貴方は、“退屈”だと思いませんか。
私は思っています。
では、どうぞご覧下さい。
これは私達が創り上げた、“退屈”しのぎの物語。
この世界は我々が住む世界と変わっている。
それは、基本となる世界が現代の地球とほぼ同一であるが、様々な神話体系が実際に存在しているのだ。超常の神々やドラゴンのような異形の存在は世界の裏側で暗躍し、一般人はそれらが存在していることを知らない。また、一部の種族は人間界の環境破壊が原因で異界へと住処を移していることも。
特に有名なのが【三大勢力】いわゆる聖書(キリスト教)の神話体系だ。主に天界と冥界が主な支配領域で、太古の昔から、人間と契約して魂を奪う【悪魔】、人間を唆し悪魔を滅ぼそうとする【堕天使】、悪魔と堕天使を滅ぼそうとする【天使】の3すくみの関係であろう。
しかし現代では三勢力間でかつて生じた大戦争によって主神であった【聖書の神】が死亡し、初代四大魔王も全滅したことで聖と魔のバランスが大きく崩れてしまっていた。
例を挙げるとすると、『天界側』では現在熾天使のミカエルが残された【システム】を管理しているが、【神の不在】の影響で信徒への正式な加護を与えられなくなり、切り捨てられる信徒の数が格段に増え、勢力としての立場は以前に比べて大幅にダウン。
大戦以降、天使は数を増やすことが困難になり、堕天使もまた同じように派手な活動を控えていた。
それに対して悪魔は、数百年以上前に勢力内で停戦派と継戦派の内乱が勃発した影響により、さらにその数を大きく減少した。これは他の勢力と同じことである。しかし現在では、新たに選ばれた魔王が創り出したシステムを採用することで、着々と数を増やし始めていた。
現魔王の1人、アジュカ・ベルゼブブによって創り出されたシステムとは【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】と呼ばれるチェスの駒に似た物で、別種族の物の魂と接続する事により、その種族の者を悪魔へと変えてしまうものだ。
主にこのシステムを利用しているのは、魔王や元老院の老人らを始めとした、かつての戦争で大きく人数を減らした上級悪魔達。
これにより、軍団を持つ代わりにチェスと同じく『駒』として少数の下僕悪魔に強大な力を分け与える事が可能となり、悪魔以外の種族に使用した場合は対象が【転生悪魔】となる。
転生悪魔は、それぞれ「女王×1」「僧侶×2」「戦車×2」「騎士×2」「兵士×8」の属性が与えられ、各駒の属性に合わせた能力を持つ。
通常は一人につき駒ひとつだが、潜在能力値の高い者は複数の駒を消費する事もあり、また同じ駒なら「王」同士で折り合いがつけばトレードすることが可能。「王」の駒は存在せず、眷属の主である上級悪魔自身が魔王領などに設置されている「悪魔の駒」と同じ素材で作られた石碑で登録することにより王になるものとされているが、実は「王」の駒も製造可能であり、その方法は封印されている。
有名な上級悪魔の下僕になればレーティングゲームに参加し自らが上級悪魔になれる可能生が開ける上、主から直臣として領地の一部が譲渡されるため、下級、中級悪魔にとって下僕悪魔となることは憧れとなるのであった。
しかし、どんなに時が進もうが進化しようが、必ずと言っていいほど喜びや栄えには、悲しみと衰えが存在するものである。
悪魔の駒の存在により、無理矢理眷属にする輩も多く、これに反抗した者が『犯罪や主を起こした悪魔』の括りである【はぐれ悪魔】の扱いを受け、悲しい道を辿らねばならぬ者もいる。
また他種族を別の種族に変えるため、それを良しとしない一族の者を眷属にすれば他の者から家族が迫害を受けるかもしれない。
こういう事もあり、悪魔の駒は確かに悪魔たちにとっては良い物なのかもしれないが、懸念するべき問題も存在しているのであった。
しかしそんな世界とは裏腹に【ミラーワールド】と呼ばれる世界は静かだった。
その世界は、鏡の中に存在し、左右反転されている以外は現実世界とそっくりであるが、ミラーモンスター以外の生物は存在しない世界。
そしてミラーワールドには外の人間など現実世界の物質は長時間存在することが出来ず、侵入すると拒否反応を起こし、一定時間を過ぎると粒子化が始まり、やがて消滅してしまうと共に、その逆も同じようにミラーワールドに生息する者が現実世界に長時間存在することもできないのだ。その為なのか、表の世界ではこの世界を知る者はいなかった。
