かなでの碁   作:ヴィヴィオ

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第15話

 

 

 進藤ヒカル

 

 

 かなでと婚約する事が決まった。その後、かなでと風呂に入った。両親には驚かれたが、何時もの事であり、かなでが俺と一緒がいいという事で押し通した。それから、部屋で囲碁の勉強をして、一局打った後は一緒のベッドで眠る為に布団に潜り込んだんだが、かなでは何時もより俺に匂いをつけるみたいに身体を擦りつけてくる。声を掛けると嬉しそうにはにかんだ笑顔を見せてくれる。そんなかなでと一緒に眠った。

 

 

 朝起きてから朝食を食べて出かける。

 

「何処に行くの?」

「少し買い物にな。もうすぐ大会もあるし。あ、プロ試験の申込もそろそろだな」

「それは楽しみですね。前はヒカルの後ろで見ているだけでしたから」

「そうだな」

 

 佐為としての言葉が出て来ている。

 

「よーし、申し込みしてさっさとプロに来いよ」

「もちろんです!」

 

 楽しい会話をしながら電車に乗り、車内で碁を打ちつつ時間を潰す。到着したら銀行で大金を降ろしてから、店に向かう。

 

「ヒカル、ここは?」

「ああ、ここで買うものがある」

「でも……」

「いいから」

 

 店に入って店員を呼んで、かなでに似合う物を選んでもらう。俺にこういったセンスはないからな。

 

「では、こちらの商品などはいかがでしょうか?」

 

 銀製の天使の羽が描かれた指輪だった。

 

「じゃあ、これを下さい」

「いいの?」

「婚約指輪だ。気にするな」

「でも、高いよ?」

「大丈夫、大丈夫」

 

 二つで30万と高いが、出せない事はない。ぶっちゃけ、我が家の光熱費とか塔矢先生が出してくれてるし。まあ、あの人達も入り浸っていて、ほぼ別宅みたいになってるが。どちらにしろ、そのせいか貯金は結構ある。

 

「ありがとう、大事にするね」

「ああ」

 

 嬉しそうに笑うかなでに買った指輪をつけてやる。それから、服などをみたりして、かなでに似合いそうな服を買って帰った。家で買ってきた服に着替えたかなではとても似合っていて、嬉しそうに笑いながら指輪をみつめたりしている。当然、他の皆に色々と問い詰められて白状する事になった。

 

「やっとくっついたか」

「これで安泰ね」

「うむ」

「よし、今日は祝いだ。食べに行きましょう」

「いいね」

「おめでとう、進藤」

「ああ……」

「しかし、進藤がロリコンだったとは……」

「違うからなっ!?」

「ふふ、他の人達にも教えないとね」

「待ちやがれっ!」

 

 悪乗りしやがった塔矢はマジで電話しだしやがったので慌てて止める。それから皆で回らない寿司を食べに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時が過ぎ、順調に予選を終えて大会の本戦へと進んだかなで。だが、そんなかなでの新たな試練。プロ試験が始まった。

 

「六目半でそちらの勝ちですね」

 

 第一戦目。六目半で勝利。

 

「参りました」

 

 第二戦目。相手の投了で勝利。

 

「と、投了です」

 

 第三戦目。最後まで行かずに勝利。それからも順調に予選を圧倒的な強さで勝ち進んでいく。しかし、それを他の参加者にさとらせないようにしている。かなでがやっているのは指導碁で勝利するといった事なのだ。

 

「ヒカル~全勝で予選突破だよ」

「お~よくやったな。よしよし」

 

 よたよたと、危なそうな足取りでやって来て抱き着いてくるかなでを撫でる。この頃、ようやく多少は歩けるようになってきた。もっとも、まだまだリハビリは必要だ。

 

「ん~~♪」

「ねえねえ、本戦大丈夫、かな?」

「大丈夫だって」

「でも、塔矢さんみたいな人が出てたり……」

「んな馬鹿な……」

 

 そんな話をしながら進んでいると、棋院の人が話していた。

 

「聞いたか?」

「塔矢名人がプロに復帰するってよ」

「まじか?」

「それが、プロ試験をもう一度受けようとしたらしいんだ。自分は辞めたからもう一度受けるのが筋だって」

「そんな事できねえだろ」「当然だ、だから、試験じゃなくてそのまま復帰だってよ。後、スケジュールは塔矢名人が好きに決めるらしい」

「そうだよな。また倒れられたら困るしな」

 

 そんな会話が聞こえてきた。

 

「残念です。真剣勝負の場で戦えると思ったのに」

「あははは、しゃれになってねえよ。あの人、まじで何考えてんの?」

「でも、プロに復帰なら……デビュー戦は指定できますね!」

「おい、待て。まさか、互先でやる気か?」

「もちろん! あの時の雪辱、晴らしてみせますよ、ヒカル!」

「あ~もう、二人で好きにやってくれ。俺は知らん」

 

 俺の代わりに佐為が打ったデビュー戦。今度は佐為自身が最初から最後まで自分であそこに立って打つのだ。とても楽しみではある。

 

「あ、ひかる。扇子を貸してください」

「いいぞ」

 

 次の日、院生相手にしても圧倒的な強さは変わらず連戦連勝を重ねていく。しかし、指導碁ではなく本気の戦いを見せている。原因はここの所、毎日繰り返される家での塔矢先生との勝負だ。まるで次の戦いの調整のように互いが互いに打ち合っているのだ。それは勉強になるが、別次元の戦いといえた。俺達が拳銃を持っているとしたら、あの二人は戦闘機に乗ってバルカンを放っているようなものだ。頑張って対空砲を手に入れないと一方的に虐殺されてしまう。そんな感じだ。

 

 

 そして、プロ試験が終わり、最年少女流棋士が誕生した。それから少しして、塔矢先生とかなでの一騎打ちが行われる。

 

「あの、五子では……」

「不要だ。そうだろう?」

「ええ、もちろんです。五子もあれば圧勝してしまいます」

「そうだな」

「あ、あのっ、だから……」

「では、始めようか」

「ええ」

「だから話を聞いてぇ~~!」

 

 悔しい事ではあるが、ある種の二人の世界に入ってしまったかなでと塔矢先生を止めるには俺じゃないと無理だろう。だが、あいにくと俺は止める事が出来ないので記帳をしっかりと行っておく。こうして、前代未聞の戦いが始まった。

 

 

 

「ぶいっ!」

「くっ、まさかあそこで進藤君の手を使うとは……」

「愛の力です」

 

 結果、互先で元名人が負けるというとんでもない事態が起きた。当然、そうなると記者の連中も逃すはずもない。

 

「おい、進藤! お前がいながら何をやらかしているんだ!」

「すいません、緒方さん。俺には止められません」

「まあ、いい。それよりも逃げるぞ」

「ええ」

「うん」

 

 緒方さんの車に乗って、俺達は帰る。塔矢先生はなんだか修行をしてくるといってアメリカの方へ行ってしまったそうだ。本当に自由な人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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