本当は日が変わると同時に投稿したかったんですけど
siki901さん評価ありがとうございます
バレンタイン
その日が来る1週間ほど前テンペストはざわざわしていた。リムルがいい出したのだ。もうすぐバレンタインがある.と
しかし魔物たちにとってはバレンタインというものが何なのかわかってはいない。そんなことも露知らずリムルは次々に内容を話していく。
内容は至って簡単に短く話したつもりと本人は言っていたが何か恨みでもあるのかという感じの顔をしていた。
そんなわけで今僕はリムルの家に来ている。
「で、なんであんな顔だったのさ」
「なにがだよ」
「バレンタインになんか恨みでもあるの?」
「うっ!バレンタインなんてリア充のイベントなんだよ」
「おいおいリア充なんて言ってもこっちの世界の奴らほとんどわからないだろ。それにリア充ってベニマル、ソウエイとかだろ」
「そうなんだけどなぁ」
リムルは苦い顔をする。案外他の奴らももらえそうだなと思っているのだ。ガビルもおそらくソーカにもらうしゲルドももらうだろうと思って大きなため息をつくリムル。
自分にもくることなんて予想だにしていないほどのため息だったのだ。
そんな2人をよそに街ではバレンタイン一色に染まっていく。
さーてとバレンタインか。何作ろっかな?チョコそれともクッキー?はたまたケーキか何にしよう。
自宅のキッチンの前に立ち思考を回す。しかし目の前にきた悪魔に一瞬で現実に戻されたのだった。
「うわぁ!なんでいるのよ」
「実は聞きたいことがあってだな」
「なに?」
「じ、実はチョコの作り方を教えて欲しいのだ」
「なんで私なの?」
「マヤは我が君と同じ世界出身だからな。詳しいと思ったのだ」
「へーそれで」
「だ、だから教えてもらいたく」
カレラは頬を赤くしてマヤに頼み込む。それを見たマヤはカレラが可愛く見えたのだ。そして仕方なく引き受ける。
普段は自由気ままに核撃魔法をぶっ放して自由にしているイメージが崩れた瞬間だったのだった。
ウフフ、さて私はどうしましょうかと思って歩き出す。マヤさんはカレラを見るようだしわたくしはっと
「シュナどのお買い物ですか?」
「テスタロッサ様。ええ、今回リムル様が仰ったバレンタインというイベントをやってみようと思いまして」
「よろしければわたくしにも教えていただけませんか?」
「テスタロッサ様にですか?」
「ええ」
シュナは不思議に思う。テスタロッサ様をはじめとするシスタ様が連れてきた悪魔三人はなんでもできそうなイメージがあるのだ。
「わかりました。何を教えたら良いのでしょうか?」
「シスタ様が喜ぶお菓子を作ろうと思いまして」
「シスタ様はテスタロッサ様が作られたものだとなんでも喜びそうですが」
「ええ、シスタ様は喜んでくださると思いますわ。ですが無理してまで褒めて欲しくないのです」
「わかりました。美味しいものを作って喜ばせましょう。精一杯お手伝いします」
こうしてテスタロッサはシュナに教えてもらうことになって2人は材料を買って作る練習から入ったのだった。
その頃ウルティマは誰よりも早く作り始めていた。
「ヴェイロン!これできないんだけど」
「お嬢様それはわかりますがその度に燃えカスにしていてはいつまでもできませんぞ」
「なに?」
ヴェイロンが何気なく放った一言はウルティマの逆鱗に触れた。三人の悪魔の中でもっとも残酷なのがウルティマだろう。
そのウルティマの逆鱗に触れたのだ。ここで死ぬかもしれないと思った。しかしそれは状況が許さなかった。
「よ!なに魔素が乱れてるんだウルティマ?ウルティマたちが暴れるとこの街が壊れるんだけどな」
「シ、シスタ様!!なんでもないよ。ちょっとだけ気が立ってただけ」
「そっか。なるべく抑えてくれよ。しょうがない時もあるからな」
「うん、ごめんなさい。迷惑かけて」
「そんなことないよ。ウルティマたちには助けられてるからな」
「ありがとシスタ様。待っててね」
「??なんのことだ?」
シスタは不思議に思いつつ転移していく。ヴェイロンは心底安心する。シスタがくると主人であるウルティマは猫をかぶる。そしてそれはなかなかに取れなくなっていて安心の一言に尽きるのだ。
「では始めますかな」
「うん!これはどういうこと?」
こうしてウルティマとヴェイロンのペアでチョコ作りが始まったのだった。
バレンタイン当日になると街が騒ぎ出す。それぞれにチョコを渡すもの逆にもらうもの。
その中にはいろいろな感情を持つものばかりだ。今までの感謝を伝えて渡すもの。友達として渡すもの。そして自身の気持ちを伝えた上で渡すものがいる。
そしてもそんなことが行われている中シスタはというと朝から彼らに呼び出されていた。
朝部屋から出ていくと手紙の中に悪魔たちからのお願いが書いてあったのだ。
