しかし、今は科学を愛している。
ある日中国で『発光する赤子』が生まれた。それを機に、世界中からあらゆる力を持つ子供が次々に生まれた。今では世界人口の約8割が何らかの超常能力、“個性”を持っていた。
そして、その少年は普通の家庭に生まれた。その家庭にはお母さんとお父さんと双子の弟がいた。そして同性の幼馴染みがいた。その少年は4歳ごろまで家族や、保育園の友達と仲良くやっていた。
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そのころ、まだその少年は『木原』に目覚めていなかった。
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そして双子の弟に“個性”が発現した。しかも父親の“個性”と母親の“個性”の複合型だった。少年は弟や、幼馴染が“個性”を使うところを見て、自分にどんな個性が宿るかを楽しみにしていた。
しかし、そんな希望は打ち砕かれた。その少年は今の時代珍しい“無個性”だった。
その少年が“無個性”だと知った家族は、最初は彼を励ましたり、慰めていた。しかし、保育園の友達や、幼馴染は今までの自分に接してきた態度を180度変えた。まず、その少年に誰も寄らなくなった。曰く、“無個性”がうつるかららしい。そして幼馴染はその少年をいじめ始めた。幼馴染がその少年をいじめているのを見て、周りの子供たちはそれに便乗した。そして、双子の弟はというと、初めは兄を庇っていた。いじめられている兄を慰めたりもしていた。しかしそうしていくうちに、弟にも友達がいなくなっていった。そして、自分も“無個性”の兄を持っていることに対していじめられるようにもなった。そのことに対して弟は少年に八つ当たりをした。家の外で少年が虐められていたら、少年を庇わず、いじめに混ざる。家では個性を使った虐待を行なっていた。そんな弟に対して両親は、最初は弟を叱ったりしていたが、だんだんとそれをしなくなり、結果的に少年を虐待した。その頃の家族全員の少年への認識はただの『サンドバック』に、なっていた。
しかし、そんな少年はNo1ヒーロー オールマイト に憧れていて、自分もオールマイトみたいなヒーローになりたいと思っていた。
しかし、彼の家族はそんな彼にいつも口を揃えて言う。
「お前みたいな“無個性”で何の役にも立たない奴は、サンドバックとしての価値しかない。」
と。
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その日は少年が『木原』に目覚めた日だった。
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・・・2年後・・・
その日は夏休みのお盆だった。保育園がない日はいつも家族は自分をサンドバックとして扱うか、自分を置いて何処かへ出かけてしまうかのどちらかだった。そして夏休みとなれば毎日家では虐待され、家の外に出ても虐められるかの繰り返しだった。しかしその日はお盆だったこともあり両親は自分を置いてお盆参りに出かけていた。親戚にも自分の味方はおらず、亡くなった先祖がかわいそうという理由で“無個性”とわかった時からお盆は自分一人で家に留守番だった。そして少年は家の鍵を閉めて出かけた。家の外に出てもいじめっ子に一人も会わなかった。そして少年は公園にたどり着き、ベンチに一人で座っていた。
そしてしばらくベンチで座っていると、自分がよく知る人物が話しかけてきた。
「やぁ少年、私が来た!」
その少年が最も憧れているNo1ヒーロー オールマイト だった。そして少年はオールマイトに会えた嬉しさから、涙が溢れ出てきた。オールマイトはそれに驚く。そして、少年はポケットに入れていたハンカチを取り出し、サインを求めた。オールマイトはそれを了承してサインをハンカチに書いた。とても描きづらかったらしい。そうして少年はいろいろなことをオールマイトと話した。と言っても世間話程度だったが。そして時間が過ぎていき、オールマイトは立ち去ろうとした時少年は自分がしたかった質問をオールマイトにした。
“無個性”はヒーローになれるか否か。
オールマイトはしばらく考えこう言った。
「“個性”がなくとも成り立つなんてとてもじゃないが言えないね。・・もし人を助けることに憧れているなら警察官や、医者になればいいだろう。」
その時少年の希望が一気に打ち砕かれた。オールマイトはそんな少年を見て何歳か聞いた。少年は答えた。6歳だと。それを聞いてオールマイトは
「今から頑張ればカッコイイお医者さんや、警察官になれる。だから頑張ろう!」
そう言って彼はその場を去っていった。励ましたつもりだったのだろう。しかしその言葉は励ましにならなかった。むしろその少年にとってはどん底に突き落とされた感じだった。
その後、しばらくベンチに座っていると、背後から猫の鳴き声が聞こえた。背後を見ると、そこには後ろの左足を怪我していた。見たところ何かトラックや車にひかれたようだった。少年はその猫を気の毒に思った。そしてその少年はその猫の足を直せないか考えた。そしたら少年は
