【悲報】転生したらツンツン頭で知らない部屋にいたんだけど   作:現実殺し

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(無言の土下座)




 ……皆様、お待たせしてしまい大変申し訳ございませ────んッ!



 久々の投稿なので、これまでとテンション違ってたり、なにかしら違和感があったらごめんなさーーーい!




part2

128:以下、名無しの転生者でお送りします

うおおおおおおおお!

 

129:以下、名無しの転生者でお送りします

いや確かに原作でもここで来たけどさぁ!

 

130:以下、名無しの転生者でお送りします

まさかヴェント(弟)が助けに来るとはこのリハクの(ry

 

131:以下、名無しの転生者でお送りします

やはり姉弟なのかね

 

132:以下、名無しの転生者でお送りします

というかこれ、なんとかなるのか?

 

133:以下、名無しの転生者でお送りします

>>132

さあ?

 

134:以下、名無しの転生者でお送りします

ぶっちゃけ原作のヴェントでどうにもならなかったしなあ。

いやかつての敵が助けに来る展開が熱いのは確かなんだが

 

135:上条当麻(転生)

【ラァッ!】

【のわぁ!?】

 

136:以下、名無しの転生者でお送りします

アドリア海の女王か

 

137:以下、名無しの転生者でお送りします

ここまでは予定調和だな

 

138:以下、名無しの転生者でお送りします

問題はこの先だなぁ

 

139:以下、名無しの転生者でお送りします

しかし、改めて見てもフィアンマってマジチートだわ

 

140:以下、名無しの転生者でお送りします

いや誰か船出現の余波で吹っ飛んだイッチの心配してあげて!?

 

141:以下、名無しの転生者でお送りします

もう今更だよね。ドンマイ

 

142:以下、名無しの転生者でお送りします

……ん?

 

143:以下、名無しの転生者でお送りします

あれ、なんか……

 

144:以下、名無しの転生者でお送りします

思ったより善戦してる……?

 

145:以下、名無しの転生者でお送りします

どういうこと?

 

 

 ───

 

 ──────

 

 ─────────

 

 

 フィアンマの右肩から生える第三の腕と、ヴェントのハンマーが拮抗する。

 拮抗、している。

 おかしい、と上条は思考する。

 事前の説明では、フィアンマの力とまともに相対することなどできるはずがない。

 いくらヴェントが優れた力を持っていようと、奴はそれを笑ってねじ伏せる力を持っている。

 そのはずなのに。

 だが、そのイレギュラーに驚いているのは上条ただ一人だった。

 第三の腕を持つフィアンマも、正面から睨み合うヴェントも、戦いの様子を眺めるレッサーも驚いた様子はない。

 

 

「簡単な話だ」

 

 最初に口を開いたのは、ヴェントだった。

 口元には余裕の笑みが浮かんでおり、逆にフィアンマからは表情の一切が消えている。

 

「第三の腕は強力だが、制御するためには禁書目録の知識がいる。そのために遠隔制御霊装を求めてイギリスに現れた。だが……」

 

 ヴェントがさらに力を籠め、ハンマーを振り抜く。

 僅かに圧され、後方に下がるフィアンマを、ヴェントは逃さない。

 逃亡する草食動物を追う肉食獣のようにフィアンマに喰らいついていく。

 

「その腕、空中分解を始めているな? そして固定化できていない。どうした? 偽物でもつかまされたか?」

「……」

 

 フィアンマは口で答えず、第三の腕を大きく振る。

 弾き飛ばされたヴェントのもとへ駆け寄りながら上条は問いかけた。

 

「ど、どういうことだ? お前さっきから何の話を──」

「何も聞かされていないのか、お前?」

「ええ、そうですとも。何も説明していません」

 

 すると、上条の隣にやってきたレッサーが突如、そんなことを言い放った。

 

 

 ───

 

 ──────

 

 ─────────

 

 

146:上条当麻(転生)

【遠隔制御礼装自体は本物ですよ、間違いありません】

【じゃあ、偽物ってどういう……】

【フィアンマの手に渡ったのは、新しく作った遠隔制御霊装なんです。三つ目、とも言うべきものですね】

 

147:以下、名無しの転生者でお送りします

>>146

これマジ?

