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新たな仲間たち
ほぼ安全が確約されたルートを通り島へと戻る。
護衛してきた船には食料品などの他に、申請しておいた嗜好品なんかも積まれていた。
続きが気になっていた漫画だったり、お菓子だったり、皆で遊べるゲーム機だったり。
数時間の道のりを駆け、島が見えてくると堤防に人影があることに気が付いた。
「おーい、こっちだぴょん!」
ぴょんぴょんと飛び跳ね、手を大きく振る卯月と、その近くに立つ那珂ちゃんと電。
宿毛湾泊地の面々だった。
私たちの旅行中は前回、救援に駆け付けてくれた三人が、スイラン島を護ってくれていたのだ。
手を振り返しながら、近寄ると那珂ちゃんと電も話しかけてきた。
「この三日間、島は特に問題無かったのです」
「深海棲艦もここを泊地として警戒してるのかなぁ。近海ではほとんど見かけなかったよ」
「まあ、うーちゃん達で守ってたんだからこれくらいは朝飯前だぴょん!」
今まではほど近い場所でもそれなりの頻度で深海棲艦を見かけていたのだが、それも少なくなったらしい。
確かに卯月達が旅行に出掛けている間にもすぐ近くでの深海棲艦の目撃は減少の一途を辿っていた。
元々イ級やロ級のはぐれなんかが迷い混んできているみたいなものが多かったため、那珂ちゃんの言う通り、ここらが泊地として深海棲艦に知れ渡ったのかもしれない。
「私たちの代わりに警護してくれてありがとうっぽい!」
「戦いは少なくて困ることは無いクマ」
私たちが居なかった三日間のことや、旅行のことなんかを話しながら執務室へと向かって歩く。
数日前まではシーンとしていたこの泊地にも、今は人が忙しなく動いており、何だかイキイキとしている。
タイミングとしては卯月達がこの島に代わりに防衛として来る時に募集していた人員が島に来ていた。
料理人や、掃除係、整備士や憲兵などで計10人ほどこの島にやって来ている。
私たちと一緒に食材や機材が運ばれてきたため、その荷下ろしなどで一時的に忙しくなっているようだ。
ついでに言えば新しく配属となる重巡洋艦の艦娘ももう着いているはずだが、荷下ろしに駆り出されているのだろうか。
堤防にはいないようだった。
その辺りの搬入が終わればそれらの最終チェックもしなければならないのだが、とりあえずは良いか。
そう思い、話しながら執務室の方へと移動する。
聞いてみれば、正式な着任がまだのため、重巡洋艦の艦娘は執務室の前でひとまず待機しているらしい。
そうこうしているうちに執務室までやって来ると、そこには一人の艦娘がいた。
「あれ、もしかして新しい重巡洋艦の艦娘クマ?」
「ああ、そうっぽい。私たちが来るのを待っていてくれたっぽい? 廊下というのも何だし、中で紹介するっぽい!」
「いえいえ、全然待ってませんから! 是非よろしくお願いしますね」
薄い紫色に染まった髪を後頭部でバンドで纏めてポニーテールにした女性。
未だに写真でしか見たことが無かったが、彼女こそが日本初の重巡洋艦の艦娘であった。
「本日一八○○、夕立提督の帰港を持ちまして、スイラン島泊地に着任致します、重巡洋艦の青葉です! 以前は記者をやってまして、こちらでも色々と記事を発行させて頂けたらと思います! 何しろ、ここならネタには事欠かなさそうですからねぇ。あ、卯月ちゃん達には先にご挨拶をしておりますが、改めてよろしくお願い致します!」
「よろしくっぽい! 記事のことは聞いてるっぽいけど、嫌がる娘には辞めて欲しいっぽい。まあ、夕立は問題無いし、皆も配信に忌避感が無かったから今のところは問題無いと思うっぽい」
「ええ、ええ。そこはキチンと弁えますとも! 青葉の青葉だけの記事を全世界に公表……腕が鳴ります!」
とまあ、結構なテンションの彼女。
ここにいる面々は元よりテンション高めな艦娘が多い故にすぐに打ち解けていく。
「青葉さんは、やりたいことで記事を書きたいクマ?」