この世界に存在する生命体は【ミラーモンスター】と言い、その名の通りミラーワールドに生息するモンスターであり、人間の生命、あるいは他のモンスターが死亡時に発生する生命エネルギーを摂取して生きている。現実世界では活動時間に制限があるため、基本的に人間を捕食する瞬間しか出現せず、本能のままに行動し、一度標的を定めた人間は捕食するまで狙い続ける性質を持つ。
またミラーモンスターの姿は生物そのものの外見を持つ者もいれば、人型、またはそれに近い姿の者、中には近代的な武装を内蔵している者がいるなど、他の生物とはかけ離れた存在でもある。
そしてそのミラーモンスターの中でも、特に強大な力を持ったものもいる。例を挙げるとすれば不死鳥型モンスターの【ゴルトフェニックス】。その名の通り不死の存在で、その能力と共にミラーワールドでは最強の存在である。
次に名を挙げるとすれば…………おっと噂をすれば。
そう言えばこの話はしていなかった。ミラーモンスターの中でもたまに上位種と扱われるものがいる。ゴルトフェニックスもその一体であるが、上位種は人間態と呼ばれる能力を持っているのだ。
そのうちの一体が、ゴルトフェニックスを殿堂入り扱いとするのであれば、奴は最強である最悪な存在となるだろうに。
その者の名は【暗黒龍ドラグブラッカー】鮮血のように紅く、そしてその名の通り漆黒の肉体を持つ東洋龍である。
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場所は、紫色の空が広がる冥界。
人間の願いを叶え、その魂を奪う存在【悪魔】と欲望に目覚めた天使が堕落することで誕生する種族【堕天使】が蔓延るこの世界にて、二つの種族が冥界の所有権を巡っての戦争が起こっていた。
しかしその戦争は遂にこことは違う世界である【天界】に住み、背中に鳥のような純白の翼を生やし、頭上に天使の輪を浮かべ、光の力を操ることができる種族【天使】も加わり、未だに語り継がれる【大戦】となった。
だがその戦争は長い年月が経つなかも、終わる様子を見せなかったが、戦況は一変。赤と白の化け物が戦場に現れたことに、一時的の停戦協定を結ばざるえないこととなる。
その化け物とは威風堂々という言葉がそのまま形となったと思わせる巨躯に何もかもをかみ砕いてしまいそうな凶悪な牙、巨木ですら紙屑のように吹き飛ばしてしまうであろう尻尾、その巨躯を軽々と宙に舞いあがらせる勇壮な翼──────────そう、突如この戦場に現れたのはドラゴン。
そして今現在の戦況は一時的の停戦協定を結んだ悪魔・天使・堕天使の三種族が劣勢。遂には悪魔を率いていた四人の魔王が戦死すると言うことが起き、三大勢力の兵士らは疲弊し始めていた。
そんな戦場に、日本人特有の黒髪と赤い瞳を持ったラフな格好をした場違いな青年が居た。
「なんだありゃ」
好き勝手暴れる赤白のドラゴンを見て、青年は心の中で呟きながらも声に出す。
すると赤白のうち、赤い龍が叫ぶ。
『何たるザマだ』
『我々二天龍の争いを邪魔するからこうなるのだ』
『神如きが、魔王如きが、俺たちの楽しみの邪魔をしてくれるな!!』
二体の龍は疲弊する三大勢力へとまるで憐れむように言う。するとそれを聞いていた青年は…………
「なーんか、気に食わねぇなァ…………まるで自分が最強だと言うような感じで、ほんと気に食わねぇ」
頭を掻きながら、額に青筋を浮かべながら、そして三大勢力を嘲るように笑う赤白のドラゴンを見ながら彼は言う。
「…………潰すか」
ボソリ、そう呟くと同時に、青年は姿を変えた。
────赤い瞳を持つ漆黒の東洋龍へと。
『ガァアアアアアアアァァァァァァ!!!』
□□□□□□
“???サイド”
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
これ以上は、駄目みたい…………。
皆も疲れ切ってるし、魔王様も…………うぅ。
「…………ううん、弱気になったら駄目よ、私」
私たちの王である四人の魔王様は二天龍に殺されちゃったけど、その意志を継がないと…………!
