「レミリア・スカーレットというのは、複数人の総称ではないのか」という説が人気を集めている。しかし、レミリア女王本人は多数の国民が目撃しており、連合国各国のトップとの会談時にも目撃されている。当時の複数の従者の証言から、レミリア女王は殆どの時間、一人で考え事をしていたこと、ほとんど面会は無かった事が確認されている。各大臣も彼女の命は、まさしく自分一人で考えたことのように聞こえたという。

 結局、彼女本人が周囲に話しておらず、彼女も戦後すぐに行方を眩ませたため、真相は闇の中だ。妄言だとわかっているが、もし、彼女の逸話が全て本当ならば、彼女はきっと、運命か何かを操っていたに違いない。

 


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