『思いついちゃった』
のである。
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これがその少年にとって『木原』が目覚めるきっかけとなった。
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そして少年は近くのホームセンターへ向かった。そのホームセンターで少年は車輪とノコギリと動物用に睡眠薬を買って猫の元へ向かった。
少年が公園に着いた時、まだ猫はそこにいた。まず、猫に睡眠薬を飲ませた。そして猫が寝てから10分後に作業を開始した。作業は簡単なものだった。猫の怪我をしている足を鋸で切断、切断してから止血、止血したら切断面に車輪をくっつける。結果その猫は三本の足と車輪がくっつけられ、一応歩けるようにはなった。少年は猫が歩けるようになったことには喜ばなかった。少年は手術がうまくいったことに喜んだ。しかし、お盆が終わって3日後、その猫は死骸で見つかった。死亡理由は不明だが、少年は車輪をつけた足から血が流れていたことから、傷口から何か病原菌が体内に侵入し、死亡したと考えた。少年はこのことに反省をして次やるときはせめて1年は生きれるようにしたいと考えた。
なお、その死骸を見ている人たちの大半は悲しんだり、何とも言えない顔をしていたが、幼馴染や、その頃その幼馴染みと一緒にいた少年の弟は少年がメモを取りながら笑っていたと言う。
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それから徐々にその少年が『木原』になっていった。
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・・・2年後の10月・・・
少年は小学二年生になった。相変わらず学校では虐められていた。学校の先生は自分を“無個性”だからしょうがないという理由で注意せず、むしろ授業中彼をネタにしていた。そして家では虐待を受けていた。しかしその頃、少年は科学を中心に学問に没頭していたから気にしなかった。その日も少年は放課後いつも通り図書館にて勉強していた。その日は植物について勉強していた。その時、少年はあることを
『思いついた』。
今の時期に桜を咲かせることはできるのか。そして少年はたくさんの本を読み込んだ。少年はその薬品の作り方の目処が立ち、学校の理科準備室に入り、勝手に薬品を持ち出して実験を繰り返した。その結果、彼は秋でも桜を咲かせられる薬品を作りあげた。そしてその薬品をホームセンターで売っている植物アンプルを買って、その中身を適当なところにばら撒いて、空になった容器に自分が作り上げた薬品を入れ、それを学校の桜の木にさした。
・・・1週間後・・・
みごとに学校の桜の木は桜を咲かせた。そのことに先生方や保護者も含む学校関係者は驚いた。少年は桜を見て喜ぶ人たちを見て作って良かったと思った。しかし、学校はそれを理科の教師の手柄にした。少年はそのことに怒りを覚えた。しかし彼は“無個性”だから自分が作ったと言っても信じてくれないということをわかっていて、いやになっていた。
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夜、少年が通っている学校に一匹のゴールデンレトリバーと黒髪で白衣を着ている女性がいた。
「まさか秋に桜が咲くとは、驚きですね、先生。」
『そうだな。』
そして先生と呼ばれた犬は葉巻を取り出し、火をつけて吸い始めた。吸いながら先生と呼ばれた犬は考えた。なぜ今の時期に桜が咲くかを。そして一つの結論に至った。
『おそらく、このアンプルが原因だろう。』
「ですよね!良かったー先生と考えが一緒で。」
『・・このアンプルが何でできているか調べよう。ついでに誰が作ったのかも。』
「作った人物には心当たりがありますよ。」
『それは本当かね、唯一君。』
「はい、以前私達がこの街にきた時、後ろの左足が車輪になっていた猫の死骸があったじゃないですか。」
先生と呼ばれる犬は2年前のことを思い出した。
『あったな。』
「その時、周りの人はみんな悲しんだり、見ないようにしてたじゃないですか。その時一人だけ笑いながらノートを取っていた子供がいたんですよ。」
『・・それはただのサイコパスではないのか?』
「はい、私も模写でもしてるのかな?と思って彼に近づいて、ノートを覗いたんですよ。そしたらノートにはその猫についてびっしり書かれていたんですよ。」
『ほう。』
「そしてそのノートを見る限り、車輪をつけたのがその少年だと思ったんですよ。だってその猫に行った手術の反省点などが書かれてたんですよ。それから、この桜が咲く2週間前あたりにこの街に来たときによった図書館でその少年を見かけたんですよ、何か本を読みながらノートを取りながらぶつぶつ言ってたんですよ。よく聞いてみると化学式や、何かの計算式だったんですよ。」