「とりあえずサーゼクスちゃんは何処n『ガァアアアアアアアァァァァァァ!!!』…………え?」
なに、この魔力量!?
まるで二天龍がもう一体いるようn────!?
あれは…………黒色の、東洋龍?
とてつもない魔力量を感じ、空を見ると凄いスピードで飛ぶ黒の東洋龍がいた。
そして私たちを睨みつけていた二天龍へと向かってては…………赤龍帝に衝突した。
えぇ!?衝突した!?
『な、何者だ貴様!?』
『我々を二天龍と知っての行いか!!』
衝突した赤龍帝は困惑した、二天龍のその一方である白龍皇は突如として衝突してきた黒の東洋龍へと怒っていた。
そ、そりゃあそうだろうよ…………突如現れたかと思ったらとてつもない魔力量を持ってて、さらに言えば問答無用に突っ込んできたんだもん。
『…………黙れ』
ッ!?
な、なに?今の、プレッシャーは…………?
『蜥蜴の癖して、最強たるドラグブラッカーを前にして、まだそのような無駄口を叩くか。この紅白蜥蜴が』
『『ッ、貴様ァあぁあああああああぁああああああああああああああああああ!?!』』
『俺達を前にしてまだそのような口を叩くか!』
『万死に値するぞ!黒いの!!』
東洋龍と睨み合う二天龍。
あ、あれ…………?
なんか嫌な予感gきゃあああああああ!?!
『『『ッ!』』』
突如として三体の龍は各々の体色と同じ色のオーラをぶつけ合い、衝突した反動の際に発生した衝撃波は辺り一帯へと響き渡る。
そして当然近くにいた私たちは────
「ふ、吹き飛ばされ────!?」
衝撃波に吹き飛ばされ、それに耐えていた。
というかあの東洋龍どうして二天龍のオーラに勝ってるの!?それに二天龍はその呼び名の通り二体で放ってるって言うのに、たった一体で拮抗…………いや、押してる!?
『ぬぅ…………』『押されているのか…………二天龍である、我々がだと!?』
『所詮貴様らは井の中の蛙…………この暗黒龍ドラグブラッカーたる俺に勝てると思うなぁああああ!!』
暗黒龍、ドラグブラッカー…………それが、あの黒い東洋龍の名前…………。
…………怖い、恐ろしい。三大勢力が集まった私たちでさえ、あの二天龍に勝てなかったというのに…………あの龍はたった一体で勝つなんて…………!
『その身をもって後悔するがいい!この俺に哀れにもそのような口を叩いた事をなァ!』
そう叫ぶと暗黒龍は自身の剣のごとく鋭い尾の先で赤龍帝の右足を、白龍皇の翼を切り裂いた。
『『うぎゃぁぁぁぁああああ!?!』』
『お、俺の、右足がァあああ!?』
『わ、私の翼がァあああ!?』
赤龍帝は足を切られ、その上に空を飛んでいた白龍皇はそのまま墜落。重ね合ってはあまりの痛みに叫び合い、その様子を暗黒龍は嘲笑う。
『フハハハハハッ!その痛みを忘れてはならぬからな?この俺に生意気な口を叩いたのだからなぁ!フハハハハハッ!!』
…………私は、恐ろしかった。
二天龍が悲鳴をあげる中、その様子を嘲笑う暗黒龍の様子を目にした私は、未だに忘れられない。
いやこの気持ちは私たち…………新四大魔王である私達は忘れられなかった。
あの後長らく笑った暗黒龍は飽きたのか欠伸をし、そのまま何処かへと飛び去って行った。
そしてその暗黒龍を追いかけようと二天龍が隙を見せた所を聖書の神によって、赤龍帝と白龍皇は神器に封印された。しかし聖書の神は力を使い果たし、そのまま息絶えてしまった。
この大戦は現代においても語り継がれ、そして後々知ったのだが暗黒龍は各地に現れては好き勝手暴れ、その名は今になっても忘れられる事はなかった。
勇気あるものはこの暗黒龍を討ち取ろうと動くが見つけられる者はおらず、中には帰ってくる者もいなかった。
暗黒龍ドラグブラッカー。
その名は、各神話勢にも恐れられていた。