もしもハジメ君の性格がキツく口調が悪かったら(仮) 作:fruit侍
久々に気が向いたので編集しようと思ったら、最後に編集したのが昨年の6月で戦慄しました。8割ほどできてはいたので割とすぐできましたが……この話は戦闘描写とかもないのでかなり筆が進まなかった記憶があります。
数年ぶりのハジメ君sideで書き方など変わっているかもしれませんが、どうぞご覧ください。
あの激闘から約二ヶ月が経った……んじゃねえかな多分。
何で推測なのかって? 俺が意識を失ってた時間が分からないからだよ。
目が覚めた時、俺は何故かベッドにいた。横にはユエもいた。裸で。
は? って思ったろ? 俺もだ。起きたらベッドにいるし、横には事情を全て知ってるであろうユエが裸で寝てるし、もう訳が分からん。あ、ユエは元々服なんて着てなかったなそういや。
起きたばっかで、そんなことも頭から抜け落ちてた俺は、つい反射的に〝纏雷〟を使ってしまった。いや、その……覚えてる限りで人生で一度も添い寝なんて経験ねえから不審者だと思って、つい……。
それがユエだと気づいた時には、もちろんすぐに解除した。いくら頭が回ってなくて出力が弱かったからといっても、痛えもんは痛えしな。
で、そこからユエに色々聞いたが、あの銀頭は俺が倒したらしい。
俺は思わず「はあ?」と言ってしまった。いやだってよ、俺はあの銀頭が出てきたときにすぐ放ってきた極光に下半身を焼かれて意識を失ったんだぜ? で、意識が戻ったのはついさっきだ。意識がねえってのに、どうやってあのバケモンを倒したってんだよ。
そしたらユエは、俺が怪物になったと言ってきた。もう頭が痛くなった。ユエってこんな奴だったか? ってな。
だがその証拠に、俺が失くしたと言っていた左手の指が戻ってるし、今の俺の右目はユエが見たという怪物の目みたいに黒く、赤くなっていると言ってきた。
それを聞いて、俺は左手を見た。ユエの言う通り、あの蹴りウサギによって失くしたはずの親指と薬指が、戻っている。それだけだったらどれほど喜ばしかったことか。
しかしその指は明らかに人間の物じゃなかった。真っ黒で、指と爪が一体化していた。しかもその黒色は、侵食するような形で掌にも広がっている。
例えるなら、悪魔の指だった。
俺が、自身の変わり果てた指を見ていると、ユエがどこかから鏡を持ってきた。それを使って俺は自身の右目を見た。
そこには邪眼とも、魔眼とも呼んで差し支えないような目があった。人間の目の瞳孔に当たる部分だけが血のような赤色で、あとは全て真っ黒。
それだけじゃない。その目から顔に、黒が侵食するように広がっている。
目も左手の指も、以前と同じような感覚はあるし、自分の意志で動かせる。だからこそ、恐怖を感じた。俺が、何か得体の知れないものに変わっているような気がして。
その辺りでステータスプレートのことを思い出し、俺はステータスプレートを見た。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:???
天職:錬成師
筋力:???
体力:???
耐性:???
敏捷:???
魔力:???
魔耐:???
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+高速錬成][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・憎■■■・言語理解
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なんかもう、言葉が出てこなかった。技能は特に変なところはなかったが、レベルとステータス値が読めなくなってる。
そしてすぐに気づいたが、長い間文字化けして読めなかった技能が一部読めるようになっている。これを見て俺は、すぐにこの技能が変わり果てた指と目に関係していると推測した。
しかし推測できたのはそれくらいで、他のことは全く分からなかった。『憎』という文字から連想できることもないし、心当たりもない。
待てよ……極光にやられて少し経ってから若干、本当に若干だが意識があったような気がする。そこで俺は何かを見てから、今まで感じたことがないほどの怒りと憎しみが沸き上がってきて……そこから、記憶がない。
……いや、何で肝心のとこだけ記憶がねえんだよとは自分でも思うが、仕方ないだろ。ユエの話じゃ、下半身がもう二度と歩けないんじゃないかってくらいには負傷してたみたいだし。今となっちゃあ、それも信じられないくらいにピンピンしてるんだけどな。
色々分からんことばっかだったが、考え出すととキリがないのでここら辺で置いといて、次はここが何処なのかについてだな。
前にユエが、ここは反逆者が作った迷宮だと言っていたのを覚えてるか?