『つまりその少年が作ったと。いくつぐらいだ?』
「この前見たときはおそらく小学二年生ぐらいでしょう。見た目的に。・・そう言えばその子の体のあちこちに怪我やアザがありましたよ。」
先生と呼ばれる犬は考えた。そんなこと、小学二年生に可能なのか?普通の少年だったら無理だろう。しかし彼らは『木原』だ。『木原』なら年齢問わず、化学を愛し、愛される。もしその少年も『木原』なら、これをおこすのも可能だろう。
『一度その少年に接触してみるのもイイかもしれんな。その少年の名前は?』
「確か・・・ーーーー君・・だったと思います。おそらくその少年は毎日図書館に通ってるかもしれないので明日接触するのがイイと思います。」
『それでイイ。もし、その少年が『木原』ならば・・・私はその少年を『木原』に歓迎する。』
「もしかしたら私が先生と呼ばれる日がくるかもですね。」
一人と一匹はそう話しながら学校を後にした。
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少年はその日も図書館にいた。しかしいつものように本に集中できなかった。理由は簡単、自分の手柄を他人に取られたからだ。その少年はそのことに怒りを覚え、事実を公表できないことへの苛立ちがあった。そして少年は何か仕返しみたいなことをしてやりたい、そんなことを考えていた。しかしそれはできないだろう。なぜなら、桜を咲かせた後、理科室で実験を行おうとしたら先生方に見つかり、授業以外の立ち入りを禁止されたのである。そのせいで新しいものを作れないのである。そのことに苛立っていたから本に集中できなかったのである。
そんな時
「ーーーー君ですよね?」
自分の名前が背後から聞こえた。振り返るとそこには白衣を着た黒髪の女性が立っていた。普段なら人を無視する少年だが、その時少年は直感的に
(この女性は自分と同類だ。)
そう思った。だから彼は素直に「はい」と答えた。そう答えた後その女性は
「あなたの学校に咲いてる桜、あれをやったのもあなたですよね。」
そう言われて少年は初めて驚く。まさかそこまでわかってるとは。しかし、少年は自分の功績を認められたような気持ちになり、素直に「はい」と答えると女性は続けた。
「2年前の猫の足、あれをやったのもあなたですよね。」
その時少年の心臓が大きく跳ね上がった。そのこともバレていることにさっき以上に驚く。少年はゆっくり頷いた。そしたらその女性は微笑んだ。微笑んだ次の瞬間、
「所々足りてませんが、やはりあなたは先生の言うとおり、『木原』ですね。」
『木原』と言うワードを聞いて少年は戸惑う。そして思った。『木原』は何か。少年はそれを女性に聞いた。しかし、女性は
「ここで話すと周りに迷惑がかかるので外に行きましょう。」
・・・・・・
そう言って少年は図書館を出て、公園に向かった。公園に着いた時、ベンチの上にいる一匹の犬以外、誰もいなかった。そして女性が犬の座っているベンチの隣に座るように促す。そしてベンチに座ったら、
『始めまして、ーー君だね?』
隣に座る犬が聞いてきた。少年は犬が喋ったことに最初は驚いたが、すぐに納得したかのような表情になる。
『あまり驚かないのかね?』
犬が聞いてきた。少年は答えた。喋れるのはあなたの“個性”の影響、もしくは、何か外側から何か取り付けたのか?そう言った。
『ほう、答えは後者だ。私は犬に演算回路を外付けされ、『木原』を名乗っている。』
そして少年はその犬に聞いた。『木原』はなにか。
『『木原』とは、科学の発展には避けられない存在で、[純粋な科学の一分野を悪用しようと思う時に、その一分野に現れる実行者]・・要するに、[科学の悪用]という概念が具現化したような存在だ。理解できたか?』
少年は理解できたような、できてないような感じだった。少年は犬にもうちょっと簡単な説明を求めた。
『要するに、『木原』は『マッドサイエンティスト』のことだ。』
それを聞いて少年は完全に『木原』について理解できた。そこで少年に一つ疑問ができた。なぜ『木原』という呼び方なのか。その疑問は女性の方が答えた。
「今現在、『ソレ』は血族で縛られていて、全員が木原と名乗っているからですよ。ちなみに、ほとんどの『木原』は巨大移動人口都市[I.アイランド」に集結しています。理由は世界の先端技術はその島に集中してるようなもんですからね。だからほとんどの『木原』はそこに集結しています。」
少年は納得した。ではあなた達もわざわざ桜を見にくるためだけに日本に来たのか聞いた。
『いや、普通に故郷に帰ってきたかったからだ。つまり、桜が咲いてるのを見たのも、君を探すことになったのも全て偶然だ。』
それを聞いた時少年はこの偶然を起こした神に感謝した。そして少年は一人と一匹に聞いた。あなた達の名前は何か。そしたら
『私の名前は木原脳幹だ。』
犬はそう答えた。そして
「私の名前は木原唯一です。」