朝はカレラ、昼はウルティマ、夜はテスタロッサとの予定が入っている。まぁもっとも俺の予定なんて全く関係ないようなギチギチに詰め込んだような感じだから倒れることのない体で良かったと思ったのは別の事実。
「我が君!それではいくぞ」
「お、おう」
カレラがいつの間にか目の前にきていて驚いた。それに今日のカレラはいつもと格好が違う。ここ最近敵が攻め込んでくることもなかったせいだろう。それにバレンタインということでこのあと誰かに渡しに行くのだろう。
いつもの軍服ではなくジーパンに白いTシャツ、その上にカッターシャツを着ている。一見簡単な服装なのだがカレラほど整っている女がやるとこれがかなり目に毒なのだ。
「それで今日はどうしたんだ?ずいぶん気合が入ってるみたいだけど」
「ん、んん!なんでもないぞ。このくらい当たり前だ」
「そっか。よく似合ってると思うよ」
カレラはそれを聞いて顔を真っ赤にして背ける。ただ一言似合っていると言われただけでこんなにも胸が弾むのだ。
こんなことは冥界にいた時はなかった。我が君のそばにいるとこの気持ちが抑えきれなくなる時があるのだ。
もっと役に立ちたい、もっと見てほしいという願望があるのだが押さえつける。
「我が君、デートというのはどうするのだ?」
「デート?なんで急に。まぁそうだな自分たちの好きなところにでも行くんじゃないのか?」
「ならどこに行く?」
「??ん?よく話が見えないけどどこかに行きたいのか?」
「我が君が行きたいところでいい」
「それなら森の奥でゆっくりするか」
そうして2人は並んで歩いていく。周りから見たら恋人に見えるのだが相手がシスタということもあり女の魔物たち、人間たちは気づいていたのだった。
カレラが誘ってシスタが付き合っているのだと。
2人は誰もいそうにない森の奥につく。なにをするのかと思ってシスタは待っていたが意外にもカレラはなにも言ってこない。
木にもたれかかりのんびりしている。顔が整っているためにその行動一つでもかなり破壊力がある。
「我が君はゆっくりしないのか?」
「そうだな。たまにはゆっくりさせてもらおうかな」
カレラの隣に座り腰を下ろす。そうして疲れていたのかだんだんと体が倒していくシスタ。そして当たりそうになったところでなんとか持ち堪えて体を元の位置に戻す。
しかし何回か繰り返しているうちに体を倒されてカレラの膝の上に寝かされる。
「少しゆっくりするといい」
「ああすまない」
「気にするな」
カレラの言葉は普段から自由気ままに生きている人間の言葉ではなく相手を気遣った上での言葉だったのだろう。その言葉を部下にもかけてやればいいのにと思ったが口には出さないシスタなのであった。
そのまま時間は過ぎていき昼になりそうだったので街に帰ることにした。
「我が君これを」
カレラから差し出されたのは綺麗にラッピングされた箱だった。
「これは?」
「チョコなのだ。多分うまくできてると思う」
「食べてみても?」
「ああ」
箱を開けて中を見てみると綺麗とは言い切れないが頑張った証のチョコが入っていた。それを口の中に運ぶ。
すると甘くおいしいちょこの感じが口の中に広がる。
「カレラありがと。すっごいうまいよ」
「!!」
それだけを言うとカレラはなにも言わず間に転移してどこかに行ってしまったのだった。
それにしてもこのチョコかなりうまいと思うんだけどなぁ……
俺も街に転移した。次はウルティマなのだ。
待ち合わせ場所に行くとウルティマはいなかった。なので少しだけ待つことにして近くの椅子に腰を下ろす。
そして少しすると目の前が真っ暗になる。
「だーれだ?」
「ウルティマ。いきなりだな」
「なんだバレてたかー」
そしてウルティマの方を向く。すると紫のドレスをきたウルティマがいて一瞬止まった。
「どぉシスタ様」
「よく似合ってる」
「ありがと!」
何より一番印象的だったのはいつもサイドテールで固めている髪の毛を下ろしていたのだ。
それがやたらと印象につく。そしてウルティマにも先程同様どこにいきたいか聞く
「いろんなところで食べ歩きしたい」
「なるほどね。それじゃあ行こうか」
こうしてウルティマといろんなところを見て食べ歩く。そうして時間だけが過ぎていき最後にいけるところが一軒と言うところでウルティマが突然あそこにいきたいと言い出してその店に入る。
それはこのテンペストでも1、2を争うぐらいうまいケーキ屋さんだったのだ。
「どうもー」
「お、シスタ様じゃねぇか」
「ヨシダさん。どうも」
「それにそっちの嬢ちゃんははじめましてだな」
「うん、よろしくね」
そう言うやりとりがあった後に席に着く。そして俺はショートケーキを。ウルティマはチョコレートケーキを頼む。
