気づいたら幽霊が家に住み着いていたけど、ホラーは苦手なので全力でラブコメしたいと思います。   作:葵 悠静

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66話 その謎技術はもともとレイが持っていたのか、幽霊の謎パワーなのか俺には分からない。

 アイスを頬張るレイを横目に見ながら俺は改めて今日買ったものを確認するために、レイの体に触れないよう体をよじりながら地面に置いていた紙袋をあさる。

 

 改めて見てやっぱり思うが、自分の為に買った服が一着で、それ以外が女性ものの服なのはバランスがおかしいと思う。

 

 あーてか体を変な感じでねじってるからめちゃくちゃ脇腹つりそー。

 それになんか腰も重くなってきたし。最近運動梳かしてないからな。

 突然こんな無理な動きをしたら体が悲鳴を上げるのも当然……

 

「さとる、着るの?」

 

「うおお!」

 

 思わず大声を上げてしまったが、何とか上体は下げたままで耐えることができた。

 俺の膝の上にいると思っていたレイが、いつの間にか俺の背後から顔を出していたのだ。

 

 俺の頬にレイの頬が密着しそうなほどに彼女は近づいてきていて、俺が持っている紙袋の中を覗き込んできている。

 ……てことは俺の腰が重くなったように感じたのは、不健康なせいじゃなくて物理的な影響のせいか。

 まあ物理的でもないんですけど。霊的? まあそんな感じ。

 

「アイスはもういいのか?」

 

「なくなった」

 

 え、うそ……。

 俺は顔だけを動かしてテーブルの上を見ると、確かにアイスが入っていたカップの中身はきれいに空っぽになっていた。

 

きれいどころかまるで洗浄したかのようにアイスの残骸すら残さずにそのカップはピカピカになっていた。

 

「え、どうやって食べたの?」

 

 俺は紙袋に触りだしてからスプーンを動かしていない。レイがスプーンを使ったとしてもこんなにきれいに食べられるはずがない。

 

「こうやって、こう」

 

 レイは器用に俺の腰の上で正座しながら、カップを持って口の中に放り込むジェスチャーをしてみせた。

 

「ん? ちょっと待って。まさかカップごと口の中に入れたんじゃないよな?」

 

 どんだけ大口開けてもレイの口の大きさではそんなことできないよね?

 できたとしてもやったなんて言わないで!

 

「???」

 

 レイは首をかしげながら、もう一度同じジェスチャーを繰り返す。

 

 ……あー、これはやってますわ。レイのびっくりどっきり霊技がさく裂してますわ。

 

 レイの口のなかに物入れたらコインランドリー並みにきれいになるのか?

 100円入れたら俺の心もきれいにしてくれる? じゃなくて、それは見たかったような見なくて正解だったような、複雑な気分である。

 

「まあ人前でやるのはやめような」

 

「さとるしか、見ない」

 

 レイはそんな俺の心の内を知る由もなく、正座の状態を崩すと再び無表情で俺の首に腕をからませ、顔を覗き込ませてくる。

 

 ほんと、そういうことを無自覚にやったり言ったりするのは勘弁してほしい。

 何、俺しか見ないって。まあ確かに言葉通りの意味で俺しか見えないんだけど、そういうことじゃなくて、俺になら見られてもいいってこと?

 

 その信頼は嬉しいけど、別に俺もレイがカップを丸呑みにするところを見たいわけじゃないからね。

 さすがにコップとかまで丸呑みするようになったら止めよう。うん、そうしよう。

 

 それとこの自然流れなバックハグは何。レイは俺のことを殺そうとしてきているのか。

 まあバックハグというよりは完全に俺の背中の上に乗っちゃって、全体重を俺の首に絡ませている腕で支えているように見えるから、実際に重さがあったら俺の首ぽっきり言っちゃってそうだけど、そんなことは関係ない。

 

 こっちは天下のセカンド童貞だぞ。勘違いしちゃうし、どきどきしちゃうだろうが。って、童貞ちゃうわ!

 いや、ほんとに。言葉のあや……比喩ってやつだよ。そうそれ。

 

 

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