俺が銀頭をぶっ殺した(真偽は不明だがそれだと話が進まないので、俺が殺したということにする)後、突然奥の扉が独りでに開いたんだそうだ。扉の奥には一体何があるのか、ユエが確認しに扉の奥へ入った。
そして、踏み込んだ扉の奥は、ユエ曰く『反逆者の住処』。
中は広大な空間に住み心地の良さそうな住居があったらしい。そのあと、危険がないことを確認して、ベッドルームを確認したユエは、俺を背負ってベッドに寝かせたんだと。で、その直後にユエも力尽きて、俺の横に倒れ込むように寝たんだとさ。
もう十分寝て眠気はなかったし、二度寝する理由もなかったので、俺は反逆者の住処を探索することにした。
ベッドルームから出た俺は、そこで見た光景に圧倒され呆然とした。
全部説明すると長くなるから色々省くが、そこには『外の世界』があった。
省きすぎて逆に分からねえって? ったくしゃーねぇな。外の世界つっても、本物の外じゃねえ。外のものを全部本物そっくりに模倣した設備が色々とあったんだよ。川とか畑とか、一番驚いたのは人工太陽があったことだな。明るいだけじゃなくちゃんと暖かいし、しかも夜になったら月みたいになるんだぜ。
んで川や畑とは逆方向には、ベッドルームに隣接したような建築物があった。
一階から見て回ったんだが、暖炉や柔らかな絨毯、ソファのあるリビングらしき場所、台所、トイレ、そして風呂を発見した。
二階では書斎や工房らしき部屋を発見した。しかし、書棚も工房の中の扉も封印がされていてその時は開けることはできなかった。
三階は一部屋しかなかった。その部屋には直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。
んで、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子には骸が座っていた。
そいつを見て、俺はそいつがこの住処の主である『反逆者』だと悟った。
この魔方陣が地上への出口である可能性がある以上、調べねえわけにもいかねえ。俺は危険を承知で魔方陣の中心に立ってみた。
その瞬間、カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げたかと思えば、骸から幽体離脱するように黒衣の青年が俺の目の前に現れた。
そいつは、自らを『解放者 オスカー・オルクス』と名乗った。
そこからはこの世界の歴史、それも俺が情報収集のために読んでいた文献、ユエから聞いていたものよりもっとずっと昔の歴史についての話がされた。
内容は簡略化するが、要はこの世界で起きてる戦争の黒幕は全部神で、こいつら反逆者……いや解放者たちは、戦争を終わらせるために神に挑んだが、敗北して各地に散らばった。そして一人一つの迷宮を造り、神を打ち倒す者が現れることを願って何年も待ち続けたんだそうだ。たとえ、その身が朽ちようとも。
話が終わると、有無を言わさずある魔法を刷り込まれた。それが『生成魔法』だ。こいつがとんでもねえ代物でな、魔法を鉱物に付加して特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法らしい。
これだけ言うと意味が分からないだろうが、アーティファクトを作れるようになるといったらその凄さが分かるだろう。
一応ユエも習得したんだが、俺みたいにアーティファクトを作るのは無理そうだった。そもそも錬成を使えないから、適正がないってことなんだろうな。ま、仕方ないもんは仕方ない。
ちなみにオスカーの遺体は墓石付きで丁寧に埋葬してやった。墓石には『R.I.P.』の文字付きで、俺なりにお疲れさんという意を込めてるつもりだ。
ただ勘違いしないでほしいのは、俺は別にこの世界の平和のために動くつもりはない。誰がそんなどこぞのバカ勇者みてえなことするか。
俺は、俺がやりたいようにする。
まずは俺を陥れてくれたカス共への復讐。これは決定事項だ。俺を殺そうとした奴等がのうのうと生きてることが、俺には許せない。誰も裁かねえなら、俺が裁くしかねえのさ。
そして次は……特に決めてないが最終的には地球に帰る。ユエを俺の家族に紹介しないといけないしな。
てことで、俺達はそのために装備の充実と、実力の向上を気が済むまで行った。その結果、約二ヶ月が経ったってことだ。
いい機会だし、ここでいくつか紹介しとくか。例えば俺の今のステータスはこんな感じだ。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:???