 

148:以下、名無しの転生者でお送りします

三つ目の霊装とか作ってイイワケ勝手に?

 

149:レッサー(転生)

>>148

ご心配なく。誰を縛るわけでもない形だけのモノなので。

要は持っていてもなーんの役にも立ちません

 

150:上条当麻(転生)

【そういうことは最初に言ってほしいんだけど!? てか、それならなんで俺に霊装守らせたんだよ!】

【もちろんフィアンマの目を欺くためですよ。あなたが守っていれば、多少の違和感があっても偽物だと気づかないかもと思いまして】

【……何から何まで利用されてたわけ、ね】

【すみませんー】

【で、それを聞かされた俺様は一体どんな顔をすればいいんだ?】

【笑えばいいんじゃないですか? あっはっは】

【はははっ、そうか。笑えばいいのか、ははは!】

 

151:以下、名無しの転生者でお送りします

 

152:以下、名無しの転生者でお送りします

レッサーが腹パンされてぶっ飛ばされちゃった……痛そ

 

153:上条当麻(転生)

【はぁッ!】

【ちっ。仕方ない、出直すとするか】

 

154:以下、名無しの転生者でお送りします

おお!

 

155:以下、名無しの転生者でお送りします

フィアンマを追い返したのか!

 

156:以下、名無しの転生者でお送りします

まあこのタイミングでの邂逅自体イレギュラーだったし、こういうこともあるよね

 

157:以下、名無しの転生者でお送りします

でもまさか遠隔制御霊装を偽物とすり替えておくとはな

 

158:以下、名無しの転生者でお送りします

考えてみれば原作知識あるやつがそこを対策しないわけがなかったんだよね

 

159:レッサー(転生)

むふふ、少しは私のこと見直したでしょう?

 

160:以下、名無しの転生者でお送りします

>>159

正直フィアンマどうすんだよ馬鹿じゃねーのとか思ってましたすんませーん!

 

161:以下、名無しの転生者でお送りします

でもグレムリンはどうするつもりなんですかねえ?

 

162:レッサー(転生)

>>161

その辺はまたおいおいです。

【それじゃ移動しましょうか。ほらほら二人とも、行きますよー!】

【うえっ? 行くってそもそも俺らどこに向かって行ってたん──】

【ちょ、待っ、僕まで引っ張るんじゃあない!】

 

163:以下、名無しの転生者でお送りします

負けたらギャグ要員ってやつですね分かります

 

164:以下、名無しの転生者でお送りします

ヴェント弟の順応性やばすぎる……

 

165:以下、名無しの転生者でお送りします

むしろレッサーちゃんが強引なのか……?

 

 

 

 ───

 

 ──────

 

 ──────―――

 

 

「さて、どうしたものか」

 

 雪原で一人、右方のフィアンマは思案していた。

 聖なる右の固定化に失敗していることが知られてしまった。

 それ自体は問題ではない。仕掛けられていた罠に気づかなかったのは自身の責任だからだ。

 問題は他にある。

 

「上条当麻がロシアを去るか、否か」

 

 禁書目録に害を及ぼす要因がないとわかれば、上条当麻がロシアから消えるかもしれないということ。

 あのレッサーという女がなぜ上条当麻をここに連れてきたのかは分からないが、もし奴が自身がこの地で戦う理由がないと知れば、幻想殺し(イマジンブレイカー)の入手が困難になる。

 そうなる前に急いであの右腕を回収したかったが、思わぬ横やりが入った。

 前方のヴェント。

 フィアンマと同じ神の右席。実際は左方のテッラの傀儡にすぎない存在で、大した脅威とカウントしていなかったが、その評価は改めざるを得ない。

 同じ神の右席で、フィアンマは長期戦を行うことができない。瞬間的な出力も、幻想殺し(イマジンブレイカー)が邪魔をして望む威力を発揮しない。

 面倒なことになってきたな、とため息をついた。

 