来るまでの間に一応聞いておくことにした。
「なんでここを知ってたんだ?」
「有名だもん。みんな知ってるよ」
「そうか」
そうしてウルティマはずっと見てくるので気まずくなって目を逸らす。
そうしている間にケーキが出来上がって持ってきてくれる。
すぐに食べ始めたウルティマ。よほど美味しいのだろうか。口の周りに所々チョコがついている。まぁ手下の悪魔たちからもお嬢様なんて呼ばれるぐらいだからあまり気にしないのだろう。机から体を伸ばしてそれを拭く。
「付いてたの?」
「うん」
ウルティマは恥ずかしかったのだろう。顔を背けて真っ赤にしている。
俺もケーキを食べることにして口に運ぶ。すると確かにうまかったのだ。なんだかんだでこのケーキ屋に来るのは初めてだったから想像以上の味に驚いている。そして食べ終わり店を出る。
「あ、あのシスタ様これ」
「ん?」
渡されたのはラッピングがされた袋だった。開けてみるとカレラはチョコだったがウルティマはクッキーだったのだ。
形は綺麗にできているがなんだか違和感を感じる。
「ウルティマこれ本当に作ったやつか?」
「え!?うん。そうだけど……」
「なら俺はいいけど本当に作ったやつが欲しいかな」
そういい口に入れようときた瞬間にその腕を掴まれた。そして少し恥ずかしそうにもう一つの袋を渡してきた。
「それがボクが作ったやつ。美味しくないけど」
「どれどれ」
口に運んでみると確かに上手くもなくまずくもなくといった感じだがこれにどれだけ頑張ったか感じられたのですごい嬉しく感じた。
気がつくとウルティマの頭に手を置いて撫でていた。
「ありがとう。すっごい嬉しいよ。それにおいしかったよ」
「〜〜〜///」
ウルティマは転移して逃げるようにどこかに行ってしまったので少し早いが次に会う予定のテスタロッサとの待ち合わせ場所に向かう。
そして行ってみるとやはりまだきていない。暇なのでベンチに座って待つことにする。
そして時間になる少し前にテスタロッサがやってきた。
テスタロッサも気合の入った服装でやってきた。白と緑のドレス。肩ははみ出ていてスタイルの良さが際立っている。
「テスタロッサずいぶん気合が入ってるな」
「そうでしょうか?ウフフもちろんですわ」
「よく似合ってるよ」
ここ三人と会ったけど全員が全員気合の入っていていつもと格好が違う。だからこそだろうか三人が三人とも破壊力がすごいのだ。
「それでテスタロッサはどこに行くんだ?」
「ウフフ少し歩きませんか?」
「歩く?」
「ええ。それがいいですわ」
テスタロッサのお願い通り街の中を歩いていく。あくまでもテスタロッサが進んでいく方向についていっているだけであってどこに行くかは全くわからない。
しばらく歩いていくと森の中に入っていく。しかしテスタロッサの足は止まることなく進んでいく。
「ここですわ」
「うわーめっちゃ綺麗だな」
「ウフフここを知ってるのは私だけですから」
「なんで俺に?」
「シスタ様だからですわ」
意味はわからないが近くに何故かあったベンチにテスタロッサが腰をかけたのでその隣に座る。そこは湖に小さな虫が飛んでいる。しかもその虫は光っており湖の周りを飛んでいる幻想的でとても綺麗だ。
「ウフフ綺麗ですわね」
「テスタロッサはなんでここに?」
「今日一日ずいぶんと回ったようなので落ち着ける場所に行こうと思いましたので」
「気にしなくていいのに」
「それにここにはシスタ様と2人で来たかったのですわ」
「そっか」
そこから2人でいろんな話をする。今までのこと。これからのこと。
話をしているうちに時間はだんだんと過ぎていく。そしてそろそろ日が変わると思った時テスタロッサがあるものを取り出す。
「シスタ様、これを受け取ってください」
「これは」
「今日はバレンタインというらしいので」
「ありがと。食べてもいいか?」
「ええ、もちろんですわ」
開けてみると繊細に飾り付けられた細い糸が入っていた。食べてみると口の中で溶けていく。しかし味はアメのような感じがする。
「うまいよ。これはアメかな?」
「ええ、そうですわ」
「ありがと。シュナに教わっただろ。大変だったな」
「いえ、そんなことは」
口では否定してるがかなり大変だったんだろう。シュナは料理のことに関してはかなり厳しい。そのシュナの料理になんとなく似ている気がしたのだ。
「まさかバレるとは思いませんでしたわ。シュナ様から教えていただいた料理ですわ」
「やっぱりか。美味しくできてる。ありがとう」
「ウフフありがたい言葉ですわ」
2人は言葉を交わしてベンチから立ち上がる。そして日は変わりシスタは家に帰ったのだった。
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