僕は今、困っています。
えぇ、そうなんです、深い悩み事があって。
それは思い返せば、僕が幼い頃…
僕の生まれは、水が透き通っていて、とても広い海の中です。
驚かれました?
びっくりするのも当然のはず、
だって今、あなたの前の僕はただの人間に見えますよね?(笑)
僕は元々人魚です。
今の姿は、魔法薬のお陰でこうしていられるんですよ。
話を戻しますね。
僕が今、悩んでいる元凶さんと出会ったのも海の中でした。
その時の僕は、まだミドルスクールに通っていた頃だったでしょうか、
彼とはミドルスクールから一緒のクラスだったはずなのですが…
僕は彼のことを全然覚えていませんでした。(笑)
待ってください待ってください、僕の記憶力の問題ではないんですよ。
元凶さん、人と話すのが苦手だったらしく
友達がいなかったそうです。
まぁ、彼らしいと言えばらしいですね。
とにかく、彼との出会いは面白かったんですよ。
「ねぇ、ジェイドぉ。蛸壺の中に誰かいるよぉ。」
「おや、本当ですね。」
「君たち、誰だよ。僕のことは放っておいてくれ。」
「なに、こいつー。うっわ、蛸壺の中魔法陣だらけじゃーん。」
「これはすごい…。あなた、ずっとこれを書いていたのですか?」
「どうでもいいだろ。あっち行け!」
「ジェイドぉ、こいつ面白そうだね。」
「えぇ、フロイド。」
これが、僕達の出会いです。
うふふ、面白いでしょう?(笑)
彼は幼少期に虐められたことが原因で、蛸壺の中に閉じこもっていました。
当時の彼は、足が遅く物覚えも悪い、
いじめっ子達の格好の的でしょう。
そこで、いくつもの魔法陣を書いて勉強していたのです。
頭が良くなれば虐められずにすむでしょうから。
たくさんの魔法陣を見た時はとても驚きました。
いじめっ子を見返すために、あそこまでするとは…。
僕だったら到底出来ません。
そこが彼の1番すごい所であり、僕が尊敬している所です。
そして、彼は努力をし続けました。
「ジェイド。今月のモストロ・ラウンジの売上についての資料を、明日までに作っておいてもらえますか?」
噂をすれば、ですね。(笑)
彼は手で紙をまとめながら、私の目を見ることなく言いました。
モストロ・ラウンジとは、彼が経営しているBARのことです。
「承知致しました。」
私は彼の目を見て、笑顔で返します。
今日も忙しくなりそうですね。
あぁ、すみません。
悩み事の話をしていたのに、言い忘れていました。
僕の悩み事は、それはそれは難しい
恋の悩みです。