「……ん?」

 

 ふと、フィアンマは上空に視線を送った。

 瞳に映りこんだのは学園都市製の航空機だ。それ自体は珍しいものではない、ロシアと学園都市は戦争中なのだから。

 問題は、そこから『何か』が飛来してきたということ。

 爆弾やミサイルの類ではない。どちらかと言えば、人の形をしている何か。

 奇妙なことにその人型は白い翼のようなものを背に持つ女だった。

 全身がほぼ機械化されているが、一部一部に肉が垣間見えることから、恐らくは元は人間だったのだろうと推測できた。

 

「学園都市も随分と悪趣味な怪物を作ったな。しかも、俺様の力が空中分解したタイミングを狙っての投下か」

『──目標を確認。殲滅を開始。原子崩し(メルトダウナー)起動』

「く、そがァ……! 私に命令、すんじゃねえ……! はァ、はァ……!」

「憐れだな、女」

 

 機械の声と女の声。

 前者の声の命令に後者は逆らえないらしい。

 苦しみの絶叫と共に、六翼三対の白い翼と、女の周囲に浮かぶ緑の球体から放たれる光線がフィアンマに迫る。

 並大抵の魔術師や能力者、軍隊すら一掃しかねないその制圧攻撃を、バックステップで次々躱していき。

 フィアンマはわずかに回復した第三の腕で邪魔な弾幕を薙ぎ払う。

 

「やれやれ。まったく」

 

 試練、とも言うべきか。

 敬虔な十字教徒なら喜んで立ち向かうのだろうが、生憎そんなことをしている時間はない。

 フィアンマは第三の腕を構え──

 そこで一つ思いついた。

 

「せっかくのプレゼントだ。せいぜいうまく使わせてもらおう」

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 そこは、学園都市のとある病院。

 集中治療室の前で携帯に耳を預けるカエル顔の医者の表情は、どこか険しいものだった。

 怒気はない、嫌悪もない、悲しみもない。

 だが、圧があった。医者は怒りこそしていないが、明確に敵意の様なモノを示し始めていた。

 電話の相手、学園都市統括理事長に対して。

 

「アレイスター。随分と好き勝手にやったみたいだね」

『修正はとても大変だったよ。だが、ようやく一方通行(アクセラレータ)に必要な数値を入力できた。ようやく「計画(プラン)」を次の段階に進められる』

幻想殺し(イマジンブレイカー)のほうは?」

()()()()。ただでさえ酷い状態だったアレは、いよいよ私の制御から離れた。完全に暴走していると言ってもいい』

「そういう割には、あまり焦っているようにも思えないが?」

『なに、いつものことだ。それで、私に一体何の用が?』

 

 カエル顔の医者は一度、自身を落ち着かせるために息を吐いた。

 

「僕の患者を弄ぶのはやめてほしい。あと、無意味に患者を増やす真似もね」

『後者は第三次製造計画(サードシーズン)のことかい? 心配しなくてもこれ以上作るつもりはないとも。それに無意味ではない。()()()()()()()()()()()()()()、彼女の誕生には意味は持たせて──』

「アレイスター」

 

 ただ一言、名前を呼んだだけ。

 それだけで、電話越しの『人間』は黙りこくってしまった。

 しかしそれは、医者の怒りを恐れたわけでも、良心の呵責に苛まれているわけでもない。

 理解したからだ。ここまでだと、ここから先は、もう今までの関係ではいられないと。

 

『とても残念ではあるが、仕方ない』

「……」

 

 それ以上はなかった。

 人間と医者の奇妙な関係は、誰に知られることもなくひっそりと、簡単に終わった。

 携帯を仕舞い、窓から空を眺める医者の表情には、憂いだけがあった。

 