天職:錬成師
筋力:???
体力:???
耐性:???
敏捷:???
魔力:???
魔耐:???
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+高速錬成][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]・風爪・夜目・遠見・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・気配遮断[+幻踏]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・先読・金剛・豪腕・威圧・念話・追跡・高速魔力回復・魔力変換[+体力][+治癒力]・限界突破・生成魔法・憎■■■・言語理解
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レベルやステータス値は相変わらず読めないが、技能はかなり増えた。それに体が黒く変色してからやたら体の調子がよく、以前と比べ体が軽く感じる。これに関して俺は、文字化けしてる技能が俺の体の潜在能力を引き出しているのではないかと考えた。派生技能も知らないうちに増えていたのもそれで説明はつきそうだしな。文字が1文字解放されるだけでこれなら、全部解放されたときにはどれほどの力が出せるのか想像がつかない。楽しみが1つ増えたな。
ユエもステータスプレートがねえから詳しいステータスは分からねえが、魔法の威力が以前と比べ多少上がったような気がするし、割と接近戦にも対応できるようになった。
次に装備についてだな。まず俺は〝宝物庫〟という便利道具を手に入れた。
これはオスカーが保管していた指輪型アーティファクトで、指輪に取り付けられている一センチ程の紅い宝石の中に創られた空間に物を保管して置けるというものだ。簡単に言えばドラ〇エの道具袋みたいなもんだ。
RPGじゃデフォルトみたいな装備なんだが、こうして実物を見てみると本当に便利だ。あれだけ嵩張ってた兵器がこれ一つで全部持ち運べるし、武装の切り替えが一瞬で出来ちまうんだからな。
次に俺は魔力で動く車とバイクを造った。
これは文字通り、ガソリンじゃなくて魔力で走る車とバイクだ。俺の好みで、バイクの方はアメリカンタイプ、車は軍用車両のハマータイプを意識してデザインした。エンジンなんて複雑なもんは流石に作れなかったから、魔力を流すだけで走るかなり単純な構造にしてある。要は俺かユエしか運転できないようになっている。……いや、ユエは身長的にちょっと厳しいかもな。
更に、バイクと車には車底に仕掛けがしてあり、魔力を注いで魔法を起動すると地面を錬成し整地することで、ほとんどの悪路を走破することもできる。また、どこぞのスパイのように武装が満載されている。武装した車って、男のロマンだろ?
それと俺の右目なんだが、かなり使えることが分かった。
素材収集の目的で何度かこの迷宮に再度潜ったんだが、通常の視界に加え魔物が強調表示されたんだ。気配を消すことができる魔物だろうと、姿を消せる魔物だろうとはっきり分かる。しかしユエは一切変化無しだ。
魔力に反応してるのかと思ったがそれならユエに反応しないのはおかしい。いろいろ考えた結果、仮説に過ぎないが『敵意』に反応してるのではないかということになった。
しかしこの目から発されている殺気がとてつもないらしく、ユエにこの目を向ける度に怯えられた。なんでも直接見られると、尋常じゃない殺気で心臓を鷲掴みにされたような気分になるらしい。