女性はそう名乗った。そこで少年は気づいた。二人の名前は既存の概念の用語ということに。
『イイところに気がついたなーー君。そう、我々木原のほとんどの名前は既存の概念の用語だ。例えば、『病理』や『加群』そして『数多』もいる。』
それを聞いた時、少年は面白いと思った、が、少年は一番聞きたかった質問を思い出した。なぜ自分を呼んだのか。
「そう言えばそうでした!危ない危ない、もう少しで忘れるところでした。」
どうやら彼女らも忘れかけていたみたいだ。
『済まないが単刀直入に言わせてもらう。
ーー君、我々のもとに来ないか?ついてきたらもっといろいろなことの研究ができるぞ。』
少年にとっては願っても無かったことだった。しかし、少年は脳幹に質問した。自分は“無個性”だがそれでイイのか?と。
『それをわかった上で聞いているんだ。』
脳幹はそう答えた。そのことに少年は涙を流した。いくら気にしなかったとは言え、自分を必要としている人がいなくて、そのことが悔しく感じたりもした。しかし彼らは“無個性”でも平気と言っている。そのことに少年は喜んだ。しかし少年は「はい」と答える前にやりたいことがあると言った。
『それは何かね?』
脳幹は少年に聞いた。そして少年は[馬鹿にしてきた奴らに仕返しみたいなことをしたいから]と答えた。
「でも学校の理科室は使えないんでしょう。」
唯一にそれを言われて思い出した。仕返しみたいなことをできないと思い出すと少年は若干絶望した。そしたら脳幹は言った。
『だったら日本にある私の研究所の一室を貸そう。しかし期限は2週間。2週間経ったら我々は[I.アイランド]へ戻る。』
脳幹が言った研究所は自分の町にあった。そして少年は研究所を脳幹に案内してもらい、自分が借りる研究室に入り、ある薬品を作り始めた。
・・・1週間後・・・
少年は作ってた薬品が出来上がった。ちなみにこの1週間毎日、
[朝早く家から出て研究所に行き、薬品の開発を進めてからそこで先生と呼び始めた脳幹と唯一と一緒に朝食をとり、その後遅刻ギリギリに学校に着き、学校では頭が薬品についていっぱいで、クラスメイトが言うには、たまに声に漏らしていたらしい。そして放課後、すぐに教室を出て研究所に向かい開発を進め、6:20ぐらいに唯一先生が作った夕飯と食べ、7:00ぐらいに家に帰る。]
の繰り返しだった。ちなみに二人を先生と呼び始めた頃、脳幹はあまり反応を示さなかったが、唯一は狂喜したらしい。そしてそれを宥めるのがかなり大変だったと脳幹はいう。
そして少年は作り終えた薬品をアンプルの容器に入れ、満開の桜の木に刺した。
・・・またまた1週間後・・・
少年が作った薬品が入った容器が刺さっている桜の木は腐っていた。枯れてたのではなく腐っていた。それを見た先生方や、生徒、保護者や学校関係者はショックを受けたらしい。そして桜の木は撤去することになり、新しく植える木はどうするのか。そもそも腐ったのは誰の責任だ、で揉めたらしい。
そして少年は思い残すことはもうなく、脳幹と唯一の元へ行った。そして少年は二人と合流して空港へ向かった。空港について脳幹は少年に聞いた
『本当にこれでイイのかね?』と
少年はこれでイイと答えた。そして木原脳幹は言った。
『改めて、「緑谷出久」もとい「木原面積」。我々『木原』は君を歓迎する。』
そして3人の乗る飛行機は日本を後にした。
・・・2週間後・・・
緑谷出久がいなくなってからまず最初に心配したのは彼の家族だった。いくら自分たちがいらないと言っていた子でも家族だ。緑谷家は出久が日本を出たその日のうちに警察に報告した。いなくなって初めて息子が大切だったことに気付かされた。
幼馴染みである爆豪勝己は出久や、残された家族を心配した。1日のほとんどを放心状態ですごす母、いなくなった息子が心配で仕事にあまり集中できない父、そして兄をいじめていた事実に後悔している弟。そんな一家を心配し、早くいずくが見つかることを願っている。
そしてテレビで出久が行方不明として取り上げられているニュースを見たオールマイト。彼は出久が行方不明になったのは自分のせいじゃないかと考えていた。警察官の友人は考え過ぎだと言うが、2年前にあったとき、励ましのつもりだ言った言葉を聞いて絶望したような顔を何度も何度も思い出す。あのとき、自分があんなことを言わなければ、ヒーローになれるって言っとけば、今になって行方不明にならなかったかもしれない。そんなことを考えている。
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しかし、『木原』となった彼はそんなことに興味がなく、彼は『木原』として色々なものを発明したりした。その際、大勢の人間が「木原面積」が行った実験の犠牲になった。しかし「木原面積」はそんな犠牲者達のことはどうでもイイと思っていた。なぜなら
彼はもう立派な『木原』だからだ。
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もし好評だったら続きを書こうと思います。