「アレイスター、忘れていないかい? 君も僕の患者なんだってことを」

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 そこは、病院の廊下。

 手術室前のベンチに腰掛ける白い男の表情は、夜の闇より暗く沈んでいた。

 赤い瞳にも光がなく、吹けば消えてしまいそうなほど弱弱しいその姿を。

 たまたま近くを通りかかった御坂美琴は見過ごせなかった。

 

「何やってんの一方通行(アクセラレータ)

「…………なァ」

 

 弱い。

 それが彼の第一声を聞いた御坂の感想だった。

 自信とまではいかなくても、学園都市第一位としての自負があった彼とは思えないほど。

 その声は弱弱しかった。まるで親を見失った幼子のよう。

 

「俺はどうしてここにいるンだ?」

「どういう意味よ」

 

 一方通行(アクセラレータ)は緊急治療室に目を向け、懺悔するように言った。

 

「あそこにいるのは俺じゃなきゃならねェはずなンだ。決してあのクソガキや、番外個体(ミサカワースト)がいてはいけない」

「……」

「何やってンだ俺ァ。何やってンだよ……ホントに」

 

 御坂は無言を貫いた。一方通行(アクセラレータ)の独白をただ黙って聞いていた。

 そのあとも、彼の後悔は終わらない。余程ため込んでいたのか、一度溢れると決壊したダムの水のようにあふれ出して止まらなかった。

 そして最後に締めくくるように、最悪の言葉を口にする。

 

「俺が死ぬべきだった。まず最初に、俺が死ななくちゃならなかったン──」

 

 一方通行(アクセラレータ)の自罰の言葉はそれ以上なかった。

 正確には、出せなかった。

 赤い瞳が、拳を振り抜いた少女の姿を捉える。

 少女の怒りを示すように、額には青白い稲妻が迸っていた。

 頬を殴られた、と一方通行(アクセラレータ)が気づいたのは、もう数秒後のことだった。

 

「ふざけんじゃないわよ。アンタ、言うに事を欠いてそれ? 何にも変わってないのね、あの時と同じクソ野郎よアンタは」

「………………」

 

 御坂が一方通行(アクセラレータ)の隣に座り、言葉を続ける。

 

「アンタは確かにクソ野郎よ。私の妹たちを一万人以上も殺した殺人犯。……もちろん、私にそれを責める資格はない。アンタが壊した罪を持つなら、私には生み出した、それに手を貸した罪がある。……でも、だからこそ」

 

 御坂は一方通行(アクセラレータ)に向き合い、真っすぐ目を合わせ言い放つ。

 

「なら猶更、私たちは生きなきゃいけないの。それは罪滅ぼしのためだけじゃない。失われた妹達(シスターズ)の命に意味があったことを証明するためにも」

「………………」

 

 しばらくの間、一方通行(アクセラレータ)は無言だった。

 だがその沈黙は、それまでの重苦しいものとは違った。

 そう確信した御坂は、静かにその場を立ち去った。

 彼には決して見えないよう、小さな笑みを浮かべて。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、数時間がたった。

 打ち止め(ラストオーダー)番外個体(ミサカワースト)の手術は終わった。

 後者に関しては肉体の負傷を治せばいいだけなので、カエル顔の医者からすればどうとでもなることだったが、問題は打ち止め(ラストオーダー)の方。

 外傷はないのに、高熱が止まらない。いや、熱に関しては抑えることができたが、それでも駄目だった。

 以前彼女の身に起こった、学習装置(テスタメント)を用いたウイルスの注入。

 その時の症状に似ているが、こちらはより深刻だ。オリジナルスクリプトのデータをもとにある程度の治療は施せたが、病原の根絶には至らなかった。

 何かがいる。彼女を救うために必要なデータが、何か。

 

「……禁書目録、か」

 

 その言葉の意味を、一方通行(アクセラレータ)は理解できない。

 だが、あの化け物が残した唯一の手掛かり。信用に足るか否かを考えるには、情報が足りなさ過ぎた。

 