そこで試しにテキトーな布で隠してみると、大丈夫になったと言われた。通常の視界は遮られてしまうが、敵意に対する反応は見えたのでユエの日常生活に支障をきたすくらいなら隠しておこうと思い、俺は目だけでなく黒く変色した部分も眼帯で隠すことにした。これでなんとか普通の人間には見えるだろう。
兵器について、ギーベリも色々と改造を加えた。アザンチウム鉱石を使って強度を増し、バレルの長さも持ち運びの心配がなくなったので三メートルに改良した。〝遠見〟の固有魔法を付加させた鉱石を生成し創作したスコープも取り付け、最大射程は十キロぐらいになっている。
それとラプトルの大群に追われた際、手数の足りなさに苦戦したことを思い出し、電磁加速式ミニガンを開発した。口径三十ミリ、回転式六砲身で毎分一万二千発という化物だ。銃身の素材には生成魔法で創作した冷却効果のある鉱石を使っているが、それでも連続で五分しか使用できない。再度使うには十分の冷却期間が必要になる。それに弾のコストもまあまあえげつない。使うのはよっぽどの多数を相手にする時だけになるだろうな。
さらに、面制圧と純粋な趣味からロケット&ミサイルランチャーも開発した。形はM202Flashを元に設計したため長方形の砲身を持ち、後方に十二連式回転弾倉が付いており連射可能。ロケット弾にも様々な種類がある。
あと、トイフェルの対となるリボルバー式電磁加速銃も開発した。理由としては、ただのロマンだ。二丁拳銃ってのは、いつだって男の厨二心をくすぐるんだよ。それにより俺の基本戦術はこの二丁拳銃を使ったガン=カタに落ち着いた。俺は性格的に絶対後衛タイプではないし、ユエの戦闘スタイルが間違いなく後衛であることを踏まえた結果だ。
そして最後に肝心の名前だ。
ロケット&ミサイルランチャーにはスーシェン、対となるリボルバー式電磁加速銃にはマズバハと名付けた。意味としては、スーシェンは中国語で死神、マズバハはアラビア語で殺戮。まさか色んな国の中二病が好きそうな単語をあれこれ調べてた経験がここで活きるとはな。
そして少し悩んだが、俺はミニガンに『ハルトマン』と名付けた。第二次世界大戦中に300機以上の敵機を撃墜したと言われるエースパイロットの、エーリヒ・ハルトマンって人間が元になってる。ハルトマンは、愛機の機首に黒いチューリップを描いていたため、敵軍から〝黒い悪魔〟と呼ばれ、恐れられていたとされている。実際それをイメージして、俺は六本のバレルを束ねるバレルクラスターに、赤い輪郭に真っ黒なチューリップをペイントしている。
俺の装備で代表的なものはこんなもんだが、いろいろな場面に対応できるよう他にも様々な装備・道具を開発した。しかし装備の充実に反して、あのエリクサーみたいな水だけは、試験管型保管容器十二本分でラストになってしまった。あの水は魔力がそのまま滲み出てきてるようなもんだったから、魔力を込めたらまた出てくるんじゃないか? と思ってあの石に再び魔力を込めてみたんだが、水は出てこなかった。
しかし、こいつを捨てるには勿体無い。こいつがなければ、俺は確実に死んでいた。石とはいえ、ここまで一緒に旅してきたやつを使えなくなったらポイなんてのはなぁ、何というか後味悪い。
……と思っていた俺だが、魔力を込めてるうちにあることに気づいた。この石、どんだけ魔力を込めても割れたり破裂したりしないんだ。試しに丸一日中ずっと魔力を注ぎ込んだが、全く微動だにしなかった。
俺はこの膨大な魔力を内包するという特性を利用し、一部を錬成でネックレスやイヤリング、指輪などのアクセサリーに加工した。これなら装備品として邪魔にならない上にすぐに使うことができる。つっても俺は武器で戦うのが基本だから魔力切れなんぞそうそう起こさない。だからこいつを使うのは……ここまで言えば流石に分かるな?