「青葉でいいですよ。そうですねぇ、誰にも邪魔されず私だけの記事を作りたいと相談したら、ネットにページを創ってくださいまして、そちらに様々な出来事や情報を更新していくつもりです!」
と、手にしたスマホからページを見せてくれた。
無骨なページには今は記事が一つも無く、題名に『青葉通信』とだけ書かれていた。
説明文だけが記載されており、スイラン島泊地の様子や、艦娘、深海棲艦への知見を記事にしていく予定とある。
「もう公式ツイッチーも用意して頂いておりまして、まあまだ活動を開始していないんですけれど。栄えある第一の記事として皆さんのことを書きたくってですね、後で是非取材をさせてください!」
「球磨は構わないクマー」
「ぴょん、楽しそうぴょん!」
「そうだねー。那珂ちゃんと電ちゃんは明日には宿毛湾泊地に戻っちゃうけれど、それまでは存分に那珂ちゃんの魅力を感じてね!」
「あれ、卯月ちゃんはどうするクマ?」
「はわわ、夕立さん、言って無いのですか?」
「あーもうちょっと引っ張ろうと思ったけどバレちゃったっぽい? せっかくだから、自己紹介改めてよろしくっぽい!」
サプライズも兼ねて球磨ちゃんには内緒にしていたこと。
もう少し先でバラそうかと思っていたけれど、まあちょうど良いかもしれない。
ちなみに、ここにいる面子で知らないのは球磨ちゃんだけ。
「それじゃあ改めて、睦月型駆逐艦の卯月だぴょん! 本日より宿毛湾泊地からスイラン島泊地へと異動になったぴょん! これからよろしくぴょん!」
「クマ!? でもお兄さんと同じ泊地じゃなくて良いクマ?」
「兄貴から頼まれちゃったんだぴょん! 夕立ちゃん達だけだと心配だから行って欲しいって。そんなに離れてないから、どうしてもって時は会える距離だから来ちゃったぴょん!」
「本当は自分が指揮をするとどうしようもなく心臓に悪いことが分かったから、預かって欲しいって頼まれたっぽい」
こそりと球磨ちゃんに告げたら、神妙に頷かれてしまった。
どうやら、ひどく納得がいったらしい。
「という訳で、明日からスイラン島泊地は夕立、球磨、青葉、卯月の4人体制になるっぽい! もう一人くらいは増やしたいと思うけれど、今までよりはかなり楽になるはずっぽい!」
「電と那珂ちゃんは、明日で宿毛湾泊地に戻ってしまうのですが、前回のように規模の大きな作戦の時は協力に駆けつけるのです」
「その時は持ちつ持たれつでよろしくっぽい! と、いう訳で青葉さんと卯月ちゃんの歓迎会と、電ちゃんと那珂ちゃんのお別れ会を兼ねてパーティーをするっぽい!」
「パーティークマ!? 最後に特大のイベントがやってきたクマ!」
この島に新しく来た人達とも交友を深めるべく、事前に料理人と打ち合わせをしていたのだが、これも球磨ちゃんには内緒にしていた。
驚く顔を二度も見れたので、大満足だ。
そうして食堂へ出向けば、ズラリと料理が並び始めていた。
先ほどやって来た船に積み込まれていた物資で豪華なパーティーが開かれる。
いちおう夕立は提督としてこの泊地で一番偉い立場にいる。
けれど、歳だけで見れば最年少に近いというのもまた事実だった。
故に、皆を纏める立場というのに少しだけ不安も感じていたが、パーティーを通じて彼彼女らの人となりを知って、なんとかなりそうだと感じた。
彼らも夕立や他の艦娘の人となりを知り、明日からも頑張ろうと決意をする。
互いに距離を縮めることの出来た一日となった。
〇【公式】駆逐艦夕立っぽい!
@yuudachi_poi
皆でパーティーしたっぽい!
新しい仲間と皆で写真も撮ったっぽい!
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午後23:37 2020年Б月ξ日
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今話、最後結構投げっぱなし……
第二章は構想は終わってるのに、書けてないっぽい……
理想は書き溜めて、一気に放出したいっぽい……