「……オイ、起きろ打ち止め(ラストオーダー)

「起きてるよ、ってミサカはミサカは答えてみる」

 

 打ち止め(ラストオーダー)一方通行(アクセラレータ)に向けて笑顔を見せる。

 額には汗が滲み、手は小刻みに震えているが。

 それでも、なるべく彼を心配させないように。そういう笑顔が顔に張り付いていた。

 

「そォか。なら準備しろ」

「どこに行くの? って、ミサカはミサカは聞いてみる」

「ロシアだ」

 

 防寒着を投げつけ、簡潔に説明する一方通行(アクセラレータ)

 そんな彼の言葉を打ち止め(ラストオーダー)は、

 

「分かったって、ミサカはミサカはそそくさと与えられた防寒着を着てみる!」

「……何も聞かねェのか?」

「うん、だって」

 

 着替える彼女に配慮し背を向けている一方通行(アクセラレータ)

 彼の背中に向け、打ち止め(ラストオーダー)は全幅の信頼を預ける。

 

「貴方を信じているから、ってミサカはミサカは当たり前のことを改めて言ってみる」

「……そォか」

 

 それ以上、会話はなかった。

 

「終わったよ」

 

 その言葉を聞き、一方通行(アクセラレータ)は振り返る。

 瞬間、ぐいっ! と体が引き寄せられた。

 打ち止め(ラストオーダー)の細腕に頭が抱えられ、胸元に引き寄せられたのだ。

 その事態に一方通行(アクセラレータ)は慌てることもなく純粋に、彼女に問いただす。

 

「どォいうつもりだ。こんなことしてる時間は──」

「大丈夫だよ」

 

 その言葉に、白い少年は目を見開く。

 構わず、少女は言葉をつづけた。優しい呪文を唱えるように、眠れない子供に子守唄を聞かせるように。

 

「貴方なら大丈夫だよ。自信をもって、胸を張って。って、ミサカはミサカは応援してみる」

「……打ち止め(ラストオーダー)

「頑張って……」

 

 頭から打ち止め(ラストオーダー)の体が離れる。

 同時に、彼女の体がベッドの上に倒れた。

 

「──必ず」

 

 一方通行(アクセラレータ)はそんな少女の体を腕に抱え、決意を新たに病室を飛び出した。

 

「俺が必ず、オマエを救う」

 

 目指すはロシア、そして禁書目録。

 第一位の少年が舞台の上に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

「できれば患者を勝手に運び出すのはやめてほしいんだけどね」

 

 病院の出入り口、門を出る一歩前で背後からそんな声を掛けられた。

 一方通行(アクセラレータ)は振り返らずに答える。

 

「ここにいたら安全なンだろォな。だが、打ち止め(ラストオーダー)は助からない」

医者(ぼく)としてはなるべく認めたくないことではあるんだけどね。救えない患者がいるなんてことは」

「邪魔すンじゃねェぞ」

「首のチョーカーには調整を施してある」

 

 医者の言葉に、一方通行(アクセラレータ)は答えない。

 

「間違えないでほしいのは、細工ではなく調整だ。まあ端的に言えば、能力を使用できる時間を従来の三倍にしている。今までよりは長く能力が使えるが、限界はあるからそこは留意しておくようにね」

「……戻ってきたら、チョーカーの設計図を渡してもらう」

「その言葉を聞いて安心したよ。ちゃんと戻ってくる気があるとわかって。……ここを出れば、その時点で君は狙われる。主に学園都市から。君の進む先に安全地帯はとても少ない。気を付けることだ」

 

 一方通行(アクセラレータ)が振り返ると、すでに医者の姿はなかった。

 代わりとばかりに、恐らく先ほどまで彼がいたであろう場所に、USBメモリがポツンと置かれていた。

 それを無言で拾い上げ、数秒の間、彼は病院を眺めた。

 その視線にどのような感情が込められているのか、誰にもわからない。

 

 

 

 

 ────────

 

 

 それは、とある病室での出来事。

 