「……プロポーズ?」
「……まあ、そう言うだろうなと思ったよ」
もう、予想通りすぎて笑えてきた。
「一応魔力切れを防ぐっていう合理的な理由があるが……まあそういうことにしといてくれや」
「……ふふっ、大事にする」
「……ああ」
そういうことがあって装備を整え終わって十日後、遂に俺とユエは地上へ出る。
三階の魔法陣の前に立ち、俺はユエに静かな声で告げた。
「ユエ……分かってると思うが、地上は敵だらけだ。人類を弄ぶクソ神に、そのクソ神を何も知らず信仰してやがるクソ狂信者共、そして、俺をハメやがったカス共、それ以外にもいるかもしれねえ」
「ん……」
「常に命を狙われるのはほぼほぼ間違いない」
「ん……」
「ほぼ確実に世界を敵にまわすヤバイ旅だ。命がいくつあっても足りないぐらいな」
「今更……」
「俺がユエを、ユエが俺を守る。立ち塞がる物全部ぶち壊して、全部ぶち殺して、そして地球に帰る」
俺の言葉を、ユエはまるで抱きしめるように、両手を胸の前でギュッと握り締めた。そして、無表情を崩し花が咲くような笑みを浮かべた。返事はいつもの通り、
「んっ!」
俺はその返事に笑みを浮かべながら魔法陣に向けて歩み出す。そして魔法陣を起動させた。
転移するまでは、少し時間がかかりそうだ。これが完全に起動すれば、俺はついに地上に戻れる。
あと少しで念願の地上という事実に対する興奮を抑えるのと同時に、俺は一つのことが気になっていた。
「……」
『最後に、君に私の力を授ける前に、一つ聞いてほしい。もしかしたら知っているかもしれないが、解放者のリーダー、ミレディ・ライセンは今も生きている。彼女は私達の力の一つで、その魂を私が造ったゴーレムに移し、あの邪神を討ち取る者が現れることを何百年も、何千年も待ち続けようとしている。しかし人間の精神では、何千年はおろか何百年という孤独に耐えることなど到底できないだろう。もしかしたら、今は狂ってしまって、話が通じないかもしれない。その上で、君にお願いしたい。
どうか、彼女を救ってくれないだろうか。
私の工房にあるアーティファクトの中に、宝物庫と言ってね、指輪に取り付けられている宝石に作られた空間に物を保管し、好きな時に取り出すことのできる代物がある。それに、一つの大きな箱が入ってると思うが、それは今は決して開けないでくれ。彼女を救う唯一の方法が、その箱にあるからね。私の迷宮を攻略できた君なら成し遂げられると、私は信じている。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを』
オスカーの話の最後の部分を思い出しながら、俺は左手の指に付けた宝物庫を見る。
確かに宝物庫から物を全部取り出した時に、一つだけ目を引くほど大きな箱があった。そのサイズと質感から、棺桶みたいな感じがしたが、これは今開けるべきではないと本能的に感じたため、すぐに宝物庫の中に戻したんだよな。
「……ハジメ、やっぱりあの箱気になる?」
その仕草をユエに見られていたのか、ユエに聞かれる。
一応、ユエも生成魔法を習得する時にオスカーの話を聞いているのと、実際に箱の実物を見ているため箱の存在は知っている。
それが解放者のリーダー、ミレディ・ライセンにどう繋がっているのかは俺もユエも見当もつかないが。
「まあ、な」
「……助けるの?」
「……今の時点では、分からねえな」
生成魔法を習得した時は正直、成り行きでここまで来てしまった俺にそんなことを言われても、って感じだった。そもそも俺は来たくてここまで来たわけじゃないし、この世界であったことなんざ知ったこっちゃねえ。俺はそもそもこの世界の人間じゃねえんだよ。
しかし、記録映像越しでもオスカーの真剣さはかなり伝わってきた。あの頼み方は、マジのマジで一生のお願いレベルの頼みをするそれにしか見えなかった。
それを「自分は別の世界の人間だから」という理由で一蹴してしまうのは、何か違う気がする。
奈落に落ちた直後は人間を捨てたとかほざいてた俺だが、すっかりユエに絆されたもんだな。
「……私個人としては、すごく、可哀想だと思う。300年の孤独、私もすごく辛かった」
ユエのその言葉を聞き、俺は考える。
そうこうしてるうちに、魔法陣が起動し、部屋全体が光に包まれ始める。
部屋が光に完全に呑まれる直前、俺は一つの結論を出した。
文字が詰め詰めで読み辛かったかもしれませんね……。
今回で、ようやく3つの武器の名前が決まりました。
深緑 風龍 様、籠城型・最果丸 様、ナンモナイト! 様、ありがとうございました!
それと更新するまでにいただいたご指摘と改めて考え直した結果、第四話を修正しております。
兵器の名前及びオリジナル魔法の案はまだまだ募集中です。
↓↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259253&uid=215423
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魔人族に着いていって奴隷化
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王都戦争編でハジメ君に一人ずつ処刑される
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エヒトに強化(建前)されて捨て駒になる