「で、アンタは何やってるわけ?」

 

 体のあちこちに包帯を巻き、手術衣に身を包む金髪の少女、フレンダがそう問いかけた。

 疑問を投げられた少女、御坂美琴は防寒着に着替え、頭の包帯を巻き取りながら答える。

 

 

「決まってるでしょ。ロシア旅行の準備」

「ふぅん。結局、そこに収束するってこと」

「?」

 

 

 ────────

 

 

 

「本当に行くのかい?」

「うん。だって、みんなが戦ってる」

 

 それは、イギリスでの会話。

 銀髪のシスターは荷物をまとめ、旅立つ準備を整えていた。

 会話の相手は赤髪の魔術師、ステイル=マグヌス。

 

「分かった。なら、これを」

「これは……」

 

 ルーンが描かれた用紙を渡され、インデックスが目を見開く。

 

「でも、私は魔術を」

「心配しなくても、君でも使えるように調整済みだ。護身用として持っておくといい。なに、必要ないならそれに越したことはない」

「うん。でも、ありがとうなんだよ、すている!」

 

 感謝を述べ、インデックスは行ってしまった。

 去っていく小さな背中を見送った彼は、背後に佇む女に振り返った。

 

「ふぅん、着いていかなくてよいのかステイル」

「遠隔制御霊装を守らなければいけないので。それに、貴女から目を離すのも怖い」

「もう、酷い話。私は仮にも貴様の上司なりけるのよ?」

「少なくとも、二つの制御霊装をチラつかせながら言うことではないな」

 

 ステイルの敵意にも似た視線も、最大主教(アークビショップ)ローラ=スチュアートには無意味。

 涼しげに睨みを流す彼女に、ステイルは苛烈に攻め続ける。

 

「貴女は『新たなる光』……レッサーと繋がっていましたね?」

「……」

「そうでなければ貴女が遠隔制御霊装を二つ持っている説明がつかない!」

「で?」

 

 言い訳をするでもなく、無理やり黙らせるわけでもなく。

 彼女はただ開き直った。何が悪いのか、と言う疑問が顔に書いてある。

 

「結局はイギリスを生かし、右方の何某の計画に歪を入れる結果になったわけだが、それが何か?」

「何を要求した?」

「……」

「貴女が本気でイギリスのために行動したはずがない。彼女と組んだというなら、一体何を与え、何を要求した! 答えろ!」

「なぜ」

 

 ドッ! と異様な気配がローラを中心に溢れ出した。

 それはとても人間が放つものとは思えない、得体のしれない怪物を前にしたような感覚。

 悪魔がほんの僅か、己の本性を見せたということだ。

 咄嗟にステイルはその場を飛び退いた。冷や汗を滝のように流しながらもルーンのカードをばら撒き、戦闘態勢を整える。

 対し、ローラは笑う。腹を抱え、無邪気な子供のように彼の戦意を嘲る。

 

「くくく、そう怖がるな。悪かった、私が大人げなかったよ」

 

 消える。

 ローラの放つ威圧感が、悍ましい魔の気配が。

 しかし、ステイルは警戒を解かない。

 

「ふむ、どうやらこちらが想像するより精神に答えたようなりうるな。わかったわかった、今回は私も手は出さない気を付けることにしましょう」

 

 いつもの可笑しな日本語が崩れていることに、彼女は気づいているのか。それともわざとそうしているのか。

 ステイルには判断できない。人間に、人間ではない何かの思考を理解することはできない。

 怪物は、理解できないからこそ怪物足りうる。

 その真理を、彼は身をもって理解した。

 

 

「さて、せいぜい私を楽しませたるのよ上条当麻。お前には銀の星を仕留めてもらわねば困るぞ」

 

 

 この戦争を外から眺める悪魔は、大胆不敵な笑みをこぼした。

 

 

 









こうして書ききり、私は思い出しました。
小説は、書き始めるまでは長いが、一度書き始めると結構スラスラと進むということを。
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